難しい会話へのアプローチ方法を学ぶ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 難しい会話に対処するためのベストプラクティスと手法を挙げる。
- 難しい会話に取り組むためのフレームワークを説明する。
難しい会話の定義
難しい会話とは、個人や関係者が気分や感情を伴う要望、ニーズ、意見、視点を持って行われる会話です。 このような会話は、人生においてビジネスにおいても日常的に発生します。特に、お客様との難しい会話は不安に感じるものですが、良い結果がもたらされることも多く、次のステップや進むべき道筋が明確になります。
コスト削減、時間、リソースといったトピックをお客様と議論することは、あなたにとっても、お客様にとってもストレスの溜まるものです。おそらく、このような会話は利害が絡んでくるため気が引けるのではないでしょうか。というのも、あなたは、商品やサービスがお客様のビジネスの成功の原動力になることを理解していて、それを維持したいと考えているからです。このようなトピックには総合的に取り組み、お客様に対して共感、尊敬、透明性、責任の共有、配慮、信頼を示します。
想定内と想定外への備え
お客様との会話が難しくなることが予想される場合は、事前に事実を収集したり、メッセージとその伝え方を調整したり、ソリューションを考えたりなど、準備を整えておくことができます。
お客様の反応を予想してもよいでしょう。重要なのは、そういった反応の理由を認識することです。会話には、その年のコスト削減予測に影響する情報が含まれているかもしれませんし、目標を達成できない役員などの個人的な問題が含まれているかもしれません。
また、お客様にとって何が課題なのかを念頭に置いてください。そうすることで、どのように言いにくいニュースを伝えたり、ソリューションを提供したりするかに集中できるようになります。
ですが、難しい会話は成り行きで発生するため、計画することができない場合もあります。ある問題が大したものではないように思えても、お客様や会社にとっては大きな問題であることがあるのです。
こういったことは、あなたにはどうしようもないことにお客様が不満を持っている場合に起こる可能性があります。たとえば、お客様がまだあなたと関係を築いている最中だとします。この場合、お客様は前回窓口になっていた担当者とは信頼関係ができていたけれど、あなたからは同じ配慮が受けられないのではないかと心配していることが予想できます。または、あなたが気付いていない別のきっかけがある可能性もあります。競合他社に転職して満足そうな様子の同僚に最近出くわしたのかもしれません。
このような状況は、難しい会話につながる可能性があります。また、ソリューションを準備、予測、ブレインストーミングする機会がなかったため、より困難な状況に陥ることもあります。お客様との会話では、冷静かつ総合的に考えることを忘れないでください。
個人的なことではなく、お客様が利害関係が危うくなっていると感じていることを再認識してください。その時点では、お客様がそう感じる理由や原因がわからないことも多いかもしれません。ですが、OFNR 質問を使用すれば、会話をコントロールし、会話の方向を変えることができます。
- Observation (観察): 確執となっているものは何か? どのような利害関係が危うくなっているのか?
- Feeling (感情): お客様が会話の焦点についてどう感じたか、またはどう感じているのか?
- Need (ニーズ): お客様が何を必要としているのか?
- Request (要望): お客様が求めていることは何なのか?
OFNR の質問セットは、問題を理解するための素晴らしい出発点となります。さらに生産的な方向に会話を導くために、次のベストプラクティスを使用してください。
感情をコントロールする: 自分の個人的な気分や感情ではなく、お客様とそのボディランゲージに重点を置きます。感情はボディランゲージや口調にも表れます。対面でも、バーチャルでも、電話でも、耳を傾け、お客様が言葉以外で何かを伝えていることを示す手がかりを探します。自分が話していなくても、お客様にメッセージを送っている、またお客様もメッセージを送り返しているということを意識してください。
認識していることを示す: お客様が話せるように促して、傾聴を実践し、共感を持ってわかりやすく言い換えます。お客様が話し終えたら、敬意を払って「お話してもいいでしょうか?」と許可を得ます。お客様の感情を認識していることを「この状況についてお怒りのようですね。ストレスや不安を感じていらっしゃることがわかります」と言って示します。
透明性を保つ: 失敗したら、責任を取ります。事実だけに沿い、誰が「正しい」かといった権力争いは避けます。お客様の成功を妨げになっていることがあれば、責任を持ちます。お客様が成功すれば、あなたも成功するのです。もしかしたら、あなたには特に関係のない不手際があったのかもしれません。謝罪することで、お客様の不満を認め、チームのために責任を取ることができます。たとえば、「この件 (状況、人、出来事) でこのような思いをさせてしまったことをお詫びします。このようなことが二度と起こらないようにするためには、どうしたらよいでしょうか?」というように謝罪します。
ソリューションを重視する: 適切な推奨事項を提案します。これは、お客様を成功に導き、適切なタイミングで提供し、お客様の協力を得て練られたものにします。ソリューションを重視する人は、一歩下がって調査をする前に、問題の解決に取りかかりたがることがあります。重要なのは、一歩引いて、落ち着かせ、選択肢を調査することです。明確な道筋がない場合は、選択肢を調査してフォローアップすることをお客様に伝えます。フォローアップを行わないことは、あっという間に信頼を失うことになる最たるものの 1 つです。
問いかけの思考を採用する: お客様を認め、必要な責任を果たしたたら、次は問題を明確に把握できるように質問します。これにより、あなたが根本原因を重視して見つけ出そうとしいることがお客様に伝わります。推奨される質問は次のとおりです。
- いつからこのように感じ始めたのですか?
- どうすればよかったと思いますか?
- サポートする方法を教えてください。あなたの考える最善の進むべき道筋は何ですか?
- どのような結果を望んでいますか?
より多くの情報を収集するほど、チームとソリューションをより効果的にブレインストーミングすることができます。
OFNR アプローチといくつかのベストプラクティスを理解したところで、次の単元に進み、難しい会話の準備方法について学びましょう。