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ソフトスキルを構築する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • ソフトスキルがどのように営業担当の役に立つかを説明する。
  • 営業の成功につながる主なソフトスキルを説明する。

ソフトスキルは営業を成功に導く秘訣である

ソフトスキルは、他者と効果的な対話を行うために使用するテクニックです。信頼関係を育み、他者を理解する方法であることから、対人スキルとも呼ばれます。

ソフトスキルは営業にとって極めて重要です。なぜなら、営業チームが率直なコミュニケーションの鍵となる信頼を構築するのに役立つからです。率直なコミュニケーションが取れれば、見込み客と顧客が自身の問題を伝えてくれる可能性が高くなります。問題を理解できれば、営業チームは適切な商品やサービスソリューションを提供できます。

ところが、多くの営業担当はこのようなスキルを完璧に習得することに苦労しているか、まったく備えていません。「LinkedIn 2019 Global Talent Trends Report (LinkedIn による 2019 年グローバル人材トレンドレポート)」でこの事実が取り上げられており、ソフトスキルが営業の成功にいかに大切かが示されています。

  • 81% の企業が、素晴らしいソフトスキルを備えた人材の雇用が困難だと感じています。
  • 91% の組織が、ソフトスキルを向上させたいと考えています。
  • 92% の採用担当マネージャーが、ソフトスキルはテクニカルスキルより価値があると述べています。
  • 89% のマネージャーが、通常、雇用の失敗と言えるのはソフトスキルを備えていないことだと述べています。

明らかに、ソフトスキルはビジネスの成功に不可欠です。では、営業に最も重要なソフトスキルはどれでしょうか?

営業に不可欠なソフトスキル

営業ではまず人間を認識することが重要になっているという点で営業リーダーの見解は一致しています。つまり、セールスプロセスのすべてのフェーズにおいて関係を構築するということです。

それはどのように行われたのか? 次の主要なソフトスキルを使用します。

  • 自由回答形式の質問
  • アクティブリスニング
  • 身振りと表情の読み取り
  • 会話のミラーリング
  • 親密な関係の構築
  • 共感
  • 交渉
  • 説得
  • 営業ではなく誘導

では、それぞれについて詳しく説明しましょう。

自由回答形式の質問 

簡単に言うと、自由回答形式の質問は「はい」または「いいえ」で答えることができない質問です。説明による返答が要求されるため、今後の交渉や意思決定に利用できる詳細情報を収集できます。 

たとえば、「どのように...?」や「なぜ...?」という自由回答形式の質問で会話を始めます。「...についてご説明いただけますか?」や「...はどのようなプロセスによるものですか?」などの質問も使用できます。このような質問によって、微妙な意味合いを含む話題を展開していくことができます。

たとえば、就職面接という場面を考えてみてください。採用担当マネージャーが「あなたなら [会社の問題] をどのように解決しますか?」と質問するとします。この自由回答形式の質問によって詳細な返答が引き出されるため、採用担当マネージャーは応募者が仕事で問題をどのように解決するかを大まかに知ることができます。この貴重な情報を使用して、採用についての判断を行えます。

アクティブリスニング

自由回答形式の質問を行った後、相手が伝える貴重な情報をすべて収集する必要があります。これはアクティブリスニング、つまり話に割り込まずに相手の返答にひたすら集中することでのみ行えます。アクティブリスニングには、集中して静かに聞くことに加え、今後の話し合いで利用できる重要ポイントを頭の中でメモすることも含まれます。

営業チームがよく陥ってしまう失敗として、多くの人はアクティブリスニングを行っていると思っていても、実際には返答を考えるのに十分な時間しか聞いていないということがあります。そこには大きな違いがあります。アクティブリスニングを行えば、相手の状況、意見、考えを心の中で明確にまとめることができます。通常、返答を聞くということは、1 つ、ないしは 2 つの重要ポイントを吸収すること、そしてできるだけ速く自身の考えを伝えることに精神的なエネルギーを注力することが含まれます。

腕を組んで立っている男性に、微笑みながら話しかけている女性。状況があまりよくわかっていない様子の男性。

身振りと表情の読み取り

誰かと対面で話をしている場合でも、バーチャルで関わっている場合でも、他者の身振り、表情、声のトーンに注意を払うことは、相手の感情を理解するうえで役立ちます。相手がどのように感じているかを理解できれば、相手に伝える内容や声のトーンを調整してネガティブな返答を回避したり、ポジティブな返事を引き出すメッセージを会話に多く取り入れたりすることができます。

よく知られている仕草や態度を次にいくつか紹介します。ぜひ参考にしてみてください。もし、あなたが複雑な状況を説明しているときに相手が鼻筋をこすっていれば、話を理解していない可能性があります。腕を組んでいれば、不安を感じているか居心地が悪いのかもしれません。会話の途中で声のトーンが変わったら、気分を害しているか (固いトーンになった場合)、嬉しい気持ちでいる (陽気でウキウキしたトーンの場合) 可能性があります。

このようなサインに注目することは、配偶者や友人を相手にすでに行っていることかもしれません。たとえば、微妙な話を妹に持ち出したときに妹の顔が曇った場合、その話題を好んでいない合図と受け取ることができます。妹の気分を害してしまわないうちに話題を変えた方がよいでしょう。

会話のミラーリング

ミラーリングは、「繰り返す」、「確認する」、「明確にする」の 3 語に集約できます。アクティブリスニングを行っているときに自分が話の内容を確実に理解できるように、会話から集めた重要ポイントを繰り返し、正確に理解していることを確認し、そうでない場合は相手に尋ねて明確にします。これにより、集めた情報が何であれ、今後の交渉や話し合いで自信を持って、その情報を使えるようになります。

また、笑顔には笑顔で返すなど、身振りや表情を真似ることもできます。こうすることで、相手にいっそう居心地よく感じてもらえます。といっても、気を付けることがあります。腕を組む、前かがみになる、眉をひそめるといったネガティブな行動は真似しないでください。ネガティブな感情を増幅させ、率直なコミュニケーションの妨げになってしまいます。

親密な関係の構築

人は、自分のお気に入りの人とビジネスを行いたいと考えています。親密な関係を構築することは、その「お気に入り」を確実に手に入れる方法です。理論上は、簡単に実践できます。相手との共通のつながり、つまり、心の絆を深め、相互に親近感を抱けるようになる何かを見つければよいのです。多くの場合、そのようなつながりは共通の関心や経歴、生い立ちによって形成できます。

たとえば、交流会で誰かの近くに行ったときに、その人が着ている T シャツのデザインがあなたの出身県にちなんだ柄であることに気づいたとします。そのデザインを会話のきっかけとして、つながりを築くことができます。会話が始まったら、質問をして他の共通点を見つけます。共通事項が多くなるほど、強力かつ信頼できるつながりを築きやすくなります。

もう 1 人の女性の背中を軽く叩いて共感を示している女性

共感

共感とは、誰か他の人が感じていることや経験していることを理解することです。共感は関係を結び付ける接着剤と考えてください。親密な関係は共通の関心や経歴、生い立ちがベースとなって構築されますが、共感では相手の幸せへの心からの気遣いを示します。 

共感が営業に非常に重要なのはなぜでしょうか? Center for Creative Leadership が指摘しているように、共感は人との対話を深め、信頼を構築し、より効果的なコミュニケーションの支えとなります。このようなことはすべて、チームの連携、お客様との関係、しいては商談成立にとって重要です。

たとえば、最近、友人が一時解雇されたとします。自分自身は一時解雇されたことがないとしても、友人が悲しい気持ち、混乱、怒り、さらには動揺さえ抱いていることはわかります。友人の感情の大きな変動を認知し、懸念を傾聴することで、共感を示すことができます。「本当に大変なことになったね...」や「辛い気持ちも、やり場のない思いもわかるよ...」のようなフレーズは、相手を気遣っていることを示すのに役立ちます。 

交渉

交渉は、2 者が同じ状況で異なるニーズを伝え合い、相互にメリットのある解決に至るまで妥協策を話し合うことです。両者が自分の望むことを述べ、傾聴し、最も重要な価値を明確に伝え、両者が「勝った」と感じるまで各側で妥協点を割り出します。

たとえば、あなたの子どもが友達とテレビゲームで遊びたがっているとします。遊んでいいかどうかを答える前に、交渉することができます。まず子どもには、手伝いと宿題を終えてから遊んでほしいという自分の希望を伝えます。子どもは、遊んだ後に手伝いと宿題をすると言い返します。交渉を進めるなかで、まず手伝いをすませ、遊び、その後で宿題を行うという妥協点に達します。

販売交渉をしている女性と男性。双方が提示している金額が記載された吹き出しと、その吹き出しの上に表示されている目標金額が記載された赤色の吹き出し (双方が納得する妥協点を示すチェックマークが付いている)。

説得

反発と異論 (セールスピッチに関する意見の違いや懸念) は、セールスプロセスではよくあることです。誰かが行動や決定を下す準備ができていないとしたら、依然として障壁が存在することを意味します。ですが、これは落胆してあきらめるというより、説得を行う合図と捉えることができます。

簡単に言うと、説得は、相手が行動や意思決定を渋る気持ちを取り除けるようにインセンティブや魅力的な情報を利用することです。誰かを説得するにはさまざまなテクニックがありますが、成功すれば、どれもが行動につながります。

たとえば、友人と野球に行きたいとします。友人は家でテレビを見たいと思っていますが、あなたは 1 人で行きたくはありません。そこで、付き合ってくれればホットドッグを奢ると持ちかけ、一緒に行ってくれるよう説得します。ホットドッグとソーダという魅力的な提案をした後、ホームチームの T シャツを買うことにも同意すると、友人はついに了承してくれました。

説得をするとき、助けになることと押しつけがましくなることとの差は紙一重です。説得に長けている人は、強引にアプローチする代わりに、魅力的なインセンティブを見つけ、それによって他者を行動させたり決断させたりします。 

営業ではなく誘導 

人は、売り込みされていると感じたくはありません。セールスプロセスを通じて誘導されることを望んでいます。違いは何でしょうか? 強引な売り込みでは、何かを行うように言われているように感じます。プロセスや決断において誰かを導くということは、実際にはその人に指示しているとしても、主導権を持っているのは自分であると相手に感じてもらうことです。

誘導は達成感を与えることができるため、学生から評価されることが多いアプローチです。たとえば、複雑な微積分の問題に取り組んでいる高校 1 年生はおそらく、質問をしながら適切な方向に導くヒントを与えてくれる教師を気に入ります。問題を解くのは生徒ですが、教師によって導かれています。

営業のソフトスキルの基本を理解したところで、次はセールスプロセスで実践してみましょう。

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