顧客のチャネルを作成する
顧客チャネルの概要
「Service Cloud の概要」でも記載しましたが、卓越したカスタマーサービスを実現するための第一歩は、顧客が会社とのコミュニケーションの方法を選べるようにすることです。顧客が会社に連絡するための各種の方法は「チャネル」と呼ばれ、昔ながらの電話番号から革新的なモバイルアプリケーションによるビデオ会議まで、さまざまなものが含まれます。
なぜ顧客に複数のコミュニケーションチャネルを提供するのでしょうか? テレビにどれだけ多くのチャンネルがあるかを考えてみてください。各チャンネルは視聴者が見たい番組を提供しています。スポーツを見たい視聴者もいれば、ドラマを見たい視聴者もいます。ときには、その日の気分によって見たい番組が見つかるまでいくつものチャンネルを切り替えることもあるでしょう。それでは、テレビのチャンネルが 1 つしかないところを想像してください。どのように感じるでしょうか? おそらく、選択の余地がないことに、がっかりするかイライラすることでしょう。
Service Cloud では、会社への連絡方法としてさまざまな選択肢を顧客に提供できます。電話、メール、Web サイト、ソーシャルメディア、オンラインコミュニティなど、あらゆるものを使用できます。初めに、2 つの最も一般的なチャネルを設定します。その後、より高度なチャネルを設定できるように、その一部を紹介します。

Web-to-ケースを追加する
問題を解決するために Web を使用したことが何回ありますか? 購入した商品が思ったとおりに動作しない理由を知るために、最後に会社の Web サイトにアクセスしたのはいつですか? おそらく、かなり最近ではないでしょうか。顧客は Web サイトがあるものだと思っています。快適な自宅や便利なオフィスから、オンラインでのサポートを受けられることは当然のことになっています。
Web-to-ケースは、オンラインサポートを作成する簡単な方法です。基本的にこれは、顧客が入力してエージェントに送信するケース項目のフォームです。Web-to-ケースを使用すれば、自社の Web サイトからサービス要求を収集し、1 日あたり最大 5,000 件の新規ケースを自動的に生成できます。
Web-to-ケースのしくみは次のとおりです。(1) フォームに表示するケース項目を決定します。(2) フォームの HTML を生成します。(3) HTML を Web 開発者に送信し、Web 開発者が自社の Web サイトにフォームを配置します。これで、顧客がエージェントにケースを送信できるようになります。それでは、設定してみましょう。
- [設定] から、[クイック検索] ボックスに「Web-to-ケース」と入力し、[Web-to-ケース] を選択します。
- [Web-to-ケースの有効化] をクリックします。
- [reCAPTCHA 確認が必要] の選択を解除します。ここでは reCAPTCHA については説明しません。
- デフォルトのケース発生源 (Web など) を選択します。
- ケースが作成されたことを顧客に自動的に通知するレスポンス用テンプレートを選択します。優れたサービスでは、顧客は自分の声が届いたことを知ることができるものです。任意のテンプレートを選択して、このしくみを確認します。
- 顧客に送信されるメールでケース情報を非表示にするには、[レコード情報を非表示] を選択します。これは、まれにあるケースの作成に失敗した場合のみです。
- レスポンステンプレートのものとは異なるメール署名を使用するには、新しい署名を入力します。
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[保存] をクリックします。
次は、Web 開発者に送信する HTML フォームを生成します。
- [設定] から、[クイック検索] ボックスに「Web-to-ケース HTML ジェネレータ」と入力して、[Web-to-ケース HTML ジェネレータ] を選択します。
- フォームに含めるケースの項目を追加します。
- 顧客がケースを送信した後に表示される「ありがとうございます」ページなどの URL を入力します。
- [HTML に reCAPTCHA を含める] が選択されている場合、選択を解除します。ここでは reCAPTCHA については説明しません。
- [作成] をクリックします。
- HTML コードをコピーし、Web サイトで公開するために Web 開発者に送信します。
- [完了] をクリックします。
これで完成です。オンラインサポートができあがりました。顧客は、いつでも都合の良いときにサポートチームに問い合わせを行い、Web 上でケースを作成できます。
メール-to-ケースを追加する
あなたは 1 日に何通のメールを読んだり送ったりしますか? ほとんどの人と同様に、おそらく受信箱にメールがあふれた状態で仕事や生活をしているのはではないでしょうか。たぶん携帯電話からもメールにアクセスできて、送信ボタンを押すことで地球上のほとんど誰にでも連絡を取れるものだと思っているでしょう。顧客も同じです。サポートチームにメールで連絡を取れるものだと思っています。Salesforce のメール-to-ケースオプションのいずれかを設定すれば、簡単に顧客にメールサポートを提供できます。
メール-to-ケース |
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オンデマンドメール-to-ケース |
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メール-to-ケースとオンデマンドメール-to-ケースのどちらを使用するかは、会社のメールセキュリティポリシーとチームが扱うメール添付のサイズによって決定します。
説明をシンプルにするために、ここでは、「メール-to-ケース」を「オンデマンドメール-to-ケース」と区別せずに使用します。「オンデマンドメール-to-ケース」という言葉は何度も繰り返して読むには長すぎますからね。この 2 つに違いがあるときには、それについて説明します。会社のネットワークのファイアウォールはそれぞれ異なっていて、複雑であることから、ここではファイアウォールを使用しないオンデマンドバージョンのメール-to-ケースを設定しましょう。
簡単に言えば、メール-to-ケースの設定手順は次のとおりです。(1) 機能を有効にします。(2) 顧客向けの設定とメールアドレスを設定します。(3) そのアドレスでメールがケースに変換されることを確認します。(4) 顧客がチームにメールできるように、会社の Web サイトにメールアドレスを追加します。
- [設定] から、[クイック検索] ボックスに「サポート設定」と入力し、[サポート設定] を選択します。
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[編集] をクリックし、デフォルトのケース所有者と自動ケース更新ユーザを選択します。
これにより、受信した各ケースには自動的に所有者が割り当てられ、技術の欠如のためにケースが失われることはありません。所有者にはキューまたはユーザのいずれかを指定できます。
- [設定] から、[クイック検索] ボックスに「メール-to-ケース」と入力し、[メール-to-ケース] を選択します。
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[編集] をクリックし、[メール-to-ケースの有効化] と [オンデマンドサービスの有効化] をオンにして、[保存] をクリックします。
ページ上のその他の設定は、メールコンテンツの処理を指定するものです。
- [ルーティングアドレス] の横の [Email2Case] を選択し、[新規] をクリックします。
- 顧客がサポートチームに連絡できるメールアドレスを入力し、名前を付けます。
このメールアドレスでは、メールを直接 Salesforce に転送し、ケースに変換します。
- メールから変換されたケースの [優先度] と [発生源] を選択し、[保存] をクリックします。
ページ上のその他の設定は省略可能です。
- メールルーティングアドレスを確認するために、そのアドレスの受信箱に Salesforce 確認メールが届いていることを確認します。または、[メール-to-ケースのルーティングアドレス] ページで、ルーティングアドレスの横の [検証] をクリックします。
- 確認メールに記載されているリンクをクリックし、[続行] をクリックして確認します。
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ルーティングアドレスのメールサービスアドレスが生成されています。
をクリックして確認済みのルーティングアドレスに戻ります。
- メールシステムを設定して、メールをルーティングアドレスからメールサービスアドレスに転送するようにします。
- ルーティングアドレスをテストするために、このアドレスにメールを送信し、メールがケースに変換されていることを確認します。[ケース] タブでケースを検索する必要がある場合もあります。
- ルーティングアドレスに送信されたメールがケースに変換されたことを確認した後、アドレスを会社の Web 開発者に送信してサイトに追加できます。
簡単でしょう。これで、サービスチームに公式のメールチャネルができました。
高度なチャネルの計画
Salesforce では、Web とメール以外にも多くのチャネルをすばやく作成できます。Web とメールは、お客様とサービスチームが最もよく使用するチャネルであるため、初めに取り上げましたが、サポートプロセスを計画する際には、お客様によりご満足いただけるような他のチャネルについても検討してください。また、競合他社が提供しているサービスの選択肢を確認しましょう。自社のチームは競合他社と同じチャネルをお客様に提供していますか? より高度なチャネルを使用すれば、より良いサービスをより速くお客様に提供できる可能性があります。
より高度なチャネルとは、サポートエージェントの負担の増加やコンテキストの切り替えにつながるものではありません。Salesforce では、チームは統合ヘルプデスクを使用して 1 つの画面 (次のモジュールで学習するコンソール) ですべてのお客様からの質問に回答するため、実装するチャネルの数は関係ありません。チームは、各質問をケースとして受け取ります。ケースがメールによるものでも電話によるものでも、Salesforce ではエージェントにはほとんど同じように見えます。さらに Service Cloud では、任意のエージェントが任意のチャネルからの任意のケースに対応できるため、チームが成功するための準備が整っています。
サポートプロセス全体の計画のために、エージェントに負担をかけずにお客様に感動していただけるようなその他のチャネルについて理解しておくことが重要です。ここでは、検討すべきその他のチャネルをいくつか紹介しましょう。詳細については後のモジュールで説明します。
- コールセンター
- お客様の中には、電話を手に取ってエージェントにすぐに話をしたいという人がいます。人間の声を聞いて、複雑なサービス状況について話をするのが理想的なサポートである場合もあります。Salesforce コールセンターでは、通話をケースに変換することができ、エージェントは数回のクリックだけで電話での活動の詳細を記録できます。Salesforce では、通話ごとに画面上に重要な顧客データがポップアップ表示されるため、エージェントは、誰と話をしているのかを知り、より短時間でケースをクローズできます。さらに、ビジネスのニーズに合わせて、サードパーティの電話システムからのデータを統合することもできます。
- チャット
- お客様が会社の Web サイトでボタンをクリックするだけで、エージェントとのチャットを開始できるとしたらどうでしょう。インスタントテキストチャットで、チームがどれほどすばやくお客様の質問に回答できるかを考えてみてください。それが、チャットの機能です。このチャネルは、他のチャネルで回答を待つお客様のストレスを減らすために、最初の応答時間を向上させる方法として検討できます。
- コミュニティ
- お客様同士がお互いの質問に回答できたらどうでしょう。お客様のオンラインフォーラムやコミュニティによってどれほどサービス時間が改善され、未知の問題へのチームの認識が高まるか、そして、エージェントがオンラインでの会話に貢献したときにどれほどお客様からの信頼を確立できるかを考えてみてください。Salesforce コミュニティは、これらのすべてと、さらに多くのことを実現できるチャネルです。
- SOS
- 世界中でモバイルが普及しており、お客様はモバイル端末でのサポートを求めています。単に顧客向けのモバイルコンテンツを提供するだけではなく、ビデオ会議や画面共有、ガイド付きヘルプなどを備えたアプリケーション内チャネルを提供できたらどうでしょう。Service on Salesforce (SOS) なら、それができます。最先端技術を採用して、お客様をあっと言わせるようなチャネルを提供しましょう。