サービスインテリジェンス入門
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- サービスインテリジェンスについて説明する。
- サービスインテリジェンスのしくみを説明する。
サービスインテリジェンスとは?
カスタマーサービスを測定するのは容易なことではありません。お客様に優れたサービスを実施したいと思っても、その目標を達成しているかどうかを把握するのが困難なことがあります。サービスチームのパフォーマンスも必ずしも明確ではありません。チームがお客様に対応してケースを解決していますが、お客様は満足しているのでしょうか? チームはサービスレベル契約 (SLA) を随時満たしているのでしょうか? 更に、サービスエージェントが自分の仕事振りを知りたいと思うこともあります。エージェントは目標を達成したのでしょうか? 日次、週次、月次の期待値を下回っていないでしょうか?
サービスインテリジェンスはこうした疑問に答えます。データがわかりやすい形で視覚化されるため、カスタマーサービスの目標を達成しているかどうかを憶測することがなくなります。サービスインテリジェンスは、顧客データを 1 か所に集約して、サービス業務に関する貴重なインサイトを提示します。
データに基づくインサイトを活用して、メール、チャット、音声などのサービスチャネル全体におけるサービストレンド、エージェントの行動、顧客満足度を把握できます。サービスインテリジェンスには主要業績評価指標 (KPI) と人工知能 (AI) 機能が搭載されているため、データに基づいてサービスに関する適切な判断を下せるようになります。
サービスインテリジェンスの対象ユーザー
サービスインテリジェンスは、エグゼクティブ、サービスマネージャー、サービスエージェント向けに設計されています。
エグゼクティブ
エグゼクティブは成功を念頭に、パフォーマンスを測定し、リスクを予測して、コストを見直します。エグゼクティブは、サービスインテリジェンスでサービス業務のリアルタイムのスナップショットを確認して、コストの削減や非効率性に関する判断材料にします。
サービスマネージャー
サービスマネージャーは、エージェントのパフォーマンス、顧客満足度スコア (CSAT)、サービスコストを把握する必要があります。サービスインテリジェンスではインサイトを一目で確認できます。そのため、マネージャーがカスタマーサービスを向上させる機会を見出し、チャネル全体のチームのワークロードを追跡して、セルフサービスや自動化が可能な領域を見極めることができます。
サービスエージェント
エージェントは、自分がサービス要件を満たしているかどうか知りたいと考えています。サービスインテリジェンスがあれば、エージェントがエスカレーションを特定したり、ケースに優先順位を付けたり、ケースの解決時間を評価したりすることができます。
Salesforce 組織で適切な権限が割り当てられていれば、誰でもサービスインテリジェンスで活用されるデータを参照できます。特定のロールに限定されません。サービスインテリジェンスをオンにするには、Salesforce システム管理者に Data Cloud、Service Cloud、CRM Analytics を設定する権限が必要です。Salesforce の他の機能と同様に、Service Intelligence もカスタマイズして、各自にとって必要なものに絞り込むことができます。では、サービスインテリジェンスがどのように機能するのか見てみましょう。
サービスインテリジェンスのしくみ
サービスインテリジェンスは、Service Cloud、Data Cloud、CRM Analytics を統合して、カスタマーサービスの KPI を視覚化します。
- まず Service Cloud で、アンケート、オムニチャネル、メール-to-ケースなどの重要な機能を (まだオンになっていない場合は) オンにします。Data Cloud でサービスデータを使用できるようになります。
- Salesforce 組織に Data Cloud を接続します。大規模なサービスデータを Salesforce 組織に保存して、データキットをインストールできるようになります。サービスデータキットをインストールしたら、データストリームバンドルを作成して、カスタマーサービス KPI 用のデータモデルのカスタマイズやリレーションを追加できます。このサービスデータキットに Einstein 会話マイニングが含まれています。会話マイニングは機械学習 (AI の一種) と既存の会話データを使用して、お客様が連絡してくる上位の理由を特定します。
- Salesforce 組織で CRM Analytics を有効にして、Data Cloud に統合します。事前構築されたダッシュボードに各自のデータが追加され、カスタマーサービス KPI を簡単に確認して分析できるようになります。
- データを参照して管理する必要があるユーザーに「サービスインテリジェンス」権限セットを割り当てます。
サービスインテリジェンスが設定された時点で、主な機能を使用できます。
サービスインテリジェンスの機能
以下は、サービスに関する判断を容易にするサービスインテリジェンスの代表的な機能です。
事前構築されたダッシュボード
カスタムレポートやダッシュボードを構築しなくても、既製のダッシュボードにアクセスできます。ケース、エージェント、オムニチャネル、会話マイニング、期間別に分類されたサービスデータを参照できます。ダッシュボードを更新する時期をスケジュールします。
インスタントサービス KPI
以下のような各種の KPI が表示されます。
- 平均応答速度
- 平均クローズ時間
- サービスレベルの達成率
- 初回連絡での解決率
- エージェントの平均稼働時間
- 1 回の対応の平均コスト
- エージェントの平均 CSAT (顧客満足度スコア)
会話マイニング
お客様がサポートを求めて連絡してきた主な理由を Einstein AI が判断して表示します。有意義でアクション可能な連絡理由を最優先し、自動化が可能な領域を特定して、サービスチームが時間を最大限活用できるようにします。
サービスインテリジェンスがあれば、サービスに関する判断や業務が向上します。