製造のサービスコンソールについて学ぶ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 製造業のサービスが抱える課題について説明する。
- サービスチームやパートナーがサービスエクスペリエンスを向上させるための一般的な要件を挙げる。
- Industries Service Excellence ライセンスに付属する機能について概説する。
- 製造のサービスコンソールで作業するために必要な権限と機能を挙げる。
エンゲージメントに欠けるサービスが私たち全員に影響する
ビジネスが急速に成長している Rayler Parts では、Manufacturing Cloud を使用してお客様の期待に応えています。高度な取引先販売予測、販売合意、取引先マネージャー目標、プログラムベースのビジネスなどの機能によってセールスやオペレーションのプロセスが強化され、効率性が高まっています。主要取引先マネージャーとチャネルパートナーがシームレスに連携して、利益率や収益率、コミットメントを追跡でき、在庫や市場の変化に対する準備にも抜かりがありません。
営業以外の分野はどうでしょうか? Rayler Parts ではパートナーやお客様とサービスのやり取りをするときに、どのように信頼を維持しているのでしょうか? Rayler Parts のサービス担当やサポートエンジニアは、どのように業務をこなし、どのような課題を抱えているのでしょうか?
躍進している Rayler Parts も、サービスとなると他の多くの製造企業とさほど変わりはありません。サービスは、チャネルパートナー、最終顧客、納入済み商品、あるいはこの 3 つのいずれかの組み合わせを中心に展開されます。サービスチームの業務が営業チームの業務から切り離され、それぞれのプロセスやシステムがサイロ化していることが少なくありません。さらに、サービスチームに社内の従業員とサードパーティの技術者が混在していることがあります。
Rayler Parts では、販売データとサービスデータを一元化して、パートナーやお客様にシームレスなエクスペリエンスを実現するのが容易でないことは身をもって知っています。
サービスの出発点
販売の後にサービスが始まるというのは、よくある勘違いです。Rayler Parts では、セールスプロセスの途中で、あるいはセールスが始まる以前に、サポートチームが問い合わせに応じることが少なくありません。見込み客やお客様、パートナーから頻繁に注文、支払の保留、商品の一般的な知識についての照会があります。また、サービスエージェントは、社内の他部門の担当者からの問い合わせにもかなりの時間を費やしています。
最近 Rayler Parts がパートナーを対象に実施したアンケートでは、主な問題点として、サービスの迅速かつ効果的なコミュニケーションの欠如が挙げられています。Rayler Parts のコンタクトセンターチームも、サービスプロセス全般において通話者の一元的なビューが極めて重要であることに同意しています。
Rayler Parts の優秀なシステム管理者である Cindy Jones は、サービスプロセスのテコ入れが急務であることを認識し、解決策を模索しています。手始めに、サービス部門やパートナーが何をもって理想的なエクスペリエンスとしているのか詳しく調べることにしました。
サービスエージェントと通話者が望むもの
Cindy は、効果的で有意義な会話を実現するためには何が必要かと考えます。サービス担当やパートナーユーザーが求めるものを聴取して、レポートにまとめました。Cindy が気付いた主な問題は次のとおりです。
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ケースにすべての詳細がキャプチャされない: 現在、パートナーが注文状況の確認や支払の督促、その他の用件でコールセンターに電話をかけてくると、エージェントがその照会ごとに個別のケースレコードを作成します。各レコードが孤立しているため、重要な情報を知る術がありません。
エージェントは、インタラクションの種別 (発信か着信か)、取り上げられたトピックのリスト、同じ出席者の他のインタラクションのリスト、インタラクションのチャネル、通話時間、以前のインタラクションで実行されたアクションの種別などの詳細に簡単にアクセスできることを望んでいます。
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通話者の ID が検証されず、通話の理由がキャプチャされない: 通話の理由を確認したり、通話者の ID を検証したりするメカニズムがありません。
エージェントは、通話の一般的な理由をリストの中から選択し、登録ユーザーやゲストユーザーの名前、電話番号、メールアドレスなどの情報を取得して、簡単に本人確認を行いたいと考えています。
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通話者のコンテキストが不明である: パートナーが電話をかけてきたときに、サービスエージェントは複数のシステムやアプリケーションにログインして、お客様に関するできるだけ多くのデータを収集しています。通話者の全体像を把握できる一元的な情報源がないためです。
エージェントは、通話者の未処理の注文、修理やメンテナンスの履歴、サービスケース、合意、関連納入商品、対象となるリベートプログラムやインセンティブの種類などを知る必要があります。エージェントはパートナーにとって重要なことをすべて確認したうえで、有意義な会話を進めることを望んでいます。
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通話中にアクションを実行できない: インタラクションの最中に、サービスエージェントが予定をスケジュールしたり、タスクをフォローアップしたり、ケースを登録したり、作業指示書を作成したり、ビジネスプロセスをトリガーしたりしなければならないことがあります。現在、エージェントにはこうしたアクションをインタラクションに結び付ける手段がないため、エクスペリエンスが断片的なものになっています。
エージェントは、通話者や会話のコンテキストを失うことなく、特定のレコードでアクションを実行したり、具体的なタスクを作成したりするオプションを求めています。アクションを他の関係者に割り当てることができれば、効率的かつ速やかなフォローアップが可能になります。
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参考資料にアクセスしにくい: 通常、エージェントがあらゆる質問に効率的に回答するためには、ナレッジ記事を確認する必要があります。場合によっては、エージェントが通話の最中に記事を作成し、ナレッジの共有リポジトリにただちに追加できることがあります。
エージェントは共有の知識ベースへのアクセスと、有用性に基づいて記事を評価する手段を求めています。
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リアクティブでなく、プロアクティブなサービスが必要である: 商品のおすすめ、保証期限が迫っていることの警告、契約更新のリマインダーなど、パートナーがプロアクティブなサービスを望むことも少なくありません。エージェントが通話者の 360 度ビューを確認できなければ、インテリジェントなおすすめやプロアクティブなサービスは実施できません。
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共感と知識が欠如している: パートナーが直面している問題の経緯をエージェントが認識していなければ、パートナーは不満を募らせます。過去に同様の問題で連絡したことがあるパートナーは、エージェントが問題を認識したうえで、そのコンテキストを踏まえてパーソナライズした会話を始めることを期待します。実際には、エージェントが通話者にもう一度説明して欲しいと頼んだり、エージェントが通話履歴や以前のメモを探して貴重な時間を無駄にしたりすることがよくあります。
エージェントは、通話者との以前のあらゆるインタラクションのほか、取り上げたトピック、通話の出席者、通話の理由などの関連情報を 1 つのビューですばやく確認したいと考えています。
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詳細な監査レコードを保持する必要がある: 定期的にインタラクションの質を監視したり、インタラクションを分析したりするサービスエグゼクティブには、簡単に閲覧できるレポート形式の監査履歴が必要です。
そのためには、サービスエージェントが時間などの条件で絞り込まれた検証済みのインタラクションレコードをすばやく検索できなければなりません。
問題を理解した Cindy は、ソリューションを見つけようと意気込んでいます。AMER サービス VP の Najma Omaar は、来年ロールアウト予定のインテリジェントな接続型サービスエクスペリエンスのプランについて Cindy と話し合うために、来週ミーティングを行いたいと思っています。
Cindy が Salesforce アカウントエグゼクティブに問い合わせたところ、嬉しいことに Manufacturing Cloud は営業機能に限定されないとのことでした。Manufacturing Cloud for Service は、Najma とそのチームが直面しているすべての懸念事項に対処する新しいプラットフォームです。Cindy はその詳細に興味がわいてきます。
Manufacturing Cloud のサービス機能
Service Cloud を基盤に構築された Manufacturing Cloud for Service には、エージェントの生産性と顧客満足度の向上を目的とするコンポーネント、自動ワークフロー、予測ツールが結集されています。
こうした機能以上に Cindy の関心を引いたのが、製造のサービスコンソールです。このコンソールはサービスエクスペリエンスの中核を担い、すべての関係者の信頼できる一元的な情報源として機能します。
Cindy が記録した問題を解決するために Rayler Parts が必要とするすべてのツールが、製造のサービスコンソールに備わっていることは明らかです。
そこで、Rayler Parts は Manufacturing for Service ライセンスを取得して、実装に取りかかります。さらに、Industry Service Excellence アドオンライセンスも取得して、このコンソールと連動する各種のコンポーネントにアクセスできるようにします。では、コンポーネントとコンソールがどのように接続されるのか確認しましょう。
コンポーネントとコンソール
Cindy は機能やコンポーネントを設定する前に、主な概念を確認します。Industries Service Excellence ライセンスには、サービスエージェントのさまざまな難題に対処する強力な機能が付属します。Cindy は後続の単元で次の機能を確認します。
- タイムライン
- ID 検証
- 監査履歴
- アクションランチャー
- アクション & おすすめ
- レコードアラート
- エンゲージメントデータモデル
このすべての機能が、シームレスでインテリジェント、かつプロアクティブなサービスエクスペリエンスに貢献します。一部のコンポーネントはコンソールに組み込まれていますが、このすべてがコンソール外でも機能します。
製造のサービスコンソールは、取引先責任者ページを再設計したものです。このページに、コンタクトセンターに電話をかけてきた取引先責任者に関連するすべての詳細が表示されます。コンソールには、タイムライン、アクション & おすすめ、レコードアラートの各コンポーネントが標準装備され、このすべてを Industries Service Excellence ライセンスで使用できます。
コンソールには、取引先責任者の取引先に関連する納入商品、ケース、注文に関するコンテキスト情報を表示する関連リストも付属します。さらに、ナレッジコンポーネントが付属するため、担当者がナレッジ記事を作成したり表示したりすることができます。
こうした機能については、後続の単元で詳しく説明します。
権限と機能
Cindy の準備が整いました。早速、組織の次の機能を有効にします。
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製造のサービスコンソール: この機能を有効にすると、コンソールを使用できるようになり、組織に数件の ID 検証レコードが作成されます。このレコードについては、次の単元で説明します。
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タイムライン: この機能を有効にすると、システム管理者がタイムラインを作成して、エンゲージメントインタラクションの時系列リストを表示するデフォルトのインタラクションタイムライン設定を使用できるようになります。製造のサービスコンソールにデフォルトのタイムラインが付属します。
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標準 Omnistudio ランタイム: この機能を有効にすると、システム管理者が FlexCard Designer と Integration Procedure を使用して、レコードアラートを作成して設定できるようになります。製造のサービスコンソールに、レコードアラート FlexCard コンポーネントが付属します。
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Lightning Knowledge: この機能を有効にすると、製造のサービスコンソールに付属するナレッジコンポーネントを組織で使用できるようになります。
Maria は続いて、自分自身と Najma に次の権限セットを割り当てます。
- Industry Service Excellence
- 製造のサービスコンソール
- Omnistudio 管理者
- Omnistudio ユーザー
- Service Lightning Knowledge マネージャー
次の単元では、Cindy が必要な機能や権限を使用して組織を設定するところを見ていきます。Cindy はさらに、コンソールにおけるエージェントとパートナーの一般的なサービスエクスペリエンスに対する理解も深めていきます。