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インテグレーションユースケースを検証する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • ServiceNow のインシデントを Salesforce のケースや Slack の通知と常に同期させるための課題について説明する。
  • MuleSoft Composer を使用して ServiceNow のインシデントを Salesforce のケースや Slack の通知と同期させる方法を説明する。
  • フロー作成の準備をする。

始める前に

このモジュールは「MuleSoft Composer のインストールと設定」に基づいて作成されているため、先に進む前にこちらのモジュールを必ず受講してください。先行のモジュールと同様に、インテグレーションフローを構築して実行するためには「MuleSoft Composer ユーザー」権限セットが必要です。 

このモジュールでは、受講者が MuleSoft Composer ユーザーとして認証されていると想定しています。ただし、MuleSoft Composer ユーザーでなくても問題ありません。このまま読み進んで、どのように手順を実行するのかを学習してください。MuleSoft Composer は Trailhead Playground で使用できないため、記載の手順を Trailhead Playground で実行しないでください。

メモ

MuleSoft Composer のインテグレーション機能、フローコンポーネント、フロー作成タスクについては、「MuleSoft Composer の基本」を受講してください。

この単元では、アウトドアやレクリエーション用品の小売企業である Northern Trail Outfitters (NTO) のシステム管理者としての職務に取り組みます。まず、NTO が直面しているインテグレーションの課題を検証し、MuleSoft Composer のインテグレーションソリューションについて理解します。次に、フロー作成の準備方法を学習します。

インテグレーションの課題

NTO が直面しているインテグレーションの課題を見てみましょう。NTO の IT チームは、お客様、パートナー、従業員から報告されたインシデントを ServiceNow で管理しています。カスタマーサポートチームは、カスタマーサービスケースを NTO 組織の Service Cloud で管理しています。サービスケースの管理を改善し、チームのコラボレーションを促進するために、両チームは商品の問題に関する重要な顧客データをただちに表示してインシデントを診断し、解決する必要があります。

現在は、どちらのチームもこのタスクを手作業で行っています。インシデントが生じるたびに、IT チームは ServiceNow でインシデントを作成または更新します。続いて、インシデントの関連する詳細を記載したメールをカスタマーサポートチームに送信します。メールを受け取ったカスタマーサポートチームは Service Cloud にこのインシデントがケースとして存在するかどうか確認します。 

対応するケースが存在しない場合は、インシデントの適切な詳細に基づいて Service Cloud にケースを作成します。相互参照の目的で、カスタマーサポートチームがインシデントに関連付けられた Salesforce ケース ID を IT チームに連絡します。IT チームはこの Salesforce ケース ID を使用してインシデントを更新します。その後、カスタマーサポートチームが Slack の service-cases チャンネルに通知します。 

対応するケースが存在する場合は、カスタマーサポートチームがそのケースを更新して、Slack の service-cases チャンネルに通知します。 

このプロセスには時間がかかり、ミスが起こりやすいため、チームは自動化したいと考えています。

インテグレーションソリューション

この問題を解決するには、ServiceNow、Salesforce、Slack 間のインテグレーションを自動化し、ニアリアルタイムのインテグレーションを実現する必要があります。そのために、MuleSoft Composer を使用して、ServiceNow でのインシデントの作成または更新を Salesforce のケースや Slack の通知と自動的に同期するインテグレーションフローを作成します。具体的に、このフローで実行する必要があるタスクは次のとおりです。

  • ServiceNow でインシデントが新規作成または更新されたことを検知する。
  • Service Cloud に対応するケースが存在するかどうか判断する。
  • 対応するケースが存在しない場合:
    • Service Cloud で関連するインシデントの詳細を基にケースを作成する。
    • ServiceNow で Salesforce ケース ID を使用してインシデントを更新する。
    • Slack で新規ケースについて service-cases チャンネルに通知する。
  • 対応するケースが存在する場合:
    • Service Cloud で関連するインシデントの詳細を基にケースを更新する。
    • Slack で更新されたケースについて service-cases チャンネルに通知する。

MuleSoft Composer を使用するソリューションを実装するには、次のフロー作成タスクを実行する必要があります。

  • フロー作成の準備をする。
  • フローを設計してテストする。
  • フローをアクティブ化する。
  • フローを監視してトラブルシューティングする。

上記のタスクの実行方法については、このモジュールの後続の単元で説明します。

フロー作成の準備をする

準備はよいですか?

まず、これからフローで使用するシステムとアセットについて必要な情報をすべて集めます。次の表は、フローの接続先となるシステムと、各システムの必要な情報を示しています。

システム 必要な情報

ServiceNow

  • インスタンス URL
  • ユーザー名とパスワード

NTO の Service Cloud

  • NTO の Sandbox 組織と本番組織の URL
  • NTO 組織に対する適切な権限を持つユーザー名とパスワード

Slack

  • ワークスペース
  • チャンネル
  • 適切な権限を持つユーザー ID とパスワード

フローの設計時とテスト時には、テスト環境に上記のシステムとデータを使用することがベストプラクティスです。テストの終了後、本番システムとデータを使用してフローを実行します。

次は、ServiceNow、Salesforce、Slack の各環境の前提条件について説明します。

ServiceNow 環境の前提条件

まず、ServiceNow インスタンスがあることを前提としています。次の手順に従って ServiceNow インスタンスを開始します。

  1. ServiceNow の開発者サイトにアクセスします。
  2. [Sign In (サインイン)] をクリックします。
  3. メールアドレスを入力して、[Next (次へ)] をクリックします。
  4. パスワードを入力して、[Sign in (サインイン)] をクリックします。
  5. [Start Building (構築を開始)] をクリックします。ServiceNow の新しいタブにインスタンスが起動します。
    アプリケーションナビゲーターに各種のモジュールが表示されている ServiceNow のインスタンスタブ。

次に、インスタンス URL とインスタンスに関連付けられているユーザー名とパスワードを調べ、後から MuleSoft Composer を使用して ServiceNow への接続を設定できるようにします。次の手順を実行します。

  1. ServiceNow の最初のウィンドウで、ユーザー名アイコンをクリックします。インスタンスの情報が表示されます。
  2. [Manage instance password (インスタンスのパスワードを管理)] をクリックします。
    ServiceNow では、ログイン情報を使用してインスタンスのパスワードアクションが管理されます。
  3. インスタンス URL、ユーザー名、パスワードを任意のテキストファイルにコピーします。後からこの値を使用して MuleSoft Composer で ServiceNow 接続を設定します。
    メモ: MuleSoft Composer で ServiceNow 接続の設定に使用するユーザー名は admin です。ServiceNow へのログインに使用するユーザー名ではありません。

ServiceNow インスタンスがない場合は、フル機能を備えた無料の ServiceNow Personal Developer Instance (PDI) にサインアップできます。次の手順を実行します。

  1. ServiceNow の開発者サイトにアクセスします。
  2. [Sign up and Start Building (サインアップして構築開始)] をクリックします。
  3. 氏名、メールアドレス、パスワードを入力します。
  4. ServiceNow の利用規約チェックボックスをオンにして、[Sign Up (サインアップ)] をクリックします。
  5. ServiceNow から送信されたメールにアクセスして、[Verify Email (メールを検証)] をクリックします。
  6. メールアドレスとパスワードを入力して、ServiceNow にサインインします。
  7. [Getting Started (はじめよう)] ダイアログボックスで、[Yes (はい)] をクリックして、開発者指向型 IDE を取得します。
  8. [Next (次へ)] をクリックし、ServiceNow の利用規約チェックボックスをオンにしてから、[Finish Setup (設定を終了)] をクリックします。これで ServiceNow インスタンスが設定され、インスタンスの詳細が表示されます。
    ServiceNow のインスタンス URL とユーザー名とパスワード。
  9. インスタンス URL、ユーザー名、パスワードを任意のテキストファイルにコピーします。後からこの値を使用して MuleSoft Composer で ServiceNow 接続を設定します。
    メモ: ServiceNow から同じインスタンス URL、ユーザー名、パスワードを記載したメールが届きます。
  10. [Open Instance (インスタンスを開く)] をクリックします。ServiceNow インスタンスが表示されます。
    アプリケーションナビゲーターに各種のモジュールが表示されている ServiceNow のインスタンスタブ。

最後に、各インシデントの Salesforce ケース ID を取得するために、ServiceNow の Incidents モジュールを使用して、[Incidents (インシデント)] フォームに「Salesforce Case ID」(Salesforce ケース ID) というカスタムテキスト項目を作成する必要があります。次の手順を実行します。

  1. アプリケーションナビゲーターで、Incidents モジュールをクリックします。
  2. 事前設定されている [INC0010111] というインシデントをクリックします。[Incidents (インシデント)] フォームが表示されます。
  3. インシデント名の横にあるハンバーガーアイコンをクリックして、[Configure (設定)] | [Form Layout (フォームレイアウト)] を選択します。[Configuring Incident (インシデントの設定)] フォームが開きます。
  4. 新しい項目を作成して、次の値を指定します。
    • Name (名前): Salesforce Case ID (Salesforce ケース ID)
    • Type (データ型): String (文字列)
    • Field length (項目の文字数): Small (40) (小 (40))
  5. [Add (追加)] をクリックし、[Save (保存)] をクリックしてから、[Close (閉じる)] をクリックします。
  6. インシデント名の横にあるハンバーガーアイコンを再度クリックして、[Configure (設定)] | [Form Design (フォームデザイン)] を選択します。新しいタブに [Form Design (フォームデザイン)] が開きます。
  7. [Salesforce Case ID (Salesforce ケース ID)] を [Watch list (ウォッチリスト)] の下にドラッグし、[Save (保存)] をクリックして、[Close (閉じる)] をクリックします。
  8. [Incident (インシデント)] フォームタブに戻ります。[Watch list (ウォッチリスト)] の下に [Salesforce Case ID (Salesforce ケース ID)] というカスタム項目が表示されています。
    番号、緊急度、状態などの項目を表示する ServiceNow のインシデントタブ。

メモ: MuleSoft Composer を使用して統合するフローを設計して構築する際に重要な点は、ServiceNow インスタンスを稼働させておくことです。稼働していない場合は、フローを設計する前にインスタンスを起動します。

Salesforce 環境の前提条件

Salesforce と同期するフローを作成して実行するために、Sandbox 組織と本番組織があることを前提としています。 

メモ: フローの設計とテストを行う Sandbox 組織がない場合は、開発者組織を使用できます。

次の手順に従って開発者組織にサインアップします。

  1. https://developer.salesforce.com/signup にアクセスします。
  2. 連絡先情報を入力します。
  3. 一意のユーザー名を入力します。
  4. [サインアップ] をクリックして、お知らせメールが届くのを待ちます。
  5. お知らせメールのリンクをクリックして、パスワードを設定します。

ケースオブジェクトで ServiceNow インシデント ID を取得するために、NTO 組織のケースオブジェクトに「ServiceNow Incident ID (ServiceNow インシデント ID)」というカスタムテキスト項目が作成されていることを確認する必要があります。以下は、NTO 組織のケースの [ServiceNow Incident ID (ServiceNow インシデント ID)] の一例です。
[ServiceNow Incident ID (ServiceNow インシデント ID)] カスタム項目が設定されているケースオブジェクト。

カスタム項目の作成方法については、「Salesforce オブジェクトのカスタマイズ」を参照してください。

最後に、MuleSoft Composer を使用して Salesforce への接続を作成するときに、MuleSoft Composer に権限を付与するように促されます。Sandbox 組織と本番組織の両方の Salesforce アカウントで、MuleSoft Composer に次の権限を付与する準備ができていることを確認します。

  • ID URL サービスにアクセスする。
  • API を使用してユーザーデータを管理する。
  • いつでも要求を実行する。

Slack 環境の前提条件

リードに関する通知を事前定義された Slack チャンネルに送信するには、Slack のワークスペースとチャンネルが必要です。次の手順を実行します。

  1. slack.com にアクセスし、[Slack を起動する] をクリックして、[ワークスペースを新規作成する] を選択します。
  2. メールアドレスを入力し、[続行する] をクリックします。
  3. Slack から届いたメールで確認コードを調べ、Slack に入力します。
  4. 会社名に NTO と入力し、[次へ] をクリックします。使用するワークスペースは NTO です。
  5. チームが取り組むプロジェクトに service-cases と入力し、[次へ] をクリックします。
  6. メンバーを追加するように促されたら、[この手順をスキップする] をクリックし、[ステップをスキップ] をクリックしてから、[はじめよう] をクリックして直接ワークスペースとチャンネルに移動します。
    service-cases をチャンネルとする Slack の NTO ワークスペース。

最後に、MuleSoft Composer を使用して Slack への接続を作成すると、MuleSoft Composer に権限を付与するよう求められます。MuleSoft Composer に Slack ワークスペースに対する次の権限を付与する準備をします。

  • チャンネルと会話に関するコンテンツと情報を表示する。
  • ワークスペースに関するコンテンツと情報を表示する。
  • チャンネルと会話でアクションを実行する。

MuleSoft Composer でフローを作成する準備の最初の手順を実行しました。次の単元では、フローを設計する方法を学習します。

リソース 

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