IP レピュテーションを確立する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 初期のメール送信で IP アドレスをウォームアップする。
- IP アドレスの良好なレピュテーションを維持する。
誰なのか?
電話が鳴ったとき、あなたが電話に出る可能性が高いのは、発信者が友人である場合とブロックした番号である場合のどちらでしょうか? おそらく友人の場合ですよね? (友人からの電話も無視することがあるのかもしれませんが...。)このポイントは、発信者の番号について知っていること、あるいは知らないことに基づいて、電話に出るかどうかを判断できるということです。
メールアドレスの背後にある番号は電話番号のようにすぐ表示されるわけではありませんが、メールサービスは IP アドレスのレピュテーションを評価するときに同様のスクリーニング手法を実施しています。見慣れない番号よりも、信頼済み IP アドレスから送信されたメッセージのほうがメールサービスに受け入れられやすくなります。あなたの IP アドレスが冷遇されないようにします。
IP アドレスをウォームアップする
メールマーケティングのレピュテーションを確立する最適な方法は、受信をオプトインした人々のみに関連性の高いメッセージを送信すること、そしてもちろん、あらゆる送信規制に従うことです。では、まだ IP アドレスからメールメッセージを送信したことがない場合は、どうすればよいのでしょうか? Sender Authentication Package (SAP) に付属する送信用の専用 IP アドレスを取得します。送信する前に、IP アドレスを適切にウォームアップする方法について説明します。
徐々に開始する
新しい IP アドレスのランプアップは、短距離走ではなく、長距離走です。つまり、ゆっくりと一貫した送信を続けることが功を奏します。責任をもって送信するにはどうすればよいのでしょうか?
- 1 週目は、送信数を 1 日 5 万通以下に抑えます。
- 2 週目は、1 日最大 10 万通まで増やすことができます。
- 3 週目は、1 日の制限を 20 万通に引き上げます。
- 4 週目は、1 日の上限を 40 万通に設定します。
- 5 週目は、1 日の送信を 80 万通に制限します。
- 6 週目以降は、1 日の送信を 160 万通に制限することをお勧めします。
もちろん、上記のいずれかの週の前に定期送信数に達した場合は、その時点から通常の送信を開始できます。ただし、このガイドラインに従えば、IP アドレスを徐々にウォームアップして、時間をかけてレピュテーションを高めていくことができます。
送信先を把握する
Gmail や Outlook などのメールサービスは世界のほぼ全域をカバーしているため、あなたがどこにいても、こうしたサービスの送信制限が適用されると想定できます。他方、世界各地の他のサービスについては、もう少し注意が必要になるものと思われます。通常、ISP は 1 日約 2 万通のメッセージの送信に対処しますが、高速送信が疑問視される場合は、1 日の合計を 5,000 通まで減らすことを検討します。
実際の送信計画を確認する
Michele Hansley は Northern Trail Outfitters (NTO) というアウトドア用品やアパレルブランドのテクニカルマーケターで、上司の Isabelle から、NTO の最新商品ライン用の新しい IP アドレスをウォームアップする業務を任されました。Marketing Cloud Engagement のヘルプドキュメントを読み、送信制限については認識していますが、もう少し調べて、NTO のマーケティング活動に合わせて送信方法を調整することにします。
Michele はまず、NTO の Web サイトの Transactional 送信の一部を既存の IP アドレスから新しい IP アドレスに移行します。移行するのは、新規アカウントの Welcome メールや Transactional 送信の受信確認などです。時機を見ながら、アンケートの一部や、セールのオファーのように時期を選ぶものを除く他の資料も移行していきます。最後に、大規模なセールの送信を数日間に分割して、この新しいトラフィックでメールサービスプロバイダーに過度の負荷がかからないようにします。
こうした努力の甲斐あって、1 か月後には新しい IP アドレスが順調に機能し始めました。もちろん、NTO の素晴らしいコンテンツや購読者を尊重する姿勢も一役買っていますが、ブランドの確固たるレピュテーションを維持するためには IP のウォーミングプロセスが欠かせません。
今後の展望
マーケティング活動を拡大し、メッセージの送信数が増大すれば、1 つの IP アドレスでは対応しきれなくなる可能性があります。実際 Marketing Cloud Engagement では、マーケティング送信用の専用 IP アドレスとは別に、Transactional 送信用の専用 IP アドレスを維持することをお勧めしています。こうすれば、時間的制約のある Transactional 送信 (配送情報、口座残高のアラートなど) が、マーケティング送信の予期せぬ問題の影響を受けることがありません。最適な送信量を維持するために IP アドレスを追加することが考えられますが (通常、適切なレピュテーションが得られるのは月間 25 万通程度)、IP アドレスごとに最初のアドレスと同様の IP ウォーミングプロセスが必要です。ですから、前もって計画します!
まとめ
IP アドレスをウォームアップする準備ができましたか? 以下の基本事項に留意します。
- 時間的制約のない大規模な送信は数日間に分割する。
- キャンペーンは、新しい Marketing Cloud Engagement IP アドレスと従来のメールシステムに分割する。
- 大規模なマーケティングプログラムを実施する前に、少量のトリガーによるキャンペーンを Marketing Cloud Engagement に移行する。
- 新しい IP アドレスのランプアップを目的に、時間的制約のないキャンペーン (購読者アンケートなど) を作成する。
- 最初の 1 か月間は送信制限に従う。
このすべてを完了したらメール送信エンジンが暖まり、通常運転が可能になります。用具を入れて出発しましょう!
リソース
- Salesforce ヘルプ: Email Studio の IP アドレスのウォーミング
- Salesforce ヘルプ: メールの配信到達性に関するベストプラクティス
- 動画: Marketing Cloud Engagement Deliverability Reporting and Features (Marketing Cloud Engagement の配信到達性レポートと機能)