サプライヤーと調達概要を管理する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- サプライヤーに関する情報を追加する方法を説明する。
- スコープ 3 調達概要データを管理し、スコープ 3 排出量の影響を理解する。
この単元では、Northern Trail Outfitters (NTO) の最高サステナビリティ責任者である Sam Rajan が、Net Zero Cloud のスコープ 3 ハブにある設定アシスタントを使用して、ステップ 3 と 4 である「サプライヤーを管理する」と「スコープ 3 調達概要を管理する」を実行する手順を見ていきます。
ステップ 3: サプライヤーを管理する
Sam は、組織の調達データを Net Zero Cloud に読み込み、特定のサプライヤーから発生する調達排出量を分離する準備をしています。これにより、NTO の最も排出量の多いサプライヤーを把握できるため、このサプライヤーとの連携を優先することで、サプライチェーンの排出量を削減できます。
Sam は調達排出量と排出係数を照合する前に、サプライヤーレコードを作成します。
新しいサプライヤーを追加するには、次の手順を実行します。
- Net Zero Cloud のスコープ 3 ハブで、[設定アシスタント] をクリックします。
- [設定アシスタント] で、[サプライヤーを管理する] をクリックします。
- [新規] をクリックします。
- [名前] 項目にサプライヤーの名前を入力します。
- [取引先] 項目で、適切なサプライヤー取引先を検索して選択します (存在する場合)。存在しない場合は、サプライヤー用に新しい取引先を作成します。
- 省略可能な項目にその他の詳細を入力して、[保存] をクリックします。
ステップ 4: スコープ 3 調達概要を管理する
Sam は NTO の会計システムから支出金額と購入した商品の数量を含む調達データを入手しています。このデータは複数の支出カテゴリに分類されています。また、Sam はサプライヤーデータもアップロード済みです。
次は、支出金額を炭素排出量に変換する方法、または商品数量と適用される商品排出係数に基づいて排出量を計算する方法を検討する必要があります。そのために、まず分析を保持するためのスコープ 3 調達概要レコードを作成してから、調達データを排出係数と照合します。
スコープ 3 調達概要を作成する
Sam は、支出データの分析方法を柔軟に選択できます。すべてのデータを 1 つの調達概要にまとめることも、複数のスコープ 3 調達概要を作成して、それぞれが NTO の異なるビジネス地域、期間、または特定の種別のバリューチェーン活動を示すようにすることできます。NTO が米ドル (USD) だけでなく現地通貨を使用してさまざまな国の支出を計上している場合、Sam はその支出データセットごとに調達概要を作成することになります。
さらに、Sam は NTO の調達概要をビジネスユニットごとに分割することができます。たとえば、NTO のマーケティングチームの調達概要には、マーケティングチームが主催するイベントやカンファレンス用に購入した商品やサービスの調達項目が含まれます。
スコープ 3 調達概要を作成する際には、以下の項目に注意してください。
- 名前: スコープ 3 調達概要の名前
- 暦年: 調達エントリの年
- 通貨コード: 調達に使用する通貨コード
- スコープ 3 排出源: 上記の調達エントリがリンクされているスコープ 3 排出源
- 調達排出係数 (省略可能): 支出金額の排出量への換算に役立つ調達排出係数セット
- スコープ 3 カーボンフットプリント: 上記の調達エントリがリンクされているスコープ 3 カーボンフットプリント
スコープ 3 調達概要には複数のスコープ 3 調達項目があります。調達概要の [支出総額] には、個々の調達項目の各値を合計した値が反映されています。
個々のスコープ 3 調達項目を作成する際、Sam はこの項目を適切なスコープ 3 調達概要にリンクし、以下の項目にデータを入力します。Sam にとって最善の方法は、このデータのスプレッドシートを CSV ファイルとしてアップロードすることですが、データの構造がどのようになっているかを把握できるように、最初にいくつかのレコードを手作業で作成することにしましょう。
- 名前: スコープ 3 調達項目の名前
- 調達概要: この特定のスコープ 3 調達項目が積み上げ集計されるスコープ 3 調達概要
- 支出カテゴリ 1、2、3: この調達品目をグループ化する支出カテゴリ。必須の支出カテゴリは 1 つのみですが、調達データに複数のネストした支出カテゴリがある場合、最終的な分析でより堅実かつ正確な結果を得られます。
- 商品: 購入される商品
- 調達排出係数セット項目 (省略可能): 支出金額を炭素排出量に換算するために、この調達項目に適用される排出係数。この値は、調達データが排出係数に関連付けられている場合に使用されます。
- スコープ 3 GHG カテゴリ (省略可能): 調達項目を特定のスコープ 3 GHG カテゴリに対応付けます。すでに排出係数を確認して、スコープ 3 GHG カテゴリに一致させたことを思い出してください。この値は、調達データが排出係数に関連付けられている場合に使用されます。
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スコープ 3 排出量計算種別: 使用するスコープ 3 排出量計算方法を選択します。
- 支出ベースの排出量計算の場合は、調達のために支出した金額を [支出金額] 項目に入力します。親の調達概要レコードで選択されている通貨がこれに適用されます。
- 数量ベースの排出量計算の場合は、次の項目にデータを入力します。
- 購入量: 購入される商品の数量
- 測定単位: 選択した商品に適用される測定単位
この方法ではより高い精度と粒度のデータ得られるため、より持続可能な調達を選択することができます。Sam が、たとえば NTO が購入する生地染料の排出量を計算するためにこれを使用すると、購入した染料の数量に染料単位あたりの適用される排出係数が乗算されます。排出係数はサプライヤーから収集するか、業種の汎用的な値を使用できます。詳細は、「リソース」セクションに記載されている Salesforce ヘルプのリンク先を参照してください。
けれども、Sam はここで支出ベースの方法を使用することにしました。
[支出日]、[サプライヤー]、[スコープ 3 排出量の上書き (tCO₂e)] などの項目が省略可能としてマークされていても、可能な場合は入力すると、全体のスコープ 3 排出係数に影響します。
調達データを排出係数と照合する
Sam はスコープ 3 調達データを Net Zero Cloud に読み込んだところで、NTO の支出カテゴリが正しい排出係数と一致していることを確認します。これは、NTO の支出金額を tCO₂e 排出量に変換する際に役立ちます。まず、Sam は支出カテゴリをスコープ 3 カテゴリと照合します。すでにスコープ 3 カテゴリを排出係数と照合済みであるため、これにより何百もの排出係数に目を通す時間を節約できます。この節約を可能にするには、Sam は支出カテゴリをスコープ 3 カテゴリと照合することから始めます。このスコープ 3 カテゴリは排出係数のサブセットと照合されます。これで、389 個の係数を調べて自分のデータに適したものを見つけるのではなく、数個の排出係数に目を通すだけで済みます。
Sam は、支出カテゴリ 1、2、3 の一意の組み合わせごとに、この作業を 1 回行います。Net Zero Cloud によって調達データセット全体が検索され、整理されるため、Sam は同じ作業を 2 回行う必要はありません。つまり、Sam は何十ものサプライヤーにまたがって支出カテゴリが同じである何百行ものデータがあっても、正しい排出係数を一度だけ見つければいいのです。あとは、Net Zero Cloud によって、この排出係数がすべてのデータに適用されます。
調達データを排出係数と照合するには、次の手順を実行します。
- [設定アシスタント] で、[スコープ 3 調達概要] セクションの [データセットを管理] をクリックします。
- [スコープ 3 調達概要] リストビューから、照合する調達データセットを見つけます。
- レコードのアクションプルダウンメニューを使用して、[排出係数の照合] を選択します。
- 別のスコープ 3 GHG カテゴリまたはサブカテゴリと照合する必要のある支出カテゴリ項目を選択します。
支出データに支出カテゴリが 3 つなくても、心配はいりません。スコープ 3 ハブは、支出カテゴリが 2 つ、または 1 つであっても機能します。
スコープ 3 GHG カテゴリの一致に基づき、スコープ 3 支出百万あたりの排出量合計 (tCO₂e) の値が変化します。
例 1:
Sam が [支出カテゴリ 1] (ここでは [調達]) を [スコープ 3 GHG カテゴリ] の [購入した製品・サービス] と照合し、排出係数 [衣料品製造業] を選択すると、[スコープ 3 支出百万あたりの排出量合計 (tCO₂e)] は 6.761 となります。
例 2:
Sam が [支出カテゴリ 1] (ここでは [調達]) を [スコープ 3 GHG カテゴリ] の [購入した製品・サービス] と照合し、排出係数 [繊維・織物加工仕上げおよび布被覆工場] を選択すると、[スコープ 3 支出百万あたりの排出量合計 (tCO₂e)] は 114.392 となります。
Net Zero Cloud で、支出総額に基づいてスコープ 3 合計排出量 (tCO₂e) を計算できるようになりました。
Sam は、アプリケーションランチャーから Analytics Studio を開き、Scope 3 Procurement (スコープ 3 調達) ダッシュボードにアクセスして、スコープ 3 の全データを集計することもできます。
ここまで、Sam が NTO のサプライヤーデータのアーカイブと整理を行い、スコープ 3 合計排出量を計算するために調達データを適切な排出係数と照合する方法を見てきました。また、購入金額を使用したスコープ 3 排出量の計算方法も学びました。ですが、まだまだやるべきことがあります。
Sam は CRM Analytics ダッシュボードに移動して、炭素排出量でサプライヤーの積み上げランキングを行います。(CRM Analytics ダッシュボードの詳細については、「リソース」セクションの Trailhead リンクを参照してください)。このランキングに基づいて、Sam は次にどのサプライヤーに重点を置くべきかを正確に把握しています。
Sam の次のタスクは、主要サプライヤーとつながり、主要サプライヤーの排出量を正確に把握し、サステナビリティ目標を理解することです。このタスクについては、次の単元で説明します。