実装入門
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Order Management システムの一般な機能を説明する。
- Salesforce Order Management の利点について説明する。
- Salesforce Order Management 用に組織を準備するために必要な手順を挙げる。
- 有効化して設定する必要がある Salesforce Order Management の機能と設定を挙げる。
- Salesforce Order Management で個人取引先がどのように機能するかを説明する。
注文管理とは?
米国南西部にあるソーラー装置メーカー、Ursa Major Solar は、エネルギー効率と省スペース化を重視しており、すでに Salesforce Commerce を実装しています。また、商品の購入から履行、サービスまで、コマースストアをサポートする Salesforce ベースの注文管理システムを使用することで、さらにメリットを得たいと考えています。
Ursa Major Solar のシステム管理者である Maria Jimenez は、注文管理システム、すなわち Salesforce Order Management の実装を任されています。ただし、始める前に注文管理システム全般、特に Salesforce Order Management について理解を深める必要があります。
注文処理は、通常、顧客が注文すると、ストアアプリケーション内で開始されます。このアプリケーションによって、注文の品目、調整、配送、概要などの追加レコードの作成、在庫確認、支払処理が行われます。
注文管理システムでは、顧客が注文した商品を確実に受け取れるように履行プロセスが引き継がれます。また、返品、緩和、再配送などのサービスが実行され、顧客履歴も管理されます。
注文管理システムの典型的な手順は次のとおりです。
-
割り当て: システムによって、注文を履行する場所が決定されます。
-
履行: 担当者またはシステムによって、配送の詳細の確認、請求書の生成、注文商品のピッキング、梱包、配送が行われます。
-
サービス: 必要に応じて、担当者またはシステムによって、注文品目のキャンセル、値引き、返品、再配送、交換が行われます。
Salesforce Order Management
Salesforce Order Management には、注文の割り当て、履行、サービス機能を備えた強力なワークフローが用意されています。注文、注文に対するアクション、注文履歴の単一ビューもあります。また、フロー、プロセス、Apex クラスが含まれているサンプル履行パッケージも用意されており、Maria がシステムを実装する際に役立ちます。
Salesforce Order Management は、次の Salesforce 製品と連携します。
- Salesforce Commerce
- B2B Commerce
- D2C Commerce
- Salesforce B2C Commerce
- Service Cloud
- Store Fulfillment モバイルアプリケーション
- Omnichannel Inventory
- Salesforce Payments
注文データ
Salesforce Order Management プロセスは、次のようになります。
- Salesforce Commerce ストア (B2B または D2C):
- カートが作成されます。
- 顧客プロファイルが Salesforce のカスタマー取引先と照合されます。
- 商品の在庫管理単位 (SKU) を使用して、注文された各商品が検索されます。
- 注文が作成されます。
- Order Management により、注文の概要レコードとその関連レコードが作成されます。
- サードパーティプロバイダー (カスタムインテグレーション経由) により、不正チェックが実行されます。
- カスタムフローにより、履行注文と履行注文商品が作成され、注文配送グループ、在庫、その他の条件に基づいて履行場所に割り当てられます。
- Order Management により、概要レコードの数量が更新され、履行データがエクスポートされます。
- 外部プロバイダーから事前出荷明細通知 (ASN) が返されます。
- Order Management:
- 出荷レコードが作成され、履行注文状況が [履行済み] に変更されます。
- 請求書が作成され、資金を確認するために支払プロバイダーへのコールが実行されます。
- 関連付けられている概要レコードの数量と状況が更新され、請求書が Enterprise Resource Planning (ERP) システムへエクスポートされます。
はじめよう
Order Management ライセンスを持つ Maria は、Order Management のすべての機能にアクセスできます。D2C Commerce に付属する Order Management 製品では機能が制限されているため、一部の手順が異なります (このモジュールに記載されているとおり)。
B2B/D2C Commerce で Order Management を実装するために、Maria が行う一般的なステップは次のとおりです。
ステップ |
タスク |
---|---|
1 |
Order Management のために組織を準備する。 |
2 |
税金表示を設定する。 |
3 |
履行を設定する。 |
4 |
支払処理を設定する。 |
5 |
過去の注文データをインポートする。 |
組織を準備する
Order Management に対応するために、Maria が組織を準備する方法を次に示します。
ステップ |
タスク |
---|---|
1 |
組織で Lightning Experience が有効になっていることを確認する。 |
2 |
Order Management で使用するための機能と設定を組織に設定する。 |
3 |
アクセスと権限を設定する。 |
4 |
項目レベルセキュリティ、ユーザー、権限を設定する。 |
5 |
フローを設定する。Order Management と Salesforce フローはうまく連携するため、組織で手動機能と自動機能を簡単に作成できます。 |
この単元では、Maria は最初の 2 つのタスクに重点的に取り組みます。
Lightning を有効にする
Order Management にアクセスするには、Lightning インターフェースを使用する必要があります。Salesforce Classic およびモバイルではサポートされていません。
機能と設定を設定する
Maria は、次の Order Management の機能と設定を有効にして、定義する必要があります。
- 個人取引先 (D2C Commerce の場合のみ必要)
- マルチ通貨 (省略可能)
- システム管理者の設定
個人取引先を有効にする
Salesforce Commerce を使用すると、Maria は個人取引先または標準の法人取引先で買い物客を表すことができます。個人取引先は B2B Commerce では省略可能ですが、D2C Commerce では使用する必要があります。
組織で個人取引先機能を無効にすることはできませんが、使用を停止するように Order Management を再設定することは可能です。この元に戻せないプロセスを行うと、組織のデータベース構造が変更されます。
また、法人取引先で表される買い物客は、取引先責任者でも表されます。個人取引先は、取引先責任者に通常あるデータを含む取引先レコードの特別なタイプです。個人取引先を使用する場合、Maria は Salesforce UI で取引先責任者を直接操作することはできません。代わりに、個人取引先の特別な項目を使用して、取引先責任者データにアクセスします。個人取引先を使用すると、顧客ごとに取引先と取引先責任者のレコードを別々に操作するのではなく、1 つのレコードを操作できます。
Order Management では、個人取引先を有効にしても、法人 (B2B) の購入者取引先を表すために常に標準の取引先と取引先責任者が使用されます。個人取引先は、個人の買い物客取引先に対してのみ使用されます。Order Management で個人取引先を使用できるようにするには、Maria は [買い物客用個人取引先] 管理者設定を有効にして、個人取引先で個人の顧客を表す必要があります。
Maria が組織で個人取引先を有効にすると、取引先オブジェクトの 2 つのデフォルトのレコードタイプ (法人取引先と個人取引先) が作成されます。法人取引先は単なる標準取引先です。
組織で個人取引先を有効にすると、無効にすることはできません。ただし、個人の [買い物客用個人取引先] 設定を無効にすることで、個人取引先ではなく法人取引先として個人の買い物客を扱うように Order Management を設定できます。
個人取引先を有効にする前に、サポートケースを作成し、サポートがケースを完了するまでに 5 営業日かかることを許可する必要があります。
このモジュールでは、受講者が Salesforce システム管理者であり、Order Management を実装する適切な権限を有していると想定しています。Salesforce システム管理者でなくても大丈夫です。このまま読み進み、本番組織でシステム管理者が手順をどのように実行するかを学んでください。Trailhead Playground で次の手順を実行しないでください。Trailhead Playground では Order Management を使用できません。
Maria は次の手順に従って個人取引先を有効にします。
- 組織を開きます。
- [Setup (設定)] の [Quick Find (クイック検索)] ボックスに
Profiles
(プロファイル) と入力し、[Profiles (プロファイル)] を選択します。
-
[システム管理者] を選択します。
- [レコードタイプの設定] セクションまでスクロールし、[取引先] を見つけて [編集] リンクをクリックします。
- [選択済みのレコードタイプ] セクションで、[--マスター--] を [使用可能なレコードタイプ] ボックスに移動します。
-
[法人取引先] と [個人取引先] を [選択済みのレコードタイプ] ボックスに移動します。
- [デフォルトのレコードタイプ] と [法人取引先デフォルトのレコードタイプ] を [法人取引先] に設定します。
- [個人取引先デフォルトのレコードタイプ] を [個人取引先] に設定します。
-
[Save (保存)] をクリックします。
個人取引先へのアクセス権を付与する
Maria は個人取引先を使用して買い物客を表したいため、適切な権限セットで個人取引先へのアクセスできるようにする必要があります。その手順は次のとおりです。
- [Setup (設定)] から、[Quick Find (クイック検索)] ボックスに
Permission Sets
(権限セット) と入力し、[Permission Sets (権限セット)] を選択します。
- Order Management ユーザーのアクセスを制御する権限セットをコピーします:
Order Management 1Commerce User
(Order Management の 1Commerce ユーザー) - 表示ラベル名を入力します。
-
[Save (保存)] をクリックします。
- 新しくコピーされた権限セットを選択します。
- [アプリケーション] セクションで、[オブジェクト設定] をクリックします。
-
[取引先] を選択します。
-
[編集] をクリックします。
- [取引先: レコードタイプの割り当て] セクションで、[法人取引先] と [個人取引先] を選択します。
-
[Save (保存)] をクリックします。
マルチ通貨を有効にする
Maria はサイトで複数の通貨をサポートしているため、組織でマルチ通貨を使用したいと考えています。マルチ通貨を有効にする手順は次のとおりです。
- [Setup (設定)] から、[Quick Find (クイック検索)] ボックスに
Company Information
(組織情報) と入力し、[Company Information (組織情報)] を選択します。
-
[編集] をクリックします。
- 選択した通貨のロケールが、使用するデフォルトの通貨であることを確認します。
-
[マルチ通貨の有効化] を有効にします。
-
[Save (保存)] をクリックします。
システム管理者設定を有効にする
Maria が Order Management に必要なシステム管理者設定を行う手順は次のとおりです。
- [Setup (設定)] から、[Quick Find (クイック検索)] ボックスに
Order Settings
(注文の設定) と入力し、[Order Settings (注文の設定)] を選択します。
-
[注文を有効化]、[負の数量を有効化]、[数量 0 を有効化]、[拡張コマース注文を有効化] を選択します。
-
[Enable Optional Price Books for Orders (注文の省略可能な価格表を有効化)] (省略可能) を選択します。
D2C Commerce を使用している場合、この機能を有効にする必要があります。
-
[Save (保存)] をクリックします。
- 組織からログアウトして再度ログインするか、ページを更新します。
- [Setup (設定)] から、[Quick Find (クイック検索)] ボックスに
Order Management
(注文管理) と入力し、[Order Management (注文管理)] を選択します。
-
[Order Management] 切り替えを有効にします。
Order Management が有効になるまで数分かかることがあります。アプリケーションランチャーに Order Management アプリケーションが表示されない場合は、数分待ってからページを更新してください。
- 個人取引先を使用して個人の買い物客を表す場合、[買い物客用個人取引先] 切り替えを有効にします。
この設定の変更は、キャッシュの方法により最大 1 時間かかることがあります。
-
[Save (保存)] をクリックします。
- 組織からログアウトして再度ログインするか、ページを更新します。
- [Setup (設定)] から、[Quick Find (クイック検索)] ボックスに
Order Management
(注文管理) と入力し、[Order Management (注文管理)] を選択します。
-
[Order Management] 切り替えを有効にします。
Order Management が有効になるまで数分かかることがあります。アプリケーションランチャーに Order Management アプリケーションが表示されない場合は、数分待ってからページを更新してください。
- 個人取引先を使用して個人の買い物客を表す場合、[買い物客用個人取引先] 切り替えを有効にします。
この設定の変更は、キャッシュの方法により最大 1 時間かかることがあります。
次のステップ
この単元では、注文管理について学び、Salesforce Order Management の基本を詳しく確認しました。また、Order Management に対応できるように組織の準備も開始しました。次は、Order Management のアクセスと権限を設定します。
リソース
- Salesforce ヘルプ: 個人取引先を使用した B2B ストアのバイヤーの作成
- Salesforce ヘルプ: 通貨の有効化
- Salesforce ヘルプ: マルチ通貨の管理
- Salesforce ヘルプ: 削減注文
- Salesforce ヘルプ: レコードタイプを使用したユーザーごとのビジネスプロセスの調整
- Salesforce ヘルプ: 価格表のない注文の有効化
- Salesforce: Salesforce Order Management 実装ガイド