Skip to main content
Join the Agentforce Hackathon on Nov. 18-19 to compete for a $20,000 Grand Prize. Sign up now. Terms apply.

科学的根拠に基づく目標を準備する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 科学的根拠に基づく目標の要素を説明する。
  • 目標設定方法を挙げる。

これまでに完了したこと

これまでの単元で、Sam Rajan は科学的根拠に基づく目標 (SBT) の重要性を学びました。Northern Trail Outfitters (NTO) のコミットメントと排出インベントリを作成しました。いよいよ、核心に迫ります。 

この単元では、適切な目標を設定するための準備をします。 

最初にすべきこと

コミットメントが気候変動アクションに向けた会社のビジョンだとしたら、SBT はそのビジョンに向けた会社のゴールです。ビジョンの実現へのパスのガイドになります。

時間は刻々と過ぎていきます。コミットメント承認日から 24 か月以内に NTO の目標を SBT イニシアチブ (SBTi) に申請して検証を受けなければなりません。 

Sam はまず、目標の主要な要素を調査します。Net Zero Cloud で目標を作成するときにこうした要素を考慮する必要があります。

最新の SBTi の条件と推奨事項: SBTi では最新の条件とベストプラクティスを『Science-Based Target Setting Manual (科学的根拠に基づく目標設定マニュアル)』で管理しています。目標が承認されるには SBTi の条件をすべて満たしている必要があります。主要な条件として次のようなものがあります。

  • アンビションレベル: 脱炭素化レベルが 1.5°C 目標に沿っている。
  • スコープ 3: スコープ 3 排出量が会社の合計排出量の 40% を越える場合は、意欲的なスコープ 3 目標を設定する。
  • インベントリ: 完全なカーボンフットプリントを含む最新のインベントリを目標の年間排出インベントリレコードとして選択する。
  • 境界: SBT がスコープ 1 および 2 の合計 GHG 排出量の少なくとも 95% をカバーしている。
  • 期間: SBT が目標の公表日から 5 ~ 10 年の期間をカバーしている。この短期的な目標は早期にギャップと排出削減の機会を特定するのに役立ち、長期的な目標 (今後 20 ~ 25 年) は気候変動に関連する長期的な課題を管理するための計画立案を促進します。SBTi では長期目標の設定を奨励しています。
  • 部門: SBT が会社の属する部門の要件を満たしている。SBTi は部門固有のガイダンスとフレームワークを提供しています。

目標種別: SBT は、それで何を達成したいかに応じて、次の SBTi 承認済みの目標種別のいずれかに分類できます。

  • 排出削減: 大気中に排出される GHG の量を削減するための目標を示します。
  • 再生可能エネルギー: 再生可能エネルギーの生産量や消費量を増やすための目標を示します。たとえば、化石燃料ベースの自家発電から再生可能エネルギーに切り替えると会社の直接事業排出量を大幅に削減できます。
  • サプライヤーエンゲージメント: 会社のサプライヤーや顧客における SBT の導入を増やすための目標を示します。たとえば、エネルギー消費量の多いサプライヤーが SBT を設定すると、実際には会社のスコープ 3 排出量が削減されます。
  • Net Zero 排出: 大気中に排出される温室効果ガスと大気中から除去される温室効果ガスを同量にしてバランスを取るための目標を示します。

Net Zero Cloud ではこうした目標種別と共に、カスタム目標種別が提供されます。このオプションを使用して SBTi 以外の気候変動プログラムに関連する種別を指定したり、会社の要件に応じた種別を作成したりできます。

SBT 設定方法: 目標の計算方法に基づいて異なる複数の SBT 設定方法を使用できます。 

  • 総量削減: 基準年度に対し目標年度の GHG 総排出量を線形的に削減していくための汎用的なアプローチです。この方法では、会社の業績、規模、部門、基準年度の排出量には関係なく、会社は年ごとに同じ率で排出量を削減します。SBTi の基準によれば、1.5°C 気候変動対策コミットメントに準拠した目標を達成するために少なくとも必要な線形的年間削減率は 4.2% です。「2°C を十分下回る」コミットメントに準拠した目標の場合、少なくとも必要な線形的年間削減率は 2.5% です。総量削減目標は測定や伝達が容易であるため、最もよく使用されています。

    目標の例: スコープ 1 およびスコープ 2 の GHG 総排出量を 2020 年のレベルから 2030 年までに 35% 削減する。

  • 部門別脱炭素化: 部門特有の方法で、グローバルカーボンバジェットを部門別に分割し、部門のバジェットに基づいて合計排出削減量を会社に割り当てます。目標は、会社の生産量 (生産物 1 トンあたりの tCO₂e) などの特定のビジネス評価指標に応じて計算されます。

    電力会社の目標の例: 基準年度の 2021 年から 2031 年までに GHG 排出量を kWh あたり 30% 削減する。

  • 物理的原単位: このアプローチでは、原単位目標が特定のビジネス評価指標に応じた排出量の削減によって定義されます。ビジネス評価指標として、会社の生産量 (生産物 1 トンあたりの tCO₂e) などがあります。物理的原単位目標は、鉄鋼部門やセメント部門など、均一の製品を生産する部門内での使用に最適です。

    鉄鋼会社の目標の例: 基準年度の 2017 年から 2030 年までにスコープ 1 とスコープ 2 の GHG 排出量を、生産する鉄鋼 1 トンあたり 35% 削減する。

  • 経済的原単位: このアプローチでは、経済的原単位の削減を使用して会社の排出目標を設定します。目標は、会社の経済生産量 (付加価値あたりの tCO₂e) に応じた会社の排出量の原単位削減を考慮して計算されます。この方法は、小売部門や化学部門など、製品が多様で製品どうしを直接比較するのが困難な部門内での使用に最適です。

    NTO のような衣料品企業の目標の例: 基準年度の 2021 年から 2035 年までに、購入した商品およびサービスと販売した商品の使用によるスコープ 3 GHG 排出量を付加価値の単位あたり 40% 削減する。

Net Zero Cloud では目標設定時に方法を選択できます。上記以外の方法を使用する場合は、[カスタム] オプションを選択できます。Net Zero Cloud の標準の目標計算で使用される方法は総量削減です。他の方法を使用する場合は、Net Zero Cloud の外部で目標を計算してから、計算した目標を目標レコードで取得します。詳細は、「排出削減目標の設定」を参照してください。

以下は上記をまとめたクイックリファレンスです。

SBT 設定方法 SBTi 承認済み? 目標は Net Zero Cloud で計算されるか?

総量削減

はい

はい

部門別脱炭素化

はい

いいえ。 

SBTi ツールまたは外部ツールを使用します。その後、目標出力を Net Zero Cloud で目標レコードにコピーします。

経済的原単位

はい

物理的原単位

はい

カスタム

いいえ

なかなか興味深いものでした! Sam は NTO の目標を定義するための知識を得ることができました。 

目標を作成する

一連のミーティングの後、Sam とそのチームは NTO の短期目標 (5 ~ 10 年) をいくつか決定しました。これには、スコープ 1、2、3 の排出削減目標や、再生エネルギーの消費量やサプライヤーエンゲージメントなど、その他の目標が含まれます。NTO はネットゼロ目標にもコミットしています。

  • NTO はスコープ 1、2、3 の GHG 総排出量を基準年度の 2021 年から 2031 年までに 45% 削減することにコミットしています。
  • NTO は同じ期間内に出張と従業員の通勤によるスコープ 3 GHG 排出量を付加価値単位あたり 40% 削減することにコミットしています。
  • NTO は、再生可能電力の年間調達量を 2021 年の 5% から 2031 年の 100% まで増やすことにコミットしています。
  • NTO はさらに、購入した商品とサービスおよび資本財をカバーすることで、2026 年までにサプライヤー支出の 65% に科学的根拠に基づく目標を設定することにコミットしています。
  • NTO はバリューチェーン全体で 2050 年までにネットゼロ GHG を達成することにコミットしています。

Sam は満足しています。目標を定義し終え、Net Zero Cloud で目標レコードを作成できるようになりました。 

リソース

Salesforce ヘルプで Trailhead のフィードバックを共有してください。

Trailhead についての感想をお聞かせください。[Salesforce ヘルプ] サイトから新しいフィードバックフォームにいつでもアクセスできるようになりました。

詳細はこちら フィードバックの共有に進む