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ロールアウト戦略の作成

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。
  • モバイルとデスクトップの用途の違いを説明する。
  • ユーザがモバイル Salesforce に求めることを探り出す。
  • 適切なモバイル使用事例を定義して、優先順位を付ける。

モバイル志向へのシフト

ロールアウト戦略の作成に関する基本事項について説明する前に、「志向性のシフト」というやや抽象的な概念に言及しておく必要があります。

モバイルのロールアウトが近づいたときに大勢のお客様が犯す間違いが、デスクトップの Salesforce 環境をモバイルにも再現しようとすることです。これは賢明ではありません。モバイルデバイスとラップトップではユーザの利用法が大きく異なるためです。

1 日に何回ぐらいスマートフォンをチェックしているか考えてみてください。50 回ぐらいですか? 100 回ですか? (この程度では携帯中毒ではありません。)実際、2013 年の Internet Trends レポートによると、たいていの人は 1 日に 150 回も携帯をチェックしているそうです。それだけではありません。Flurry Analytics によると、ユーザの 1 日あたりのスマートフォン利用時間は 177 分です。

モバイルの平均操作時間が短いことを示す図

計算してみましょう。モバイルセッションの平均時間は約 70 秒ということになります。驚きですよね? この数値はモバイル志向へのシフトの鍵を握るものであるため、頭に入れておいてください。

モバイルの鍵はマイクロモーメント

通常ラップトップの使用時は着席した状態で長時間操作しますが、携帯では瞬発的な操作を繰り返します。たいていは道順の検索やカレンダーのチェックといった特定の目的をかなえるために操作します。時間がなくて途中でやめてしまうこともあります。

Salesforce では、こうした瞬発的な操作をマイクロモーメントと呼んでいます。ユーザがそのコンテキストで携帯を利用し、すばやく行動を起こしたり情報を入手したりする時点のことです。こうした瞬発的な一点集中型操作の平均時間は約 1 分です。

マイクロモーメントの構造

マイクロモーメントが一瞬であるからといって、軽視すべきではありません。この一瞬は制限ではなく、好機なのです! ユーザの 1 日の極めて重要な一瞬をとらえれば、そのニーズを予測して、業務の効率化をサポートするチャンスになります。

マイクロモーメントをうまくとらえれば効果は絶大です。コンテキストに即応した短時間のある種のアトミックな操作が促されるためです。

  • 短時間: 簡潔な操作。所要時間は 1 分半以内です。
  • アトミック: 一点集中的な操作。単一のワークフローまたはアクティビティで、他の要素に依存しません。ユーザがフローを一旦離れ、別の場所で別の操作を行う必要がありません。
  • コンテキストに即応: 操作がリアルタイムに行われ、ユーザの現在の状況に対応しています。ユーザが今何をしているか? 何を必要としているか? どこにいるのか? カレンダーの次の予定は何か?
マイクロモーメントの 3 つの性質を示す図

こうしたマイクロモーメントの瞬間にモバイルユーザに価値をもたらすことができれば、ユーザにとって Salesforce アプリケーションが仕事を容易にするうえで欠かせないツールになります。ユーザに感謝され、あなた自身の Salesforce の利用度も向上することでしょう。いいことずくめです。

マイクロモーメントから使用事例へ

では、Salesforce アプリケーションで何らかのタスクを実行する時間がユーザには 1 ~ 2 分しかない場合に、こうしたマイクロモーメントを活用できるようサポートするにはどうすればよいでしょうか?

まず、モバイルの視点から Salesforce の実装を見直し、ビジネスプロセスを小分けにします。タスクのうち、携帯電話ですばやく実行できるものはどれでしょうか? モバイルユーザが特に必要とする事項に対処し、時間が節約されるシナリオを特定します。こうしたシナリオが、最初の使用事例になります。

適切な対象ユーザの選択

社内の誰でも Salesforce アプリケーションを使用する可能性がありますが、まずは外出することや自席を離れることの多いユーザを対象にすることをお勧めします。

最初は営業組織やサービス組織内の主要な役割に目を向けます。こうした集団では価値の高い使用事例を見つけやすいためです。Service Cloud を利用している場合は、フィールドサービス担当を対象にします。Sales Cloud を利用している場合は、フィールドセールス担当の使用事例のほか、営業マネージャや営業エグゼクティブの使用事例も考えます。

外勤が多い 4 種類のユーザを示す図

外勤の多いユーザに対処した後で、他の集団のユーザに適用する使用事例を考案します。潜在的なモバイルユーザとは、通勤中、カフェで並んでいるとき、子どものサッカーの試合の観戦中など、さまざまな状況で Salesforce を使用することでメリットが得られると思われる人々です。

場合によっては、従業員が自席でモバイルアプリケーションを使用することもあるかもしれません。懐疑的ですか? では、インターネットがダウンした場合、停電した場合、ラップトップが故障した場合などを考えてみてください。モバイルでアクセスできるということは、従業員が Salesforce で途切れることなく業務を遂行できるということです。

触発を受ける: 使用事例のサンプル

現時点ですでにモバイルの使用事例のアイデアに溢れていることでしょう。けれども、モバイル志向にシフトし始めたばかりの方は、何らかの触発を受ける必要があるかもしれません。

その場合は、当社の『100 Ways to Run Your Business from Your Phone (携帯で仕事を進める 100 の方法)』という電子書籍をご覧ください。Salesforce の実際のユーザが挙げたモバイルのアイデアがたくさん載っています。営業、サービス、マーケティングの使用事例のほか、IT、業務、人事などの各部門で Salesforce アプリケーションを使用する好例も挙げられてます。

他方、今すぐにでも実践に移したい方のために、ごく一般的なタイプの CRM 外勤者のモバイル使用事例を以下にいくつかご紹介します。

役割 モバイルのユースケース
営業担当
  • 活動を記録する
  • 案件でコラボレーションする
  • 案件情報を更新する
  • 新規案件を確認する
  • 取引を開始する
  • 顧客の質問に対する回答をすぐに得る
営業マネージャ
  • 割引を承認する
  • パイプラインを表示する
  • 営業担当をサポートする
営業エグゼクティブ
  • 会社のパフォーマンスのリアルタイムの総計値を表示する
  • 重要な会議の前に最新情報を得る
サービス担当
  • 顧客の施設の写真を取り込む
  • 注文状況を確認する
  • エキスパートから回答をすぐに得る
  • 顧客の施設までの道順を調べる
  • ケースを更新またはクローズする
  • 顧客情報を表示する

ユーザとの早期からの頻繁な協力

モバイル使用事例に関する素晴らしいアイデアで湧いてくるからといって先走ることなく、一旦立ち止まって極めて重要な人物、つまりユーザの考えも聞いてみましょう。

ユーザが本当に求めているものは何か? ユーザの課題は何か? ユーザの立場になり、その観点の理解に全力を尽くします。というのも、Salesforce アプリケーションによって価値がもたらされず、仕事が容易にならなければ、ユーザが Salesforce アプリケーションを採用することはないためです。ビジネスのニーズとユーザのニーズのバランスを図ることも必要です。

そして、ユーザのニーズを解明する一番の方法は、ユーザの生の声を聞くことです。(ハッと驚くことがあります)。本当です。ユーザを 1 日観察して質問をすれば、思いもよらなかったモバイルの機会が見出されます。

ユーザのニーズの探索

シャーロック・ホームズのハンチング帽を被ったつもりで、ちょっとした探偵作業に取りかかります。以下は、ユーザの考えを聞くためのいくつかの手法です。

  • 同乗同行
  • 面談
  • フォーカスグループ
  • アンケート
  • Chatter (または他のコラボレーションツール)

「同乗同行」には多大な時間を費やすことになりますが、ユーザのことをよく知ることができます。ユーザの成功や戸惑いを実際に目にすることに勝るものはありません。

ですから、少なくとも 1 人の外勤者の典型的な 1 日に同行してみます。ユーザのすべての訪問先に同行し、ミーティングを見学し、さまざまな人とのやりとりを観察します。目鼻の効く探偵になり、手がかりを見つけます。

  • 顧客からどのような質問を受けているか?
  • どのような情報をすぐに得られれば役に立つか?
  • ユーザを煩わせ、時間のかかっている業務はどれか?
  • クリップボード、プリント、スプレッドシートなどを持ち歩いているか? 付箋を使っているか?
  • Evernote や Dropbox など消費者向けアプリケーションに情報を保存していないか? そうしたデータを Salesforce に簡単に保存する方法を示すことができるか?

実務を遂行中のユーザを観察することに時間と労力を費やす価値があることを説得できたのではないかと思います。けれども、どのような調査手法を採るにしろ、相手の話に耳を傾けること、そして、綿密なメモを取ることの 2 点は忘れないでください。

ユーザ調査の解釈

調査が完了した後、こうした貴重なインサイトを使用事例に転換するにはどうすればよいでしょうか? 以下に、いくつかの課題の例と、Salesforce アプリケーションを使用した解決案を示します。

観察された課題 解決案
営業担当が忙しすぎて、顧客を訪問後に会議のメモを転記する時間がない。販売に役立つ可能性のある情報を忘れてしまうことがある。 「活動のクイック記録」カスタムアクションを作成します。日付と訪問種別をデフォルトに設定し、[説明] 項目を設けます。携帯の音声テキスト機能を使えば、メモを [説明] 項目に口述でき、1 分もかかりません。タイプする必要がありません!
営業担当が製品データシートを確認するのに時間がかかる。バインダーを調べるか、社内に電話しなければならない。 専用の Chatter グループを作成して、マーケティングチームがデータシートを投稿できるようにします。モバイルユーザが携帯から簡単に最新ファイルを参照できます。
会議の後、営業担当が本社に電話して発注する時間のないことが多い。顧客から注文を受けた後発注までに時間がかかる。 「発注」というカスタムアクションを作成します。ユーザが 2 ~ 3 の必須項目に入力すると、この更新によってカスタマーサービスにメールを送信するワークフローが開始されます。メールには、注文処理の開始に必要となる情報が記載されています。この方法により、担当者が顧客に対応中に発注することができます。

使用事例の多くは、マイクロモーメントを念頭にすぐに使える標準機能がパッケージ化されています。「活動のクイック記録」アクションの例を見てみましょう。ユーザはすでに Salesforce アプリケーションで活動を記録することができます。ですから、あなたがすべきことは、外出中に状況に応じた特定の操作をすばやく簡単に実行できるショートカットをユーザのために作成するだけです。

こうした使用事例をいくつか実装する方法を知りたくてうずうずしているのではないでしょうか? 大丈夫です。このモジュールの後半で、モバイルアプリケーションのカスタマイズの基本について説明します。

実効性のある使用事例の特定

自身のアイデアとユーザから受け取った情報とで、たくさんの使用事例案を抱えているものと思います。どの事例が最適かを見極めるにはどうすればよいでしょうか?

以下は、有益な使用事例を構成する 3 つの要素です。

  • マイクロモーメントを念頭に設計されている。コンテキストに即応した短時間のアトミックな操作にします。
  • エンドユーザに価値がもたらされる。使用事例によって従業員にメリットがもたらされ、仕事が容易になるようにします。
  • ビジネスへの影響が大きい。使用事例を KPI などの重要なビジネス統計値に結び付けることが考えられます。使用事例によって組織にもたらされる価値を測定できるようにします。

使用事例の優先順位付け

極めて実用的な数々のモバイル使用事例をユーザに紹介したくてうずうずしているのではないでしょうか。けれども、少し落ち着く必要があります。水を差すようで申し訳ありませんが、新しい機能についてユーザが一度に消化できる情報量には限界があります。徐々に開始して、繰り返し適用します。モバイルの導入時には、上位 3 つの使用事例を選ぶことをお勧めします。

では、どの使用事例を最初にロールアウトするかはどのように判断すればよいのでしょうか? どれも素晴らしいように思われます! そこで Salesforce では、使用事例を簡単なグラフ上に示し、労力への見返りが一番大きいものを確認する便利なマトリックスを考案しています。この仕組みは次のとおりです。

  1. 横軸は、思考態度面での採用の容易性を表します。各使用事例を評価して、ユーザの既存の行動を変えるにはどの程度の取り組みを要するかを判断します。
  2. 縦軸は、ビジネスへの影響を表します。ビジネスにどのくらいの価値が付加されるかに従って、各使用事例に順位を付けます。
  3. 使用事例をグラフ上に示し、どの位置にくるかを確認します。
ビジネスへの影響と思考態度面での採用の容易性を示すグラフ

当社がアドバイスするとすれば、すぐに効果がありそうなものから取り組みます。高価値とユーザの採用しやすさという 2 つのカテゴリに適合するモバイルの使用事例はたくさんあります。

おそらくは、変革をもたらすほどの多大な影響力があると考えられる使用事例をいくつか考案しているのではないかと思いますが、概してそうした事例には綿密な計画と膨大なリソースと技術的なスキルが必要です。こうした大々的なモバイルイニシアチブは、モバイルロールアウトの後半、つまり、すぐに効果がありそうな基本的なモバイル採用事例を達成した後に取り組みます。

モバイル使用事例に優先順位を付けたところで、次は、社内で信頼されるモバイルアドバイザーになれるよう Salesforce アプリケーションについて学習していきます。