オブジェクト固有のクイックアクションの作成
学習の目的
クイックアクション: 続編
そろそろモバイルをカスタマイズする自分のスキルにかなりの自信を持ててきたのではないでしょうか。グローバルアクションの作成をマスターしたら、次はオブジェクト固有のアクションという課題に挑戦しましょう。そう言われると身構えてしまうかも知れませんが、オブジェクト固有のアクションを作成する手順は、グローバルアクションの作成手順とほとんど同じですから、実はそう難しくはありません。
Salesforce モバイルアプリケーションのオブジェクト固有のアクション
オブジェクト固有のアクションの説明を始める前に、まずはグローバルアクションとの違いについてお話させてください。
- オブジェクト固有のアクションは、レコードを更新できる。
- オブジェクト固有のアクションは、レコードを作成して、関連情報に自動的に関連付けることができる。たとえば、取引先責任者を作成すると同時に取引先に関連付けるアクションを作成できます。
さらに、もう 1 つ大きな違いがあります。オブジェクト固有のアクションをモバイルアプリケーションで公開する場合には、前の単元で実行したようにグローバルパブリッシャーレイアウトに追加することはありません。この場合は、オブジェクトのページレイアウトを編集するという方法でユーザが使用できるようにします。こうした相違点は、この単元を進んでいく中で実際に確認することができます。
では、オブジェクト固有のアクションに関する D’Angelo のユースケースを確認した上で、便利なアクションを実際に作成してみましょう。
DreamHouse のシナリオ
D’Angelo は DreamHouse Realty の何人かの仲介担当者の現場に同行したとき、担当者が見込み客の物件見学とスケジュール管理にかなりの時間を取られていることに気付きました。そこで、仲介担当者が Salesforce モバイルアプリケーションで新しい物件見学をすばやくスケジュールできるように、取引先責任者の詳細ページに表示されるアクションを作成することにしました。
事前準備
DreamHouse のユースケースをシミュレーションするには、まず各自の組織にいくつかの要素を準備しておく必要があります。はやる気持ちはわかりますが、この下準備が後で必ず役に立ちます。実際的なシナリオでオブジェクト固有のアクションの威力を実感できるほか、プラットフォーム構築の優れたスキルを実践してみることができます。
Property (物件) カスタムオブジェクトの作成
仲介担当者が新規の見学をスケジュールする場合、通常は見学を関連付ける特定の物件が必要です。どの住宅を見学するのかがわかるようにするためです。そこで、Property というカスタムオブジェクトを作成してみましょう。
Trailhead の「データモデリング」バッジを獲得したときに組織に Property オブジェクトを作成した場合は、このステップをスキップできます。
- オブジェクトマネージャで、[作成] | [カスタムオブジェクト] を選択します。
- [表示ラベル] 項目に、「Property」 (物件) と入力します。
- [表示ラベル(複数形)] 項目に、「Properties」 (物件) と入力します。
- [省略可能な機能] セクションで、[活動を許可] を選択します。
- [保存] をクリックします。
次に、Property オブジェクトのカスタムタブを作成します。
- [クイック検索] ボックスに「タブ」と入力し、[タブ] を選択します。
- [カスタムオブジェクトタブ] リストで [新規] をクリックします。
- [オブジェクト] ドロップダウンリストで [Property (物件)] を選択します。
- [タブスタイル] には [看板] を選択します。
- [次へ] をクリックします。デフォルトを受け入れて、もう一度 [次へ] をクリックします。
- [保存] をクリックします。
見学の行動オブジェクトのカスタマイズ
優秀なシステム管理者の皆さんなら、「見学」は一種の「行動」だということがもうおわかりだと思います。ただし、見学に標準の行動を使用すると、ユーザが関連する物件や購入者のフィードバックなどの追加情報を入力しなければならなくなるため、D’Angelo は別の方法を選びます。
カスタマイズでのこの課題を解決するベストな方法は、独自のページレイアウトがある行動レコードタイプを新たに作成することです。では、見学用のページレイアウトを作成してから、行動レコードタイプを作成し、この新しいページレイアウトに関連付けてみましょう。
- オブジェクトマネージャから、[クイック検索] ボックスに「行動」と入力し、[行動] を選択します。
- 行動のオブジェクト管理設定から、[ページレイアウト] に移動し、[新規] をクリックします。
- [既存のページレイアウト] ドロップダウンリストから [行動レイアウト] を選択します。
- [ページレイアウト名] 項目に、「Showing Layout」 (見学レイアウト) と入力します。
- [保存] をクリックします。
- 行動のオブジェクト管理設定から、[レコードタイプ] に移動し、[新規] をクリックします。
- [レコードタイプの表示ラベル] と [レコードタイプ名] のどちらの項目にも「Showing」 (見学) と入力します。
- [次へ] をクリックします。
- [1 つのレイアウトをすべてのプロファイルに適用する] ドロップダウンリストで [Showing Layout (見学レイアウト)] を選択します。
このレイアウトは、Showing レコードタイプのみに適用されます。標準の行動レコードタイプは、引き続き行動レイアウトを使用します。
- [保存] をクリックします。
Showing の参照項目の作成
もう少しです! これが最後のステップです。仲介担当者が見学を物件に関連付けられるように、[Property (物件)] というカスタム項目を作成する必要があります。この関連付けには、活動オブジェクトから物件オブジェクトへの参照を使用します。
- オブジェクトマネージャから、[クイック検索] ボックスに「活動」と入力し、[活動] を選択します。
- 活動のオブジェクト管理設定から、[項目とリレーション] に移動し、[新規] をクリックします。
- [参照関係] を選択して、[次へ] をクリックします。
- [関連先] ドロップダウンリストで、[Property (物件)] を選択し、[次へ] をクリックします。
- [項目名] と [項目の表示ラベル] に「Property」と入力して、[次へ] をクリックします。
- [参照可能] チェックボックスをオンにしてこの項目がすべてのプロファイルに表示されるようにして、[次へ] をクリックします。
- [行動レイアウト] と [ToDo レイアウト] のチェックボックスをオフにします。Showing レイアウトにこの項目のみを表示するためです。
- [次へ] をクリックします。
- [関連リストの表示ラベル] 項目に「Showings」と入力します。
- [保存] をクリックします。
オブジェクト固有のアクションの作成
これで課題をすべてクリアし、準備が整いました。D’Angelo と一緒に、便利なプロジェクト固有のアクションを作成していきましょう。
D'Angelo は、New Showing (新規見学) というクイックアクションを作成して、Salesforce モバイルアプリケーションの取引先責任者の詳細ページで使用できるようにしたいと考えています。そうすれば、仲介担当者が新規見学をスケジュールしたときに、その見学が自動的に見込み客のレコードに関連付けられます。したがってこのステップでは、取引先責任者のオブジェクト固有のアクションを作成します。
1.オブジェクトマネージャから、[クイック検索] ボックスに「取引先責任者」と入力し、[取引先責任者] を選択します。
2.取引先責任者のオブジェクト管理設定から、[ボタン、リンク、およびアクション] に移動し、[新規アクション] をクリックします。
3.アクション種別が [レコードを作成] であることを確認します。レコードの作成以外にもアクションがあります。他のオプションについては、Salesforce ヘルプの記事「オブジェクト固有のアクション」を参照してください。
4.[対象オブジェクト] ドロップダウンリストで、[行動] を選択します。
5.[レコードタイプ] ドロップダウンで [Showing (見学)] をクリックします。
6.[表示ラベル] 項目に「New Showing」と入力します。
7.[保存] をクリックします。
8.レイアウトエディタで、[関連先]、[割り当て先]、[名前] の各項目を削除します。
9.[Property (物件)] 項目をレイアウトに追加して、必須にします。項目をダブルクリックすると、その設定を編集できます。
10.余分なスペースを削除して、項目を一列に配置します。
11.[保存] をクリックします。
12.[はい] をクリックして、警告を承認します。[割り当て先] 項目は必須ですが、デフォルトで現在のユーザに設定されているため、レイアウトから削除しても構いません。13.それでは、[件名] 項目が事前入力されるようにして仲介担当者の手間を省いてあげましょう。[定義済みの値] 関連リストで、[新規] をクリックします。
14.[項目名] ドロップダウンリストで、[件名] を選択します。
15.[新規項目値の指定] 項目に、「"Showing"」と入力します。この用語は必ず引用符で囲みます。
16.[保存] をクリックします。
オブジェクトのページレイアウトへのアクションの追加
さてここからは最後の直線コースです。あとは取引先責任者のページレイアウトに新規アクションを追加すれば、仲介担当者がモバイルアプリケーションで見込み客のレコードを表示中に、アクションバーからこのアクションを実行できるようになります 。(作成したオブジェクト固有のアクションは、そのオブジェクトのページレイアウトに属することを忘れないようにしてください)。
- オブジェクトマネージャから、[クイック検索] ボックスに「取引先責任者」と入力し、[取引先責任者] を選択します。
- 取引先責任者のオブジェクト管理設定から、[ページレイアウト] に移動し、[取引先責任者レイアウト] をクリックします。
- [Salesforce モバイルおよび Lightning Experience のアクション] に [定義済みアクションを上書き] へのリンクが表示されていたら、そのリンクをクリックして上書きします。
- パレットの [モバイルおよび Lightning のアクション] を選択して、[New Showing (新規見学)] クイックアクションをモバイルのセクションにドラッグします。それが最初の項目であることを確認します。
- アクションが頻度の高い順に表示されるように並び替え、不要なアクションは削除します。
- [保存] をクリックします。
完了です。これで DreamHouse の仲介担当者が、見込み客の新規見学をすばやくスケジュールすることができます。
Salesforce モバイルアプリケーションのアクションのテスト
いよいよ作成したアクションをモバイルアプリケーションでテストしてみる時が来ました。各自のデバイスで Salesforce を立ち上げ、このユースケースを一緒に見ていきましょう。
1. をタップしてナビゲーションメニューを開きます。セールス Lightning アプケーションを開いている場合は、プルダウンしてナビゲーションメニューを更新します。セールス Lightning アプケーションを開いていない場合は、[アプリケーションランチャー] をタップし、[セールス Lightning] をタップして開きます。
2.まず始めに、見学に関連付ける新規案件を作成します。ナビゲーションメニューで、[Properties (物件)] をタップします。ナビゲーションメニューに [Properties (物件)] が表示されていない場合は、[すべての項目] をタップすると、アルファベット順に表示された中から見つけることができます。
3.[新規] をタップします。
4.物件名に住所を入力します。
5.他の必須項目に記入して、[保存] をタップします。次に、見込み客を検索し、その顧客の見学をスケジュールします。
6.ナビゲーションメニューを開いて、[取引先責任者] をタップします。
7.前の単元で作成した取引先責任者を選択するか、新規作成します。
8.プルダウンしてアクションバーを更新します。
9.[New Showing (新規見学)] をタップします。
10.項目に入力します。
11.[保存] をタップします。
12.ここで [Property (物件)] レコードに戻ると、[Showings (見学)] 関連リストに新しい行動が表示されています。ナビゲーションメニューを開いて [Properties (物件)] をタップし、作成したばかりの物件を選択します。
13.[関連] をタップします。
14.[Showings (見学)] をタップすると、この物件にスケジュールされているすべての見学が表示されます。
このモバイル機能を使いこなせるようになってきましたね。
別のユースケースで DreamHouse をサポート
もう少しカスタマイズの活用例を見てみたいと思いませんか? DreamHouse Realty の最後のモバイルユースケースを実装しましょう。D’Angelo はユーザの業務に同行中、あることに気が付きました。
DreamHouse の仲介担当者は、物件見学を終えた時点で住宅に対する購入者の感想をまとめたメモを書き留めていたのです。D’Angelo は、仲介担当者が行動レコードにメモを記入してすばやく更新できる「Enter Feedback (フィードバックを入力)」というアクションを作成しようと考えます。
この新規アクションに取りかかる前に、活動に [Feedback (フィードバック)] というカスタム項目を作成する必要があります。
- オブジェクトマネージャから、[クイック検索] ボックスに「活動」と入力し、[活動] を選択します。
- 活動のオブジェクト管理設定から、[項目とリレーション] に移動し、[新規] をクリックします。
- [テキストエリア] を選択して、[次へ] をクリックします。
- [項目の表示ラベル] と [項目名] 項目に「Feedback」と入力し、[次へ] をクリックします。
- [参照可能] チェックボックスをオンにしてこの項目がすべてのプロファイルに表示されるようにして、[次へ] をクリックします。
- [行動レイアウト] と [ToDo レイアウト] のほか、[Showing Layout (見学レイアウト)] を除く他のレイアウトもチェックボックスをオフにします。Showing レイアウトにこの項目のみを表示するためです。
- [保存] をクリックします。
お疲れ様でした。ポイントを獲得してから次の単元に進み、コンパクトレイアウトを使用して Salesforce モバイルアプリケーションのレコード詳細ページを効率化する方法を学習します。