グローバルクイックアクションの作成
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 主要な 2 種類のアクションの違いを説明する。
- グローバルアクションを作成する。
- アクションレイアウトで項目を設定する。
- アクションレイアウトで項目に定義済みの値を設定する。
- グローバルパブリッシャーレイアウトを編集して、アクションを Salesforce モバイルアプリケーションに追加する。
クイックアクションのご紹介
モバイルカスタマイズオプションのツアーで最初にご紹介するのはクイックアクションです。クイックアクションに馴染み、利用していただけるように全力を尽くして説明していきます。
クイックアクションは、モバイル環境での操作の鍵となります。しっかり覚えてください。数あるポイント & クリックツールの中でも、クイックアクションは特に、モバイルでの操作環境を変革する可能性を秘めたツールなのです。
クイックアクションの利点
そもそもクイックアクションとは何でしょうか? ある意味ではショートカットとも言えます。クイックアクションを使用すると、モバイルユーザーは Salesforce モバイルアプリケーションでレコードの作成や活動の記録、ファイルの共有など、特定のワークフローをすばやく起動できます。
Salesforce モバイルアプリケーションには、便利な組み込みアクションが用意されていて、画面上部のアクションバーまたはアクションメニュー に表示されます。アクションバーは、ほとんどのページに表示されるため、モバイルユーザーは 1 タップだけでクイックアクションを実行できます。
これだけでもかなり便利ですが、便利な機能はまだまだあります。
クイックアクションが単なるショートカットではなく、特別であることには次のような理由があります。
- 各自のビジネスプロセスやユースケースに応じたカスタムアクションを作成できる。
- アクションごとに独自のページレイアウトがあるため、モバイルユーザーに必要な項目だけに制限できる。
- ページレイアウトの項目を事前入力してモバイルユーザーの時間を節約できる。
このように、クイックアクションには意外なほどの機能があるのです。つまり、3 つの強力な機能 (ショートカット + ページレイアウト + 定義済みの項目) が小さなパッケージにまとめられている、という感じです。
クイックアクションの種別
アクションの概要を理解できたところで、今度は別の観点から説明します。アクションには、グローバルとオブジェクト固有というの 2 つのタイプがあります。
オブジェクト固有のアクションでは、ユーザーが特定のオブジェクトのコンテキストでレコードの作成や更新を実行できます。Salesforce モバイルアプリケーションでは、オブジェクト固有のアクションはレコード詳細ページに表示されます。たとえば、商談オブジェクトに関連付けられたアクションは、ユーザーが商談を表示しているときにのみ使用できます。
グローバルアクションでは、ユーザーはレコードを作成できますが、新規レコードに他のレコードとのリレーションはありません。グローバルアクションと呼ばれるのは、アクションがサポートされる場所であれば、レコード詳細ページだけでなく、フィードや Chatter グループなど、どこにでも配置できるためです。
まだピンと来ないかも知れませんが、心配は無用です。実際にいくつかアクションを作成すれば、両方のタイプのアクションが分かってくるはずです。まず、グローバルアクションに取りかかりましょう。
グローバルアクションのユースケース
グローバルアクションは、すばやく行う操作 (必ずしも完了する必要はない) と考えてください。D’Angelo Cunningham がグローバルアクションを利用してブローカーの作業負担を軽減する方法は、まさにこれに当てはまります。DreamHouse Realty の最初のモバイルユースケースを見てみましょう。
DreamHouse Realty では、取引先責任者オブジェクトを使用して見込み住宅購入者を追跡しています。DreamHouse のブローカーの 1 人がオープンハウスを開催し、見込み購入者に会うとします。この場合、特定のページに移動したり、他の情報と関連付けたりせずに、効率よくその人を取引先責任者として追加する方法が必要です。こういう場合、つまり、ユーザーが簡単に操作でき、後でフォローアップできるようにする場合に、グローバルアクションを使用します。
ユースケースの実現
D’Angelo は、Salesforce モバイルアプリケーションをカスタマイズして、見込み購入者を追加するプロセスをできるだけ迅速化・簡略化したいと考えており、次のように計画しました。
- 新しい見込み購入者の連絡先情報を収集する [New Prospect (新規見込み客)] グローバルアクションを作成する。
- レイアウトの項目を名前、電話番号、メールなど必要最小限にする。
- 住宅購入プロセスにおける購入者の現在のフェーズを示す [Stage (フェーズ)] カスタム項目を追加し、項目のデフォルト値を「Prospect (見込み客)」に設定する。
新規グローバルアクションを計画した D’Angelo に従うには、まず、組織に [Stage (フェーズ)] カスタム項目を作成する必要があります。
- [設定]に移動します。オブジェクトマネージャーで、[Quick Find (クイック検索)] ボックスに
Contact
(取引先責任者) と入力し、[Contact (取引先責任者)] を選択します。
- [項目とリレーション] に移動し、[New (新規)] をクリックします。
- データ型として [選択リスト] を選択し、[Next (次へ)] をクリックします。
- [Field Label (項目の表示ラベル)] に、
Stage
(フェーズ) と入力します。
-
[選択リストの各値を改行で区切って入力します。] を選択します。
- テキストエリアに次の値を入力します。
Prospect
(見込み客)Showing
(見学)Offer
(オファー)Closing
(クロージング)Archive
(アーカイブ)
-
[Next (次へ)] をクリックします。
-
[参照可能] を選択して項目をすべてのプロファイルで使用可能にし、[Next (次へ)] をクリックします。
-
[Save (保存)] をクリックします。
グローバルアクションを作成する
D’Angelo と同じところまで追いつきましたから、作業を始めることにしましょう。このステップでは、新規取引先責任者を作成するグローバルアクションを追加します。
- [Setup (設定)] から、[Quick Find (クイック検索)] ボックスに
Actions
(アクション) と入力し、[Global Actions (グローバルアクション)] を選択します。
-
[新規アクション] をクリックします。
- このアクションでは新規取引先責任者を作成するので、アクション種別が [レコードを作成] であることを確認します。アクションでは、活動の記録やメールの送信など、他のプロセスも実行できます。ただし、グローバルアクションではレコードを更新できないことに注意してください。レコードを更新できるのはオブジェクト固有のアクションのみです。
- [対象オブジェクト] ドロップダウンリストで、[取引先責任者] を選択します。
- [Label (表示ラベル)] 項目に、
New Prospect
(新規見込み客) と入力します。
-
[Save (保存)] をクリックします。
アクションレイアウトをカスタマイズする
クイックアクションの最も強力な特長は、各アクションにカスタマイズ可能な独自のレイアウトが用意されているところです。項目を必要最小限に抑えて不要な項目をできるだけ削除できるので、時間を大幅に節約できます。
それでは [New Prospect (新規見込み客)] アクションのレイアウトを最適化しましょう。D’Angelo は、[Stage (フェーズ)] カスタム項目をレイアウトに追加できるように、いくつかの項目を削除する予定です。
- レイアウトエディターをまだ開いていない場合は、[グローバルアクション] リストに移動し、[New Prospect (新規見込み客)] アクションの横にある [レイアウト] をクリックします。
- レイアウトから [取引先名] および [役職] 項目を削除します。
- [Stage (フェーズ)] 項目をレイアウトに追加します。
ヒント: モバイルユーザーのアクションレイアウトをカスタマイズするときには、できるだけ項目を減らしてください。項目数は 5 個未満にすることをお勧めします。最大でも 8 個までにしてください。
-
[Save (保存)] をクリックします。
定義済みの値を設定する
モバイルユーザーのデータ入力をスピードアップするベストな方法は、アクションレイアウトの特定の項目値を事前入力することです。
ユースケースによってはできない場合もありますが、D’Angelo の場合は間違いなくこの機能を利用できます。前述のとおり、D’Angelo は [Stage (フェーズ)] 項目のデフォルト値を [Prospect (見込み客)] に設定するつもりです。
- [グローバルアクション] リストに移動し、[New Prospect (新規見込み客)] をクリックします。
- [Predefined Field Values (定義済み項目値)] 関連リストで、[New (新規)] をクリックします。
- [項目名] ドロップダウンリストで、[Stage (フェーズ)] を選択します。
- [Specify New Field Value (新規項目値の指定)] セクションで、[Prospect (見込み客)] を選択します。
-
[Save (保存)] をクリックします。
グローバルパブリッシャーレイアウトにアクションを追加する
ついにモバイル対応レイアウトの新しいアクションが作成されました。ただし、最後にもう 1 ステップを完了する必要があります。アクションは、グローバルパブリッシャーレイアウトに追加するまで Salesforce モバイルアプリケーションでは使用できません。
グローバルパブリッシャーレイアウトとは、長くて言いにくい言葉ですね。これは、アクションがモバイルアプリケーションのアクションバーにリストされる方法を指す技術的な表現に過ぎません。グローバルレイアウトは、フィードや Chatter グループのような場所のアクションバーにのみ適用されます。つまり、基本的に、特定のオブジェクトに関連しないページ上に限定されます。
D’Angelo はブローカーがフィードから直接新規見込み客を作成できるようにする予定です。そのため、新規アクションをグローバルパブリッシャーレイアウトに追加しましょう。
- [Setup (設定)] から、[Quick Find (クイック検索)] ボックスに
Publisher
(パブリッシャー) と入力し、[Publisher Layouts (パブリッシャーレイアウト)] を選択します。
- グローバルレイアウトの横にある [Edit (編集)] をクリックします。
- [Salesforce Mobile and Lightning Experience Actions (Salesforce モバイルおよび Lightning Experience のアクション)] セクションに [override the predefined actions (定義済みアクションを上書き)] へのリンクが表示されていたら、そのリンクをクリックして上書きします。
- レイアウトエディターの上部で [モバイルおよび Lightning のアクション] を選択し、[New Prospect (新規見込み客)] クイックアクションをモバイルのセクションにドラッグします。それが最初の項目であることを確認します。
ここでのアクションの順序によって、モバイルアプリケーションでの順序が決まります。最も頻繁に使用されるアクションが最初に来るように整理し直して、使用しないアクションは削除します。
-
[Save (保存)] をクリックします。
Salesforce モバイルアプリケーションのグローバルアクションをテストする
お疲れさまでした。最初のグローバルアクションを作成できました。Salesforce モバイルアプリケーションを起動して、このアクションを試してみましょう。
- モバイルデバイスで Salesforce を開きます。
-
をタップしてナビゲーションメニューを開き、プルダウンして更新します([設定] で変更を加えた後にモバイルアプリケーションでページの更新が必要になる場合があります。新規アクションが読み込まれない場合は、ログアウトしてから再びログインしてください。)
- メニューで [Chatter] を選択してフィードに移動します。
- アクションバーの [New Prospect (新規見込み客)] をタップします。
- 必要なデータを入力します。[Stage (フェーズ)] 項目は、デフォルトの [Prospect (見込み客)] になっているはずです。
-
[Save (保存)] をタップします。
できました! 新しいグローバルアクションは問題なく機能しています。
グローバルアクションをマスターできたところで、次はオブジェクト固有のアクションに進みましょう。次の単元では、D'Angelo が 2 つ目のモバイルユースケースを実装して Salesforce モバイルアプリケーションをさらに改善するのを手伝います。
リソース
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Salesforce ヘルプ: グローバルクイックアクション
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Salesforce ヘルプ: クイックアクションの定義済み項目値に関するメモ
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Salesforce ヘルプ: ユーザープロファイルへのグローバルパブリッシャーレイアウトの割り当て