Skip to main content
From 16:00 UTC on January 17, 2026, to 20:00 UTC on January 17, 2026, we will perform planned maintenance on the Trailhead, myTrailhead, and Trailblazer Community sites. During the maintenance, these sites will be unavailable, and users won't be able to access them. Please plan your activities around this required maintenance.

Salesforce AI サステナビリティ戦略の策定

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • AI サステナビリティ戦略を策定することの価値を明確に説明する。
  • Salesforce が開発した AI サステナビリティに関する初期アプローチについて説明する。
  • 組織で AI サステナビリティ戦略を実装する。

AI サステナビリティ戦略が必要な理由

AI は、サステナビリティに関するソリューションの実現を加速する強力なツールとしての可能性を秘めている一方で、環境面でのリスクも伴います。

生成 AI の原動力となる大規模言語モデル (LLM) が機能するためには大量の計算リソースが必要であり、その結果として、エネルギー、水、天然資源の需要増など、環境への悪影響を引き起こす可能性があります。私たちは、AI の開発とリリースを行うすべての企業は、最初から倫理的で持続可能なテクノロジーを実装するための戦略が必要であると考えています。次は、この方法を見ていきます。

AI サステナビリティ: 3 本柱のフレームワーク

サステナビリティは、Salesforce における AI の開発とリリースの基本理念です。Salesforce AI ResearchSustainability (サステナビリティ) 部門Office of Ethical and Humane Use (倫理的・人間中心的利用推進オフィス) が緊密に連携して開発した初期アプローチは、スマート需要効率クリーン供給という 3 つの柱に焦点を当てています。

Salesforce の 3 本柱の AI サステナビリティフレームワークは、スマート需要、効率、クリーン供給に重点を置いている。

それぞれが何を意味するのかを見ていきましょう。

スマート需要

これは、AI を賢く使用することを意味します。AI は精密機器のようなものであり、すべての AI ツールがすべての作業に適しているとは限りません。各プロジェクトの開始時に、プロジェクトの成功にはどのような種類の AI の力がどのくらい必要かを問いましょう。

スマート需要の実践例を紹介します。

  • 製品を賢く設計する: 不要な AI の使用を避け、より単純な手法やアルゴリズムを使用し、効率的なモデルを標準として、より少ない AI で課題を解決できるアーキテクチャを検討します。
  • 適切なサイズのモデルを使用する: 多くの業務では、大規模な最先端システムと同等の精度を、コンパクトな特化型の AI モデルによって実現でき、エネルギーコストもかなり低く抑えられる可能性があります。
  • 透明性と柔軟性を確保する: AI のリソースへの影響をユーザーに明示し、データセンターでの電力消費のタイミングや方法を柔軟に制御します。
  • インセンティブを整える: 効率を高めるようにコスト構造を整備します。使用量に基づく価格設定は、サステナビリティを促進する価格インセンティブの一例です。コストが計算量に直接対応するため、排出量を削減すれば、顧客にも即座に金銭的メリットがもたらされます。

以下に例を示します。

Salesforce における需要管理とは、顧客と緊密に連携し、適切なタイミングで適切なツールを提供することで、スマートで持続可能な選択ができるように支援することです。Agentforce は、高性能を提供しつつ、環境への影響を抑えることを目的として構築されており、顧客ごとにエネルギー集約型のモデル学習が必要な DIY 型の AI アプローチとは異なります。

私たちのエージェンティックアーキテクチャは、単一の汎用 LLM を超えて、可能な限り小型で、より効率的な AI モデルの利用を実現します。また、Agentforce では柔軟な使用量ベースの価格設定構造が採用されているため、顧客が使用量を減らすことで、コストとそれに伴う環境負荷の両方を削減できます。AI Energy Score などの取り組みを通してエネルギー消費の透明性を推進し、Trailhead を通して教育リソースを提供することで、Salesforce のエコシステムの中でも外でも持続可能な実践を促進しています。

効率

これは、より少ないリソースでより多くの成果を出すことを意味します。どのようなインテリジェンスが必要なのかが分かれば、効率を実現するために、それをどう提供するかに注目します。効率化の手法は相乗効果を生みます。モデル、コード、データ、ハードウェアといった各レイヤーでの小さな節約が積み重なることで、エネルギー、炭素、水、コストを大きく削減できるのです。

効率の実践例を紹介します。

  • 効率的な AI モデルを開発およびリリースする: 特定ドメイン向けに特化して訓練された小型モデルは、大規模な汎用モデルよりも高速でエネルギー効率が高くなる可能性があります。
  • モデル最適化手法を使用する: 量子化 (Quantization)、蒸留 (Distillation)、剪定 (Pruning) といった手法を利用することで、品質を損なうことなく計算負荷を下げてモデルを効率化できます。
  • 入力を最適化する: 簡潔かつ構造化されたプロンプトは、エネルギー消費を抑え、応答速度も向上させます。
  • グリーンソフトウェアの実践を採用する: モデル以外にも目を向け、コードの省エネ化、アイドル時間の削減、不要な抽象化レイヤーの排除に着目します。
  • データセンター全体の効率を考慮する: 個々のコンポーネントだけでなく、使用するデータセンター全体の効率を評価することが重要です。
  • AI をエッジに移行する: 小型デバイス (ノートパソコンやスマートフォンなど) 上で小型かつ効率的な AI モデルを実行することで、計算負荷の一部を大規模なデータセンターから移すことができ、エネルギーを節約して効率を高めることができます。

以下に例を示します。

Salesforce では、AI Research チームが、特定の業務に特化し、大規模な LLM より少ないエネルギーで動作する効率的な AI モデルの開発を先導しています。これらの小型モデルをローカルで実行できる新しい AI モデル活用の枠組みも検証中で、エネルギー負荷の高いクラウドデータセンターの使用を回避できるようになります。Agentforce は Salesforce Platform 全体から統合された構造化データを活用しており、高い精度を維持しながらも計算量を抑えています。

また、Green Code イニシアチブ「Salesforce テクノロジー向けサステナビリティガイドを通して、「モデルの先を考える」取り組みも行っています。さらに、Power Usage Effectiveness (PUE、電力使用効率) や Water Usage Effectiveness (WUE、水使用効率) といった主要メトリクスに基づいてデータセンターを評価し、効率的に運用しているサプライヤーと提携するように努めています。

クリーン供給

これは、環境負荷の少ないリソースで AI を稼働させることを意味します。どれだけ効率的なシステムであっても、エネルギー、水、その他の天然資源といったリソースは依然として必要です。クリーン供給では、これらのインプットがより持続可能な供給源から調達されることを重視します。

クリーン供給の実践例は次のとおりです。

  • より持続可能なサプライヤーから調達する: AI のサプライチェーンは広範囲にわたり、クラウドプロバイダー、チップメーカー、インフラストラクチャ事業者、ソフトウェアベンダーなどが関与します。調達全体にサステナビリティを組み込むことで、自社の排出枠を超えて変革を促すことができます。
  • クリーンエネルギーと水資源に投資する: AI のサステナビリティは、クリーン電力の拡充と、それを支える強靭な水源域の拡大にかかっています。
  • 制度的な変革を推進する: 規制当局や業界団体と連携し、AI の環境影響を管理する政策やインフラストラクチャを形成することに取り組みます。

以下に例を示します。

Salesforce は、エネルギー転換への投資を行い、業務全体にサステナビリティを組み込んでいます。たとえば、Ventures Impact Fund慈善助成金Salesforce Accelerator などの取り組みを通したクリーンエネルギーの未来への積極的な投資を実施しています。

また、サプライチェーン全体のパートナーに脱炭素を求め、Net Zero Toolkit のようなリソースを提供してその取り組みを支援しています。さらに、Sustainable AI Policy Priorities を通した政策提言や、Coalition for Sustainable AI への参加を通して、コミュニティ、規制当局、業界団体と連携し、持続可能な AI 実践の推進に取り組んでいます。

AI サステナビリティへの包括的なアプローチ

サステナビリティは Salesforce のコアバリューの 1 つです。つまりサステナビリティは、AI の開発・活用を含め、Salesforce 全体の実践を導く行動指針です。

持続可能な AI 開発を優先するだけでなく、AI を活用してサステナビリティのソリューションの実現を加速させる取り組みも行っています。Salesforce Accelerator — Agents for Impact を通して、非営利団体に資金、テクノロジー、プロボノによる専門知識を提供し、Agentforce を活用して気候課題に対応するソリューションの拡大を支援しています。

Agentforce for Net Zero Cloud によって、サステナビリティチームは、事前に構築されたエージェントトピックやアクションを活用し、レポート作成の効率化、運用コストの削減、生産性の向上を図ることができます。Agentforce は、自社データを基盤とし、Salesforce Trust Layer 上に構築されており、サステナビリティチームにデジタルレイバーを提供します。これにより、人間の作業と連携しながら、時間のかかる業務をより迅速かつ効率的に遂行できるようになります。

持続可能な開発や、より持続可能な未来のために AI を活用することには、非常に多くの可能性が広がっています。これまでの AI サステナビリティに関する知見を共有することで、私たちは皆さんと共にこの取り組みを進めていきたいと考えています。

リソース

Salesforce ヘルプで Trailhead のフィードバックを共有してください。

Trailhead についての感想をお聞かせください。[Salesforce ヘルプ] サイトから新しいフィードバックフォームにいつでもアクセスできるようになりました。

詳細はこちら フィードバックの共有に進む