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持続可能な AI 戦略を策定する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 持続可能な AI 戦略を策定することの価値を明確に説明する。
  • 持続可能な AI を実現するための Salesforce 戦略を説明する。
  • 組織で持続可能な AI 戦略を実装する。

持続可能な AI 戦略が必要な理由

AI は気候変動への対応を支援する強力なツールとなる可能性を秘めていますが、生成 AI の台頭は同時に環境リスクももたらします。ただし、サステナビリティの専門家の 58% は、気候危機を解決するためには、AI のメリットがリスクを上回ると考えています。

生成 AI の原動力となる大規模言語モデル (LLM) が機能するためには大量の計算リソースが必要であり、その結果、二酸化炭素の排出や水資源の枯渇といった環境への悪影響を引き起こす可能性があります。

世界中で記録的な異常高温や他の気候変動の影響が現実となった今持続可能な開発の重要性はこれまでになく高まっています。

AI の開発とリリースを行うすべての企業は、最初から倫理的で持続可能なテクノロジーを実装するための戦略が必要です。次は、この方法を見ていきます。

持続可能な AI 開発のための戦略

サステナビリティは、Salesforce における AI の開発とリリースの基本理念です。Salesforce は、Salesforce AI Research、Sustainability、Office of Ethical and Humane Use の各チームと提携し、適切な規模のモデルの選択、効率的なハードウェアの活用、低炭素データセンターの優先的利用という 3 つの主要な要素に焦点を当てた持続可能な AI のブループリントを作り上げました。

Salesforce の学びと、持続可能な AI 戦略の策定に役立つ 3 つのヒントを以下に説明します。

  1. 適切な規模のモデルの選択。
  • 汎用 LLM の人気が高まっていますが、必ずしも大型モデルが優れているというわけではありません。特定の使用事例に合わせて構築された小型モデルは、汎用の大型言語モデルと比較して、必要なデータと計算リソースが少なくて済みます。
  • 環境への影響が少ないことに加え、小型モデルは運用コストが抑えられ、トレーニングも容易で、大型の言語モデルよりもパフォーマンスが優れている場合も少なくありません。
  • Salesforce はドメイン固有モデルを使用しています。これは、特定の目的に合わせて特定のデータセットで訓練された小規模な言語モデルです。たとえば、Salesforce が開発した xLAM-1B は、「VentureBeat」の記事「Salesforce proves less is more: xLAM-1B ‘Tiny Giant’ beats bigger AI models (Salesforce が「過ぎたるは及ばざるがごとし」を実証:「小さな巨人」の xLAM-1B がより大規模 AI モデルに勝つ)」で「軽量級なのに重量級並みのパンチを繰り出す AI モデル」と賞賛されています。Salesforce の「Tiny Giant」は、最大で 7 倍の規模の AI モデルよりも優れたパフォーマンスを発揮します。
  1. 効率的なハードウェアの活用
  • AI モデルのエネルギー効率は、トレーニングと実装に使用するハードウェアに依存します。AI ハードウェアメーカーは、AI のパフォーマンス向上とエネルギー効率の向上を両立させた新バージョンのハードウェアの開発に取り組んでいます。たとえば、Google の AI ハードウェアである Cloud Tensor Processor Unit (TPU) は、世代が新しくなるたびに効率が向上しています。
  • Salesforce が実施した初期のテストでは、新しい TPU v5p は前世代の 2 倍の効率を実現していることがわかりました (トレーニングで消費したエネルギー当たりのモデルパラメーターの平均値で比較)。

Cloud Tensor Processor Unit の世代間でエネルギー使用量を比較したグラフ。

ソース: Salesforce Research

  1. 低炭素データセンターの優先的利用
  • データセンターには、AI モデルのトレーニングとリリースに必要なハードウェア、サーバー、その他のインフラストラクチャが配備されています。データセンターの電力は地域の電力網に依存しているため、温室効果ガスの排出量は地域によって大きく異なります。
  • 発電所で化石燃料を多く使用するほど、その地域のデータセンターの排出量は多くなります (下図参照)。そのため、AI のトレーニングやリリースを実施しているデータセンターがどこにあるのかを知ることが重要です。
  • AI モデルによる排出量を削減するために、Salesforce は二酸化炭素の排出量が少ないデータセンターを意図的に選び、そこでモデルをトレーニングしました。これらのデータセンターは、世界の平均と比較して 70% 近くも二酸化炭素の排出量が少ない電力で稼働しています。これは、二酸化炭素換算で 105 トン (tCO2e) の削減に相当します。

世界中のデータセンターの二酸化炭素排出量のマップ。

ソース: electricitymaps.com

サステナビリティと AI への全体的なアプローチ

サステナビリティは、Salesforce のコアバリューの 1 つです。つまり、AI のようなテクノロジーをどのように開発して利用するかなど、Salesforce 全体で実践する行動の指針となるのがサステナビリティです。

Salesforce は、持続可能な AI 開発を優先することに加え、AI を活用して具体的な環境上のメリットを生み出すことに重点を置いて取り組んでいます。たとえば、私たちは Net Zero CloudESG レポートを AI イノベーションで強化しています。これは、テクノロジーと企業のサステナビリティの交わりが拡大していることを意味します。Salesforce は、気候変動対策に AI を活用するエコプレナーの支援にも力を入れています。

持続可能な開発と気候変動対策としての AI 活用には、非常に多くの素晴らしい可能性が秘められています。Salesforce は、持続可能な AI に関する知見を共有することで、AI 戦略にサステナビリティを取り入れるためのベストプラクティスを提供できるように努力を続けています。

リソース

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