サイト準備度評価の合格
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- SRA に合格するためのベストプラクティスを挙げる。
- SRA の結果を踏まえて次のプロジェクトの準備をする。
成功共有の実現
SRA に合格するための努力は、プロジェクトの最初から始まります。ストアフロントを設計および構築するときに鋭敏な選択をすれば、SRA チームから立ち上げの承認印を必ず得ることができます。この単元では、あなたとマーチャントの成功をお膳立てするベストプラクティスを紹介します。
迅速で安定したストアフロントの構築
反応が遅いサイトを待つのは楽しいものではありません。実際、それは買い物客がカートを放棄する主な理由です。最適なストアフロントのパフォーマンスと安定性を実現するために、次をお勧めします。
- 検索結果の反復処理は 1 回だけ行う。
- 頻繁に検索されるキーワードの場合は、検索結果を保存して再利用する。
- 規模の大きいサイトの場合は、非同期の支払い処理の使用を検討する。
- あなたとマーチャントが合意したパフォーマンスの許容レベルで 8 時間以上の負荷テストを行う。
- Salesforce B2C Commerce のクォータにコードを準拠させる。
- 廃止予定の API の使用を避ける。
セッション変数の倹約
Web サイトは、セッション変数を使用して、複数のブラウザーページで必要とされるデータを保存します。Web サイトが効率的に実行されるようにするには、セッション変数を慎重に使用してください。セッションデータを多く保存すると、アプリケーションサーバーの速度が低下します。ベストプラクティスは次のとおりです。
- セッションオブジェクトのクォータを確立し、それを超えない。
- カスタムセッション変数の使用を制限する。
- 欲しい物リストなどの大きなデータセットにセッション変数を使用することを避ける。
データインテグレーションジョブの微調整
データインテグレーションジョブによってサイトのコンテンツ更新プロセスが自動化されます。在庫、価格設定、他システムへの注文のエクスポート、さらにはカタログコンテンツの更新も自動化できます。SRA チームは、これらの更新ジョブが適切に問題なく実行されることを確認します。SRA ワークブックのデータインテグレーションのセクションを入念に見直し、すべての項目が設計どおりに機能することを確認します。次の点に留意してください。
- データインテグレーションジョブをピーク時間外にスケジュールし、ジョブが重なって実行されないようにする。
- API および廃止ログファイルに記録されたエラーに対応する。
- クォータ違反を引き起こすジョブとプロセスを速やかに修正する。
安全なストアフロントの構築
ストアフロントに関しては言えば、速さと安定が重要ですが、最も重要なのはセキュリティです。顧客はストアフロントでは自分たちの個人情報の安全が確保されていると信じています。これに関しては、次のことをお勧めします。
支払い情報の保護
ストアフロントでは、顧客の支払い情報を保護することが非常に重要です。あらゆる支払方法 (ギフトカード、クーポン、ギフト券、クレジットカード、その他各種) の顧客情報を保護する方法を、時間をかけて慎重に見直します。次を推奨しています。
- 注文の支払手段の保持設定の有効期限を 1 年以下に設定する。
- ペイメントカード業界 (PCI) の機密情報、特に CVV 値を永続的に保存しない。
クリーンな支払い処理は、ストアフロントのセキュリティに極めて重要です。
ハッキングの防止
サイトのハッキングやデータが盗まれることを望む人はいません。ハッカーからサイトを保護するには、次の Salesforce B2C Commerce の推奨事項に従ってください。
- 保存されている機密データを暗号化する。
- セキュアソケットレイヤー (SSL) 経由で注文手続きの処理を行う。
- クロスサイトスクリプティング (XSS) やクロスサイトリクエストフォージェリ (CSRF) などの一般的な攻撃を防止する。
- 機密データやログイン情報を含むクリアテキストを、絶対に印刷またはログに記録しない。
選択的なキャッシュ
本番環境ではキャッシュを有効にする必要がありますが、データのキャッシュは選択的に行います。各ページまたはページコンポーネントに最適なキャッシュレベルを判断します。
- 一般的またはすべてのお客様のみにデータを表示するページまたはページコンポーネントを常時キャッシュする。
- ロイヤルティ階層に基づく価格設定やプロモーションなど、パーソナライズされたデータを表示するページやページコンポーネントを選択的にキャッシュする。
- 顧客名、アカウント情報、ログイン状況、セッション情報、買い物カゴなどの個人データを表示するページやページコンポーネントは絶対にキャッシュしない。
状況によっては、パーソナライズされたデータをキャッシュしてもよい場合があります。ここでは、個人データ (顧客名など) とパーソナライズされたデータ (顧客のロイヤルティ階層に基づく価格設定など) を区別します。顧客のロイヤルティ階層に基づく価格設定を提供するサイトについて考えます。顧客の階層によって、表示される価格が決定します。価格は、個人データはありませんが、汎用データでもありません。パーソナライズされています。パーソナライズされた情報には、パーソナライズされたキャッシュを使用します。同じページの複数のバージョン (ロイヤルティ階層ごとに 1 つ) をキャッシュします。
ページに個人データが表示される場合は、ページ全体をキャッシュしてはいけません。ただし、個々のページコンポーネントはキャッシュできる場合があります。一部に個人データと共通データを表示する複数のコンポーネントを含むページでは、異なるレベルで個々のコンポーネントをキャッシュするリモートインクルードを使用します。たとえば、一般的なヘッダーおよびフッター要素を常時キャッシュしますが、ヘッダーの個人データ (ログイン状況) はキャッシュしません。
負荷テストが完了した後、SRA チームは Business Manager ツールの分析セクションにあるテクニカルレポートを確認します。テクニカルレポートには、発信されたページのキャッシュヒットとキャッシュの欠落の割合が詳述されています。ページのキャッシュの欠落率が高ければ、ページのキャッシュを調整します。
今後のための最適化
SRA を完了後、SRA の結果を生かしてさらにできることがあります。内部で振り返りを行い、ワークブック全体を見直します。ワークブックはプロジェクトの率直で詳細な記述です。最初は承認されなかったタスクに特に注意します。これらを 1 回で承認されるようにするには、どうしたらよいのかについて話し合います。また、新しいチームメンバーのオンボーディングに SRA のフィードバックを生かしましょう。ギャップを埋めるために人材を採用し、改善余地についてのインサイトを新人と共有します。
特定の項目についてまだ釈然としませんか? 次のプロジェクトで思わぬ困難にぶつかるリスクを減らすために、将来的な実現に向けて取り組みましょう。社内で不足しているスキルを特定して Salesforce の Commerce Cloud サービスチームに連絡し、次のプロジェクトのハンズオンヘルプを依頼してください。これが、スキルを高めるヒントとコツを学ぶ確実な方法です。
プロジェクトの始まりを思い出してください。マーチャントは、自分たちでは届かない目標を実現するためにあなたを選び、品質を改善するために SRA を選択しました。私たちには、マーチャントを満足させるという共通の目的があります。あなたのサイトが SRA に合格すれば、それは顧客を迎えるストアフロントの準備が整ったという承認です。また、マーチャントが夢見たストアフロントをあなたが提供したことの立証です。仕事の成功をお祝いしましょう。