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健全なセールスパイプラインを構築する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 健全なセールスパイプラインを構築する。
  • セールスパイプラインを評価して改善する。

健全なセールスパイプラインを構築する

パイプラインが健全であるとみなされるためには、流れが欠かせません。見込み客は、決められた期間内に次のフェーズに進まなければ、パイプラインから除外される必要があります。担当はこの流れを CRM で追跡し、定期的なパイプラインレビューを実施することで、各商談に関するデータの整合性と信頼性を確保できます。担当は、常に新しいリードを取り込み、そのリードを評価し、商品に興味を持つように育成して、最終的には商談を成立させることで、健全なパイプラインを構築することができます。

健全なパイプラインを構築する場合の最も重要な部分は次のとおりです。

リードを評価する

リードを評価することで、商品の適切な対象者であるかどうかを判断します。何をもって優良なリードとするかは企業によって条件が異なり、多くの企業ではリードスコアリングシステムを使用して、購入の可能性に基づいてリードの優先度付けを行っています。 

リードを評価するには、以下を自問します。

  1. このリードはソリューションを必要としているのか?
  2. このリードにソリューションに対する予算があるか?
  3. このリードは意思決定を行う立場にあるか?

このような質問は、停滞したリードがパイプラインを詰まらせ、販売予測を狂わせることがないようにする場合に重要です。

リードを育成する

リードの育成とは、ソリューションに対する信頼を築く強力なインサイトを提供することにより、関係を発展させ強化することを意味します。育成では、パーソナライズとコミュニケーションが重要なポイントとなります。

これを実現する方法はたくさんありますが、一般的なのはメールによる育成です。この方法は費用対効果が高く、Pardot などのメールマーケティングツールで簡単に自動化することができます。ブログ、動画、ホワイトペーパー、電子書籍を問わず、関連性の高いコンテンツをリードに送信できます。また、メールマーケティングツールでは、見込み客がどれくらいの時間、そのコンテンツにエンゲージしているかを追跡することが可能です。

その他、育成の形式にはダイレクトメールやフォローアップコール、ソーシャルメディアマーケティングなどもあります。どのような方法で行うにせよ、見込み客は大抵、最初のやり取りでは購入を決めることはないため、一貫性のあるフォローアップとアウトリーチで、継続的に見込み客との関係を温めていくことが重要です。

見込み客を顧客に転換する

パイプラインで見込み客が顧客になるまで誘導することをコンバージョンと言います。見込み客とのそれぞれのやり取りでは、常に次のステップを考えるようにしましょう。会話を先に進めるには、集中力と粘り強さが重要です。各フェーズの見込み客を管理できるように、フォローアップを行い、フィードバックを求め、CRM を活用します。また、割引やインセンティブを提供できる立場にいる場合は、そうすることで見込み客に購入を促しても良いでしょう。

多くの場合、結末がどうなるかは最初に何をするかで決まります。リードの評価と育成で基盤を適切に構築していれば、コンバージョンステップは自然に流れていきます。

健全なパイプラインでは、常に新しい商談が入ってきて、成立した商談が出ていきます。上部層が大きいパイプラインでは、入ってくる商談は多数ありますが、そのうち最終フェーズまで到達する商談はあまり多くありません。下部層が大きいパイプラインでは、多数の商談が成立しますが、ファネルの上部に入ってくる新規の商談数が十分ではありません。どちらのシナリオも収益が低下することになります。

セールスパイプラインを評価する

これで、健全なパイプラインの構築方法を理解できました。では、これを適切に実行できているかを確認するにはどうすれば良いのでしょうか? 優れたパイプラインでは、販売速度が速く、営業サイクルが短期間であり、コンバージョン率が高くなります。こういった指標を把握するには、このまま読み進めてください。このようなデータポイントによってパイプラインの状態を明確に理解できるようになります。

パイプラインを有益なものにするためには、見込み客に関する正確なデータが必要です。このデータは刻々と変化します。だからこそ、常に監視する必要があります。新しいリードが入ってきたり、見込み客が別のフェーズに進んだりするたびに、ダーティデータを破棄して、最新情報を追加すれば、パイプラインは常に円滑な状態で維持されます。Salesforce では、Sales Cloud のダッシュボードを使用して、パイプラインを可視化し、商談がどのフェーズにあるのかを確認しています。

パイプラインと商談のフェーズ情報が表示されたセールスダッシュボード。

データをクリーンな状態に保ち、商談を前進させるために、CRM に追跡可能な指標と見込み客の詳細を設定し、定期的に見直すことができます。営業担当は、各自の目的に合わせてパイプラインの指標をカスタマイズする必要がありますが、ここでは、通常含まれる基本的な指標をいくつか説明します。以下の指標を監視することで、パイプラインの状態について多くのことがわかり、潜在的な問題を早期に発見できるようになります。いくつかの考慮すべき指標を次に示します。

指標

説明

リードソース

見込み客はどのようにして商品を知ったのか、メールキャンペーン、印刷物によるプロモーション、デジタルマーケティングなどがソースとなったのかを確認します。このようなソースに注目するようになると、一部のソースが他のものよりもコンバージョン率が高いことがわかる場合があります。オンライン広告を偶然見つけた場合よりも、紹介の方が購入に至る可能性が高いことがあります。

業種

幅広い業界の購入者が商品に興味を持つ可能性があるが、特定の業界でより人気があるのかを確認します。この指標を追跡することで、それを明らかにすることができます。

商談規模

予算は見込み客によって異なります。数十万ドルの予算を用意できる見込み客もいれば、商品を買う余裕がまったくない見込み客もいるでしょう。これを念頭に置きながら、ピッチをカスタマイズし、優先順位を付けます。

意志決定者

最終的に指揮を執る人物に直接連絡する手段はあるか、営業 VP やセールスオペレーション VP と話をしているか、また、そうでない場合、どのようにして意思決定者とつながることができるかを確認します。

コンバージョン率

すべての評価済みのリードが顧客になるわけではありません。正確に予測するには、最終的に商談の何パーセントがフェーズを進んでいくのかを把握する必要があります。四半期末までに 500 件の商談を成立させようとする場合、コンバージョン率が 10% であれば、その目標を達成するにはパイプラインに 5,000 件の商談が必要であることになります。

販売速度

チームが 1 日にどれだけの収益を生み出しているかを確認します。販売速度は、パイプラインを進んでいく商談の速度を調べることで、これを測定するのに役立ちます。速度が遅ければ、パイプラインのボトルネックとなっていることを示します。また、その見込み客について、さらに労力を費やして前進させるか、それとも完全に削除すべきかを再評価する必要があるかどうかも示しています。

セールスパイプラインの金額

パイプラインにあるすべての商談の金額 (ドル) を集計します。この数値は、チームの努力の投資収益率を判断するのに役立ちます。

営業サイクル期間

担当がリードを評価してから、その商談を成立させるまでの所要時間はどのくらいかを確認します。これにより、一定期間内に何件の商談成立が見込めるかを推測することができます。また、担当が平均的な営業サイクル期間を知っていれば、商談の進捗を測定する目安にもなります。

営業担当と連携してセールスパイプラインを改善する

セールスパイプラインを測定して管理する場合、CRM は最良のツールとなりますが、担当との頻繁にコミュニケーションを取ることの重要性を甘く見てはいけません。健全なセールスパイプラインにとって、CRM のデータをクリーンな状態に保つことは重要ですが、パイプラインのレビューも同じくらい重要です。

定期的なパイプラインレビューでは、マネージャーと担当が 1 対 1 で保留中の商談の状況について話し合いますが、このレビューは不安を生む原因となっています。ただし、営業チームはこのレビューを、目標を再調整して (必要な場合)、追加のコーチングを受ける機会として捉えるべきです。これが適切に行われると、パイプラインミーティングで次のようないくつかの事項を達成できます。

  • 営業担当と営業マネージャーの双方に説明責任を持たせるシステムを構築する。
  • 具体的なタイムラインで実施項目と商談の優先順位を設定する。
  • パイプラインの各フェーズの終了条件を確認する。

何よりも、マネージャーは担当との信頼関係を築くために共感と忍耐を実践する必要があります。これにより、担当は失敗から多くを学び、士気を高め、最終的には生産性を向上させることができます。

リソース