販売契約と交渉について学ぶ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 販売契約とは何か、どのような場合に使用するのかを説明する。
- 交渉における自身の役割を認識する。
- 円滑な契約締結に向けて準備する。
販売契約の概要
販売契約とは、購入者と販売者の間で交わされる契約です。販売者は、購入者が支払うことに同意した設定価格で商品やサービスを提供することに同意します。契約書には取引条件の概要だけでなく、提供される商品やサービスの詳細が明記されています。契約書は法律上および記録管理上の理由から保持することが重要です。
米国におけるすべての商取引を規定する Uniform Commercial Code (UCC: 米国統一商事法典) によると、書面による契約には以下を記載する必要があります。
- 取引に関わるすべての関係者
- 販売対象
- 契約の特記事項
- 契約金額
- 支払方法
また、UCC では、金額が $500 を超える販売には、強制力を持たせるために販売契約書を添付しなければならないと定められています。多くの場合、販売契約書には以下の条項が含まれます。
- 売買契約: 売買契約は購入対象と販売条件を定義するものです。
- 注文フォーム: 購入者が具体的なニーズを記入し、販売者に返送するフォームです。
- 変更注文フォーム: このフォームを使用して、購入者は既存の注文を変更できます。このような変更が既存契約に追加されると、契約条件の調整が行われます。
- マスターサービス契約: MSA は長期契約を対象にしたものであり、将来のすべての契約に関する条件の概要が示されています。
- 作業明細書: SOW は、請負業務やサービスによく使用されます。SOW には請負業者が提供するものが網羅され、期限、支払詳細、関係の要件が含まれています。
- 利用規約: デジタル製品、Web サイト、モバイルアプリケーション、ソフトウェア、オンラインストアなどの提供物をユーザーがどのように利用するかを定義する条項をまとめたものです。
- 更新およびアップセル契約: 更新とは、顧客が以前の契約を更新することを選択した場合の契約です。アップセル契約は更新と同じものですが、追加の商品やサービスが含まれています。
上記のすべてが同じ契約で必要になるわけではありませんが、どのような種類の契約がビジネス目標に最も適しているかを判断するために、知識を深めておくことをお勧めします。契約について少し理解できたところで、このまま読み進めて、契約の交渉の方法について学習しましょう
販売契約の交渉
交渉において、双方が納得できるまで契約書を編集するプロセスは「赤線引き」と呼ばれます。契約書にサインするまでに何度も版を重ねる可能性があるため、順調に進められるように実行計画を準備します。
まずは、社内で準備します。商談に適用される交渉のしきい値があるかどうかを確認します。しきい値があっても、法的なサポートが必要だと感じる場合は、適切な承認を得ます。お客様のプロセスとタイムラインについては、必ず理解してください。また、法務担当者と連携し、最初から適切な交渉戦略について意見をまとまておくことも重要です。商談サポートチームと自分のチームの足並みが揃っているかを確認します。確認できたら、リソースの対応可能状況、電話のタイミング、ドキュメント処理に関するコラボレーションを計画します。
また、実行計画を作成する際には、次の質問を検討することをお勧めします。
- お客様の法務チームとどのように関わるか? 法律に関する入門プレゼンテーションが役立つ場合もあれば、FAQ を参照する方が好まれる場合もあります。
- 最大の効果を得るために、見込まれる譲歩をいつ、どのように位置づけるか?
- 特定の問題に対して、どのチームが主導するのが最適か?
- お客様に対して、どのように一致団結して対応するか?
社内コミュニケーションは、すべてのステークホルダーが参照できる一元化された情報源になるため、可能な限り合理化します。
また、お客様の準備も重要です。法務チームと協力して、契約書に添付する要約レターや FAQ を用意し、法務チームが契約書を確認する前に、お客様向けに契約条件を定義しておきます。契約交渉のミーティングでは、進行役を務め、実施項目や未解決の問題を記録します。
法務チームは、契約譲歩の承認をいつ、どのように求めるかについてガイダンスを提供することができます。譲歩の承認を求める前に、お客様と最初の電話セッションを行い、契約について説明します。一般的に、お客様が契約条件とそれが含められている理由を理解すると、契約変更の回数を大幅に減らすことができます。
また、最初の電話セッションによって、お客様も自身の懸念事項が契約によって解決され、バランスの取れた適切な条件が提示されていることを確認できます。契約書の修正箇所が合意されたら、あとは正当に権限が与えられた両社の代表者が契約書に署名するだけです。このタイミングをコントロールし、契約締結プランに影響を及ぼすリスクを回避するために、お客様と自社の両方の署名プロセスを必ず理解するようにしてください。
たとえば、お客様によっては、手書きの署名などの特別な承認ルールや署名ルールがあり、最終交渉や商談の成立に要する時間に影響する場合があります。こういったことを商談のタイムラインに組み込むことで、予想外の混乱を回避し、商談を無事成立させることができます。
最後に、生産性の高いチームの雰囲気作りに努力することが重要です。このような契約は、法務部門と協力して行うことを忘れないでください。率直になり、敬意を払い、親身になることで、きっと成功できます。