Sales Cloud と Data Cloud でデータドリブンの計画を強化する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Sales Cloud と Data Cloud を統合してビジネス業務を強化することのメリットを挙げる。
- Data Cloud の基本機能と目的について説明する。
- Sales Cloud と Data Cloud のインテグレーションのユースケースを挙げる。
Sales Cloud は、セールスプロセスを強化して生産性と収益を高める動的な CRM プラットフォームです。取引先、リード、商談の管理に優れ、営業サイクルを通してリードを簡単に追跡して育成できるようにします。このプラットフォームは、見込み客をシームレスに追跡してエンゲージする強力な機能を備えています。付属の Sales Engagement ツールは、コミュニケーションケイデンスを構造化して、見込み客との一貫したやりとりを可能にします。
また、Sales Cloud によってセールスパイプラインへの可視性が高まり、ボトルネックや機会を見極めやすくなります。売上予測や Revenue Intelligence などの高度な機能は、分析と AI を駆使して売上高を予測し、セールストレンドや顧客とのやりとりに対する詳しいインサイトを提示します。
Sales Cloud が強力なツールであることは明らかです。ところで、このエンジンの真の原動力は何なのでしょうか? データです。Sales Cloud は膨大な情報を活用して断片的なデータをアクション可能なインサイトに変え、競争が激化する今日の環境で成功を目指すあらゆる企業の貴重なリソースにします。
私たちがデータという場合は、Salesforce データを意味します。ただし、Salesforce データだけで全体像を把握できるとは限りません。たとえば、AWS (Amazon Web Services) の過去の購入データを使用してリードを評価できるとしたらどうでしょうか? この貴重なデータは Salesforce の外部に存在します。Data Cloud があれば、この外部データを Sales Cloud にシームレスに統合して、以前に類似商品に関心を示した見込み客を特定することができます。営業チームがこの外部データを Salesforce インサイトと組み合わせれば、取引開始の可能性が高いリードへのアウトリーチを優先し、最終的にセールスの効率と成立率を向上させることができます。
Data Cloud のご紹介
Data Cloud は、外部のデータウェアハウスやシステムから取り込んだ関連データで、連携する Sales Cloud の性能を強化する拡張エンジンと考えることができます。ほぼすべての場所にある外部データを Salesforce に取り込むことができます。使用可能なオプションは次のとおりです。
たとえば、売上予測にサブスクリプション、更新、キャンセルのデータを追加すれば、売上予測の精度を高めることができます。この場合は、Salesforce と Snowflake を接続して、お客様のサブスクリプションデータを取り込みます。この結果、次のことが可能になります。
- 過去のサブスクリプションの更新やキャンセルを分析して、将来の売上予測の指針となるパターンを特定する。
- 使用パターンを把握して、お客様をエンゲージメントに基づいてセグメント化し、更新またはアップグレードする可能性が高いセグメントを予測する。
- アップセルされることが多い商品やサービスを認識し、こうした領域の収益が増大する可能性を踏まえて予測を調整する。
総じて、外部ソースのデータを接続すれば、最適なタイミングでお客様とプロアクティブにエンゲージして、顧客維持率を高め、潜在的な収益を最大化することができます。
Data Cloud を連携して Sales Cloud の潜在性を最大限に高める
Sales Cloud の機能をデータで強化すれば、成果を最大限に高められるということがわかりました。ただし、データを結び付けることの真価を判断するためには、多くの営業チームが直面する実際の課題を取り上げて、その機能をテストする必要があります。「予算を最大限に活用して新規顧客を獲得して維持しながら、できる限り効果的にサービスを実施するにはどうすればよいか?」という昔からある問題を取り上げて解決してみましょう。
Salesforce は、営業活動の管理、カスタマーサービスのやりとりの追跡、市場キャンペーンの実行などで優れた性能を発揮します。こうした活動で得られたデータから、営業、カスタマーサービス、マーケティングのパフォーマンスに関する詳しいインサイトを得ることができます。
ただし、Salesforce で詳細なプロファイルややりとりの履歴を確認することはできますが、お客様との直接的なやりとりを超えた広範な購入行動やトレンドといった全体像を把握できないことがあります。つまり、Salesforce でやりとりやサービス要求は追跡できますが、通常はお客様が商品やサービスをどのように使用しているかまで把握できません。営業担当にとって魅力的なアップセル商談やクロスセル商談を見つけるためには、こうした広範な情報が極めて重要です。
効率を最大限に高めるには、お客様の購入習慣や商品の使い方など全体像を把握する必要があります。こうした情報は、注文、請求、CRM の取引先データ、顧客セグメンテーション、使用状況、売上予測、外部ソースからのマーケティング/エンゲージメントデータなど、外部ソースからデータを取り込むという方法で取得します。
Data Cloud があれば、すべてのデータを簡単に結び付けられるため、最適化の質問に答えるために必要なインサイトを収集して、各自の取り組みをレベルアップすることができます。
では、次のデータソースからどのような貴重なインサイトが得られるのか見てみましょう。
データ |
インサイト |
推奨アクション |
---|---|---|
注文と請求 |
購入トレンドやお客様の習慣を見極めます。 |
このインサイトを使用して、商品バンドルや対象を絞ったプロモーションを作成します。 |
CRM の取引先 |
プロファイル、デモグラフィック、過去のやりとりを確認して、お客様に対する理解を深めます。 |
パーソナライズされたコミュニケーション計画を立てます。過去のやりとりやデモグラフィックに基づいてメッセージやオファーを調整し、エンゲージメントを高めます。 |
顧客セグメンテーション |
購入行動やエンゲージメントのレベルでお客様を分類します。 |
可能性の高いお客様を見極め、その特定のニーズや好みに的を絞ったキャンペーンを実施します。 |
使用パターン |
お客様が商品をどのように使用しているか監視して満足度を測定し、改善点を見つけます。 |
現行の使用を助長する商品やサービスを提案します。たとえば、お客様が特定の機能を気に入っている場合には、そのエクスペリエンスを向上させる関連品目を推奨します。 |
売上予測 |
将来の販売トレンドと需要を予測します。 |
このインサイトを参考に、セールス戦略を微調整します。予想したトレンドに合わせて在庫、人員、マーケティングを調整します。 |
マーケティングエンゲージメント |
お客様へのエンゲージに最も効果的なチャネルやメッセージを見極めます。 |
機能しているものに注力し、機能していないものは改善または排除して、キャンペーンを微調整します。 |
以前は、複数のソースの情報を検討する必要があり、可能性を自分で計算しながら、直感を頼りに判断を下していました。今では、主要なインサイトを収集して、確固たるデータに裏付けられた計画と次のステップを立てることができます。
こうした計画をロールアウトするときは、平均注文金額 (AOV)、顧客生涯価値 (CLV)、年間契約金額 (ACV)、顧客離脱率などの主要メトリクスに目を向けます。取得したインサイトを参考に時間や労力を有効活用して、新規顧客の獲得と既存の顧客の維持に重点的に取り組みます。
上記はほんの一例です。インサイトやアクションをどのように活用するかは、独自のビジネスやセールス手法によって異なります。ただし、あらゆるデータとツールを備えていれば、イノベーションを推進し、その過程で直面する課題に対処することができます。
別のシナリオを見てみましょう。
一般的な問題 |
Data Cloud の使用 |
推奨アクション |
---|---|---|
売上予測やパイプラインを可視化できない |
請求、出荷、その他のデータを結び付けて一元化し、正確な売上予測と商談評価のインサイトを作成します。 |
売上予測を調整して適切なお客様に対象を絞り、計画を更新して、パイプラインを拡大し、目標を達成します。 |
さまざまなチャネルにまたがるカスタマージャーニーの全体像を追跡できない |
Salesforce データをエンゲージメントメトリクス、過去の購入、購入パターンと結び付けて一元化し、取引先の健全性に対する理解を深め、お客様が購入する可能性を計算します。 |
主要な取引先に絞って計画をカスタマイズし、詳細な行動分析に基づいてクロスセルとアップセルを強化します。 |
最新情報を反映した完全な顧客プロファイルがない |
Salesforce データを ERP、過去の購入、ニュース、ソーシャルメディア、Web エンゲージメントのデータと結び付けて一元化し、古くなった静的な取引先責任者を最新情報で更新します。 |
最新情報を反映した完全な顧客プロファイルを作成します。このプロファイルを使用して、アカウントプランニングを強化し、リードに効果的にエンゲージします。 |
チームの営業活動に関する詳細情報が不足している |
Salesforce データを活動メトリクス、サードパーティのミーティングツール、ソーシャルプラットフォームデータ、請求情報と結び付けて一元化し、営業活動のインサイトを向上させます。 |
営業担当ごとに明確で測定可能な目標を設定して生産性を高め、日々の取り組みを営業目標に即したものにします。オンボーディングプログラムを実装して、新任の営業担当がすぐに溶け込み、セールスプロセスを進行できるようにします。 |
Data Cloud と Sales Cloud を統合するということは、営業チームにスーパーパワーを与えるようなものです。あらゆるデータをクリック操作で分析できるため、売上予測が経験に基づく推測から、緻密に計算された予測に変化します。このダイナミックな連携により、売上を追跡するだけでなく、占い師のごとく自信をもって将来の収益ストリームを予測し、その予測を実際のデータで裏付けることができます。
顧客生涯価値を最大化する場合でも、取引先責任者レコードを商談に変換する場合でも、的を射たコーチングのために営業活動のインサイトを向上させる場合でも、Data Cloud と Sales Cloud の連携により、ビジネス業務が順調に収益を生み出すマシンに早変わりします。