チームを成長させる
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 人員配置のオプションについて説明する。
- チームプロセスのベストプラクティスを挙げる。
成功を見据えた成長
少人数のマーケティングチームでも優れた成果をあげることができますが、成長やデジタルトランスフォーメーションに取り組むときは、チームの構成を見直し、キャンペーンの拡大に対応できるように新たなロールを勘案します。チームの拡張が可能な場合は、次のロールの追加を検討します。
ロール | 責務 |
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エクスペリエンスデザイナー/プランナー |
カスタマーエクスペリエンスの向上に重点的に取り組むエクスペリエンスデザイナー/プランナーの職務:
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オーディエンスストラテジスト |
適切なお客様に適切なメッセージを届けることに重点的に取り組むオーディエンスストラテジストの職務:
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データサイエンティスト |
高度なデータと分析に重点的に取り組むデータサイエンティストの職務:
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コピーライター |
コミュニケーションを目的とするコンテンツの作成に重点的に取り組むコピーライターの職務:
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展開スペシャリスト |
キャンペーンの展開に重点的に取り組む展開スペシャリストの職務:
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テクニカル QA/QA スペシャリスト |
オペレーションの改善に重点的に取り組む QA スペシャリストの職務:
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配信到達性コンサルタント |
メールの配信到達性の分析に重点的に取り組む配信到達性スペシャリストの職務:
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開発フェーズ
上記の全ロールを採用できる企業もありますが、それが現実的ではないチームもあります。結局のところ、どの企業にも通用する極意というものはありません。その時々の内的要因や外的要因に応じて、上記の分野の専門知識を使い回す必要のある場合もあります。また、チームの開発の特定のフェーズでリソースが必要になることも少なくありません。以下は、開発の主な 3 つのフェーズと、各フェーズに検討すべきロールです。
フェーズ | 目標 | 関連ロール |
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実装 |
新しい Marketing Cloud Engagement アカウントを構成する、または新しい機能を追加する。 |
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オペレーション |
オートメーションを使用して、送信、分析、プロセスの改善を行う。 |
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トランスフォーメーション |
将来に向けた計画を立て、新しいチャネルに拡大する。 |
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最初の 2 つのフェーズについては、以下の図に実装時とオペレーション時に必要なスキルが示されています。実装では、取り組みの 33% がアーキテクチャに費やされ、データモデルの開発、ソリューションの設計、連携作業などを行います。オペレーションでは、取り組みの 30% がキャンペーンの開発に費やされ、オーディエンスの構成、キャンペーンの構築、ジャーニーの開発などを行います。
マーケティングのこうしたフェーズの進行に伴ってチームが取り組むタスクが変化し、注力する内容がシフトします。そのため、新しい実装プロジェクトに着手する前に、チームの構成を検証することが重要になります。そうすれば、アーキテクチャの処理能力が足りないといった重要な阻害要因を特定することができます。幸いにも、こうした人材の穴を埋める方策が存在します! では、NTO が人材の欠如にどのように対処するのか見てみましょう。
人材の穴を埋める
NTO のマーケティングチームは順調にキャンペーンをお客様に届けていますが、プロセスやカスタマーエクスペリエンスを改善する新しいプロジェクトに取り組むことができていません。Ralph は、1 年も前から議論されている新しいカスタマージャーニーを取り入れたいと思っています。Isabelle は手が空き次第すぐやると言いつつも、チームが大半の時間をキャンペーンの開発に費やしているため、他のことが二の次になっている点を認めています。では、Ralph が検討すべき人材配置の解決策を見てみましょう。
解決策 | 説明 |
---|---|
スタッフを雇用する |
Isabelle は現在のスキルセットを評価して、Michele と Pia がいればプロジェクトの作業を遂行できると判断しました。けれども、Isabelle と Michele がプロジェクトの作業に時間を取られれば、キャンペーンの展開に手が回らなくなります。Isabelle は専任のキャンペーンマネージャーとテクニカルプロデューサーを雇用して、Paulo と業務に取り組んでもらうことを提案しました。 |
プロジェクトの短期要員を雇用する |
Ralph は、スタッフを雇えば展開を手伝ってもらえ、プロジェクトの作業は Michele と Pia で対処可能ながら、この 2 人が慣れない新機能を実装するとなると時間がかかるだろうと考えます。NTO のリーダーシップは新しい Marketing Cloud Engagement の機能を検討しているため、Ralph は実装を補助するサービスやパートナーを雇うほうがよいのではないかと思案します。そうすれば、チームは改善策に集中でき、新しいプロダクトにもすぐ着手できます。 |
継続的なキャンペーン要員を雇用する |
Isabelle と Ralph が協議した 3 つ目のオプションは、フルサービスのキャンペーンチームを雇い、キャンペーンに専念してもらうことです。この場合、Isabelle、Michele、Paulo は計画とプロセスの改善に注力する一方で、キャンペーンの展開はこのサービスチームに担当してもらいます。 |
あなたならどのような雇用判断を下しますか?
チームにマーケティング上のニーズがある、予算が限られている、雇用の問題を抱えている、処理能力が足りない、1 つのプロジェクトに助けが必要であるなど、企業が業務の一部または全部のアウトソーシングを検討する理由はさまざまです。現行のニーズとマーケティングチームの目標が最終的な判断材料になります。
成功の秘訣
チームがどのような構成かに関係なく、成功しているマーケティングチームが共通して度々実施しているベストプラクティスとプロセスがあります。ここで、チームが成功するためのヒントをご紹介します。
- ロールと具体的な責務を明確にする。チームメンバーの全員が、すべてのプロジェクトにおける各自のロールと担当する具体的なタスクを認識しているようにします。チームの RASCI チャートを作成するとわかりやすいかもしれません。
- チームメンバーの作業のサイロ化を最小限に抑える。チャネルに関係なく、チームメンバーの全員が、共通のマーケティング計画の推進に向けて協力する必要があります。チームメンバーが他のチームの仕事をしている場合でも、認識を一致させ、目標を共有すれば、見解の相違を最小限に抑えることができます。
- コミュニケーション計画を立てる。チームが Slack やメールを使用する場合でも、すれ違いざまに伝え合う場合でも、タスクが完了した時点で共有するという一貫したポリシーを確立します。チームと社内の関係者間で一貫した社内コミュニケーションを図れば、チームに健全な習慣が培われます。
プロセスの改善
効率的なチームを編成するもう 1 つの方法は、業務を明確に定義することです。
- 受け入れプロセスを設ける。社内の関係者があなたのチームに何かを依頼する場合、どのように行っていますか? 受け入れフォームの多くには、期限、コンテンツ、オーディエンス要件、必要なアセットを入力してもらう欄があります。どのようなプロセスを使用するかに関係なく、確固たる一貫性をもって受け入れプロセスに従うことを義務付けます。
- 構成と展開のプロセスを定義 (して記録) する。プロセス全体の概要を示し、参考資料やイネーブルメント資料を作成します。作成したら、すべてのマーケティングドキュメントを保管する共通の場所を定めます。
- 変更をトラッキングして処理する方法を決定する。依頼のステータスとプロセスの進行状況をトラッキングする方法を確立します。また、関係者からフィードバックを取り付けて集約する方法も検討します。
- Marketing Cloud Engagement アカウントを整理する。Marketing Cloud Engagement アカウントの各ビジネスユニット内で、メールのフォルダー構造を取り決めます。また、メール、データエクステンション、オートメーションなどのアセットに標準命名規則を定め、制作チームのメンバー全員が従うようにします。
- 品質保証 (QA) の検査プロセスを定義し、チェックリストを使用する。制作プロセス全体に QA を組み込みます。すべての要件が正確であることや、チームがレビューとテストを完了したことを確認するチェックリストを作成すると役立ちます。誤字脱字やリンク切れを防ぐこともできます!
チームが一丸となって 1 つの目標に取り組む
成功するマーケティングチームは概して、カスタマーエクスペリエンスを向上させるという共通目標のもとに連携しています。マーケティング上の決定については、その目標にどのようなインパクトをもたらすかという点に基づいて常に評価して優先順位を付ける必要があります。チームの構成もこの例外ではありません。上記のロールと責務を念頭に取り組めば、ビジネスのあらゆる側面からカスタマーエクスペリエンスを向上させていく新たな方法が見つかるものと思われます。