ダッシュボードとグラフによるデータの視覚化
学習の目的
ダッシュボードの作成
優れたレポートは意思決定やアクションの実施に役立ちますが、利用者や使用するデバイスによっては、ときにはインサイトを一目で把握する必要もあります。そのような場合にダッシュボードを使用します。ダッシュボードは、Salesforce データをグラフィカルなレイアウトに集計および表示するユーティリティです。
Salesforce ダッシュボードでは、ダッシュボードコンポーネントを使用して 1 つのダッシュボードページレイアウトに複数のレポートを並べて表示できます。ダッシュボードコンポーネントにはさまざまな種類のグラフが用意されており、コンポーネントごとにデータのグループ化、集計、および表示方法をカスタマイズできます。ドラッグアンドドロップダッシュボードビルダーは直観的なインターフェースで、Salesforce で作成したソースレポートや Visualforce ページからダッシュボードを構築できます。
ダッシュボードに加え、レポートやレコードのページレイアウトにグラフを追加するオプションもあります。レポートグラフとダッシュボードコンポーネントでデータを視覚化するオプションについては、この後で説明します。
ドラッグアンドドロップダッシュボードビルダー
ドラッグアンドドロップダッシュボードビルダーは、データを一目で簡単に把握できるように視覚化します。ダッシュボードビルダーにアクセスするには、[レポート] タブをクリックし、[新規ダッシュボード] をクリックします。
ドラッグアンドドロップ ダッシュボードビルダーの概要については、こちらの短い動画を参照してください。

ダッシュボードを構築するには、まず初めに、コンポーネント [1] をプレビューペイン [3] にドラッグします。各コンポーネントには、異なる視覚的グラフ表示によってレポートデータが表示されます。コンポーネントをドラッグした後、[データソース] タブ [2] をクリックし、レポートを選択します。そのレポートをプレビューペインのコンポーネント上にドラッグします。ダッシュボードコンポーネントによってグラフが生成されるまで少し時間がかかります。そして、ご覧ください! ダッシュボードコンポーネントにデータが表示されます。表示されるデータは実行ユーザによって異なります [4]。ここに入力されたユーザ名によって、ダッシュボード全体で表示されるデータが決まります。
コンポーネントの種類を選択するときには、次の点を考慮してください。
コンポーネントの種類 | 使用するタイミング |
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データをグラフィカルに表示するには、グラフを使用します。さまざまなグラフの種類から選択できます。 |
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カスタム値の一定の範囲内に表示したい 1 つの値がある場合は、ゲージを使用します。 |
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表示するキー値が 1 つの場合は、総計値を使用します。
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レポートデータを列形式で表示するには、テーブルを使用します。 |
Visualforce ページ | Visualforce ページは、カスタムコンポーネントを作成したり、別のコンポーネントの種類では表示できない情報を表示したりする場合に使用します。 |
ダッシュボードコンポーネントで使用するレポートを選択するときには、すべてのレポート形式を使用できますが、表形式レポートをダッシュボードで使用するには、行数を制限する必要があります。
ダッシュボードの作成
手順に従ってダッシュボードを作成していきましょう。最初に、ダッシュボードで使用するソースレポートを作成する必要があります。この例では、単純なリードレポートを作成します。
- [レポート] タブをクリックします。
- [新規レポート] をクリックし、レポートタイプとして [リード] を選択します。
- 次のような検索条件を追加します。
- [表示] で [すべてのリード] を選択します。
- [日付項目] で [作成日] を選択します。
- [範囲] で [常時] を選択します。
- [表形式] をクリックし、[サマリー] を選択します。
- [リードソース] を [項目] ペインから [プレビュー] ペインの [グルーピングを作成するには、ここに項目をドロップします] セクションにドラッグします。
- [リード 所有者]、[名]、[姓]、[役職]、[会社名 / 取引先]、[評価]、[町名・番地]、[メール] の各列はすでにレポートに含まれています。
-
[レポート実行] をクリックします。レポートは、次のようになります。
このチュートリアルの実行に使用する組織に応じて、レポートの実行時にデータが表示される場合とされない場合があります。
- [別名で保存] をクリックし、レポートに「Leads by Lead Source」 (リードソース別リード一覧) と名前を付け、自動生成された一意名を受け入れます。
- My Personal Reports フォルダを選択します。
- [保存してレポートに戻る] をクリックします。
レポートが作成できたところで、次はダッシュボードコンポーネントを使用して視覚化しましょう。
- [レポート] タブをクリックします。
- [新規ダッシュボード] をクリックします。
- [コンポーネント] タブから円グラフコンポーネントをプレビューペインにドラッグアンドドロップします。
- [データソース] タブをクリックします。
- [Leads by Lead Source (リードソース別リード一覧)] レポートを検索し、円グラフコンポーネントの上にドラッグアンドドロップします。
- しばらくするとグラフが生成されます。グラフが生成されたら、[ヘッダーを編集] セクションをクリックし、「Leads by Lead Source」 (リードソース別リード一覧) と入力します。
- 必要に応じて、タイトルとフッターを入力します。
- ダッシュボードコンポーネントの右上隅にあるレンチアイコンをクリックします。
- [フォーマッティング] タブで、次の手順を実行します。
- [行を並び替え] を選択し、[降順 (表示ラベル)] を選択します。これにより、コンポーネント上の値がアルファベット順に配置されます。
- [凡例の表示位置] を選択し、[グラフ上] を選択します。
- [OK] をクリックします。
- [保存] をクリックし、ダッシュボードに「Leads Dashboard」 (リードダッシュボード) と名前を付け、自動生成された一意名を受け入れます。
- 説明を入力し、My Personal Custom Dashboards フォルダを選択します。
-
[保存してダッシュボードを実行] をクリックします。実際のダッシュボードの表示は次のようになります。
これで、単純なレポートと、ソース別にリードを視覚化するダッシュボードを作成できました。
ダッシュボードを初めて構築するときは、AppExchange からサンプル CRM ダッシュボードをダウンロードして、サンプルとして使用することをお勧めします。詳細については、こちらのヘルプトピックを参照してください。
ダッシュボード検索条件
ダッシュボード検索条件により、1 つのダッシュボードからさまざまなデータの組み合わせを簡単に得られます。異なるユーザセットでダッシュボードを分ける必要はありません。各グループに合った検索条件を指定するだけで済みます。
たとえば、営業ダッシュボードで、商談の複数のフェーズを「初期」というグループにまとめることができます。これにより、ユーザはダッシュボードをすばやく絞り込んで、開発の初期フェーズの商談に関連するデータのみを表示できます。
作成したばかりの「Leads Dashboard」 (リードダッシュボード) を使用して、手順に従ってダッシュボード検索条件を作成していきましょう。ここでは、[状況] 項目の値をバケット化して検索条件を作成します。
- [Leads Dashboard (リードダッシュボード)] で [編集] をクリックし、[検索条件を追加] をクリックします。
- [項目] ドロップダウンから、[リード 状況] 項目を選択します。ダッシュボードに複数のコンポーネントがある場合、ドロップダウンには、すべてのコンポーネントの絞り込みに使用できる項目が表示されます。この例では、ダッシュボード上のコンポーネントは 1 つのみです。
- 識別できるように検索条件に表示ラベルを付けます。検索条件に数多くの同等項目を含める場合、すべてのコンポーネントに有効なラベルを使用することをお勧めします。この例では、「Lead Status」 (リード状況) という名前を使用します。
- [検索条件オプション] の下で、演算子を選択し、検索条件となる 1 つ以上の値を入力します。
- [グループ名] 項目を使用して、検索条件の名前を付けます。この例では、「Open」 (進行中) と「Closed」 (完了) の 2 つのグループを作成します。
-
[OK]、[保存 & 閉じる]、[閉じる] の順にクリックしてダッシュボードに戻ります。これで、リード状況でコンポーネントを絞り込めるようになりました。
いいですね! これで、[Leads Dashboard (リードダッシュボード)] でリード状況による検索条件が使用できるようになりました。既存の検索条件を変更または削除するには、条件ドロップダウンから、[検索条件を編集] または [検索条件を削除] を選択します。
- Visualforce コンポーネントが含まれるダッシュボードに検索条件を追加することはできません。
- バケット項目を検索条件にした絞り込みはできません。ただし、ダッシュボードページのバケット項目で絞り込んだレポートを使用することは可能です。
- ダッシュボードのスケジュール設定またはメール送信を行う場合、検索条件は適用されません。
- ダッシュボードビューの結合レポートのデータを検索条件で絞り込んだり、結合レポートのみが含まれるダッシュボードに検索条件を追加することはできません。
動的ダッシュボード
動的ダッシュボードでは、各ユーザのアクセス権に応じてデータが表示されるため、ユーザごとにダッシュボードを作成する必要がありません。
つまり、ユーザがログインすると、そのユーザのセキュリティと共有設定に基づいて適切なデータが表示されるようになっているため、1 つの強力なダッシュボードを社内で複数のユーザに使用できるわけです。
実際の例を見てみましょう。商談チームは、1 人の副社長、4 人の営業マネージャ、および 40 人の営業担当で構成されているとします。つまり、営業マネージャ 1 人あたり 10 人の営業担当になります。ロールと階層で制限される次の総計値が表示されるダッシュボードの作成を依頼されました。
役割 | 合計契約数 | 競合会社の商談成立率 | ミーティング種別ごとの活動数 |
営業担当 | ![]() |
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営業マネージャ | ![]() |
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営業担当副社長 | ![]() |
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表示されるデータは、営業担当の場合は各自のデータのみ、マネージャの場合は管理する営業担当のデータのみ、副社長の場合はチーム全体のデータとなる必要があります。このような場合、従来の方法ではそれぞれのユーザに対応する 45 個のダッシュボードを個別に作成する必要がありました。また、複数のフォルダを作成してアクセス権を管理する必要もありました。
動的ダッシュボードでは、次のように 2 つのダッシュボードを作成して 1 つのフォルダに保存するだけで済みます。
- 次のコンポーネントがある営業担当用の動的ダッシュボードを作成します。
- 合計契約数のゲージ
- ミーティング種別ごとの活動数を示すテーブル
- 次のコンポーネントがあるマネージャおよび副社長用の動的ダッシュボードを作成します。
- 合計契約数のゲージ
- 競合会社の商談成立率の縦棒グラフ
- 必要に応じて、ダッシュボードの表示をさらに絞り込むことができる検索条件を作成します。たとえば、主要な取引先に検索条件を作成して、閲覧者が取引先ごとの契約、活動、および競合の脅威に焦点を当てることができるようにします。
各ユーザには、そのユーザがアクセスできるデータのみが表示されます。営業担当には、自分の契約数と活動数が表示されます。マネージャには、管理する営業担当の契約数と商談成立率が表示されます。副社長には、チーム全体の契約数と商談成立率が表示されます。総計値はマネージャも副社長も同じであるため、両方のロールで同じ動的ダッシュボードを使用できます。動的ダッシュボード機能によって、必要なダッシュボードの数が 45 個から 2 個に削減されます。
動的ダッシュボードごとに最大 3 つの検索条件を作成できます。動的ダッシュボードの絞り込みにより、管理者はより柔軟にダッシュボードを作成できるようになりました。たとえば、営業担当と商品の検索条件が含まれた組織全体の営業スコアカードを作成できます。これにより、各営業マネージャは部下の個々のパフォーマンスを表示することも、全体の合計を表示することもできます。また、商品別に売上を表示できるため、特定の営業担当が営業成績を上げている商品と上げていない商品を確認できます。
実際の例で前述したとおり、「私のチームのダッシュボードの参照」権限または「すべてのデータの参照」権限を持つマネージャは、ロール階層内で自分より下位のユーザとしてダッシュボードをプレビューするオプションがあります。
動的ダッシュボードの設定
- [ダッシュボード] タブで、新しいダッシュボードを作成するか、既存のダッシュボードを編集します。
- [次のユーザとしてダッシュボードを参照] 項目の横にある [ドロップダウンボタンとしてダッシュボードを表示] をクリックします。
- [ログインしたユーザとして実行] を選択します。
- 必要に応じて、[承認されたユーザが実行ユーザを変更] を選択し、権限を持つユーザがダッシュボードビューページの実行ユーザを変更できるようにします。
- 「私のチームのダッシュボードの参照」権限を持つユーザは、ロール階層内で自分より下位のユーザとしてダッシュボードを表示できます。
- 「すべてのデータの参照」権限を持つユーザはダッシュボードを編集でき、組織のどのユーザとしてもダッシュボードを表示できます。
- 実行ユーザではなく、「すべてのデータの参照」権限を持っていなくても、ダッシュボードへのアクセス権があれば「他のユーザのダッシュボードの有効化」権限を持つユーザはダッシュボードを編集できます。
- [OK] をクリックします。
- [次のユーザとしてダッシュボードを参照] 項目に実行ユーザを入力します。
- ダッシュボードを保存します。
- [レポート実行] ページで、適切な [表示] オプションを設定します。
- たとえば、[私のチームの商談] を選択すると、各動的ダッシュボード閲覧者はチームのすべての商談を表示できます。
グラフの作成
レポートグラフ
ダッシュボードは作成せずに、グラフをレポートに追加したいだけなら、レポートグラフがお勧めです。レポートグラフを使用すると、単独のグラフをレポート上部に直接配置できるため、レポートを表示したときに、グラフとレポートの結果を 1 つのビューで確認できます。
レポートグラフを追加する手順は、次のとおりです。
- レポートビルダーでレポートを開きます。
- レポートビルダーで [グラフを追加] をクリックします。既存のグラフでは、[グラフを編集] をクリックします。
- グラフの種類を選択します。
- [グラフデータ] タブに、選択したグラフの種類に適した設定を入力します。
- [フォーマッティング] タブに適切な設定を入力します。
- [OK] をクリックします。
埋め込みグラフ
Salesforce にはいくつかのグラフが用意されていて、オブジェクトレコードに埋め込むことができます。埋め込みグラフを使用すれば、1 つのページレイアウトに 2 つまでのグラフを追加できます。こちらの例をご覧ください。その他の制限事項の詳細については、こちらのヘルプトピックを参照してください。
グラフを追加する前に、次の点を確認します。
- アクセスする必要があるユーザと共有するフォルダにソースレポートがある。個人レポートフォルダにあるレポートは、ページに追加できません。
- ソースレポート形式がサマリーまたはマトリックスである。
- ソースレポートにグラフがある。
準備は良いですか? 次に進みましょう。
- グラフを追加するオブジェクトのページレイアウトエディタに移動します。この例では、[ケース] を使用します。通常は、対象のオブジェクトを選択します。
- 標準オブジェクトの場合、[設定] から、[カスタマイズ] | [ケース] | [ページレイアウト] をクリックします。
- カスタムオブジェクトの場合、[設定] から、[クイック検索] ボックスに「オブジェクト」と入力し、[オブジェクト] を選択してオブジェクトを選択します。
- 外部オブジェクトの場合、[設定] から、[クイック検索] ボックスに「外部オブジェクト」と入力し、[外部オブジェクト] を選択します。リストから外部オブジェクトを選択します。
- ページレイアウトの横にある [編集] をクリックします。
- [レポートグラフ] をクリックします。
- [クイック検索] ボックスにレポート名を入力し、クイック検索アイコンをクリックしてレポートグラフを検索および選択します。[レポートグラフ] パレットで、グラフの種類別に最近参照した 200 個までのレポートを参照できます。
- レイアウトの新規または既存のセクションにグラフをドラッグします。
- グラフでレンチアイコンをクリックしてカスタマイズします。
- [保存] をクリックします。
これで完了です。これで、レポートグラフがページレイアウトに追加されました。