効果的なソリューションを確認する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 共感をもって耳を傾けることの重要性を説明する。
- デール・カーネギーの傾聴の原則を適用する。
- リレーションシップセリングのオブジェクションに対処する。
共感をもって耳を傾ける
オブジェクションが生じるとストレスを感じることがあります。どのように対処するのでしょうか? この単元では、デール・カーネギーの「相手の意見に敬意を払う」という原則に着目します。「あなたは間違っています」と言ってはなりません。オブジェクションに対処する際に何よりも難しいのが、共感をもってお客様の声に耳を傾けることである場合があります。
この単元では、セールスモデルの「確認する」フェーズの詳細に目を向け、共感的な傾聴やオブジェクションへの対処にどのように関係しているのか見ていきます。
デール・カーネギーが 1,000 人を対象に実施したグローバル調査では、消費者の 87% が、確固たる関係には営業担当の傾聴スキルが「とても重要」または「極めて重要」と回答しました。詳細は、「Trust Is Dead (信用の衰退)」ホワイトペーパーを参照してください。
傾聴して関係を深める
相手の言葉に耳を傾けることで、あなたが誠実で信頼のおける人物であることが伝わります。また、誰彼構わず話を聞いてくれそうな人にソリューションを勧めているのではなく、問題を解決したいという姿勢が表れます。こうして関係が構築されます。ですから、話すことよりも聞くことの比重を高めます。単に次の販売先を探しているのではなく、関係を構築したいと考えていることを示します。
以下は、効果的な傾聴に役立つ デール・カーネギーの原則です。
- 話している相手の目を見る。
- 言外の情報にも注意を払う。ボディランゲージに、発言と矛盾するメッセージがないか観察します。
- 辛抱強く聞くようにする。相手の話を遮ったり、相手の発言を横取りしたり、話題を変えたりしないようにします。
- 共感をもって耳を傾け、理解に努める。最後に理解度を試されるつもりで話を聞きます。
- 不明な点があれば、相手が話し終えるのを待って確認する。聞いた内容を自分の言葉で言い換え、理解していることを確認します。
- 早合点や勝手な思い込みを避ける。ありのままに受け入れるオープンな姿勢を維持します。
- 共感的な傾聴を実践する。気を散らすものをすべて取り除きます。
- 相手に寄り添い、注意が逸れないようにする。相手の立場になって物事を考えるようにします。
共感をもって聞くときは、耳だけでなく目も傾けます。購入と警告の兆候に注意を払います。ボディランゲージや表情、声の抑揚の突然の変化に注意します。観察した内容に応じて、前進または後退できるようにしておきます。こうした兆候についての詳細は、「ウィニング・ウィズ・リレーションシップ・セリング」コースを参照してください。
オブジェクションの本質を理解する
トランザクションセリングのアプローチでは、営業担当がオブジェクションを想定しています。オブジェクションの克服を「介入」として対処したり、「共感、同感、実感のオブジェクション処理」手法といった営業の技で対処したりします。ただし、お客様がこのようなトリックにひっかかることはほとんどありません。リレーションシップセリングモデルに従えば、多くのオブジェクションを阻止できます。
リレーションシップセリングを使用している場合は、トランザクション手法を使用している場合とは異なる方法でオブジェクションが生じます。トランザクションセリングで最も頻度が高いオブジェクションは価格です。トランザクションセリングでは自ずと価格が焦点になるため、通常このオブジェクションを克服する術はありません。
リレーションシップセリングで価格は 1 つのファクトにすぎません。この場合は、営業担当やパートナーがもたらす価値など、あなたが提供するものの全体的な価値が重視されます。
オブジェクションに対処する
デール・カーネギーにはオブジェクションに対処する数種の方策があります。こうした方策の適用例も以下にご紹介します。
方策 | 説明 |
---|---|
緩和する |
懸念に耳を傾け、その重要性を認識していることを示すやり方で応じます。オブジェクションに同意も反対もせず、回答もしません。伝えられた感情を認識します。 |
明確にする |
オブジェクションを明確にするために、威嚇しないように質問します。 |
いろいろな角度から検討する |
ある種の躊躇が、コミットメントを妨げている唯一の要因であることを確認します。 |
返答する |
躊躇を否定するか、認めるか、覆します。その説明も示します。
|
トライアルコミットメント |
オブジェクションが解消されたかどうかを判断する質問をします。 |
オブジェクションの例:「私のチームは現在使用しているプロセスに満足しています。」
- 緩和する:「時としてそういった意見も伺います。」
- 明確にする:「新しいプロセスについて知ることで、チームにどのような (主なメリット) があると思いますか?」
- いろいろな角度から検討する: 「この懸念のほかに、躊躇している理由がありますか?」
- 返答する:「チームが新しいプロセスに違和感を覚えているという懸念こそが、前に進むことを検討すべき理由なのかもしれません。(証拠) 同じような懸念を抱いていた別のクライアントの例を挙げますと...」
- トライアルコミットメント:「同じような成果を得ることができるとしたら、あなたのチームはどのように反応すると思いますか?」
疑念を払拭するために重要となるのが証拠です。証拠を準備しておくことのメリットは、自信をもって躊躇を克服できることです。こうしたやり方でオブジェクションに対処すれば、見込み客に対する敬意を示すことができます。これが関係構築に役立ちます。
実際に試してみる
「リソース」セクションに、「Respond to Objection (オブジェクションへの対処)」ワークシートへのリンクが記載されています。度々遭遇する一般的なオブジェクションを思い浮かべてください。このワークシートを使用すると、躊躇を克服し、お客様との関係を構築することができます。
次の単元では、ソリューションについてお客様に確認した後、コミットメントにつなげる方法を学習します。