お客様と一緒に取り組む
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 明確にする質問と確認する質問の違いを説明する。
- 質問モデルの各種の質問を適用して、お客様のニーズを判断する。
お客様と一緒にニーズを判断する
前の単元では、見込み客や組織内の意思決定者とつながることに取り組みました。お客様とつながることは、デール・カーネギーのセールスモデルの最初のフェーズです。2 つ目のフェーズは一緒に取り組むことです。このフェーズは、デール・カーネギーの「相手の立場になって物事を考えるようにする」という原則に基づきます。お客様の立場になって物事を考えるにはどうすればよいのでしょうか? 相手に質問することです。
営業担当の場合、お客様の立場になって質問するのが難しいことがあります。けれども、販売はお客様の心の中で行われます。適切な質問をして耳を傾けることで、相手の心の中で起こっていることに近づくことができます。ですから、会話の 80% をお客様に話させるというのが適切な目安になります。けれどもその前に、ミーティングの準備を整える必要があります。
アジェンダを設定する
お客様とのミーティングに臨む際、アジェンダを決めている人がどれだけいるでしょうか? アジェンダステートメントは、営業担当とお客様がミーティングの前またはミーティング中に一緒にアジェンダに取り組んで見解を一致させることができる多目的ツールです。このステートメントを使用すると、お客様に会話の主導権を握っていると実感させながら、営業担当が会話をさりげなく誘導することができます。次のようなアジェンダステートメントを作成します。
- 相手から即座の同意を引き出す (詳細は後述)。
- ミーティングへの関心を喚起する。
- お客様がミーティングをキャンセルする可能性を減らす。
- 適切な人々に出席してもらえるようにする。
- スムーズに質問に移行する。
- 営業担当ではなく、お客様のためのミーティングにする。
ステートメント自体は、次の 3 つの要素で構成されます。
購入者のメリット — お客様にとってのミーティングのメリットを明らかにする簡潔なステートメント
アジェンダ — ミーティングで話し合う領域の基本的な概要
先に進めるための質問 — 例: 「他に、このアジェンダに追加したいトピックはありませんか?」
戦略的に質問する
質問の効果を高める目的で、次の 2 種類の質問を活用します。明確にする質問では、お客様にその回答を詳しく説明するよう促します。確認する質問では、お客様が言ったことを繰り返し、自分が理解していることを確認します。以下に例を示します。
明確にする質問
- どのような点で?
- どうしてそう思うのですか?
- ...について詳しく説明してください。
- どういう意味ですか?
- そうなんですか?
- ...の理由を教えてください。
- その言葉にはさまざまな意味がありますが、あなたにとってはどういう意味ですか?
確認する質問: 通常は、「...ということですか?」で終わります。
- あなたがおっしゃったことは ...
- ...という理解で正しいですか?
- ...のように聞こえます。
- 私には...のように思えます。
- 私が理解しているところでは、あなたは...
的確な質問をするのは容易いことではありません。お客様のニーズや欲求に踏み込んでいく質問の仕方を学ぶ必要があります。適切な質問をすれば、事実の背後にある感情や理由も明らかになります。
また、質問することで、お客様が何を必要としているかを適切に判断できるようになります。お客様のニーズを明らかにする方法については、「ウィニング・ウィズ・リレーションシップ・セリング・コース」のニーズ分析、お客様のギャップ、質問モデルで詳しく説明されています。
ここでは、質問モデルを中心に説明します。
質問モデルについて知る
このモデルでは、お客様のニーズを引き出す目的で、「現状」「理想の状態」「変化」「成果」の質問に着目します。
このモデルは柔軟です。現状に問題がない場合などは、「現状」ではなく、「理想の状態」から始めることをお勧めします。お客様の回答に基づいて質問していきます。
実際に試してみる
「リソース」セクションにリンクが記載されている「Question Planning Worksheet (質問計画ワークシート)」を使用して、質問を作成してお客様のニーズを掘り下げる練習ができます。同僚などフィードバックをもらえる人を相手に練習します。
次の単元では、デール・カーネギーのセールスモデルの 3 つ目の「作成する」フェーズを見ていきます。