デザインを工夫してリレーションシップを向上させる
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- デザインによってお客様とのリレーションシップを促進する方法を説明する。
- デザインによって従業員とのリレーションシップを強化する方法を挙げる。
- デザインによってコミュニティとのリレーションシップを向上させる方法を説明する。
リレーションシップの促進剤となるデザイン
リレーションシップデザインとは、その名のとおり、リレーションシップを構築することです。実際には、人々が必要とするモノやエクスペリエンスを創り出すだけではありません。信頼の構築やエンゲージメントの促進にも取り組み、ニーズが変化しても、組織がそのニーズに応え続けられるようにします。(実際のところ、ニーズは常に変化します!)
前の単元で空の旅の例を挙げ、デザインによってお客様とのリレーションシップや、お客様間のリレーションシップが促進されることを説明しました。デザインによって人と人とのつながりや、人とブランドの結び付きが強まります。リレーションシップデザインで、あらゆる種類のリレーションシップを強化できます。
この単元では、次のリレーションシップを見ていきます。
- ビジネスとそのお客様間のリレーションシップ
- 組織の従業員間のリレーションシップ
- コミュニティ内やコミュニティ間のリレーションシップ
お客様とのリレーションシップ
お客様を満足させ続けるのはなかなか大変です。ビジネスの従業員がお客様のニーズや要望、障害を理解していない場合には一層難しくなります。従業員が深い思いやりをもってお客様に接すれば、企業がお客様の立場に立ってそのニーズにはるかに簡単に応じられるようになります。
お客様への共感を抱く最善の方法は、お客様と話すことです。それだけです! お客様と双方向の会話を交わせば、お客様は話を聞いてもらえたと実感して感謝します。この目標は、お客様の暮らしをより良くしていくことで、単に商品を買ってもらうことではありません。お客様とともにそのニーズを満たすソリューションを考え出します。人々は自らのニーズの理解に努め、その意見を尊重し、価値観を共有するブランドを信頼します。
お客様とのリレーションシップを強化するデザインを行うときは、次の点を考慮します。
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ユーザーやお客様が人間であることを忘れない (数字やデータ、金額ではない)。
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デザインに基づく詳細なリサーチを優先的に行って、お客様が何を必要とし、どのようなメッセージを望み、どのような課題に直面しているのか理解する。
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ユーザーやお客様がフィードバックや提案を行える場を設け、受け取ったフィードバックを積極的に取り入れて、お客様とコラボレーションする参加型ツールを作成する。
従業員とのリレーションシップ
組織が適切に機能するためには、従業員同士のつながりが強固でなければなりません。関係構築のメリットを認識し、従業員に永続的な絆を育むよう奨励すれば、やがて信頼性と生産性に富む職場が築かれます。私たち全員が同じチームのメンバーとして同じ目標に向かって取り組めば、目標をはるかに早く達成できます。また、部門間で適切なコミュニケーションを図り、実際に役立つツールを備え、誰もが安心してリスクを取れる文化を築くことも重要です。
企業がこのすべてを実現する場合、リレーションシップデザインが役立ちます!
私たち全員が確固たるリレーションシップの構築に取り組めば、同じ方向に進みやすくなります。ダイアグラムやユーザーフローなどを使用してアイデアを具体的に示すことで、従業員が常に認識を一致させ、明確なコミュニケーションをとることができます。ソリューション案のプロトタイプを作成するときは、私たちのコンセプトによって実際的なインパクトがもたらされることを確認します。また、信頼のおける環境を創出し、従業員が成長できるとともに、安心して自分らしくいられるようにすれば、誰もがベストを尽くすことができます。
従業員とのリレーションシップを強化するデザインを行うときは、次の点を考慮します。
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チームや部門を超えたコラボレーションを促進するために、組織のさまざまな部署から従業員を集めてワークショップを開催し、多様な観点から問題が解決されるようにします。
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リサーチを実施したり、デザインツール (ジャーニーマッピングなど) を使用したりして、従業員のジャーニーに対する理解を深め、その改良方法を特定します。
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創造的なリスクを取れる安全な環境を構築するために、批評の文化を育みます。チームメンバーに不完全な仕事を共有してもらい、建設的なフィードバックを思いやりをもってやりとりする練習をします。
コミュニティとのリレーションシップ
私たちは相互に結び付いた世界に生きています。私たちが行うどの選択も、水溜まりに投げた小石のごとく、つながりという波紋を伝って通常は私たちが認識するよりもはるか遠くまでその影響が広がります。私たちが生み出すプロダクトやサービスはコミュニティにインパクトを及ぼします。商品を使ったり買ったりしたことがない人々にも影響が及びます。
ビジネスやデザインの選択によって下流にどのような影響が及ぶのかを考慮すれば、人々に利益をもたらし、人々を守ることになるよう働きかけることができます。更に、私たちのプロダクトやサービスによって世の中がどのように方向づけられるのかを認識していなければ、会社は意表を突く出来事に驚かされ、スキャンダルにさらされることになります。
私たちが説明責任を果たす 1 つの方法は、組織外の人々にデザインプロセスに参加してもらうことです。こうすれば、人々のためにデザインするのではなく、人々とともにデザインすることができます。人々やコミュニティは、そのニーズ、障害、リスク、機会を誰よりも理解しています。
コミュニティとのリレーションシップを強化するデザインを行うときは、次の点を考慮します。
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すべてのチームでダイバーシティとインクルージョンを優先します。私たちの誰もが限られた体験に基づくバイアスを抱えていますが、多様な人生経験や視点を寄せ集めれば、問題や機会に気付きやすくなります。
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デザインプロセスに敢えて齟齬を生み出します。デザインやビジネスの選択が、ユーザーやお客様よりも広範なコミュニティにもたらす潜在的な影響を検討する時間を設けます。
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コミュニティメンバー、活動家、社会に変革をもたらす人々の知識を尊重します。社外の人々や組織と提携する機会を模索します。連携モデルや協力的な問題解決を取り入れます。
ご覧のとおり、デザインによってあらゆる種類のリレーションシップに多大なインパクトがもたらされる可能性があります。次は、あなたの職務に関係なく、リレーションシップデザインを実践する方法について学習します!
リソース
- 外部リンク: Salesforce Idea Exchange
- 外部リンク: Lead with Purpose: Design's central role in realizing executive vision (目的をもってリードする: エグゼクティブビジョンの実現におけるデザインの中心的役割)、ID IIT Report 2020
- 外部リンク: Design Justice Network
- 外部リンク: Doteveryone: Consequence Scanningning Kit (Consequence Scanning キット)