リレーションシップデザインのマインドセットを取り入れる
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- どの職務でもリレーションシップデザインが大切な理由を説明する。
- リレーションシップデザインの 4 つのマインドセットがどのように連携するか説明する。
- 各マインドセットに沿った行動をとる。
どの職務にも大切なリレーションシップデザイン
あなたが組織でどのような立場にいるかに関係なく、確固たるリレーションシップによってその仕事の価値が高まります。ここでは、数種のロールを取り上げ、それぞれの職務でリレーションシップがどのくらい重視されるか説明します。
マーケティング担当者は、コミュニケーションやキャンペーンの効果を高めるために、インプレッションよりもエンゲージメントを優先します。
営業担当は、お客様の信頼を得て、長期的なロイヤルティを築くために、商品やソリューションを押し付けるのではなく、会話やデザインに基づくリサーチを通してお客様のニーズを見極めることに注力します。
デザイナーやエンジニアは、更なるビジネス価値や社会的価値を創出するために、機能ではなく、リレーションシップを構築するという観点から業務を見直します。
私たちが人間らしくつながることを可能にするマインドセットを保持すれば、多様な関係者間のリレーションシップが強化されます。
では、4 つのマインドセットを詳しく見ていきましょう。
リレーションシップデザインのマインドセット
リレーションシップデザインは、個々のお客様のエクスペリエンスの奥底にある本質 (商品によってお客様のニーズがどのように満たされるかなど) に目を向け、人と人とのつながりに着目できるようにするものです。また、リレーションシップデザインでは、組織との継続的なエンゲージメントを促すような判断を下すことが求められます。更に、こうした判断がコミュニティ全体に及ぼす意図した、あるいは意図しない波及効果に対する責任も負うことになります。
決して簡単なことではありません。けれども、思いやり、勇気、意図、互恵性というリレーションシップデザインの 4 つのマインドセットを取り入れれば、この取り組みが容易になります。
- 思いやりのマインドセット — つながりを強化して人々を導く
- 勇気のマインドセット — 自分自身をさらけ出す
- 意図のマインドセット — 明確な目的をもってエンゲージする
- 互恵性のマインドセット — 長期的な関係を見据えて価値を交換する
この 4 つのマインドセットは互いに結び付きながら培われるもので、どのロール、職務、業界でもこのすべてを実践できます。
他者を心から思いやれば、自らのバリューに基づいて行動する勇気が湧いてきます。勇気をもち、バリューを堅持すれば、意図的に自らの決断によるインパクトについて考えるようになります。人々の暮らしに有意義な価値をもたらそうと意図的に行動すれば、持てる力や価値を分かち合い、互恵性に基づくリレーションシップが育まれます。
すべてのマインドセットが連携して、互いに強化されていくことがおわかりでしょうか?
リレーションシップデザインのマインドセットを実践して、次のことを実現します。
- エコシステム全体の価値交換やつながりの向上に目を向ける。
- リレーションシップの潜在性を活用して、ビジネスを強化する。
- 人々や地球に好ましいインパクトがもたらされるように努力する。
リレーションシップデザインのマインドセットを実践する
では、それぞれのマインドセットを仕事に取り入れる方法を確認しましょう。
思いやり
私たちは他者の体験に対する好奇心や注意に価値を見出すことで、思いやりの文化を育みます。思いやりの心をもって仕事に取り組めば、お客様の心に響くプロダクトやエクスペリエンスが創出され、それが市場価値につながります。各々の違いから学び、互いに気遣い、創造的なリスクを安心して負える人々からなるチームを編成します。
思いやりの実践法:
- 同僚やお客様の人間性を認め、協力的な姿勢でコラボレーションに取り組む。
- 多様な意見を俎上に載せ、積極的に耳を傾ける。
- 無意識のバイアスを自覚し、こうしたバイアスが他者とのやりとりにどのような影響を及ぼす可能性があるか認識する。
勇気
Salesforce の CEO である Marc Benioff が常々述べているとおり、「ビジネスの本質は世の中をより良くすること」です。そのためには、組織の全員がこの責任感を抱く必要があります。正しいことを行うには勇気が要ります。間違いを犯したときに正直になるには更なる勇気が必要です。自分自身をさらけ出し、私たちのバリューを堅持し、しくじったときにそれを正す勇気がなければ、ビジネスと世界との間のリレーションシップを改善することはできません。
勇気の実践法:
- 自らのバリューや組織のバリューにそぐわない決定がなされたときに、はっきりと主張する。
- 間違いを犯したときや他者に害を与えたときに率直になり、過ちを正すための措置を講じる。
- 居心地の良い場所に留まりたいと思っても、前向きになり、自分自身をさらけ出す。
意図
ビジネスでも人生でも、リレーションシップが最大限に育まれるのは、相手が必要としているものを確実に得るために全力を尽くしたときです。リレーションシップを究極の目標としてデザインすれば、その後もたらされる収益ではなく、その後対応する人に意識を集中させるようになります。つまり、意識がトランザクションから信頼に移行します。
意図の実践法:
- リレーションシップの影響が些細なように思われても、リレーションシップを目標にして新しいプロジェクトに取りかかる。
- 意図しない結果が生じないように先手を打つフレームワークやツールを使用して、リスクの阻止に積極的に取り組む。
- ユーザーにそのインパクトや人々に害を及ぼす可能性がある状況を認識させるプロダクトや機能を作成する。
互恵性
リレーションシップは双方向に作用します。私たちはお客様、同僚、コミュニティと協力して、人々の暮らしの永続的な価値を高めるエクスペリエンスを形成し、インパクトをもたらす必要があります。私たちがお客様と話をし、その声に耳を傾ければ、お客様から聞き知ったインサイトから、実際にお客様の暮らしを良くするプロダクトのアイデアが浮かび、それが結果的にビジネスを強化します。これは 1 度きりの取り組みではありません! 人々のニーズは変化するため、こうした会話を継続しなければなりません。お客様のニーズに応えることを止めれば、つながりが失われます。
互恵性の実践法:
- 組織横断的なコラボレーションを積極的に模索する。
- 最適なソリューションは共創から生み出されることを理解し、対応している人々と連携する。
- ユーザーやお客様のフィードバックを収集して取り入れることを推奨する。
思いやり、意図、勇気、互恵性をもって仕事に取り組むことで、私たちの人間性が維持されます。人々と真摯につながれば、その暮らしを良くするモノを作り出すことができます。上記の 4 つのマインドセットはリレーションシップデザインの基盤です。あらゆる良好な関係の基盤でもあります。仕事の内外でこのマインドセットを実践すれば、この世をより良い場所にすることができます。
リソース
- 外部リンク: Using the Mindsets of Relationship Design to Show Up and Make a Difference in Times of Crisis (危機の時代にリレーションシップデザインのマインドセットを実践して、人々に寄り添い、変化をもたらす)
- Trailhead:「人工知能の責任ある作成」Trailhead モジュール
- 外部リンク: Consequence Scanning Toolkit (Consequence Scanning ツールキット)、Doteveryone
- 外部リンク: Building Relationships by Design (リレーションシップバイデザインの構築)