リベートプログラムを実行する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Experience Cloud ポータルから取引をアップロードする。
- 支払金額を表示し、調整する。
- セールスと CPQ のプロセスをリベートと統合する利点を説明する。
- リベート管理用の CRM Analytics ダッシュボードを挙げる。
取引をアップロードする
リベート管理で支払金額を計算するには、関連する取引をアップロードする必要があります。システム管理者の Cindy はリベート請求を事前定義済みのリベート請求オブジェクトに直接入力できます。Meridian Partners のメンバーである Mahira は、請求と販売証明書類を Experience Cloud ポータルから自分でアップロードでき、それを Cindy が取引記録レコードに変換できます。
Mahira は、Cindy から提供された CSV ヘッダーファイルテンプレートファイルに基づいて 2022 年 1 月のすべての取引が含まれる CSV ファイルを作成します。次に、Experience Cloud ポータルにログインします。ポータルのホームページで [リベート] タブをクリックし、[ドキュメントをアップロード] ボタンを選択して CSV ファイルをアップロードします。
円滑にデータをアップロードできるように、Cindy はいくつかのタスクをすでに完了しています。
- 取引レコードを保存するためのカスタムオブジェクト「Partner Invoices」(パートナー請求書) を作成しました。
- 取引レコードを CSV ファイルから [Partner Invoices (パートナー請求書)] オブジェクトにアップロードするために、[CSV ファイルを処理] アクションを含むスケジュール済みフローを作成しました。
- 有効な取引が取引記録にコピーされるように、DPE 定義 [Insert Orders to Journals (取引記録に注文を挿入)] のコピーをカスタマイズして、ソースを [注文] から [Partner Invoices (パートナー請求書)] に変更しました。
対象レコードが DPE 定義、一括処理ジョブ、スケジュール済みフローによって絞り込まれ、集計されて、発生と支払が生成されます。データローダー、API、または MuleSoft インテグレーションプロセスを使用してデータを取引記録に取り込むこともできます。
金額を確認する
2022 年 1 月になって 10 日経ち、Rishi はメンバーごとにどの支払が計算されているか確認します。支払期間中であるため、表示されるのはそれまでにパートナーから申請され、スケジュール済みのオーケストレーションフローで計算された請求の支払のみです。
Rishi は各メンバーの集計金額の詳細を表示できますが、対象となり、その集計に算入された取引も表示できます。Aggregate By Member with Aggregate Item Details (集計品目の詳細と共にメンバー別に集計) DPE が選択されているからです。
最初にリベートメンバー商品集計オブジェクトで各メンバーの支払合計を確認します。リベートメンバー集計品目レコードに移動し、リベート種別の対象となった取引記録レコードを確認します。
1 か月後の 2 月 10 日、最初の支払期間の最終的な支払が生成されます。その支払金額がいくつかのオブジェクトに入力されます。
Rishi は各オブジェクトを確認します。
オブジェクト | 説明 |
---|---|
リベートメンバー商品集計 |
支払期間とリベート種別ごとにメンバーあたり 1 件のレコードが作成されます。たとえば、2022 年 1 月の [Growth-Based (成長ベース)] リベート種別に対し、Meridian Partners の合計取引数量は 520 で、取引総額は $70,000 です。 |
リベートメンバー集計品目 |
対象取引記録レコードごとに 1 件のレコードが作成されます。たとえば、Acme の対象取引の 1 つは合計取引数量 150 と取引金額 $15,000 を示しています。 |
プログラムリベート種別支払ソース |
計算定義で生成された集計行ごとに 1 件の支払取得元レコードが作成されます。このレコードにはリベート金額とその集計に適用されたランクが含まれます。たとえば、Meridian Partners は合計取引数量が 300 であるため、Intermediate (中級) 報奨金ランクに到達し、$2,000 のリベート支払を受け取りました。 |
プログラムリベート種別支払 |
リベート種別ごとに、すべての支払取得元を合計したリベート金額の概要が表示されます。たとえば、Acme は 2022 年 7 月にリベート支払として [Volume-Based (数量ベース)] リベート種別から $9,800、[Growth-Based (成長ベース)] リベート種別から $4,000 を受け取ります。 |
リベートプログラムメンバーの支払 |
メンバーと期間のリベート金額が表示されます。たとえば、Meridian Partners は 2022 年 9 月にリベート支払として $4,500 を受け取ります。 |
プログラムメンバーの支払状況は [リベートプログラムメンバーの支払の詳細] ページに表示されます。さらに [リベートプログラムメンバー] ページには各メンバーの合計支払金額が期間ごとに分けて表示されます。
支払を追跡して調整する
Experience Cloud ポータルのホームページには [リベート] カードがあります。そこには、送信したドキュメントの状況と生成された支払金額が表示されています。Mahira はホームページの [リベート] タブをクリックして、リベートプログラム、ドキュメント、支払に関する詳細を表示できます。
[My Payouts (私の支払)] タブに移動し、[Meridian Partners January FY 2022] レコードを選択すると、2022 年 1 月の支払金額が表示されます。
Mahira は 2022 年 1 月 の支払を確認し、金額を調整する必要があることに気付きます。Meridian Partners はリベートプログラムの登録のために $250 のパートナー参加費を支払う必要があり、この費用はリベート支払から差し引く必要があるのです。Mahira は Experience Cloud ポータルの Chatter を使用して、必要な調整について Rishi に知らせます。
リベートプログラムの規約は長い間に変更される可能性があり、その場合は変更を取得して監査する必要があります。さまざまな状況で、支払済みのリベートの引き下げや取り消しが必要になることも考えられます。リベート管理アプリケーションには、リベートマネージャーとパートナーがこのようなイベントを簡単に管理できるツールがあります。
Rishi は Chatter で Mahira のメッセージを読み、支払を調整します。
- [リベートプログラムメンバーの支払] の [関連] タブから [調整] リストに移動するか、アプリケーションランチャーで「リベート支払調整」を検索して選択します。
- [リベート支払調整] ページまたは [調整] 関連リスト領域で、[新規] をクリックします。
- 次の詳細を指定します。
- 名前:
Adjustment for Participation Fee
(参加費の調整) - メンバーの支払: Meridian Partners January FY 2022
- 調整金額:
-$250
- コメント:
A participation fee is being balanced
(参加費が差し引かれます) - 状況: レビュー中
- 名前:
- [保存] をクリックします。
Rishi が調整を保存すると、承認プロセスがトリガーされます。数分で調整は承認され、状況が変更されます。Mahira が Experience Cloud ポータルを、Rishi がリベート支払レコードを更新すると、Meridian Partners の変更された支払が表示されます。
Rayler Parts の財務チームは ERP システムを使用して支払をメンバーに送信できます。最後に、チームはリベート支払レコードの状況を [支払済み] に更新します。
セールスレコードと CPQ レコードにリベートを表示する
Rayler Parts の APAC 営業 VP の Zac と Rishi は、週次ミーティングで新しいリベートプログラムの効果について話し合っています。Zac は、営業担当が商談や交渉に臨むときに Meridian Partners のリベートパフォーマンスを表示する方法はないか考えています。
現在、営業チームには Meridian Partners が [Annual Rebates Program for APAC Partners (APAC パートナー年間リベートプログラム)] やその他の対象資格を持つプログラムで達成した報奨金が表示されません。このように可視性が欠如していると、Meridian Partners が新規注文をするときに、営業担当が報奨金に上積みして不適切な割引を提示したり、報奨金を増やすというコンテキストで注文数を増やす交渉に失敗したりすることがあります。さまざまな取引先に対してコンテキスト上の関連情報が欠けているため、リベートプログラムのメンバー登録の停滞、財務的に不適切な割引、交渉の失敗につながっています。
Rishi は Cindy にこの問題へのソリューションがあるか尋ねました。さらに、Meridian Partner の取引先ページで関連するリベート情報を表示する方法があるかも尋ねました。いつものように Cindy が Rishi を助けてくれます! 今回は、リベートをセールスと CPQ のプロセスに組み込むリベート管理の機能を導入しました。
Cindy は必要な設定をして、コンテキスト上の関連リベート情報を取引先、注文、契約、商談の各ページで参照できるようにしました。
これにより、Rayler Parts 営業チームはこれらのオブジェクト上で、適用されている対象リベート種別、インセンティブ達成の進行状況、推定リベートを表示できます。営業担当は上位の報奨金ランクまでパートナーがあとどのくらいかを確認し、上位の報奨金に到達するために注文を増やすように求めることができます。
チームは、リベートと販売に関するインサイトの交換、特定の取引先に合わせたインセンティブの調整、該当するプログラムへのメンバーの登録、パートナーと協調したよりスマートな購入判断ができるようになります。Rishi は Cindy が標準のセールスまたは CPQ オブジェクトにリベート情報のスナップショットを追加できると知って喜んでいます。
この機能を設定するための具体的な手順の詳細は、「セールスプロセスとリベート管理プロセスの統合」Trailhead モジュールを参照してください。
リベート管理用の CRM Analytics
Cindy はリベート管理用に事前設定された CRM Analytics ダッシュボードを見つけました。このダッシュボードで Rishi のようなリベートプログラムマネージャーは有益なビジネスインサイトを得ることができます。Rayler Parts はすでに CRM Analytics for Manufacturing Cloud を使用しています。アプリケーションの設定方法についての詳細は、「CRM Analytics for Manufacturing Cloud の管理」を参照してください。
リベートプログラムマネージャーに役立つダッシュボードには次のようなものがあります。
ダッシュボード | 種別 |
---|---|
ビジネスインサイト |
アプリケーション内 |
Rebate Program Analysis (リベートプログラム分析) |
アプリケーション内 |
Operational Insights (オペレーショナルインサイト) |
リベートプログラムレコードページに組み込み |
Account Insights Embedded (取引先インサイト組み込み) |
取引先レコードページに組み込み |
Sales Agreements Insights Embedded (販売計画インサイト組み込み) |
販売計画レコードページに組み込み |
Orders Insights Embedded (注文インサイト組み込み) |
注文レコードページに組み込み |
Experience Cloud ポータルで、Mahira や他のパートナーは [Partner Insights (パートナーインサイト)] ダッシュボードを使用して、さまざまな商品やインセンティブ達成のリベートに関するアクション可能なインサイトを得ることができます。
まとめ
チームは特殊なリベートプログラム、複雑な計算、報奨金の詳細な実装、大量の取引、コラボレーションの向上をサポートするリベートシステムを実装することができました。リベートと CPQ およびセールスプロセスとの統合や、リベート管理用 CRM Analytics ダッシュボードを使用してリベートに対するインテリジェントなインサイトを得る方法も確認しました。Rayler Parts はリベートプログラムを拡張することで今後パートナーとのコラボレーションを改善することを目指しています。
リソース
- Salesforce ヘルプ: リベート管理ワークフロー
- Salesforce ヘルプ: プログラムメンバーの支払の詳細の表示
- Salesforce ヘルプ: リベートメンバー向け Experience Cloud サイトの設定
- Salesforce ヘルプ: パートナーの請求とインセンティブの管理
- Salesforce ヘルプ: 支払金額の調整
- Salesforce ヘルプ: セールスプロセス内のリベートとインセンティブの管理
- Salesforce ヘルプ: 取引先のリベートおよびインセンティブ達成スナップショットの表示
- Salesforce ヘルプ: Rebate Analytics のリリースと使用