リベート管理を始める
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- リベートがパートナーと顧客に対するインセンティブとして機能するしくみを説明する。
- リベートの計算と支払について会社が直面する一般的な課題を挙げる。
- よく使用されるリベート種別を挙げる。
- リベート管理を有効にする。
- ユーザーに権限と機能へのアクセス権を付与する。
パートナーのモチベーションを高める
企業はリベートを使用して代理店、流通業者、その他のパートナーの購入を促進します。リベートはビジネスの成長とブランドロイヤルティの向上に役立ちます。
リベートは、パートナー、流通業者、または顧客が商品の販売後、販売の数量、収益、または成長に基づいて特定の目標を達成した場合に与えられる支払です。リベートは、割引のように販売時に前もって提示され、商品のリスト価格を引き下げる従来の報奨システムと異なります。リスト価格を引き下げると、顧客は商品の品質が低いと認識し、購入する気がなくなることがあります。リベートを使用すると、パートナーに商品の販売に対する報奨を与えることができるため、ビジネスを繰り返すことをパートナーに奨励することになります。
企業がリベートを使用して利益を増やすには、次のような方法があります。
- チャネル購入行動と市場シェアに影響を及ぼす
- 最も効果のあるリベートプログラムを分析し、そのプログラムに投資する
ただし、効果的なリベートプログラムを設計し、発生と支払を計算するのは簡単ではありません。営業、財務、パートナー、リベートプログラムマネージャー、マーケター、ビジネスアナリストなどのさまざまなチームと連携する必要があります。製造業界で世界をリードする Rayler Parts がこの状況にどのように対処するかを見てみましょう。
Rayler Parts と Meridian Partners
Meridian Partners はアジア太平洋 (APAC) 地域で Rayler Parts の産業用重機を扱う重要な流通業者です。Rayler Parts のリベートプログラムマネージャーである Rishi Chatterjee は、全員にメリットのある効果的なリベートプログラムを設計しようとしています。そこで、Meridian Partners の信頼されるメンバーである Mahira Zainab と Rayler Parts の APAC 営業 VP である Zac Mehmood と話をします。
Rayler Parts の取引先マネージャーと Meridian Partners のパートナー流通業者の間には連携がほとんどなく、リベートの支払の計算は複雑でミスが起こりがちです。こうした要因により諸経費がかさみ、パートナーの意欲が低下しています。
リベートの種別
リベート管理は汎用的で、数量ベース、収益ベース、成長ベース、フラット、およびカスタムリベート種別をサポートしています。Rishi は Mahira と Mehmood に、リベートプログラムとインセンティブをどのように設計してほしいかを詳しく聞きました。
また、APAC の年間リベートプログラムについて話し合いました。これは、Mahira と Mehmood が取り組んでいる新しいプログラムです。この新しいプログラムではチャネル流通業者には販売した数量または量に基づいてリベートを与えることを決定しました。数量ベースのリベートは、数量の多い注文を促進し、購入価格交渉中に過剰な約束をする購入者からベンダーを保護します。購入者は数量ベースの販売目標に達した場合のみリベートを獲得します。
このプログラムでは、パートナーは e コマース販売チャネルを通じてハンマーと溝堀バケットを販売した場合のみインセンティブを獲得します。
パートナーが受け取るインセンティブのランク構造は次のようになっています。
- 0 ~ 100 単位 = リベートなし
- 101 ~ 200 単位 = 1 単位あたり $20 のリベート
- 201 単位以上 = 1 単位あたり $30 のリベート
Mahira と Rishi は、月に 1 回数量ベースのリベート支払を提供することを決定しました。
課題とソリューション
Rishi はリベート計算と支払処理を行う現在のシステムが不十分であることを知っています。そこで、Rayler Parts が現在直面している課題と考えられるソリューションの概要をまとめたレポートを作成します。
課題 | 提案されるソリューション |
---|---|
発生と支払のリベート計算が複雑であり、つながりのないスプレッドシートとエンタープライズリソースプランニング (ERP) ソリューション内に保持されている。 |
設定が簡単で、メンバーの詳細から支払金額へデータをシームレスに直接統合し、リベート計算を自動化できるシステム。 支払は月に 1 回計算し、発生はそれよりも頻繁に計算して正確な発生が内部システムに取得されるようにする方法。 |
プログラムの設定、リベート対象資格のための直接販売データの収集、申請済み請求によるデータの調整には手間がかかり、ミスが発生しやすい。 |
直接販売注文を取引入力として取り込む方法。 地域、商品カテゴリ、請求書番号などの詳細を含むようにカスタマイズされた取引レコードを作成するオプション。 |
複数の対象資格基準、取引ごとの支払、ランク報奨金、その他のカスタマイズを含む複雑なリベートプログラムを作成する柔軟性がない。 |
ルールベースのプロセスによってトリガーでき、成長、数量、収益などのインセンティブに基づいて、柔軟で拡張可能なリベートプログラムを作成する機能。 |
パートナーは支払金額、タイムライン、登録されているリベートプログラムについて明確な情報を見つけるのが難しい。 |
パートナーがリベートプログラム、支払金額、タイムラインを確認できるオンラインポータル。 |
請求や取引の申請を手動で行っている場合、不正確なデータを早い段階で追跡するのが難しく、プロセスに時間がかかる。 |
請求申請ファイルによくあるエラーを検出することで、パートナーがエラーを修正して更新したレコードを共有できるシステム。 |
リベートプログラムマネージャーと取引先マネージャーが特定の取引先の支払やリベートの詳細を参照できる一元的なビューがない。 |
リベートプログラムマネージャーと取引先マネージャーがプログラムの詳細や支払額を参照し、プログラム構造の仕様について透明性の高いコラボレーションを行える統合ビュー。 |
支払の計算とリベートの調整を監査する承認チェーンがない。 |
スーパーバイザーがリベートプログラム、関連報奨金、対象資格構造を承認し、取引先マネージャーが支払金額を調整する方法。 |
営業担当が契約や見積を処理するときに、メンバーがどのリベートの対象か、すでに受け取っているのはどのリベートかを参照できない。 |
取引先、商談、見積、注文に関連付けられているコンテキスト上のリベート情報の統合ビュー。 |
Rishi は Rayler Parts の Salesforce システム管理者である Cindy に連絡し、レポートを共有します。Cindy は役に立つソリューションがないかを知るために Rayler Parts を担当する Salesforce のアカウントエグゼクティブとミーティングを行います。
幸運なことに、Salesforce リベート管理アプリケーションでは、プログラムパフォーマンスの透明性が確保され、確認プロセスと支払計算が自動化され、コラボレーションが向上し、利益の消失が軽減されます。Cindy は Rayler Parts のためにリベート管理を設定する準備を整えます。
次の短い動画で、Salesforce リベート管理の概要をご覧ください。
リベート管理のハンズオンを実行する
このモジュールでは、リベート管理でリベートプログラムを設定して管理する手順を説明します。このモジュールにはハンズオン Challenge はありませんが、練習のために手順を試してみたい場合、リベート管理とサンプルデータが搭載された特別な Developer Edition 組織が必要です。通常の Trailhead Playground には、リベート管理やサンプルデータが搭載されていません。次の手順に従って、今すぐ無料の Developer Edition を取得してください。
- リベート管理を搭載した無料の Developer Edition 組織にサインアップします。
- フォームに入力します。
- [メール] には、有効なメールアドレスを入力します。
- [ユーザー名] には、メールアドレス形式の一意のユーザー名を入力します (有効なメールアカウントである必要はなく、yourname@test.com などを使用してください)。
- フォームに入力したら [サインアップ] をクリックします。確認メッセージが表示されます。
- アクティベーションメールを受信したら (数分かかる場合があります)、そのメールを開いて [Verify Account (アカウントを確認)] をクリックします。
- パスワードと確認用の質問を設定して、登録を完了します。ヒント: 後ですぐに入力できるように、ユーザー名、パスワード、ログイン URL を書き留めておいてください。
- Developer Edition にログインした状態になります。
機能を有効にする
このモジュールでは、受講者がリベート管理システム管理者またはリベートプログラムマネージャーであり、リベートプログラムとリベート計算の設定と管理を行うための適切な権限を有していると想定しています。ただし、リベート管理システム管理者でなくても問題ありません。このまま読み進み、本番組織でシステム管理者がこれらの手順をどのように実行するのかを学習しましょう。Trailhead Playground で次の手順を実行しないでください。Trailhead Playground ではリベート管理を使用できません。
リベートプログラムを作成して支払を計算するには、Cindy はまず Rayler Parts の組織でリベート管理を有効にする必要があります。それによって Rayler Parts がすべてのリベート管理オブジェクトにアクセスできるようになります。
- をクリックし、[設定] を選択します。
- [クイック検索] ボックスに、
Rebates
(リベート) と入力します。 - [リベート] をクリックして、この機能をオンにします。
リベート管理は、Salesforce フロー、データ処理エンジン、一括管理といった強力な機能を備えています。いずれもリベートの計算に不可欠で、各機能には便利な事前定義済みテンプレートが含まれています。Cindy は組織内ですべてのテンプレートを表示できます。
テンプレートについては後の単元で詳しく説明します。次のステップは、必要な権限を Rayler Parts のユーザーに付与することです。
権限とアクセス権
Cindy はリベートプログラムマネージャーにリベート管理機能へのアクセス権を付与する必要があります。パートナーにも Experience Cloud ポータルで取引をアップロードしたり支払を表示したりするのに必要な権限を付与する必要があります。次の画面にはリベート管理で使用可能な権限セットが表示されています。
次の権限セットがあります。
- リベート管理者
- リベート管理ユーザー
- Experience Cloud ユーザーのリベート管理
- データパイプラインベースユーザー
どのユーザーにどの権限セットを割り当てるのかについての詳細は、「リベート管理の権限セットの割り当て」を参照してください。