提供者管理入門
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 提供者管理に関連する一般的な課題について説明する。
- 提供者管理がサービス提供者と紹介の管理をどのように簡素化するかを説明する。
- 提供者管理データモデルにおけるオブジェクトの種別を定義する。
始める前に
このモジュールを始める前に、次の推奨コンテンツを完了することを検討してください。
公共セクターでの提供者管理
コミュニティの健康と幸福を守ることは、まさにチームスポーツだと言えます。そのため、行政機関は医療従事者、カウンセラー、トレーナー、その他の専門家と力を合わせ、住民が直面するさまざまな問題の緩和に取り組んでいます。
「Benefit Management Data Model in Public Sector Solutions (公共セクターソリューションの給付管理データモデル)」モジュールと「Social Program Management Data Model Public Sector Solutions (公共セクターソリューションの社会福祉プログラム管理データモデル)」モジュールでは、行政機関がケースの管理、パーソナライズされたケアプランの開発、特定種別の給付の提供に公共セクターソリューションを利用する方法を学習します。住民が行政の管轄外のサービスを必要とすることもよくあります。
このような状況では、ケースワーカーは必要とされる支援を専門とする提供者と連携して対処します。専門分野の例としては、医療、児童高齢者福祉、雇用サービス、司法管理、経済的支援などがあります。
紹介とサービス監視
ケースワーカーは、住民をサービス提供者に紹介したり、利用環境を監視したりと、日常的に多くの責任を負っています。では、このプロセスについてもう少し掘り下げましょう。
ケースに取り組んでいるケースワーカーは、住民が直面しているそれぞれの課題を解決できるように、目標と給付を割り当てます。住民の抱える問題が外部の専門家の支援を必要とする場合、ケースワーカーは紹介を使って専門の提供者に繋げます。紹介には、住民の情報、問題の詳細、その他の重要な詳細情報が含まれます。
典型的な提供者紹介プロセスは次のとおりです。
提供者は紹介の内容を確認して、サービスを提供するのに必要なリソースが揃っているかどうかを判断してから、依頼を受け入れるか断るかを決定します。紹介を受け入れた場合は、サービスライフサイクルが完了するまでケースワーカーと進捗状況を共有しながら、住民にサービスを提供します。ケースワーカーは、共有された情報に基づいて、住民が規定の給付を受けていること、そして目標に向かって状況が進歩していることを確認します。行政機関は、この情報を使用して、ケースやケアプランの進捗状況を追跡したり、各提供者の有効性を報告したり、提供者のサービスに対して適時に支払いを行ったりします。
共通の課題
あらゆるコラボレーションに共通するのは、信頼、コミュニケーション、効率が重要だということです。行政機関は、適格で信頼でき、厳しい規制要件を満たすサービス提供者を見極めて、紹介プロセスで明確なコミュニケーションラインを確立する必要があります。ケースワーカーは、提供者ごとの専門性、施設、対応可能状況を把握し、ケアを開始するために必要なすべての住民情報を収集して伝える必要があります。
しかしながら、このワークフローには多くの課題があります。
Cosville 市の Salesforce システム管理者である Tishon は、公共サービス部門のケースワーカーと定期的にミーティングを行い、プロセスの改善について話し合ったり、フィードバックを収集したりしています。
ケースワーカーから報告される、繰り返し発生する障害の例は次のとおりです。
- ケースワーカーは、新規の提供者を募集する際に、審査と採用の可否を決めるために必要なデータをすべて電話やメールで収集して手作業で処理しているため時間がかかります。
- ケースワーカーは、サービス提供者を選定するために、複数の提供者データのスプレッドシートを精査する必要がありますが、矛盾した情報や古い情報が含まれていることが少なくありません。
- 紹介を作成する際には、対象となる住民の情報を苦労して探し出し、提供者に送るメールにコピーする必要があります。
- サービス提供者は、サービスの提供内容を行政機関に報告しないことが多いため、ケースワーカーが住民の状況を確認したり、サービス提供者へのタイムリーかつ正確な支払いを手配したりできなくなります。
- ケースワーカーが提供者の適性を検証してフィードバックを記録する方法がないため、提供者の施設で利用者が劣悪な環境や無資格のスタッフといった質の悪い問題に遭遇し、いやな思いをする可能性があります。
Tishon は、このレベルのサービスは Cosville では通用しないことをわかっています。だからこそ、彼女は公共セクターソリューションの提供者管理のことを聞いて期待に胸を躍らせたのです。
提供者管理の特長
提供者管理は、透明性、柔軟性、効率性を高めることで、行政機関と提供者のパートナーシップを強化します。提供者ネットワークを拡大し、管理することで、ケースワーカーが適切な提供者をより迅速に選定できるようになり、エンドツーエンドのサービスを監視することで、住民にとっての成果を確実に実現し、提供者への支払いをタイムリーに行うことができます。提供者管理は、公共セクターソリューションの社会福祉プログラム管理オブジェクトや給付管理オブジェクトと連携して動作します。
機能の概要は次のとおりです。
提供者データ
膨大な数の電話やメールに煩わされることなく、包括的なネットワークを構築するために必要な、各提供者に関する基本的なデータを収集します。専門分野、施設、利用時間、スケジュールに関する情報を記録します。各提供者に関連する個人医師の資格、学歴、職歴を追跡します。提供者の強力なネットワークにより、行政機関は住民を適切なソリューションに導き、コミュニティにおける一般的な問題に対処することができます。
提供者検索
もうスプレッドシートは必要ありません。ケースワーカーは、設定可能な先進の検索ツールを使用して、該当するカテゴリで住民のニーズに対応する適切な提供者を迅速に見つけることができます。希望するサービスの種別、ケアの専門性、利用時間など、関連する条件を入力することで、提供者を絞り込むことができます。そして、検索条件を使用して結果をさらに絞り込むことができます。たとえば、住民の住所から施設の所在地までの距離に上限を設定できます。検索結果をグループ化して並び替え、アクションを実行します。たとえば、OmniScript のガイド付きフローを起動して、検索結果から直接紹介を作成できます。
行政機関のニーズに対応した独自のカスタム検索設定を作成して整理することもできます。
紹介の高速化
住民の情報をコピーしてメールに貼り付けるのではなく、紹介プロセスでガイド付きフローを使用して、住民の情報を提供者とすばやく共有できます。組織のオブジェクトから直接、取引先責任者の詳細、ケースの詳細、ドキュメント添付ファイルを送信できます。提供者は、オンラインポータルから直接紹介データを閲覧して、依頼を承認または却下して、行政機関による審査に向けて給付スケジュールを提出できます。
サービス監視
サービスの提供をしっかりと監視して、住民の進捗状況と提供者へのタイムリーな支払いを確実に管理します。オンラインポータルを通じて、提供者は行政機関と紹介について連携し、各住民に関する進捗状況の最新情報を共有できます。これにより、行政機関は、登録状況や給付セッションへの参加状況など、サービス提供の状況を追跡して、提供者がサービスを完了した後にすぐに支払いを行えます。これらの提供者管理機能は、既存のどの公共セクターソリューション Experience Cloud サイトテンプレートにも統合できます。
提供者インサイト
組織で一元管理された提供者データを使用して、住民の成果を評価し、各提供者のパフォーマンスと利用率を測定して、認定情報が有効かつ最新であることを確認するための分析ダッシュボードを構築します。提供者の利用状況と住民のフィードバックを評価して、パフォーマンスの低い提供者や、住民に適さなくなった提供者を特定できるようにします。
提供者管理は、行政機関とサービス提供者の間のギャップを埋めます。コラボレーション用のオンラインポータル、高度な検索機能、そして一元化された情報源があれば、住民を適切なサービスに迅速に結びつけて状況を改善することができます。
提供者管理データモデル
このモジュールでは、提供者管理データモデルのさまざまなオブジェクトについて、各コンポーネントの目的を理解するために例を挙げて説明します。
次のインタラクティブな表では、データモデルを 6 つのカテゴリのオブジェクトに分類しています。
Tishon はケースワーカーチームの話を聞き、Cosville の紹介プロセスを 21 世紀バージョンにアップデートするというミッションに乗り出しました。
次の単元では、データモデルについて調べ、住民や提供者に関する貴重なデータが保存されているオブジェクトを発見します。