プロンプトビルダーについて知る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- プロンプトを効果的なものにする要素を挙げる。
- プロンプトビルダーで使用可能なプロンプトテンプレート種別を挙げる。
- Einstein Trust Layer の重要性について検討する。
プロンプト、テンプレート、プロンプトビルダー
生成 AI がコンシューマー界を席巻しています。500 ページもの書籍の要約から、デジタルアートの作成、バケーションの計画まで、生成 AI によってさまざまなタスクが容易になっています。ビジネスリーダーも生成 AI を使用して、営業、マーケティング、サービスをはじめとする各部門の生産性を高める方法を模索しています。
これを実現するのが生成 AI の機能と潜在性で、このすべてが効果的なプロンプトから始まります。プロンプトは、すべての生成テクノロジーを背後で支える大規模言語モデル と通信する手段です。「プロンプトの基本事項」モジュールを受講した方は、生成 AI のメリットを最大限に活用する鍵を握るのが、効果的なプロンプトの考案であることをご存じかと思います。
ところで、効果的とはどういう意味なのでしょうか? 通常、LLM において「効果的」であるということは、1 つに各自のニーズ、目標、顧客に固有であることを意味します。次に例を示します。人気の高い画像生成プラットフォームである DreamStudio を使用して、ゲームルームのデザインを変更するとします。具体的な要件とコンテキストを指示した場合と指示しない場合とでは、生成される出力が大きく異なります。
プロンプト: ゲームルームをデザインしてください。
プロンプト: 卓球台があるゲームルームをデザインしてください。ネオンカラーを基調としたスタイルにします。
つまり、具体的なプロンプトが効果的なプロンプトということになります。ただし、ビジネスの場合は具体的にすることが難しいことがあります。プロンプトを具体的にするためには、ビジネスデータを追加する必要があるためです。顧客ごと、あるいは商品ごとに効果的なプロンプトを考案するにはどうすれば良いでしょうか? ビジネスデータの安全性は確保されるのでしょうか? この課題を解決してくれるのが、プロンプトビルダーと Einstein Trust Layer です。
プロンプトビルダーは、ユーザーやユーザーのデータを安全に LLM とつなげる効果的なプロンプトを作成するツールです。プロンプトビルダーを使用すれば、再利用可能なプロンプトテンプレートを安全に構築してテストし、ファインチューニングして、ビジネス全体で AI 対応の高速ワークフローを活用できます。
プロンプトビルダーでは、メール、説明、概要など、一般的なビジネスワークフローで再利用可能なテンプレートソリューションを作成できます。プロンプトビルダーからこうしたプロンプトテンプレートが、差し込み項目、フロー、Data Cloud、Apex を介して Salesforce データに安全にアクセスします。
このモジュールでは、プロンプトビルダーを使用して各種のプロンプトテンプレートを作成してカスタマイズする方法を学習します。たとえば、AI 支援型のワークフローを Salesforce レコード内のカスタム項目に接続したり、パーソナライズしたメールを作成や修正したり、独自のカスタムプロンプトテンプレート種別を作成したりします。
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セールスメールプロンプトテンプレート: チームがレコードデータに基づいて、顧客、商品、イベントなどに関する真の意味でパーソナライズされたメールのドラフトを作成できます。
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項目生成プロンプトテンプレート: 生成 AI 支援型のワークフローを Salesforce レコード内のカスタム項目に取り込みます。
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レコードの概要プロンプトテンプレート (Copilot): レコードのデータに基づいて、Salesforce レコードのリッチテキストの概要を作成します。
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Flex プロンプトテンプレート: 他のプロンプトテンプレート種別では対応できないビジネス目的のコンテンツを生成し、独自のリソースを定義できるようにします。
プロンプトビルダーの安全性
Salesforce では、AI をリアルタイムのデータと連動させる場合にセキュリティが一層重要になることを理解しています。プロンプトビルダーは Einstein Trust Layer を使用して安全で信頼できるプロンプトを構築し、LLM に機密情報が送信されないようにします。
プロンプトビルダーに組み込まれたプロンプトを使用して応答を生成する場合は、そのプロンプトが Einstein Trust Layer に送信され、LLM に送信される前に機密データがマスクされます。プロンプトが共有信頼境界を通過して外部モデルに送信されるときにデータが暗号化され、転送中のセキュリティが確保されます。更に、プロンプト内に機密情報があれば、その情報もマスクされます。
最後に、「ゼロ保持」標準に基づいて、データが Salesforce の外部に保存されることはありません。詳細は、「Einstein Trust Layer」モジュールを参照してください。