リスクの監視と伝達

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 一般的なプロジェクトの健全性ダッシュボードの要素を識別する。
  • 一般的なリスクレジスタ要素を識別する。
  • プロジェクト管理の三角形について説明する。
  • WHIPPED フレームワークについて説明する。

リスク管理は、日常的な活動です。タスクを合理化して丸 1 日取られないようにする必要があります。ここでは、リスクを効率よく監視して伝達するためのツールと手法を紹介します。

プロジェクトの健全性の監視

プロジェクトの健全性ダッシュボードは、プロジェクトのパフォーマンスについて視覚的なスナップショットを提供します。このダッシュボードを使用して、スケジュール、コスト、リスクなどの主要なプロジェクトの健全性指標を元のプロジェクト計画と対比して監視できます。 

一般的な要素として次のようなものがあります。

  • 完了した要件
  • スケジュールの進捗状況
  • 予算の進捗状況
  • 初期スケジュールと改訂スケジュールの比較
  • 初期予算と改訂予算の比較
  • 最重要リスクとその状況

タスク状況、予算、リスクレジスタが表示されたプロジェクトの健全性ダッシュボード。

これらはほんの一例に過ぎません。ダッシュボードに何を含めるかは、すべて任意に決めることができます。選択する前に、関係者と話し合ってください。どの項目が最も重要なプロジェクトの健全性指標かを判断し、それらを含めます。

どの程度の詳細を表示するかも検討します。基本的な色分けした要素が最適な場合も、より詳細を表示する場合もあるでしょう。どちらの場合も簡潔にします。ダッシュボードの領域は限られています。ダッシュボードに収まり切らない内容を共有する場合は、エグゼクティブサマリーを作成し、ダッシュボード情報と組み合わせます。

それ以降、プロジェクトの状況について質問を受けたら、ダッシュボードで答えが見つかります。できれば、ダッシュボードを共有しましょう! 

リスクのドキュメント化

リスクレジスタは、識別されたすべてのリスクを記録するために使用するドキュメントまたはツールです。チームは、このレジスタを使用してリスクが何か、誰が割り当てられているか、対処方法は何かを正確に把握できます。形式はシンプルにします。スプレッドシートシートが適しています。

プロジェクトの健全性ダッシュボードと同様に、リスクレジスタにも標準の要素セットはありません。プロジェクトにとって最も重要なものは何かを判断して追加します。

リスクレジスタ要素
詳細
説明
リスクの説明
問題
リスクが顕在化したらどうなるのか。
影響
このリスクはプロジェクトにどのような影響を与えるか。
所有者
リスクを監視し、リスクが発生した場合は関連する問題に対処する責任を負う個人またはグループ。
状況
移転、回避、保有、低減のいずれか。
スコア
3 つの評価軸 (発生確率、影響度、緊急度) に基づく全体的なリスクスコア。
低減
リスクの低減または回避のために実行する手順。

必ず共有してください。リスクの識別と記録をプロジェクトマネージャだけに任せてはいけません。チームの全員がリスクレジスタを最新の状態に保てるようにすることが推奨されます。 

リスク管理は無料ではありません。リスクが発生すると、プロジェクトリソースが時間を投じて対処することになります。プロジェクト予算では、そのコストを考慮する必要があります。コスト見積もりとしてひとまとめにコンティンジェンシーの割合を使用するのではなく、完成したリスクレジスタを使用してリスク予算を見積もりします。このプロセスについての詳細は、「Risk Budget Best Practices}(リスク予算のベストプラクティス) プレゼンテーションを参照してください。この単元の「リソース」セクションにリンクがあります。

プロジェクト管理の三角形

理想の世界では、最初から最後までプロジェクト計画の記述どおりに進みます。紆余曲折はなく、リスクは発生しません。現実の世界に暮らす私たちは、当初の計画が大体は変わることを知っています。 

変更によってリスクが増します。変更がプロジェクトの残りにどう影響するかを視覚化して伝える方法が必要です。そこで、プロジェクト管理の三角形が役に立ちます。この三角形を使用して、コスト、品質、時間が相互にどう関連するかを図示します。他の 2 つに影響を与えることなく 1 つを変更することはできません。 

たとえば、顧客が完了期日を確定したが、機能を追加したい場合は、範囲が広がります。スケジュールを延期することはできないため、どのような選択肢があるでしょうか? プロジェクトチームにリソースを追加することを決定しましたが、コストも増加します。

コスト、品質、時間の関係を示すプロジェクト管理の三角形。

三角形を使用して、チームと顧客が 3 つの要素すべての関係を明確に視覚化できるようにします。誰もが 1 つの領域の変更が他にどう影響するかを厳しく意識するようになります。明確化することで、顧客は変更要求を厳選するようになります。 

コミュニケーション計画

このモジュールではすでに、透明性と適切なコミュニケーションの重要性を強調しました。それを確実に行うためには、プロジェクトの開始時点でコミュニケーション計画を作成して配布します。コミュニケーション計画には、誰がどの情報を入手するかを明示します。また、いつその情報を入手するかを明示します。その結果、全員が問題について何を期待し、誰に連絡すればよいかを理解できます。これは問題が発生した場合に使用します。 

すべてのリスクレベル (低、中、高など) について、共有する情報、共有先、共有するタイミングを記載します。

  • リスク情報
  • リスク所有者
  • 所有者の責務
  • 所有者の優先コミュニケーション方法 (電話、メール、テキストメッセージなど)
  • コミュニケーションの頻度 (毎時、毎日など)

プロジェクトの規模に合わせてコミュニケーション計画を調整します。あまり複雑ではないプロジェクトでチームが小規模なら、簡単な 1 ページの計画で十分かもしれません。たとえば、期間が 1 か月のプロジェクトであれば、関係者とその連絡先情報のリストを作成します。

より長期かつ複雑なプロジェクトで複数の実装とインテグレーションが含まれる場合は、複数ページの計画を作成します。インテグレーションごとに主関係者をリストします。主関係者が対応できない場合の連絡先を記載します。複数の領域に影響を与える問題をどのように伝達するかを識別します。

共有すべき重要な知らせがある場合は常に計画を参照します。

悪い知らせを伝える良い方法

堅実なリスク管理プロセスを実施していても、プロジェクトが暗唱に乗り上げることがあります。

それにどう対応するかが、関係者との関係に大きく影響します。悪い知らせを伝えなかったり、伝えるのが遅れたりすると、信頼を損ないかねません。反対に、問題が発生したら速やかに伝えることで信頼が築かれます。 

信頼を築く伝え方 

悪い知らせを伝えるのは楽しいことではありませんが、大幅に簡単にする方法があります。WHIPPED フレームワークを使用します。 

フェーズ
WHIPPED 要素
説明
計画
誰 (Who)
問題の影響を受けるのは誰かを判断する。
見出し (Headline)
問題の説明で始める。
影響 (Impact)
問題がプロジェクトに与える影響を説明する。
解決案 (Potential solutions)
問題を修正または受容するための実行可能なオプションをすべて識別する。
フォローアップ
ドキュメント化 (Put it in writing)
すべてをドキュメント化する。
説明 (Explanation)
問題が発生した理由を要約する。
迅速さ (Don't delay)
可能な限り速やかに知らせを伝える。


悪い知らせを伝える最も良い方法は正直かつ率直になることです。単刀直入に問題を説明します。次に、その影響と対応計画を説明します。最後に、コンテキスト、つまり問題が発生した状況と再発防止計画を説明します。 

美味しいハッピーエンド

ツールや手法の学習に取り組んでいる間に、カフェマネージャはリスク管理システムを実装しました。さっそく見てみましょう。

ここまで説明したプロセスに従った結果、状況ははるかに改善されています。

  • 識別: SuperTasty チーズは人気のある商品です。常に十分な在庫を維持するのは困難です。
  • 評価: カフェでは、SuperTasty の在庫がなくなると、売上が逸失するリスクが高くなります。速やかにこのリスクに対処することが推奨されます。
  • 対処: カフェでは、多めの注文と代替メニューの提案という、低減でこのリスクに対処することを選択しました。

明確なコミュニケーションが行われています。毎日の在庫確認で、カフェマネージャが SuperTasty チーズの在庫が少なくなっていることを発見したら、シェフとホールスタッフに伝えます。低減計画を実施し、多めに注文します。在庫切れになる前に配送される予定です。ただし、万一在庫切れになった場合、シェフとホールスタッフは、SuperTasty の代わりに十分な在庫のあるチーズを選んで顧客に勧めます。

誰でもハッピーエンドは大好きですが、今回はこのカフェが舞台です。次にカフェに行ったときには、SuperTasty チーズサンドウィッチにありつけるでしょう。美味しく召し上がれ!

作っているのがサンドイッチでもエンタープライズソリューションでも、顧客が満足するのがよいビジネスです。リスク管理をプロジェクトに取り入れることで、皆さんも成功を実現しましょう。

リソース

  • プレゼンテーション Risk Budget Best Practices (リスク予算のベストプラクティス) (パートナーコミュニティのログインが必要)
  • プレゼンテーション How to Inform and Deliver Bad News (悪い知らせを伝える方法) (パートナーコミュニティのログインが必要)
  • スプレッドシート Risk Register Template (リスクレジスタテンプレート) (パートナーコミュニティのログインが必要)