プロジェクト管理の基本事項について学ぶ

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

• プロジェクト管理を定義する。
  
• プロジェクトマネージャーの役割と責任を説明する。
  
• プロジェクトのライフサイクルを説明する。
  

このモジュールは Walden University の協力の下で作成されています。

Walden University について

プロジェクト管理に関するこの Trailhead トレイルは、Walden University の協力の下で作成されています。Walden University は、働くプロフェッショナルの学業ニーズを支援する目的で 1970 年に設立された認可大学です。早くからオンラインプログラムの提供を開始し、現在も教育の形を進化させながら、柔軟性、支援、トップレベルの教育を学生に提供する新たな方法を見出しています。  

このトレイルでは、プロジェクトマネージャーが歩む道を共に辿りながら、プロジェクトマネージャーの役割の理解を深め、実践的なプロジェクト管理ツールを学び、実際の例にアプローチを適用していきます。各自の業務にすぐに応用できるスキルや知識も紹介します。

それでは始めましょう。

内なるプロジェクトマネージャーを認識する

今までに、自宅の部屋を改装したり、家族の集まりを計画したり、イベントを主催したりしたことがありますか? このようなことをプロジェクトと言います。

では、そのプロジェクトに着手する前に、予算やタイムラインを計画しましたか? 着手した後、作業が完了するたびにチェックしましたか? プロジェクトが終了したとき、手伝ってくれた人と一緒に祝い、うまくいった点と次回の改善点を話し合いましたか?

このいずれもが、プロジェクトマネージャーの重要な活動です。このモジュールでは、Walden University がプロジェクト管理の重要要素を詳しく説明していきます。

プロジェクト管理は発展している

プロジェクト管理という仕事は、最初から評価されていたわけではありません。人がプロジェクトを率いることを始めてその活動に名前が付くまで、長い時間がかかりました。企業がプロジェクトで組織的なアプローチとリーダーを有する重要性を認識し始めてからも、多くの場合、プロジェクト管理は正式な職務とは見られていませんでした。 

このような状況に変化が訪れたのは 1960 年代になってからです。以降、複数の組織によってプロジェクト管理の研究が行われ、ベストプラクティスやベストアプローチが明らかになりました。この分野のリーダーには、Project Management Institute (PMI®) や Association for Project Management (APM) などが挙げられ、PMI の『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド』(PMBOK®ガイド) や APM の『APM Body of Knowledge (APM 知識体系)』など、プロジェクト管理を導くベストプラクティスやベストアプローチがしばしば公開されています。

プロジェクトマネージャーの力を借りる

そもそもプロジェクトとは何なのか? すべてのプロジェクトには、共通の特徴があります。 

• 明確な始まりと終わりがある。
  
• 有形または無形の結果を生み出す (通常、独自の製品またはサービス)。
  
• 日常業務とは異なる (業務が継続的かつ反復的であるのに対し、プロジェクトは一時的である)。
  

プロジェクト管理はどのようなものか? プロジェクト管理は、プロジェクト目標の達成に必要な活動を実施するためのアプローチを定義する方法です。効果的なプロジェクト管理には、特定の知識とスキルに加え、適切なツールと手法が必要です。 

では、プロジェクトマネージャーは何をするのか? プロジェクトマネージャーは、プロジェクト目標を確実に達成できるように、プロジェクトの計画策定、プロジェクト計画の実行、チームの指揮を行うエキスパートです。プロジェクトマネージャーは、その多くが専門的な訓練、認定を受けているプロフェッショナルです。 

プロジェクト管理の実例

それでは、プロジェクト、プロジェクト管理、プロジェクトマネージャーの定義をビジネスシナリオに当てはめてみましょう。

あなたは、金融機関のファシリティマネージャーです。パンデミック後、あなたの会社は従業員 30 人をオフィス勤務に戻すことを決めました。連邦法規により、個人用ワークスペースは間隔を空けて設置することが求められています。その規則に基づき、すべての作業エリアを構成し直す必要があります。あなたは、従業員 30 人を収容できるように建物 1 階のワークスペースを再構成するチームのリーダーとなるようマネージャーから任命されました。作業は 1 週間以内に開始し、1 か月以内に完了する必要があります。$25,000 の予算が割り当てられました。

定義上は、あなたがワークスペース再構成プロジェクトのプロジェクトマネージャーです。チームを率いてプロジェクトの目的を達成するよう組織から任命されました。プロジェクトの目的は、従業員 30 人を収容できるようにワークスペースの再構成を 1 か月以内に完了させることです。 

では、どこから始めればよいでしょうか?

プロジェクトライフサイクルを知る

プロジェクトライフサイクルは、プロジェクト作業を完了するためのフレームワークです。従来の予測型プロジェクトライフサイクルには、次のフェーズがあります。 

• 開始
  
• 計画
  
• Execute
  
• 監視・管理
  
• 閉じる
  

プロジェクトを開始する

開始フェーズでは、プロジェクトマネージャーはステークホルダーと連携しながらプロジェクトチャーターを作成します。プロジェクトチャーターは、範囲と目的が明確に定められたドキュメントです。チャーターを作成したら、プロジェクトマネージャーはプロジェクトのリーダーまたはスポンサーに提示して承認を得ます。その承認をもって、プロジェクトマネージャーは組織の資源と人材を利用して作業を実施する権限を得ます。 

計画を作成する

プロジェクトチャーターが承認されたら、次は何をすればよいのでしょうか? 詳細を確認し、プロジェクト管理計画を作成します。プロジェクト管理計画は、プロジェクトの実行、監視・管理、完了で使用される文書です。次の表は、プロジェクト計画の構成要素とそれぞれの詳細を大まかに示しています。 

それでは、計画フェーズでプロジェクトマネージャーが行うことは何でしょうか? 上記のすべてもちろん、プロジェクトマネージャーは単独で仕事をするわけではありません。プロジェクトの目的を達成するために、さまざまなチームと連携し、作業の委任も行います。 

強力なチームと実行する

次は実行フェーズです。このフェーズでは、プロジェクト活動を実施します。プロジェクトマネージャーは、計画に定義されたプロジェクトタスクを指揮して率います。このフェーズ全体を通して、チームはプロジェクトの目標を達成し、お客様の要求事項を満足させる成果物を生み出します。

監視、予測、管理

監視・管理フェーズには、決められた範囲、スケジュール、予算内で確実に物事が完了するように、進捗状況の定期的な確認、次ステップの結果の予測、プロジェクトの管理などを行います。ここでのプロジェクト管理とは、確実に目的が達成されるように、進捗状況とパフォーマンスの継続的な確認と追跡、プロジェクト状況の評価、必要時の調整を行うことです。

まとめ

これはどういうことでしょうか? あなたが担当しているワークスペース再構成プロジェクトのシナリオで、3 つの構成要素 (範囲、スケジュール、コスト) について見てみましょう。

• プロジェクトの範囲には、成果または結果を実現するために実行する必要があるすべての作業を定義します。プロジェクトスコープ記述書では、プロジェクトに含まれるものと含まれないものを正確に説明します。ワークスペース再構成プロジェクトの場合、プロジェクトマネージャーが再構成する必要があるワークスペースの数はちょうど 30 です。それより多くても少なくても、範囲外とみなされます。
  
  
• 会社からは、タイムラインが 1 か月であると指示されました。プロジェクトをその期限内に終えることができるかどうかは、あなたにかかっています。実現させるには、プロジェクトスケジュールを作成します。プロジェクトスケジュールでは、プロジェクトで期待される範囲を実現するのに必要な活動の期間を見積もります。
  
  
• ワークスペース再構成プロジェクトの予算は $25,000 です。けれども、プロジェクトのコストが想定予算内に収まるかどうかは、どのようにしたらわかるのでしょうか? プロジェクトスケジュールに定義された活動の情報を使用して、各活動のコストの見積もりを行い、その見積もりを集計してプロジェクトの総コストを割り出します。
  
  
• 完了フェーズは、大まかに言うと、プロジェクトを正式に完了するために取るべきステップから成ります。完了プロセスには、製品のユーザー受け入れの最終決定 (マネージャーとステークホルダーによる再構成の確認)、管理上のクローズ (ステークホルダーによる変更承認)、プロジェクトパフォーマンスの振り返りとコミュニケーション (プロジェクトに貢献した人全員での意見交換とフィードバックの収集) などが含まれます。では、正式にプロジェクトを完了することが重要なのはなぜでしょうか?
  

正式にプロジェクトを完了することによって、組織は、うまくいった点とうまくいかなかった点を振り返る機会を持てます。他のプロジェクトで同じ過ちを繰り返さないように、教訓を共有することができます。何よりも、成功に倣うことは、他のプロジェクトが一貫して品質要件を満たすのに役立ちます。

プロジェクト管理手法を掘り下げる

次の単元では、Walden University が従来型とアジャイル型のプロジェクト管理手法とそれぞれの長所と短所、そして実践時に各手法を単独使用または併用するべきシチュエーションについて説明します。