Skip to main content

プロジェクト管理を通して価値を提供する

学習の目的

このモジュールを完了すると、次のことができるようになります。

  • プロジェクトの価値を定義する。
  • プロジェクトを通してビジネス価値を提供する方法を説明する。
  • プロジェクトの価値提供を測定する方法を説明する。

プロジェクトの価値を定義する

「価値」という単語になるよう並べられているゲームピース

プロジェクト管理の場合、価値は金銭的または相対的な用語で定義される場合があります。組織は、価値 (たとえば、利益という形の金銭的な価値や、顧客満足度、ロイヤルティという形の相対的な価値) を得るためにプロジェクトに投資します。長年にわたり、プロジェクトの成功を示す標準的な定義は、お客様の要望に応えながらスケジュールどおり、予算どおりのデリバリーを実現することでした。現在、組織は、プロジェクトが組織の戦略的目標と一致し、プロジェクトによって価値が提供される必要があることを認識しています。 

プロジェクトが成功していても、組織の戦略的目標に沿っていないとしたら? 戦略上の重要性が大きいプロジェクトが、コスト超過やスケジュールの遅れという問題を抱えているとしたら? このようなプロジェクトで意図する価値は、どのように定義されたのか? プロジェクトライフサイクルのどこで価値が実現されると予想されていたか? ビジネス価値を測るためにどのような指標があるのか?

Walden University がプロジェクトとプロジェクト管理を通じてビジネス価値を提供するアプローチを詳しく説明しながら、上記の疑問に対処する方法を教えてくれます。

価値を提供する

プロジェクトマネージャーは、開始フェーズと計画フェーズ時に、スポンサーと主要ステークホルダーと連携してプロジェクトのビジネス価値を明示的に定義し、プロジェクトチームによく理解してもらう必要があります。価値を定義するときは、価値を提供できるものはプロジェクトの最終結果だけではないことに留意することが重要です。プロジェクト全体を通して増分価値が提供される場合があり、価値はプロジェクト終了後にも実現し続けることができます。プロジェクトの有形および無形両方の利点として提供される価値を考慮することも重要です。 

プロジェクト管理の方法には、範囲、時間、コストの観点からプロジェクトパフォーマンスを測る指標が含まれます。けれど、ビジネス価値の測定に関連する指標に特別な重点が置かれることはあまりありません。

組織がプロジェクトの価値の可視性を高めるには、どのようにプロジェクト管理を利用すればよいでしょうか? プロジェクトライフサイクルの各フェーズで、次の要素を含めます。

プロジェクトの概念

ビジネスケース: ビジネスケースには、ビジネスニーズと意図する価値、ビジネスニーズに応えるためにプロジェクトを実施すべき理由、組織戦略をサポートするビジネス価値をプロジェクトで提供する方法についてのステートメントを含めます。

プロジェクトの開始

プロジェクトチャーター: プロジェクトのすべての企画書またはチャーターには、意図するビジネス価値の定義、ビジネス価値を測定するためのアプローチの説明、定期的に進捗情報を監視し、ステークホルダーに報告するための大まかな計画を含めます。プロジェクトで意図するビジネス価値の定義は、組織の戦略的目標と直接関連付ける必要があります。

プロジェクトの計画

プロジェクト管理計画: 優れたプロジェクト管理計画を作成するには、ステークホルダーがプロジェクトでビジネス価値を提供しようとする正確な方法を理解できる十分な詳細情報を含めます。チャーターに記載された意図するビジネス価値を使用して、プロジェクトの実行中に管理、測定する価値の個々の要素を特定します。この要素を測定するための指標を作成します。また、プロジェクトの健全性や方向性についてステークホルダーが意思決定を下す閾値も含めます。さらに、価値実現に向け進捗状況を伝える方法を特定します。

プロジェクトの実行/監視/管理

プロジェクトの実行時、プロジェクト計画で明記した指標を使用してビジネス価値に関連するデータを取得し、ステークホルダーに提示します。通常これはプロジェクトの主要なマイルストーンで行い、ステークホルダーがプロジェクトの状況とパフォーマンスを評価し、方向性と今後について意思決定を行います。

方法と指標

ビジネス価値を測定するための要件は、プロジェクト管理手法によって異なります。たとえば、アジャイル型の方法を使用している場合、計画と実行は反復的に、デリバリーは漸進的に行われます。この場合、ビジネス価値はイテレーションごとに定義する必要があり、ステークホルダーからは増分のデリバリーが行われるたびに価値を測定、報告することが求められる可能性があります。 

従来型のプロジェクト管理では、ビジネス価値の計画はプロジェクトに組み込まれ、主要なマイルストーンで測定、報告されます。けれども、通常、ビジネス価値はプロジェクトが完了したときに実現すると想定されています。 

手法にかかわらず、ステークホルダーがビジネス価値を定義する方法を理解し、その価値を管理、測定するための計画を備えることが重要です。

次の例を見てみましょう。

Gadgets & Widgets, Unlimited (GWU) は、ホームマネジメントシステムの開発、マーケティングにより、コンシューマーテクノロジー市場に参入する機会を見出しました。この新製品は、年間 $100,000 の新たな収益を創出すると期待されています。GWU は 12 か月以内に製品を市場に出す必要があります。$500,000 の予算がプロジェクトに割り当てられました。  

 このプロジェクトで意図されるビジネス価値は何でしょうか?

  • コンシューマーテクノロジー市場への参入
  • 新たな収益 $100,000

プロジェクトのビジネス価値を実現するには 12 か月以内に製品を提供する必要があるため、スケジュールのパフォーマンスが重要です。また、予算 $500,000 を超えてはならないため、コストパフォーマンスも重要です。

このプロジェクトの場合、どのようにしてビジネス価値を測定できるでしょうか?

マーケットへの参入

発売に向け、GWU は、新しいシステムの機能について学べる新しい Web サイトに消費者を呼び込むマーケティングキャンペーンを実施します。 

このビジネス価値要素を評価するには、次の指標を使用します。

  • サイト訪問者総数: この Web サイトは GWU の新しいサイトであるため、訪問者の総数を追跡することで新製品への一般の関心がわかります。
  • ページビュー: この指標は、消費者がすばやく参照して去っていったか、とどまって新製品の情報を調べたかを GWU が理解するのに役立ちます。

新たな収益

GWU は、予想される収益の実現を製品の発売まで待ちたくありませんでした。プロジェクト開始前の実現可能性調査によって、回収期間は 5 年になることがわかっています。GWU は、消費者が新しい Web サイトでシステムを事前注文できるようにしました。 

このビジネス価値要素を評価するには、次の指標を使用します。

  • コンバージョン率: この指標は、サイトの訪問者が購入を行う割合を示します。
  • 訪問者 1 人あたりの収益: この指標は、1 人の個人が 1 回のサイト訪問中に支出する金額についてのデータを提供します。

消費者の購入行動を理解できれば、GWU が収益目標を達成する可能性とタイミングを評価するのに役立ちます (消費者のコンバージョンが起こっているか? システム全体をパッケージ注文しているか? 単品のコンポーネントを選んでいるか?) 

スケジュールパフォーマンス

GWU は、新製品を 12 か月以内に提供する必要があります。毎年開催されているホームテクノロジー製品の展示会の次回開催日に間に合わせるためです。このようにデリバリーの期限が確定している場合、プロジェクトチームはプロジェクトスケジュールパフォーマンスを慎重に管理する必要があります。 

このビジネス価値要素を測定するには、次の指標を使用します。

  • スケジュール効率指数: この指標は、ある時点における実際のプロジェクト期間に対する計画プロジェクト期間の比率です。結果が 1.0 以上の場合、プロジェクトは予定どおり、または予定より早いことを示します。

コストパフォーマンス

GWU プロジェクトのステークホルダーは、新製品の開発に $500,000 を割り当てました。それ以上支出するつもりはありません。このようにデリバリーコストが確定している場合、プロジェクトチームはプロジェクトのコストパフォーマンスを慎重に管理する必要があります。 

このビジネス価値要素を測定するには、次の指標を使用します。

  • コスト効率指数: この指標は、ある時点における実際のプロジェクトコストに対する計画プロジェクトコストの比率です。結果が 1.0 以上の場合、プロジェクトは予算どおり、または予算を下回っていることを示します。

まとめ

このモジュールでは、Walden University がプロジェクト管理の基本 (プロジェクト管理の定義、手法とその適用方法、プロジェクト管理を利用して価値を定義、伝える方法) について説明しました。これで、プロジェクト管理の基本について理解が深まりました。

もっと詳しく知りたい

このトレイルのモジュールは、プロジェクト管理の基本を紹介するために Walden University との提携の下に制作されています。さらに知識を深めたい方は、Walden University の MBA Project Management 専攻コースや同大学の School of Lifelong Learning の各種コースをご検討ください。

リソース

無料で学習を続けましょう!
続けるにはアカウントにサインアップしてください。
サインアップすると次のような機能が利用できるようになります。
  • 各自のキャリア目標に合わせてパーソナライズされたおすすめが表示される
  • ハンズオン Challenge やテストでスキルを練習できる
  • 進捗状況を追跡して上司と共有できる
  • メンターやキャリアチャンスと繋がることができる