コンポーネントの販売予測を追跡して変換する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- プログラムベースのビジネスで利用できる事前定義済みの DPE 定義を列挙する。
- プログラムとそのバリエーション、そしてコンポーネントの販売予測を表示する。
- 販売予測データを商談レコードに変換する。
- 商談レコードを販売契約レコードに変換する。
これまでのまとめ
次のステップに進む前に、Susan、Jackie、そしてエンジニアリングマネージャーがこれまでに達成した内容を簡単にまとめましょう。
Susan は Jackie に権限を割り当て、事前定義済みの販売予測結果を調べました。また、販売予測ディメンションや販売予測基準として使用する項目を決定しました。次に、Susan は販売予測セットで販売予測設定を定義し、プログラムテンプレートを作成しました。
その後、Jackie は製造プログラムを作成し、Forecast Set Use (販売予測セットの使用) レコードを作成してから、CSV ファイルを使用して販売予測データをインポートしました。
このプログラムが導入された後、エンジニアリングマネージャーは Xela の商品のバリエーションと Rayler Motors の部品とのリレーションを作成しました。これが今までの経緯です。
Susan はすでに事前定義済みの DPE 定義を Rayler Motors の要件に合わせてコピーしてカスタマイズしてあります。そして、Xela PowerUp Components Set (Xela PowerUp コンポーネントセット) 販売予測セットでこれらの定義を関連付けました。プログラムが準備できましたので、次のタスクは、データ処理エンジンを実行してコンポーネント販売予測を生成することです。
DPE テンプレートとそのしくみ
Manufacturing Cloud には、販売予測の計算に使用できる 4 つの DPE テンプレートが含まれています。DPE は、プロセス種別 (プログラムベースビジネス) によって識別できます。
定義としくみについて詳しく見ていきましょう。
データ処理エンジンテンプレート | 機能 |
---|---|
Generate Program Component Forecast (プログラムコンポーネント販売予測の生成) |
プログラムに対して初めてコンポーネント販売予測を生成するときには、この定義を使用します。また、前回の実行後に基盤となるプログラムとバリエーションの販売予測が変更され、Jackie が新しいプログラム販売予測をインポートした場合にも、この定義を実行します。 |
Calculate Program Component Forecast (プログラムコンポーネント販売予測の計算) |
各期間について販売予測を計算して最新の値を提示します。Rayler Motors では、この定義を毎月実行します。Susan は、新しいコンポーネントが導入された場合や、前回の実行後に作成された新しい商品関連資材レコードが作成された場合にも、この定義を実行します。 |
Rollover Program Component Forecast (プログラムコンポーネント販売予測のロールオーバー) |
各月の末日に、販売予測表示がロールオーバーされて最初の期間の販売予測が期限切れとなり、新たな期間が表示に追加されます。この定義は、新しい期間のコンポーネント販売予測を生成します。 |
Regenerate Program Component Forecast (プログラムコンポーネント販売予測の再生成) |
販売予測セット設定を変更した場合やディメンションと期間グループを変更した場合には、この定義を実行して、更新後のパラメーターに基づいて販売予測を生成します。この DPE 定義は、既存の販売予測レコードを期限切れにして、新しい販売予測を作成します。 |
まず、以下のオブジェクトレコードからデータを抽出します。
- Advanced Account Forecast Period (高度な取引先販売予測期間)
- Advanced Account Forecast Period Group (高度な取引先販売予測期間グループ)
- Advanced Account Forecast Set (高度な取引先販売予測セット)
- Advanced Account Forecast Set Use (高度な取引先販売予測セットの使用)
- Manufacturing Program (製造プログラム)
- Manufacturing Program Component Forecast Fact (製造プログラムコンポーネント販売予測結果)
- Manufacturing Program Template (製造プログラムテンプレート)
- Manufacturing Program Template Item (製造プログラムテンプレート項目)
- Manufacturing Program Variant Forecast Fact (製造プログラムバリエーション販売予測結果)
- Period (期間)
- Price Book (価格表)
- Price Book Entry (価格表エントリ)
- 商品
- Product Related Material (商品関連資材)
各 DPE は、データの結合、絞り込み、集計を実行し、数式やスライスなどの変換を適用してから、最終的なデータを製造プログラムコンポーネント販売予測オブジェクトに書き戻します。Total Cost Per Unit (単位あたりの総コスト)、Expected Profit Per Unit (単位あたりの期待利益)、Selling Price Per Unit (単位あたりの販売価格) などの基準項目に値が入力され、Forecasted Quantity (予測数量) や Forecasted Revenue (予測収益) の値が計算されます。
毎週更新される販売予測の計算を自動化するために、Susan はこれらの DPE 定義を、個別にスケジュールされた Salesforce フロー定義で実行します。新しいコンポーネント販売予測が必要な新しいプログラムがある場合や、既存の販売予測を再計算する必要がある場合には、このフローによってこれらのプロセスが開始されます。Susan は、新しい Xela PowerUp プログラム販売予測を生成するためのフローを実行します。フローの実行が成功したら、Jackie に通知します。
販売予測の表示と調整
Jackie は、Xela PowerUp プログラムレコードで、3 つのレベルすべての販売予測を確認できるようになりました。プログラム、バリエーション、コンポーネントの販売予測の間をスムーズに切り替えることができます。また、製造工場、車種、バリエーション名、部品名などのディメンションでデータを絞り込むこともできます。さらに、24 の期間で月次販売予測を確認できるうえ、期間で販売予測を絞り込めば、少ない期間だけに集中できます。
さて、いよいよ Jackie が Xela Automotive の購入マネージャーと電話で話すときがきました。Jackie は、アプリケーションが生成した豊富なコンポーネント販売予測データについて説明します。購入マネージャーは、バリエーションや製造工場ごとに集計されたコンポーネント数量などの詳細なデータに感心しました。
ですが、購入マネージャーはいくつかの変更を希望しています。次の 2 月に向けて、Xela PowerUp XZ Plus 用のギアボックスの販売予測数量を 20%増やすよう Jackie に指示しました。その理由は、Xela Automotive が自動車を製造している間に余剰在庫を確保しておきたいからです。幸い、Susan はすでに販売予測調整期間を設定していました。毎月最初の 5 日間については、Jackie が販売予測を編集できます。
Jackie は、コンポーネント販売予測ビューでギアボックス 2100 の 2 月の [Forecasted Quantity (予測数量)] セルをクリックして、値を変更します。また、「Need surplus for assembling the car. (自動車の組み立てに余剰在庫が必要です。)」という調整メモも追加します。変更を保存したら、変更が追跡されていることを確認します。これにより、エンジニアリングマネージャーは数量の変更と変更理由を簡単に確認できます。エンジニアリングマネージャーは、さらに次の 5 日間の販売予測も編集できるため、必要に応じて調整を行うことができます。
エンジニアリングマネージャーは販売予測を確認し、Jackie の変更に満足しています。また、生産計画と在庫を確認し、ギアボックスが十分に確保されていることが分かって安心しました。これで Jackie は、Xela との交渉を開始できます。Rayler Motors は、これを潜在的な商機を探求するためのツールとして活用できます。すべては Manufacturing Cloud のおかげです。
変換 API の概要
部品の販売予測は順調で、部品も確保されましたので、次に Jackie は販売予測を商談に変換する必要があります。Rayler Motors の営業マネージャーは、通常のセールスプロセスに従って商談を成立させ、Rayler Motors に新規取引をもたらします。そして、販売合意で新しい継続的な業務条件を追跡できます。主要取引先マネージャーは、各商品コンポーネントの計画数と実績数、そして収益を長期間にわたって追跡できます。
Manufacturing Cloud には、これらすべてを実現し、ビジネスをさらに発展させる強力な API が用意されています。変換 API は、以下の各レベルでレコードを変換できます。
- 親から親:製造プログラムコンポーネント販売予測結果ヘッダー詳細を商談ヘッダー詳細に変換します。また、商談ヘッダーや見積ヘッダーの詳細を販売合意のヘッダー詳細に変換することもできます。
- 親から子:製造プログラムコンポーネント販売予測結果ヘッダー詳細を商談品目または商談品目スケジュールの詳細に変換します。
- 子から子: 商談品目または見積品目を販売合意商品詳細に変換します。
- サポート: 製造プログラムからアカウントなどの項目を生成して、商談レコードに取引先として入力します。この対応付けは、他の 3 つの対応付けのいずれか 1 つと一緒に使用されます。製造プログラムコンポーネント販売予測を商談に変換しても、取引先は自動的には生成されません。
販売予測から商談への変換
Susan が Xela PowerUp プログラムの製造プログラムコンポーネント販売予測結果のレコードを商談レコードにどのように変換するのかを見ていきましょう。各商談レコードには、各期間に対応する複数の商談品目レコードと品目スケジュールレコードが関連付けられています。
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項目の対応付けを作成する。Susan は、ObjectHierarchyRelationship メタデータ API を使用して、入力オブジェクトと出力オブジェクト間の項目の対応付けを取得してリリースします。利用状況の種別は Transformation Mapping (変換の対応付け) です。Susan は、以下の対応付け用のファイルを作成します。
- 親から子: MfgProgramCpntFrcstFact から Opportunity
- 子から子: MfgProgramCpntFrcstFact から OpportunityLineItem
- 子から子: MfgProgramCpntFrcstFact から OpportunityLineItemSchedule
- サポート: ManufacturingProgram から Opportunity
- ペイロード要求パラメーターを定義する。Susan は、新しい商談品目の取引先 ID や価格表 ID などの基本的な値を指定する要求パラメーターを定義します。
- API をトリガーする。Susan は、次の API コールをトリガーして、販売予測結果レコードを取得し、指定された応答パラメーターおよび対応付けられた項目値で商談レコードに変換します。/services/data/v55.0/connect/manufacturing/transformations
Jackie は、Xela PowerUp プログラムの [Related (関連)] タブで商談レコードを確認できるようになりました。各コンポーネントに対しては、商談品目レコードも作成されています。期間と単位あたりの販売価格の情報により、商談品目スケジュールレコードにもデータが入力されています。
販売合意によるビジネスの保証
Rayler Motors にとって、今日は嬉しい日です。商談が成立し、Rayler Motors が Xela Automotive との契約に至ったのです。Xela は、3 つのコンポーネントについて、月単位で 2 年間の販売契約を締結したいと考えています。Susan はいつもと同じプロセスでレコードを変換します。
- 商談から販売合意
- 商談品目から販売合意商品
そして、Susan は SalesAgreement 接続 API を使用して変換を完了します。
Susan と Jackie は力を尽くして Rayler Motors のビジネスを成長させることに成功しました。そして Manufacturing Cloud は、あらゆる面で彼女らを支援してきました。これから実際に Manufacturing Cloud を活用してプログラムベースのビジネスを始めるときには、このモジュールで学んだ知識を活かして新たな道を切り開いてください。
リソース
- Salesforce ヘルプ: プログラムベースのビジネス販売予測の表示
- Salesforce ヘルプ: 製造プログラム販売予測の絞り込み
- Salesforce ヘルプ: 製造プログラムコンポーネント販売予測の調整
- Salesforce ヘルプ: プログラムベースのビジネスのデータ処理エンジンテンプレートを使用したコンポーネント販売予測の計算
- Salesforce ヘルプ: フローを使用したコンポーネント販売予測の生成
- Salesforce ヘルプ: プログラムベースのビジネス変換のオブジェクト階層リレーションの対応付けの作成
- 開発者ガイド: ObjectHierarchyRelationship
- 開発者ガイド: Transformations (変換)