販売予測結果と販売予測セットを探求する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- プログラムベースのビジネス用の販売予測結果オブジェクトを説明する。
- 販売予測結果と販売予測セットの関係を説明する。
- 販売予測セットの期間グループとディメンションを作成する。
- プログラム、バリエーション、コンポーネントの販売予測セットを作成して設定する。
販売予測結果について知る
Manufacturing Cloud には、3 つの販売予測結果オブジェクトが用意されています。
- 製造プログラム販売予測結果
- 製造プログラムバリエーション販売予測結果
- 製造プログラムコンポーネント販売予測結果
Susan は、これらのオブジェクトの項目を使用して、プログラム、バリエーション、コンポーネントの各レベルの販売予測の基準とディメンションをモデル化する方法を検討します。
製造プログラム販売予測結果: Jackie が IHS Markit の調査データに基づいた生産予測を CSV ファイルでインポートすると、このオブジェクトのデータがプログラム販売予測に変換されます。例を見てみましょう。
次の表に、2 つの製造プログラム販売予測結果レコードのサンプル値を示します。
期間 |
製造モデル |
製造場所 |
プログラム数量 |
市場シェア率 |
単位あたりの期待収益 |
---|---|---|---|---|---|
2022 年 1 月 | PowerUp Car | ニューヨーク | 30,000 | 25 | 2,500 |
2022 年 2 月 | PowerUp Car | デトロイト | 40,000 | 40 | 4,000 |
各行は、製造プログラム販売予測結果オブジェクトの各レコードに対応します。Susan はこのデータをどのように活用できるのでしょうか? Susan は、製造プログラムの販売予測セットを作成する際に、Production Location (製造場所) 項目を販売予測のディメンションとして使用できます。これにより、Jackie は製造工場の場所ごとの PowerUp Car の販売予測数量と収益を確認できます。
Market Share Percent (市場シェア率) と Expected Revenue Per Unit (単位あたりの期待収益) の項目も標準で用意されているため、Susan が販売予測セットを定義する際に使用できます。そうすることで、Jackie は、2022 年 1 月の PowerUp Car の総生産台数 (30,000 台) の 25%がニューヨークで生産されることを簡単に知ることができます。この工場で製造される車両の 1 台あたりの Xela の期待収益は 2,500 ドルです。
製造プログラムバリエーション販売予測結果: Jackie が IHS Markit の調査データに基づいた生産予測を CSV ファイルでインポートすると、このオブジェクトのデータがプログラムバリエーション販売予測に変換されます。例を見てみましょう。
次の表に、2 つの製造プログラムバリエーション販売予測結果レコードのサンプル値を示します。
期間 |
製造モデル |
商品 |
製造場所 |
市場シェア率 |
---|---|---|---|---|
2022 年 1 月 | PowerUp Car | PowerUp XZ | ニューヨーク | 40 |
2022 年 1 月 | PowerUp Car | PowerUp XZ Plus | デトロイト | 60 |
各行は、製造プログラムバリエーション販売予測結果オブジェクトの各レコードに対応します。Susan は、製造プログラムバリエーションの販売予測セットを作成する際に、Production Location (製造場所) 項目と Product (商品) 項目を販売予測のディメンションとして使用できます。これにより、Jackie は場所とバリエーションごとの PowerUp Car の販売予測数量と収益を確認できます。
Susan は、バリエーションレベルで予測を追跡する際に、予測セットの基準として Market Share Percent (市場シェア率) を定義することもできます。そうすることで、Jackie は、2022 年 1 月に販売された PowerUp Car の 40%が XZ のバリエーションであることを簡単に知ることができます。
製造プログラムコンポーネント販売予測結果: Susan がデータ処理エンジン (DPE) のジョブをトリガーしてコンポーネントレベルの予測を計算すると、DPE はこのオブジェクトにデータを書き戻します。例を見てみましょう。
次の表に、2 つの製造プログラムコンポーネント販売予測結果レコードのサンプル値を示します。
期間 |
商品 |
コンポーネント |
製造場所 |
単位あたりの総コスト |
単位あたりの期待利益 |
単位あたりの販売価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
2022 年 1 月 | PowerUp XZ | 車輪 | ニューヨーク | 60 | 50 | 110 |
PowerUp XZ Plus | ブレーキ | 55 | 65 | 120 |
各行は、製造プログラムコンポーネント販売予測結果オブジェクトの各レコードに対応します。このオブジェクトには、Susan が販売予測のディメンションや基準として使用できる標準項目が用意されています。販売予測ディメンションとしては Production Location (製造場所)、Product (商品)、Component (コンポーネント)、販売予測セット基準としては Total Cost Per Unit (単位辺りの総コスト)、Expected Profit Per Unit (単位あたりの期待利益)、Selling Price Per Unit (単位あたりの販売価格) の各項目を使用できます。
販売予測結果と販売予測セット
販売予測結果と販売予測セットがどのように関連しているのかを見てみましょう。
各販売予測セットは、販売予測結果オブジェクトに関連付けられています。販売予測結果オブジェクトの項目は、販売予測セットのディメンションまたは基準として使用できます。
項目をディメンションとして選択した場合、結果となる販売予測は、その項目によって集計されます。たとえば、製造プログラム販売予測結果オブジェクトの Production Location (製造場所) 項目が販売予測セットのディメンションとして使用されている場合、Xela PowerUp のプログラム販売予測には、各製造場所での累積生産台数と収益が示されます。
項目を基準として選択した場合は、販売予測ビューに表示するメトリクスを選択します。たとえば、製造プログラム販売予測結果オブジェクトで Expected Profit Percent field (期待利益率) 項目を販売予測セットの基準として選択すると、Xela PowerUp プログラムの販売予測表示では Expected Profit Percent field (期待利益率) がメトリクスとして表示されます。
期間グループとディメンション
期間グループは、販売予測頻度、販売予測を表示する期間数、販売予測が生成される最初の期間を定義します。Susan が販売予測セットの期間グループとディメンションを作成する手順を見ていきましょう。
Jackie は、現在の月から始まる月次レベルの販売予測を求めており、選択した時点から合計 24 か月分の販売予測を確認したいと考えています。そこで Susan は、ニーズに応じた期間グループを作成して定義します。Susan は、プログラム、バリエーション、コンポーネントに対して作成した 3 つの販売予測セットすべてに、この期間グループを使用します。
次に Susan は、販売予測を集計するためのディメンションを作成します。Jackie は各レベルで以下のディメンションを求めています。
販売予測レベル | ディメンション名 | 販売予測結果の項目 | 取得元オブジェクト |
---|---|---|---|
プログラム |
Manufacturing Plant (製造工場) |
Production Location (製造場所) |
Location (場所) |
車種 |
製造モデル |
Product2 |
|
バリエーション |
Manufacturing Plant (製造工場) |
Production Location (製造場所) |
Location (場所) |
車種 |
製造モデル |
Product2 |
|
バリエーション名 |
商品 |
Product2 |
|
コンポーネント |
Manufacturing Plant (製造工場) |
Production Location (製造場所) |
Location (場所) |
バリエーション名 |
商品 |
Product2 |
|
Car Model (車種) |
Production Model (製造モデル) |
Product2 |
|
Part Name (部品名) |
Product Component (商品コンポーネント) |
Product2 |
プログラムとバリエーションの販売予測セット
Susan は、プログラム、バリエーション、コンポーネントの販売予測セットを作成し、各販売予測セットを設定する必要があります。
Susan は次の 3 つの販売予測セットを作成します。
名前 | 期間グループ | 販売予測結果オブジェクト |
---|---|---|
Xela PowerUp Program Set (Xela PowerUp プログラムセット) |
Xela PowerUp Periods (Xela PowerUp 期間) |
製造プログラム販売予測結果 |
Xela PowerUp Variants Set (Xela PowerUp バリエーションセット) |
製造プログラムバリエーション販売予測結果 |
|
Xela PowerUp Components Set (Xela PowerUp コンポーネントセット) |
製造プログラムコンポーネント販売予測結果 |
Susan は、プログラムレベルでの販売予測表示の設定を定義します。
-
Forecast Frequencies (販売予測頻度): Jackie は、毎月販売予測が計算されて、月末には新しい販売予測期間が追加されるようにしたいと考えています。そのため Susan は、Rollover Frequency (計算頻度) と Rollover Frequency (ロールオーバー頻度) の両方で [Monthly (毎月)] を選択します。
-
Dimensions (ディメンション): Susan は、ディメンションとして Manufacturing Plant (製造工場) と Car Model (車種) を選択します。表示順をそれぞれ 1 と 2 に設定することで、データはまず製造工場ごとに集計されてから、車種ごとに集計されます。
- Measures (基準): Susan は、以下の基準を追加して、これらの基準の計算方法を定義します。
名前 | 販売予測結果基準項目 | 基準種別 | 集計種別 | 計算方法 | 調整の追跡 |
---|---|---|---|---|---|
Program Quantity (プログラム数量) |
Program Quantity (プログラム数量) |
Quantity (数量) |
Sum (合計) |
一括処理 |
不要 |
Expected Revenue (期待収益) |
Expected Revenue Per Unit (単位あたりの期待収益) |
Revenue (収益) |
Sum (合計) |
一括処理 |
不要 |
-
Adjustment Periods (調整期間): Jackie は、取引先マネージャーに毎月最初の 5 日間の販売予測を編集させ、エンジニアリングマネージャーに次の 5 日間の販売予測を編集させたいと考えています。Susan は、これらの 2 つのユーザープロファイルに対して、2 つの調整期間を定義します。
Xela PowerUp Variants Set (Xela PowerUp バリエーションセット) と Xela PowerUp Program Set (Xela PowerUp プログラムセット) の設定はほとんど同じです。ディメンションと基準が異なるだけです。
-
Dimensions (ディメンション): Susan は、ディメンションとして Manufacturing Plant (製造工場)、Car Model (車種)、Variant Name (バリエーション名) を選択します。表示順をそれぞれ 1、2、3 に設定することで、データはまず製造工場ごとに集計されてから、車種ごとに集計され、最後にバリエーションごとに集計されます。
- Measures (基準): Susan は、以下の基準を追加して、これらの基準の計算方法を定義します。
名前 | 販売予測結果基準項目 | 基準種別 | 集計種別 | 計算方法 | 調整の追跡 |
---|---|---|---|---|---|
Market Share Percent (市場シェア率) |
Market Share Percent (市場シェア率) |
Quantity (数量) |
Sum (合計) |
ユーザー編集可能 |
必要 |
Forecasted Quantity (予測数量) |
Forecasted Quantity (予測数量) |
Quantity (数量) |
Sum (合計) |
ユーザー編集可能 |
必要 |
コンポーネントの販売予測セット
Xela PowerUp Components Set (Xela PowerUp コンポーネントセット) の販売予測セットの設定は、前の 2 つの販売予測セットとほとんど同じで、若干の変更が加えられています。
- Data Processing Engine Definitions (データ処理エンジン定義): Susan は、事前定義済みの 4 つの DPE テンプレートをコピーして、Process Type (プロセス種別) を Program-Based Business (プログラムベースのビジネス) に変更しました。また、販売セットでコピーした定義を選択して、販売予測を計算、再計算、生成、再生成します。
-
Dimensions (ディメンション): Susan は、ディメンションとして Manufacturing Plant (製造工場)、Car Model (車種)、Variant Name (バリエーション名)、Part Name (部品名) を選択します。表示順をそれぞれ 1、2、3、4 に設定することで、データはまず製造工場ごとに集計されてから、車種ごとに集計され、バリエーションごとに集計されて、最後に各バリエーションで必要な部品ごとに集計されます。
- Measures (基準): Susan は、以下の基準を追加して、これらの基準の計算方法を定義します。
名前 | 販売予測結果基準項目 | 基準種別 | 集計種別 | 計算方法 | 調整の追跡 |
---|---|---|---|---|---|
Forecasted Revenue (予測収益) |
Forecasted Revenue (予測収益) |
Revenue (収益) |
Sum (合計) |
ユーザー編集可能 |
必要 |
Forecasted Quantity (予測数量) |
Forecasted Quantity (予測数量) |
Quantity (数量) |
DPE 定義の詳細
プログラムとバリエーションの販売予測セットでは、計算、再生成、ロールオーバー、再計算のために DPE 定義を選択する必要はありません。これは、販売予測データが定期的に CSV ファイルでアップロードされるためです。また、基準グループや販売予測数式を定義する必要もありません。
ですが、DPE 定義を使用することで、CSV ファイルに保存されているサードパーティプログラムの販売予測データに計算ロジックを適用することができます。変換されたデータは、プログラムまたはバリエーションの結果オブジェクトに書き戻されます。そのためには、ゼロから DPE を作成する必要があります。
コンポーネントの販売予測では、事前定義済みの DPE 定義により、プログラム販売予測、バリエーション販売予測、その他の詳細 (コンポーネントのリードタイムなど) から入力値を導き出すことで販売予測を計算します。DPE は、Forecasted Quantity (予測数量) と Forecasted Revenue (予測収益) の値を、期間ごとに個別のレコードとして製造プログラムコンポーネント販売予測結果オブジェクトに書き戻します。また、Total Cost (総コスト)、Expected Revenue Per Unit (単位あたりの期待収益)、Profit (利益) などの基準の値を計算するように DPE をカスタマイズすることもできます。または、CSV ファイルをインポートしてこれらの値を供給することもできます。
Susan はいくつかの重要な仕事を終えることができました。次の単元では、Jackie が Xela PowerUp プログラムを作成するために使用するプログラムテンプレートを作成します。