ルールの評価タイミングを決定する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 商品ルールが条件を評価する場所とタイミングについて説明する。
- 各評価イベントで実行可能なルールを特定する。
- ルール評価のトリガーとなる設定属性と製品オプションを設定する。
- 選択ルールが実行される順番を選択ルール間で相対的に決定する。
すべてのテストのタイミングと場所
前の単元では、ルールを実行すべきかどうかをチェックするためのテストであるエラー条件について学習しました。では、CPQ はどのタイミングでテストを実行すべきでしょうか? その答えは、ユーザーエクスペリエンスに大きな違いをもたらします。たとえば、バンドルの設定に問題がある場合にエラーメッセージをポップアップするルールを作成したとします。もしあなたが営業担当で、問題を解決しようとして少し変更を加えるたびに同じエラーメッセージが何度も繰り返し表示されたらどう思うでしょうか? イライラしますよね。この原因は、CPQ がルールの条件を評価する頻度が高すぎることにあります。それよりも、営業担当が [Save (保存)] をクリックしたときにだけ条件をテストしたほうが快適です。
ありがたいことに、CPQ がエラー条件を評価するタイミングは正確に制御できます。
商品設定と見積品目エディター
営業担当が CPQ を使用して見積を作成する場合は、次の 3 つのページに多くの時間を費やします。
- Product Selection (商品の選択): 見積に追加する商品を選択します。
- Product Configuration (商品設定): バンドルを設定します。
- 見積品目エディター: 価格設定を確認して割引を適用します (他にも機能があります)。
商品ルールは、[Product Configuration (商品設定)] ページまたは見積品目エディターのどちらでも実行できますが、両方で実行することはできません。同じビジネスロジックが両方の場所で必要になることはまずありませんが、仮にそういう状況になった場合は、2 つのルールを別々に作成する必要があります。
CPQ が商品ルールを実行する場所は、商品ルールレコードの [Scope (範囲)] 項目で指定します。
ご推察のとおり、範囲を [Product (商品)] に設定すると [Product Configuration (商品設定)] ページでルールが実行され、[Quote (見積)] に設定すると見積品目エディターで実行されます。
評価イベント
[Scope (範囲)] 項目がルールを実行する場所を CPQ に指示するのなら、[Evaluation Event (評価イベント)] 項目はルールを実行するタイミングを指示します。営業担当が見積プロセスを進める中で、CPQ がルールを評価できるタイミングは 5 回あります。タイミングは、[Scope (範囲)] 項目と [Evaluation Event (評価イベント)] 項目の設定の組み合わせによって決まります。
Scope (範囲) |
Evaluation Event (評価イベント) |
トリガーとなるユーザー操作 |
使用できるルールタイプ |
---|---|---|---|
Product (商品) |
Load (読み込み) |
[Product Configuration (商品設定)] ページを最初に読み込んだとき。 |
選択ルール、条件ルール |
Product (商品) |
Edit (編集) |
[Product Configuration (商品設定)] ページで特定の設定属性やオプションを変更したとき。 |
選択ルール、入力規則 |
Product (商品) |
Save (保存) |
[Product Configuration (商品設定)] ページで [Save (保存)] をクリックしたとき。 |
アラートルール、入力規則 |
Quote (見積) |
Save (保存) |
商品の選択後または設定後に見積品目エディターに戻ったとき。 |
選択 |
見積 |
Save (保存) |
見積品目エディターで [Save (保存)] または [Quick Save (適用)] ボタンをクリックしたとき。 |
アラートルール、入力規則 |
やっかいな点は、CPQ が特定のタイミングでは一部のルールタイプを実行しないということです。たとえば、ユーザーが [Product Configuration (商品設定)] ページを最初に読み込んだときには、CPQ はアラートルールを評価しません。そのため、[Scope (範囲)] 項目を [Product (商品)]、[Evaluation Event (評価イベント)] 項目を [Load (読み込み)] に設定すると、アラートルールは評価されないため、実行されません。表の最後の列には、それぞれのタイミングで評価されるルールタイプが示されています。
最後に、[Evaluation Event (評価イベント)] 項目は [Always (常に)] に設定できますが、この値は誤解を招きやすいので注意してください。[Always (常に)] は、ルールが常に評価されるという意味ではありません。むしろ「該当する場合は常に」という意味です。表の最初の行をもう一度見てください。[Product Configuration (商品設定)] ページを最初に読み込んだときには、CPQ は入力規則を評価しないことがわかります。そのため、範囲を [Product (商品)] に設定した入力規則で評価イベントを [Always (常に)] に設定しても、入力規則が評価されるのはユーザーが [Product Configuration (商品設定)] ページで編集を行ったり [Save (保存)] をクリックしたりしたときだけです。
どの評価イベントを選択すればよいかわからないときは、[Always (常に)] を選択するのが無難です。ただし、ルールが頻繁に実行され過ぎると感じた場合は、特定の評価イベントの選択を検討してください。
待つことなくすぐに適用する
評価イベントで [Edit (編集)] を使用すると、営業担当にリアルタイムでフィードバックが返されます。営業担当が変更を加えるたびにルールが実行され、何らかの結果が表示されるのです。この機能は適度に使用すれば便利です。多くのルールが頻繁に実行されてしまうようでは、快適なユーザーエクスペリエンスとは言えません。
評価イベントで [Edit (編集)] を指定した場合、実際にはあらゆる編集ではなく、特定の編集が行われたときにだけルールの条件が評価されます。そして、どの編集によって評価を実行するかを指定できます。たとえば、バンドルに 20 件のオプションがあっても、ルールにはそのうちの 1 件だけを紐付けることができます。そうしておくことで、そのオプションが選択または選択解除された (つまり編集された) ときにだけルールが実行されます。特定のオプションが選択または選択解除されたときに CPQ が評価イベントの [Edit (編集)] が発生したと判断して評価を実行するように設定するには、そのオプションレコードの [Apply Immediately (すぐに適用)] チェックボックスをオンにします。
[Apply Immediately (すぐに適用)] チェックボックスは設定属性レコードにもあります。「Personalize Smartwatches with Salesforce CPQ Attributes (Salesforce CPQ の属性でスマートウォッチをパーソナライズする)」のモジュールでは、営業担当が次のスクリーンショットにある Size (サイズ) や Accent (アクセント) などの属性を使用して、顧客のニーズに合わせてバンドルのプロパティを定義できるということを学習します。
多くの商品ルールでも、条件ロジックの一部として属性を使用します。営業担当が属性値を変更するたびに CPQ がルールを評価するように設定するには、ルールの評価イベントを [Edit (編集)] に設定して、設定属性レコードの [Apply Immediately (すぐに適用)] チェックボックスをオンにします。
最後に、CPQ にすべての編集イベントの商品ルールを評価させる手段として、[Apply Rules (ルールを適用)] ボタンがあります。営業担当は、CPQ による評価が必要な多くの変更を行ってから、このボタンをクリックしてすべての編集イベントの商品ルールを一度に評価できます。
検証ルールが発動する頻度を減らすために、[Apply Immediately (すぐに適用)] の代わりに [Apply Rules (ルールを適用)] を使用しているユーザーもいます。評価イベントを [Edit (編集)] に設定した入力規則の場合は、[Apply Rules (ルールを適用)] のみを使用すると、ルールが一度も実行されない可能性もありますので注意してください。入力規則で [Apply Immediately (すぐに適用)] を使用しない場合は、少なくとも評価イベントを [Always (常に)] に設定してください。そうしておけば、最終的な保護措置として、[Save (保存)] をクリックした時点で重要な入力規則が必ず評価されるようになります。
選択ルールでも、[Apply Immediately (すぐに適用)] の代わりに [Apply Rules (ルールを適用)] を使用すると、[Save (保存)] をクリックした時点でルールが評価されませんので注意が必要です。選択ルールが実行されないまま終了してしまうことがあります。この設定は、技術的な有効な設定を保証するためではなく指針として選択ルールを使用する場合にのみ検討してください。
評価の順番
CPQ がルールを評価するタイミングに影響する要素はもう 1 つあります。評価の順番です。システム管理者は、この省略可能な項目を使用して、バンドル内のオプションを選択または選択解除する選択ルールの順番を指定できます。たとえば、すべての顧客の業種に共通するオプションを事前に選択する汎用ルールを設定しておいてから、特定の業種でいくつかのオプションを選択解除するための 2 つ目の専用ルールを設定してあるとします。
この場合、専用ルールを実行してから汎用ルールを実行してしまうと、選択解除しておきたいオプションが再び選択されてしまいます。
この問題を回避するには、汎用ルールの評価の順番を 10、専用ルールの順番を 20 に設定します。
ルールは数値の順で評価されるため、10 のルールが評価されてから 20 のルールが評価されます。ルールの順番を設定する場合は、10 単位で番号を付けることをお勧めします。そうしておけば、10 と 20 の間に新しいルールを挿入する場合でも、新しいルールに 15 を割り当てればよく、2 つ目以降のルールの番号をすべて変更する必要はありません。
システム管理者は、範囲と評価イベントとともに評価の順番を使用することで、CPQ がルールを評価するタイミングや場所を柔軟に制御できます。次の単元では、バンドルに関するルールを詳しく見ていきます。
リソース