商品デザイナーのオファー作成について知る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 商品デザイナーを使ったオファー作成の標準ワークフローについて知る。
- TeleManagement (TM) Forum 方式のオファー作成について説明する。
適切なアプローチの選択
Infiwave で商品設計を担当する Devi は、自分が手にしているのが高性能で柔軟性が高く、使いやすいカタログ作成ツールだという確信があります。その商品デザイナーを使って、いつもの Infiwave カタログ提供内容の計画に着手します。Devi は、次の 2 つの方法のいずれかで、カタログ提供内容を作成できます。
- 標準オファー作成方式
- TM Forum 方式。
Devi と一緒にこの 2 つのアプローチについて学んでいきましょう。
標準オファー作成プロセス
標準オファー作成プロセスでは、Devi は最も詳細なビルディングブロックである選択リストと属性の設定から始めます。次に、設定したブロックまたはコンポーネントをオブジェクト種別と呼ばれるメタデータテンプレートに追加します。そして、商品がオブジェクト種別またはサブ種別に含まれる情報を継承するように設定することで商品を定義します。商品を市場に投入する準備が整ったら、その商品に価格リストから価格を適用し、販売可能なオファーを作成します。
簡単ですね。では続いて、各ステップをもう少し掘り下げて、これらのコンポーネントについて詳しく見ていきましょう。
選択リスト
選択リストとは、顧客が Industries CPQ カートで、商品の特定の特性を定義するために使用できる選択可能な値のリストです。たとえば、顧客は、スマートフォン商品の色を、[Black (黒)]、[Blue (青)]、[Purple (紫)] などのオプションを含む選択リストから選択します。
選択リストは、複数の属性やオブジェクト種別で再利用でき、テキスト、数値、Boolean 値 (true または false)、日付、または日時のデータ型を保持できます。
属性カテゴリと属性
属性とは、商品または商品群の特性のことです。携帯電話商品であれば、ストレージ容量、サイズ、ブランド、オペレーティングシステムなどの属性を追加できます。こちらが、[Upload Speed (アップロード速度)] 属性の設定画面です。この商品属性は、[Value Type (値タイプ)] と [Picklist (選択リスト)] フィールドを通じて、[Upload Speed (アップロード速度)] 選択リストに紐付けられています。
属性を選択リストに紐付けると、顧客や営業担当が、Industries CPQ カートで属性値を定義できるようになります。CPQ 用語では、これを実行時属性と呼びます。また、中には選択肢が 1 つしかないため、バックグラウンドであらかじめ値を定義しておく属性も当然あるでしょう。たとえば Devi の場合、すべての携帯電話商品の [Brand (ブランド)] 属性を [Infiwave] に設定します。CPQ 用語では、これを設計時属性と呼びます。
属性には特別な機能があります。たとえば、属性ベースの価格設定ルールを使用すると、商品の属性の価値に応じて商品の価格を自動的に変更できます。
共有カタログでは、属性は属性カテゴリにグループ化されます。属性を作成する前に、関連する属性カテゴリを作成する必要があります。
オブジェクト種別
オブジェクト種別とは、特定カテゴリのカタログ項目のスキーマとアーキテクチャを定義するための内部的な分類です。オブジェクト種別を作成する際には、属性、フィールド、選択リストをオブジェクト種別のレイアウトとセクションに整理します。作成後は、そのオブジェクト種別を繰り返し使用して、同様の商品を構成できます。商品に迅速にメタデータを適用できるこの機能により、オファー作成プロセスが大幅にスピードアップします。
こちらの設定画面には、[Handset (ハンドセット)] オブジェクト種別のフィールドのレイアウトと属性が表示されています。
さらに、主たるオブジェクト種別から情報とレイアウトを継承しつつ、それぞれ異なるエンティティを含んだバリエーションやサブ種別を作成して、独自の提供内容に対応することもできます。たとえば、オブジェクト種別の階層において、[Handset (ハンドセット)] は [Device (デバイス)] オブジェクトのサブ種別です。そのため、[Handset (ハンドセット)] には [Device (デバイス)] のすべてのフィールドと属性に加え、いくつかのハンドセット固有の属性が含まれます。
商品と商品バンドル
最後に、単品商品またはバンドル商品を作成し、関連オブジェクトを適用して、メタデータが継承されるようにします。このとき、設計時属性の値を定義して、商品の特性を規定できます。また、商品にファイルや画像を添付することもできます。オファー作成の最後のステップとして、価格リストから商品の価格を割り当てます。また必要に応じて、CPQ カートでの販売方法を管理するため、商品に属性やコンテキストルールを割り当てます。
商品バンドルを作成する場合は、[Structure (構成)] タブを使用して子商品を定義できます。[Structure (構成)] タブには、バンドルの構成と各商品間のリレーションの種別が表示されます。次の例の [Holiday Offer Bundle (ホリデーオファーバンドル)] には、携帯電話、データプラン、保護プランの 3 つの子商品が含まれています。
以上が、商品デザイナーを使った標準オファー作成プロセスです。これまでに学習した内容をテストで確認しましょう。リストから項目を選択して、文を完成させてください。
TM Forum 方式によるオファー作成
ビジネスニーズや業界標準に合わせて、商品デザイナーを活用します。通信業界のお客様には、商品、オファー、リソース、サービスを指定するにあたり、仕様種別の使用を推奨します。これらのエンティティは、TM Forum の Shared Information-Data (SID) モデルに準拠し、通信業界におけるカタログ管理のベストプラクティスに適合しています。
仕様とは、商品、サービス、またはリソースレコードのインスタンスであり、オブジェクト種別またはサブ種別で定義された属性、フィールド、レイアウト、セクションを継承します。仕様には、カタログ提供に関連する必要な情報がすべて含まれます。通常、仕様に対する価格の割り当てはありません。
商品仕様を作成したら、それをもとにオファーと呼ばれる別の仕様種別を作成します。オファーは、顧客に販売可能なコマーシャルプロダクト (商品) であり、繰り返し利用できます。オファーは、オブジェクト種別と同様に、商品仕様からメタデータを継承します。
オファーを作成したら、CPQ カートで販売できるように、価格設定情報を割り当てます。このように商品と価格が切り離されているため、顧客にとって魅力的なオファーを柔軟に構成できます。エンタープライズ商品カタログ (EPC) では、仕様をもとにオファーを作成するプロセスはオファーの実現と呼ばれます。
スマートウォッチの例
Devi は、まず Infiwave の最新スマートウォッチ商品「Infiwatch 5」の構築から始めることに決めました。具体的にはどのようなプロセスなのでしょうか?
手順を正しい順序に並べ替えて、Devi を後押ししましょう。並べ替えが終わったら、[Submit (送信)] をクリックして正解かどうか確かめます。最初からやり直すには [Reset (リセット)] をクリックします。
さらなる高みへ
商品デザイナーのワークフローについて詳しく理解できた Devi ですが、それが共有カタログを使ってできることのまだほんの一部に過ぎないと認識しています。商品やオファーを設定した後は、複雑なバンドル構成、プロモーション、割引の作成に加え、価格設定を管理するカスタムルールの設定など、さまざまなことが可能になるからです。やるべきことはたくさんありますが、商品デザイナーがあれば対応できると Devi は確信しています。そして一息つこうと、笑顔でコーヒーを入れに向かうのでした。