単純な価格ルールを使用してリスト価格を置換する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 複数の価格表よりも価格ルールを使用する利点について説明する。
- 価格条件と価格アクションを含む価格ルールを作成する。
- 見積レコードとその関連レコードのデータの評価方法を説明する。
- 価格ルールをテストして、想定どおりに動作することを確認する。
リスト価格調整を行うケース
Salesforce CPQ は、営業組織が最大効率で業務を遂行できるように設計されています。その中でも重要な部分となっているのは、営業担当が迅速かつ正確に見積を作成できるように見積エクスペリエンスを合理化することです。ただし、システム管理者の役割も忘れないようにして、その作業も容易にする必要があります。
次のシナリオについて考えてみましょう。現在、AW Computing はネットブックを 500 ドルで販売しています。ただし、学校には割引価格の 400 ドルで提供したいと考えています。これは何百もある商品の中で独自の価格が設定されている唯一の商品です。この会社はこの状況をどのように処理すべきでしょうか?
たとえば、1 つの一意のエントリ (および何百もの重複するエントリ) で新しい価格表を作成する方法があります。商品が追加されたら、追加の価格表を維持します。その後、正しい価格表を選択するように営業担当を教育して、不適切な価格表を選択することがないようにします。これは大変な作業で、問題が多数発生しそうですね。
または、営業担当が教育機関の顧客向けに見積を作成するたびにネットブックの価格を自動的に変更する単純な価格ルールを作成することもできます。このソリューションはシステム管理者と営業担当の両方に役立つため、最初の価格表にはこの方法をお勧めします。
コンテナを構築する
すべての価格ルールは、価格ルールレコードから始まります。おわかりだとは思いますが、これは 3 つのステップのうちの最初のステップにすぎません。価格ルールレコードは、価格条件レコードと価格アクションレコードの一種のコンテナとして機能します。また、このレコードにはルールの動作に影響する重要なプロパティもいくつか用意されていますが、この最初の価格ルールでは構造に集中できるように省略します。まず、[Price Rules (価格ルール)] タブに移動します。
- アプリケーションランチャー () をクリックし、[Salesforce CPQ] タイルをクリックします。
- ナビゲーションバーで、[Price Rules (価格ルール)] をクリックします。
- [New (新規)] をクリックします。
- [Price Rule Name (価格ルール名)] に、
Educational Netbook List Price
(教育用ネットブックのリスト価格) と入力します。 - [Evaluation Scope (評価範囲)] で [Calculator (計算機能)] を選択します。
ほとんどの価格ルールの範囲は [Calculator (計算機能)] です。このバッジの対象は計算機能価格ルールのみであるため、常にこのオプションを選択します。 -
[Active (有効)] チェックボックスをオンにします。
[Active (有効)] がオンになっていないとルールは実行されません。価格ルールのトラブルシューティングを行う必要がある場合、いくつかのルールを無効にして、CPQ で見積値が計算される際に発生するすべての処理を簡素化すると便利です。 - [Save (保存)] をクリックします。
これで、価格ルールを開始できるようになりました。次は、ルールを実行するかどうかを決定するための価格条件をいくつか作成する必要があります。
条件という化学反応
この価格ルールは、ある特定の場合のみに有効になる必要があります。具体的には、AW Computing が教育機関の顧客にネットブックを販売する場合のみです。これは人間にとってはわかりやすい条件ですが、CPQ にはより形式的な条件が必要です。ここで登場するのが価格条件です。これはリトマス試験紙のようなものです。化学の授業で、青いリトマス紙が酸性の溶液に触れると赤くなることを習ったのを覚えていますか? これと同じように、価格条件は true なのか false なのかを表します。
価格条件では、2 つの情報が比較されます。この例では、顧客の業種を「教育」という値と比較して一致するかどうかを確認する必要があります。一致すれば、いわばリトマス紙が赤くなります。
取引先オブジェクトには、業種という項目がありますが、この例では見積オブジェクトに情報が存在する必要があります。そのため、Trailhead チームは見積に取引先業種という数式項目を用意しました。この項目では、取引先にある情報のテキストバージョンが返されます。これを念頭に置いて、価格条件を作成しましょう。
- 価格ルールレコードで、[Price Conditions (価格条件)] 関連リストの [New (新規)] をクリックします。
まず、評価するデータを CPQ に指示します。この例では、見積レコードの [Account Industry (取引先業種)] 項目を確認します。 - [Object (オブジェクト)] で [Quote (見積)] を選択します。
- [Field (項目)] で [AccountIndustry__c] を選択します。
AccountIndustry__c は [Account Industry (取引先業種)] の API 参照名です。この演習を完了しやすくするために、Trailhead チームによって [Field (項目)] 選択リストに API 参照名が追加されています。ただし、実際には、評価する項目を追加する必要があります。その場合は、項目表示ラベルが変更されても API 参照名が変更される可能性は低いため、常に API 参照名を使用してください。 - [Operator (演算子)] で、[equals (次の文字列と一致する)] を選択します。
値を比較する方法は多数ありますが、この例では業種が「教育」という正確な値であるかどうかを確認する必要があります。 - [Filter Type (検索条件種別)] で [Value (値)] を選択します。
この例では、比較に使用する特定の静的値は「教育」です。後の単元では、他の検索条件種別を使用するケースについて詳しく学習します。 - [Filter Value (条件値)] に
Education
(教育) と入力します。 - [Save (保存)] をクリックします。
最初のリトマス試験紙/価格条件が完成しました。これで、ルールが実行されるのは、取引先業種が [Education (教育)] である場合のみになりました。ただし、実行すべきテストがまだ残っています。すべての見積品目の価格ではなく、ネットブック見積品目の価格のみを 400 ドルにする必要があります。そこで、商品コードがネットブックであるかどうかを確認する 2 つ目の価格条件を作成する必要があります。
- [Price Conditions (価格条件)] 関連リストで、[New (新規)] をクリックします。
- [Object (オブジェクト)] で [Quote Line (見積品目)] を選択します。
今度は見積品目に存在する情報を評価するため、CPQ でそのオブジェクトが参照されるようにすることが重要です。そうしないと、項目が見つからず、条件を満たすことはできません。 - [Field (項目)] で [Product Code (商品コード)] を選択します。
念のために述べておくと、[Product Code (商品コード)] は標準の値です。そのため、API 参照名ではありません。 - [Operator (演算子)] で、[equals (次の文字列と一致する)] を選択します。
- [Filter Type (検索条件種別)] で [Value (値)] を選択します。
- [Filter Value (条件値)] に
NETBOOK
(ネットブック) と入力します。 - [Save (保存)] をクリックします。
これで、2 つ目のテストの準備が整いました。順調ですね。この例では、1 つ目のテストかつ 2 つ目のテストが true である場合にのみ、ルールが実行されるようにする必要があります。デフォルトでは、価格ルールが実行されるには、すべての条件が満たされる必要があります。
両方の条件が設定されたところで、次は価格ルールの最後の部分である価格アクションに取り組みましょう。
想定される結果
価格ルールの主な目的は、見積、見積品目、または見積品目グループの項目に対して何らかの変更を行うことです。そのため、システム管理者はどの項目を変更するのか (対象) とどのように変更するのか (ソース) を特定する必要があります。この例では、見積品目オブジェクトのリスト価格を更新し、その値を 400 ドルに変更する必要があります。このすべては価格アクションレコードで定義されます。さっそく作成しましょう。
- [Price Actions (価格アクション)] 関連リストで、[New (新規)] をクリックします。
- [Target Object (対象オブジェクト)] で [Quote Line (見積品目)] を選択します。
- [Target Field (対象項目)] で [SBQQ__ListPrice__c] を選択します。
この一風変わった選択は、各 CPQ インストールの一部である標準リスト価格項目の API 参照名です。先ほどと同様、この演習を簡略化するために、この API 参照名は Trailhead チームによって選択リストに追加されています。別の項目を対象にする場合は、各自で選択リストに追加する必要があります。 - [Value (値)] に
400
と入力します。
これにより、CPQ に単純な静的値を変更ソースとして使用するように指示されます。他にも 4 つのソースがあり、その中から選ぶことができます。このソースは他の価格ルールで表示されます。 - [Save (保存)] をクリックします。
これで価格ルールが完成しました。まとめると次のようになります。
- (IF) [Industry (業種)] = [Education (教育)] かつ [Product Code (商品コード)] = [NETBOOK (ネットブック)] の場合
- (THEN) [List Price (リスト価格)] を 400 に設定する
あとは、ルールが実際に機能するかどうかを確認するだけです。教育業種の取引先である Kevco 向けに用意されている事前作成済みの見積にネットブックを追加してみましょう。
- ナビゲーションバーで、[Quotes (見積)] をクリックし、[All (すべて)] リストビューを選択します。
-
[Q-00048] をクリックします。
[Account Industry (取引先業種)] 項目の値が [Education (教育)] であることを確認します。 -
[Edit Lines (品目の編集)] をクリックします。
このページを初めて読み込む場合は数分かかることがあります。それ以降はさほど時間がかかりません。 - [Add Products (商品を追加)] をクリックします。
-
[Netbook (ネットブック)] をクリックします。
[Product Selection (商品の選択)] ページでは、ネットブックの価格が 500 ドルになっています。これは価格表の価格であるため、想定どおりです。 -
[Select (選択)] をクリックします。
これまでの作業の結果が表示されます。CPQ は新しい商品が見積に追加されるたびに価格ルールを実行するように指示されているため、すでに新しいリスト単価である 400 ドルが表示されています。 - [キャンセル] をクリックします。
ネットブックのリスト価格が正しい条件下で新しいリスト価格になっていることを確認できました。優秀なシステム管理者であれば、価格が 400 ドルに設定されるべきではない他の条件もテストする必要があります。たとえば、他の商品を追加して、その価格が変更されないことを確認します。また、ネットブックを教育機関以外の顧客の見積に追加します。これはネガティブテストと呼ばれ、必ず実行する必要があります。
テストに関して最後にもう 1 つ留意すべき点があります。価格ルールとは別のタブで見積品目エディターを開いているときに価格ルールを変更した場合は、見積品目エディターページを更新する必要があります。更新するまで、価格ルールに対する変更はページに「読み込まれ」ません。
これで、価格ルールの if/then 構造を確認できました。次の単元では、条件とアクションで高度な数式を評価するルールを作成する方法を詳しく説明します。