Salesforce の気候変動対策について
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Salesforce が持続可能性を重視する理由を説明する。
- ビジネスに持続可能な実務を組み込む Salesforce の取り組みを要約する。
Salesforce は 10 年以上にわたり持続可能性ジャーニーを歩んできました。2022 年には信頼、お客様の成功、イノベーション、すべての人間の平等というコアバリューに「持続可能性」を追加しました。このコアバリューは、私たちがどのようにビジネスを運営し、ステークホルダーの役に立つために何を行うかを判断するうえで欠かせないものです。
最も重要なところで行動を起こす
私たちが住む地球は今、すべての人々、特に最も弱い立場にある人々に影響を与える気候危機という緊急事態にあります。地球温暖化を制限するために、今、集団として思い切った措置を講じない限り、事態はさらに悪化するだけです。
Salesforce では、バリューがさらなるバリューを生み出すと考えています。ビジネスの中核に持続可能性と責任を組み込んだ組織は、ビジネスだけでなくすべてのステークホルダーにとって大きな価値を促進します。企業ごとに、ビジネスモデルや規模、範囲に応じてインパクトを与えるうえでの立ち位置がそれぞれ異なることも理解しています。万能的なアプローチがあるとは考えていません。とは言え、どの企業でも、持続性の高いビジネス実務を各自の社風や事業に組み込むことは可能であると断言します。
ビジネスが成長し、世界各地に拡大し続ける Salesforce にとって、持続可能性の重要性は増しています。Salesforce が「持続可能な成長とはどのようなものか?」と考えた結果、導き出した答えの中心は、目標の設定、フットプリントを相殺する持続可能な開発プロジェクトのサポート、イノベーション推進のための提携でした。
当社が掲げる持続可能性の野心的な目標
クラウド企業である Salesforce は何も製造していないのだから、環境への影響はさほど大きくないのではないかと思うかもしれません。間違いです! クラウドは、電気制御されたデータセンターで稼働しています。IT 分野は現在、世界のエネルギー消費量の約 2% を占めています。また、環境に影響を及ぼすのはデータセンターだけではありません。現代のあらゆる業界のどの企業も、蛇口から出てくる水や、コンピューターを稼働させ、室内を照らし続ける電力など、天然資源を消費しています。
2020 年初頭に Salesforce は、企業、市民団体、国連のリーダーと連携して、1.5 度という科学に裏付けられた排出削減目標を掲げることを確約しました。これは野心的ながら、気候変動による被害を防ぐために必要な目標です。Science Based Targets のイニシアチブで Salesforce の排出削減目標が承認され、持続可能で炭素排出の少ない未来と経済を創出するという Salesforce の取り組みが推進されています。
Salesforce では現在、バリューチェーン全体でネットゼロ残差排出を達成しています。これは私たちのネットゼロジャーニーにおける重要なマイルストーンであり、あらゆる組織にネットゼロに向けて加速することをお勧めします。(Salesforce の立場についての詳細は、この単元の最後にある「リソース」セクションを参照してください。)
Salesforce では、ネットゼロは私たち全員が次のことを行う必要がある、継続的なジャーニーである考えています。
- 1.5 度目標の達成に向け、ネットゼロ排出への公正かつ公平な移行を実現するという世界共通の取り組みに公にコミットする。
- 可能な限り早く排出量を削減することを優先事項とし、自社のバリューチェーン全体 (スコープ 1、2、3) で排出量を 2030 年までに 50% 削減、2040 年までにほぼゼロにするという世界的な目標に合わせる。Salesforce では、特に Work From Anyware (場所を選ばない働き方)、インフラストラクチャ、出張、サプライチェーンの各カテゴリに重点を置き、脱炭素をバリューチェーン全体で進めています。
- 再生可能エネルギーや信頼性、影響、コベネフィットの高いカーボンクレジットを購入して、削減が困難な排出量を相殺する。短期的には回避クレジットと除去クレジットを組み合わせ、長期的には除去クレジットのみを利用します。
ネットゼロ残差排出の達成は、より大きな気候変動対策へのコミットメントの重要な部分です。100% 再生可能エネルギーの実現というコミットメントを最初に掲げた 2013 年以来、Salesforce はこのジャーニーを続けてきました。現在に至るまで、気候変動対策計画の範囲と目標を拡大し続けています。
Salesforce は、有意義な気候変動対策を大規模に推進することを使命としています。Salesforce の「Climate Action Plan (気候変動対策計画)」は、優先度の高い 6 つの持続可能性に焦点を当てて、1.5 度目標の実現を目指しているため、他社がネットゼロジャーニーを加速させるためのブループリントとなります。
Salesforce は、気候変動対策計画の範囲と目標を拡大し続けています。また、政策立案者、同業者、パートナー、サプライヤー、お客様を積極的に巻き込み、バリューチェーンの上流から下流まで、コレクティブインパクトが迅速に行きわたるように努めています。
フットプリントを相殺する、持続可能な開発プロジェクトをサポート
削減に努めたり、再生可能エネルギーを購入したりしても残ってしまう排出量を相殺するため、Salesforce は炭素クレジットの購入を通じて、持続可能な開発プロジェクトをサポートしています。1 カーボンクレジットは、大気中から 1 メートルトン分の二酸化炭素 (または同等の排出ガス) を削減/回避または除去することに相当します。
当社が持続可能な開発プロジェクトを比較検討するときは、環境や社会へのメリットが最大になるものを選びます。さらに、プロジェクトが国際的に認められている厳格な手法 (Gold Standard など) に従って排出削減を数値化していることを確認するために、独立した第三者機関の審査も受けています。(Gold Standard についての詳細は、「リソース」セクションを参照してください。)
Salesforce が支援しているプロジェクトの 1 つが、ホンジュラスに清潔な調理用コンロを広める「Proyecto Mirador」です。同プロジェクトは 25 万台のコンロを設置し、排出量を 300 万トン近く削減しています。これは 1 年間に 20 万台超の乗用車を路上から排除した場合の削減量に匹敵します。「Proyecto Mirador」では Salesforce を使用して、コンロの設置・メンテナンスとクライアントのインタラクションを追跡しています。このプロジェクトは、清潔なコンロを提供することで 110 億人の健康や暮らしを向上させ、24 の小規模ビジネスの成長を助け、200 人を超える人々を雇用しています。清潔で安全なコンロを利用できるため、女性はきれいな空気で健康を守り、調理や薪の確保に費やす時間を減らし、賃金労働、育児、教育などの生産活動により多くの時間を費やすことができます。女性が教育を受け、生活力をつければ、地域社会が活気づきます。
Salesforce がサポートするもう 1 つのプロジェクトが 1t.org です。2020 年 1 月、世界経済フォーラムと、Salesforce をはじめとするパートナーが、グローバル森林再生コミュニティを結集する 1t.org を立ち上げ、今後 10 年以内に 1 兆本の樹木の保護、再生、生育にかつてない規模とスピードで取り組む意気込みを明らかにしました。植林すれば、地球の温暖化を遅らせるとともに、生物多様性を促進して地球の生態系の一端を活性化することができます。
Salesforce は 1t.org の活動を主に次の 2 つの面でサポートしています。
- 世界経済フォーラム (WEF) の UpLink のテクノロジーへの貢献。UpLink は、あらゆる規模の関係者が集まって、国連の持続可能な開発目標に対処するために構築されたデジタルプラットフォームです。
- 今後 10 年間で 1 億本の樹木の保護と再生を支援し、実現することの確約。
1t.org についての詳細は、「リソース」セクションを参照してください。
革新的な顧客が変化を推進
私たちと地球のよりよい未来を創るには、連携した取り組みによって変革の担い手が同じ認識を持つことが必要です。Salesforce では、持続可能性への独自のコミットメントを堅持する、責任あるビジネスパートナーやベンダー、顧客と提携することを誇りにしています。Salesforce の多数のお客様がすでに、世界をより良い場所にするために当社のプラットフォームを使用して素晴らしい事業に取り組み、平等や持続可能性の問題に対処する画期的なソリューションを提供しています。Herman Miller, Inc. の例を紹介します。
Herman Miller はプレミアム e コマース、マーケティング、サービスエクスペリエンスの設計に加えて、将来に向けた設計も行っています。同社のネットゼロエネルギーに対する取り組みは、脱炭素化、サプライチェーン分析、不要になった製品の処理責任まで、複数の側面に及びます。
Herman Miller は 2030 年までに、廃棄物ゼロ、地域再生可能エネルギー 50 % 増 (50,000 mwh)、環境承認製品設計 100%、年間製品回収 125,000 トンなどの目標を達成することにコミットしています。ただし、この進捗状況を追跡するために、チームは 20 の異なるスプレッドシートを使用し、数百時間におよぶ作業が必要でした。今日、Herman Miller はカーボンアカウンティングプラットフォームを使用して、チームの作業効率を高めています。ボタンをクリックするだけで、進捗状況レポートを生成し、年間のカーボンフットプリントを公開して究極の透明性を維持することができます。(Herman Miller についての詳細は、「リソース」セクションを参照してください。)
持続可能なイニシアチブに取り組む組織への投資
Salesforce は、世界にプラスの影響をもたらす企業に率先して投資しています。「Salesforce Impact Fund」は、社会や持続可能性にメリットをもたらす製品やソリューションを構築している企業の成長を促進するという独自の立場から投資を行います。Angaza は、当社の価値観や持続可能性へのコミットメントを反映しているベンチャー企業の一例です。製造業者や流通業者が Angaza の従量課金式テクノロジーによるプラットフォームを使用すれば、電気の通っていない地域に住む世界の 10 億人の消費者に対し、エネルギー製品を手頃な価格で提供できるようになります。もう 1 つのベンチャー企業が Measurabl で、データを収集し、持続可能性に関する的確なレポート形式にして、改善の余地のある点を提案するクラウドベースのソフトウェアツールを開発し、環境にインパクトを与えています。(Impact Fund についての詳細は、「リソース」セクションを参照してください。)
ムーブメントに参加
Salesforce はすべての問題を解決することはできませんし、こうした問題を解決する方法も 1 つだけではありません。それでも、皆さんが Salesforce の持続可能性ジャーニーに触発され、取り組みに参加されることを願っています!
リソース
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外部サイト: Science Based Targets
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PDF: Decarbonizing a Work from Anywhere World (Work from Anywhere の世界を脱炭素化)
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PDF: Business Travel in a Net Zero World (ネットゼロの世界での出張)
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Salesforce プレスリリース: Salesforce Achieves Net Zero Across Its Value Chain and 100% Renewable Energy (Salesforce、バリューチェーン全体でネットゼロと 100% 再生可能エネルギー化を達成)
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Salesforce Web サイト: Beyond Net Zero: How Nature-Based Solutions Help Tackle the Climate Crisis (ネットゼロを越えて: 自然を基盤とした解決策が気候危機への取り組みにどう役立つか)
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Salesforce Web サイト: Salesforce Impact Fund
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外部サイト: The Gold Standard
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Salesforce Web サイト: Herman Miller Designs Experiences to Help People Do Their Best Work (Herman Miller が最良の仕事ができるエクスペリエンスを設計)
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外部サイト: 1t.org