Winter '25 で認定 Platform デベロッパー資格を更新する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 無償提供のイベントモニタリングを使用して Apex の予期せぬ例外を追跡する。
- SOQL のエラーと機能の変更を確認してコードを更新する。
- 新しい修飾子を使用して、呼び出し可能なアクションを設定しやすくする。
- 最近の Lightning Web コンポーネントと API の更新について説明する。
- 新しいデバッグツールで Data Cloud トリガーフローをデバッグする。
- null 合体演算子を使用する。
認定資格を更新する
認定 Platform デベロッパー資格を保有している場合、その認定資格を維持するためには期日までにこのモジュールを修了する必要があります。資格を維持するためのもう 1 つ重要な点は、Trailhead アカウントと Webassessor アカウントをリンクさせておくことです。
この資格の取得を検討している方は、Platform デベロッパー資格を参照してください。
認定資格の機密を守る
Salesforce は、質の高い認定試験と価値ある資格を提供することを最優先事項としています。業界随一と広く認められている認定資格制度を維持するためには、試験のセキュリティを確保し、その機密を保持することが不可欠です。
Salesforce 認定資格プログラムに参加する場合は、「Salesforce 認定資格プログラム同意書」に同意いただく必要があります。詳細は、Trailhead ヘルプ記事「Salesforce 認定資格プログラム同意書および行動規範」に記載の Salesforce 認定資格試験の受験ポリシーを確認してください。
Salesforce 認定 Platform デベロッパー資格を取得することで、Lightning Platform のプログラミング能力を利用して基本的なビジネスロジックやユーザーインターフェースを開発およびリリースするための知識とスキルを備えていることを証明できます。この 1 年間に新しい機能強化が導入されています。ここでは、Platform デベロッパーに影響する機能強化のうち、特に重要なものについて説明します。
無償提供のイベントモニタリングを使用して Apex の予期せぬ例外を追跡する
無償提供のイベントモニタリングを使用して、Apex コードで未対応の例外を追跡してトラブルシューティングします。以前は、未対応の例外メールに頼っていました。これからは、予期しない Apex 例外イベント種別のイベントログファイルでキャプチャされた情報を分析できるようになります。ユーザーログイン、レポート実行、API 呼び出しなどの詳細を表示できます。さらに、イベントが発生した時間、イベントをトリガーしたユーザー、実行されたアクションも確認できます。ユーザーの異常な行動やパフォーマンスの問題を監視することで、Salesforce 組織のセキュリティを維持して、組織を円滑に運用できます。
アクセスできるイベントの種別とデータが保持される期間は、Salesforce のエディションによって異なります。
- Developer Edition 組織では、すべてのログ種別に無償で褪せでき、データ保持期間は 1 日です。
- Enterprise Edition、Unlimited、Performance Edition 組織では、安全でない外部アセット、ログイン、ログアウト、API 合計使用量のイベントログファイルに無料でアクセスでき、データ保持期間は 1 日です。
これからは、予期しない Apex 例外イベント種別に関するイベントログファイルにキャプチャされた詳細情報を分析して、Apex コードのデバッグと改善に役立てられるようになります。
SOQL のエラーと機能の変更を確認してコードを更新する
Winter '25 Salesforce リリースでは、既存の Apex コードに影響を与える可能性がある SOQL エラーメッセージとプロセスにいくつかの変更が加えられました。Apex コードを確認し、想定通りに機能し続けるように必要に応じて更新してください。更新により、古い SOQL エラーメッセージや機能に依存する既存の Apex コード、特に動的 SOQL クエリからのエラーメッセージを解析するコードが影響を受ける可能性があります。
「SOQL エラーと機能の変更を確認してコードを更新する」で更新を確認してください。
新しい InvocableVariable 修飾子を使用して、呼び出し可能なアクションを設定しやすくする
Salesforce の新しい修飾子を使用して、呼び出し可能なアクションの設定を簡素化します。Flow Builder では、呼び出し可能なメソッドに対応するアクション要素に対して defaultValue と placeholderText の両方の修飾子が表示されます。これらは次のように使用します。
-
defaultValue 修飾子
: 入力パラメーターのデフォルト値を設定します。アクションの使用時には、ユーザーが変更しない限り、入力パラメーターには事前定義済みの値が設定されます。
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placeholderText 修飾子
: 入力パラメーターのカスタムプレースホルダーテキストを設定します。このテキストにより、ユーザーが入力項目に入力すべき情報をわかりやすくするための例やガイダンスを追加できます。
Flow Builder これらの修飾子を使用すると、フローのアクションの設定や使用が容易になります。
この変更は、Performance Edition、Unlimited Edition、Developer Edition、Enterprise Edition、Database.com Edition の Lightning Experience および Salesforce Classic に適用されます。
Lightning Web コンポーネントの更新と API 機能強化を活用する
LWC API バージョン 61.0 で、最新の Lightning Web コンポーネント (LWC) の変更を取得
カスタム Lightning Web コンポーネントの安定性と一貫性を保ちつつ、継続的な改善と更新を実現します。LWC API バージョン 61.0 では、いくつかのバグが修正され、新機能として改善されたスロット転送が追加されています。
カスタム Lightning Web コンポーネントでバージョン管理を行うことで、各バージョンに特化した新機能、バグ修正、パフォーマンス向上を導入することができます。カスタムコンポーネントの API バージョン管理により、LWC フレームワークが、指定された API バージョンに対応する Salesforce リリース時の動作を正確に再現することが保証されます。
この変更は、Lightning Experience、エクスペリエンスビルダーサイト、およびすべてのバージョンの Salesforce モバイルアプリケーションのカスタム Lightning Web コンポーネントに適用されます。API バージョンを指定するには、コンポーネントの .js-meta.xml
ファイルで apiVersion
キーを使用します。
改善されたスロット転送を使用するための Light DOM コンポーネントの更新
LWC API バージョン 61.0 で導入された新機能の改善されたスロット転送を活用しましょう。これにより、Web コンポーネントのある部分から他の部分へとコンテンツを簡単に渡せるようになり、追加のコーディングなしでもコンテンツが正しく表示されることが保証されます。この変更はテストの実行方法にも影響するため、テストの更新が必要になる場合もあります。
LWC API バージョン 61.0 以降では、コンテンツを Shadow DOM <スロット>に転送する Light DOM <スロット>要素のスロット属性を設定する必要があります。また、コンポーネントをライト DOM <スロット>に渡すと、LWC はコンポーネントのスロット属性を削除して、DOM で表示されないようにします。これらの変更は Jest のスナップショットに影響するため、テストを見直して更新することをお勧めします。LWC の以前のバージョンでは、スロット転送を行うために、スロット属性の代わりに HTML ラッパーを作成する必要がありました。
LWC ワークスペース API でワークスペースのタブとサブタブを管理
LWC の新機能により、開発者は Lightning コンソールアプリケーションを簡単にカスタマイズして、その内容を維持できます。LWC ワークスペース API は、Lightning コンソールアプリケーションのワークスペースのタブとサブタブを管理するためのメソッドを提供します。新しい UI では、1 ページで複数のタブを管理できます。タブやサブタブを開いたり閉じたり、フォーカスを移動したりといった動作を、LWC コードから直接、プログラムで制御できます。この機能は、ベータリリースからの軽微なバグ修正と改善が追加され、今回正式リリースとなります。
LWC ワークスペース API を使用するには、lightning/platformWorkspaceApi
モジュールをインポートして、LWC ワークスペース API メソッド、ワイヤーアダプター、そしてイベントベースの API に Lightning Message Service 経由でアクセスします。
Lightning Locker は LWC ワークスペース API をサポートしていないため、必ず Salesforce 組織で Lightning Web セキュリティを有効にしてください。
Lightning レコードピッカーコンポーネントを使用して検索を簡素化
Salesforce アプリケーションで lightning-record-picker コンポーネントを使用し、デスクトップユーザーとモバイルユーザーが Salesforce レコードをすばやく検索して選択できるようにします。コンポーネントの動作と表示を設定し、絞り込みを有効にして、ユーザーがまさに必要とするレコードを取得して表示できるようにします。これまでは 50 件まででしたが、100 件までのレコードを取得できるようになりました。
lightning-record-picker コンポーネントは、無効な指定に対しては明確なエラーメッセージを表示し、さらに新しい属性をサポートします。このコンポーネントでは、オフラインでの使用を可能にする GraphQL ワイヤーアダプターが使用されています。GraphQL ワイヤーアダプターは、単一のサーバーコールで効率的なデータ取得と管理を可能にします。
以下は lightning-record-picker コンポーネントをはじめて使用する場合の一例です。コンポーネントの属性は、入力項目の表示ラベル、検索するオブジェクト、レコードの選択を処理するコールバックを指定します。
この例は UI では次のように記述されます。
value 属性にレコード ID を指定すると、レコードピッカーコンポーネントにデフォルトの選択されたレコードが表示されます。
新しいデバッグツールで Data Cloud トリガーフローをデバッグ
フローを本番環境にリリースする前に、新しいデバッグツールを使用して、フローが想定通りに動作することを確認します。Flow Builder の Data Cloud トリガーフローデバッグツールを使用すると、フローの動作をテストして、問題をトラブルシューティングできます。既存の Data Cloud レコードを選択して、実際のレコードには影響せずに特定の条件をテストします。
このツールを使用するには、Flow Builder で Data Cloud トリガーフローを開いて、[Debug (デバッグ)] をクリックします。トリガーとなる Data Cloud レコードを選択してから、デバッガーを実行します。
null 合体演算子を使用する
開発者は、null 合体演算子 (??)
を使用してコードを簡素化し、読みやすくすることができます。この演算子は、値が欠落している (null である) 可能性がある状況に対応するのに便利です。この機能は、IdeaExchange ユーザーのアイデアのおかげで実現しました。すべてのエディションで使用できます。
- この演算子は、値が欠落している (null である) かどうかをチェックします。値が存在している場合は、その値を使用します。値が欠落している場合は、指定された別の値を使用します。
-
a ?? b
のように使用します。-
a
はチェックする値です。
-
b
は、a
欠落している (null である) 場合に使用する値です。
-
??
演算子は、左側の引数が null でない場合には左側の引数を返します。null である場合は、右側の引数を返します。null 合体演算子 (??
) は、安全なナビゲーション演算子 (?.
) と同様に、コードの null 参照の詳細で冗長で明示的なチェックを置き換えます。
null 合体演算子は、a ?? b
の形式のバイナリ演算子で、a
が null でない場合は a
を返し、null である場合は b
を返します。この演算子は左結合です。左側のオペランドは 1 回のみ評価されます。右側のオペランドは、左側のオペランドが null の場合にのみ評価されます。
オペランド間の型の互換性を確認する必要があります。
まとめ
無償提供のイベントモニタリング、呼び出し可能な変数修飾子、LWC の機能強化など、過去 1 年間にリリースされた Salesforce の機能の中で特に重要なものを学習しました。この単元のテストを受けて、上記のトピックの理解度を確認します。単元 2 では、for ループで Iterable 変数を使用する方法を学習し、ハンズオン Challenge を完了して知識を試します。
リソース
- Salesforce ヘルプ: 無償提供のイベントモニタリングを使用した Apex の予期せぬ例外の追跡
- Trailhead: イベントモニタリングの使用開始
- Salesforce ヘルプ: SOQL エラーと機能の変更を確認してコードを更新する
- Salesforce ヘルプ: 新しい InvocableVariable 修飾子を使用して、呼び出し可能なアクションを設定しやすくする
- Salesforce ヘルプ: LWC API バージョン 61.0 で LWC の最新変更の取得
- Salesforce Help: ワークスペースタブとサブタブの制御 (正式リリース)
- Salesforce ヘルプ: Lightning レコードピッカーコンポーネントを使用したレコードの検索 (正式リリース)
- Salesforce 開発者: Lightning レコードピッカー
- Salesforce ヘルプ: Data Cloud トリガーフローのデバッグ
- Salesforce ヘルプ: Null 合体演算子の使用