Einstein のおすすめを作成してリリースする
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- おすすめを作成するための手順を挙げる。
- おすすめを設定するときのベストプラクティスを適用する。
- Einstein レコメンデーションビルダーと Next Best Action の関係を説明する。
おすすめを作成する
Einstein レコメンデーションビルダーとは何かということが理解できたところで、その使用方法をもう少し詳しく見ていきましょう。
この単元では、システム管理者の観点から Einstein レコメンデーションビルダーを見ます。ただし、Einstein によってエンドユーザーの作業がどのように簡単になるかも覚えておく価値があります。
お客様担当者はおすすめの [承諾] をクリックするだけで、預貯金口座を作成したり、割引を提示したりできます。これは、Einstein レコメンデーションビルダーが Next Best Action と統合されているためです。これを使用して、フローでサポートされているあらゆるアクションをトリガーできます。Einstein レコメンデーションビルダーでは関連するおすすめが提供されるだけではありません。Salesforce 自動化ツールと統合されていることで、ユーザーはおすすめに基づくアクションを実行できるため、スムーズで簡単かつ効率的なエクスペリエンスが実現します。
あるシナリオを見ていきましょう。あなたは個別対応に重きを置く小型金融機関である Bright Bank のシステム管理者です。あなたは銀行の長年のお客様向けにパーソナライズされたおすすめを作成したいと考えています。
[設定] から、[クイック検索] ボックスに Einstein レコメンデーションビルダー
と入力し、[Einstein レコメンデーションビルダー] を選択します。
今回初めて Einstein レコメンデーションビルダーを使用する場合は、スプラッシュページで [使用を開始する] をクリックします。
[新規] をクリックしてから、Einstein レコメンデーションビルダーでおすすめを作成するために使用する 3 つのオブジェクトを選択します。(前述のとおり、これには Salesforce の標準オブジェクトまたはカスタムオブジェクトを使用できます。)
おすすめ項目オブジェクト。これは、求人掲載、商品、オファーなど、推奨したいものです。この例では、あなたはお客様に Bright Bank の素晴らしい商品のいずれかを提示したいと考えています。たとえば、「High Interest Savings Account」(利息が高い預貯金口座) や「No Fees for Savings over $25,000」($25,000 を超える預貯金口座で手数料無料) などのプログラムです。あなたは Bank Product (銀行商品) というカスタムオブジェクトを選択します。
受信者オブジェクト。これはその名が示すとおり、おすすめを受信するオブジェクトで、たとえば取引先や商談などです。この例では、あなたのお客様は取引先責任者です。取引先責任者オブジェクトには Bright Bank のすべての既存のお客様の情報が含まれています。
インタラクションオブジェクト。これはおすすめ項目オブジェクトと受信者オブジェクトをリンクするオブジェクトです。Einstein に学習させる過去のインタラクション (または結果) に関するデータが保存されます。この例では、作成した Bank Account (銀行口座) カスタムオブジェクトを選択します。このオブジェクトにはお客様が開いたすべての口座からの情報が含まれます。
つまり、Einstein レコメンデーションビルダーはお客様 (取引先責任者オブジェクト) と口座 (Bank Account (銀行口座) オブジェクト) の情報を参照して分析し、最良の提示 (Bank Product (銀行商品) オブジェクト) を推奨します。
次に、おすすめに名前を付けて保存します。短い説明も追加することをお勧めします。
おすすめを作成する準備がほとんど整いましたが、その前に微調整をしておきましょう。
ベストプラクティス
Einstein レコメンデーションビルダーの AI の頭脳をもってしても、生成されるおすすめの品質は使用されるデータと参照されるパラメーター次第です。さまざまな方法で入力の範囲を絞り込むことでおすすめの品質を向上させることができます。
- 関連性の高いレコードに焦点を絞る。関連性の高い顧客セグメントのみを含めるようにします。
- ユースケースに関係しないと確信できる場合は無関係な項目を除外する。確信できない場合はそのまま残しておきます。Einstein はおすすめに寄与しない項目は無視します。
- バイアスを排除する。これは Einstein が人間の助けを必要とする部分です。望ましい結果が起きるまで入力されない項目は除外します。Einstein がおすすめを作成するときに、そのような項目には価値がありません。
- 禁止されている項目を削除する。たとえば、金融商品に関するおすすめを作成するときに性別や人種などの属性を使用することは規制によって禁止されている場合があります。
- ビジネスオブジェクトに関するおすすめに焦点を絞る。これは、肯定的なインタラクションと否定的なインタラクションの両方を定義するということです。たとえば、お客様にぴったりのキャンディを推奨したい場合、返金のために返品された注文を否定的なインタラクションとして定義することが考えられます。(これは最適な実例ではないかもしれません。キャンディを返品することなんてないですから。)同じように、履行されて支払も行われた注文は肯定的なインタラクションとして定義できます。
おすすめ入力の絞り込みは、セグメント化、項目の除外、肯定的/否定的インタラクションによって行います。
セグメント化
この例では、お客様は法人ではなく個人であるため、企業に提示するのと同じ銀行商品を提示するのは望ましくありません。
そこで、焦点を絞ります。受信者オブジェクト (この例では取引先責任者) のセグメントを作成して、個人バンキングに焦点を絞ります。これによって、大企業に適したおすすめが Emily に表示されるようなことがなくなります。
他の Einstein レコメンデーションビルダーオブジェクトもセグメント化できます。たとえば、お客様が退職年齢である場合、おすすめオブジェクトをセグメント化して、商品オブジェクトファミリーの退職向けオブジェクトのみを参照するようにできます。
項目の除外
デフォルトでは、Einstein レコメンデーションビルダーでおすすめを作成するときにはオブジェクトのすべての標準項目とカスタム項目が考慮されます。ただし、一部の項目を除外した方がよい場合もあります。
無関係な項目を除外することは、おすすめのバイアスを排除するのに適した方法です。銀行はサービスの提供時に人種や性別を考慮することが禁止されているため、お客様向けのおすすめを作成するときにはそのような項目をオフにします。
肯定的なインタラクションと否定的なインタラクション
肯定的なインタラクションと否定的なインタラクションをどのように定義するかはおすすめのパフォーマンスに影響します。肯定的なインタラクションを望ましい結果 (取引先責任者が商品を購入するなど) として定義すると、より良い結果につながります。否定的な例は必須ではありませんが、該当する場合には有用な予測シグナルとなるため、おすすめの向上につながります。
たとえば、オンライン注文が行われ、それによって注文履歴オブジェクト (インタラクションオブジェクト) が作成されても、後で商品が返品されたために、注文状況が [返金済み] となることがあります。その場合、肯定的なインタラクションを「注文状況が [返金済み] または [キャンセル済み] でない」として、Einstein が本当に成功した注文からのみ学習するようにする必要があります。
テンプレート
テンプレートでは、さまざまなおすすめユースケースの標準設定が提供されます。最初のテンプレートは作業指示の部品を推奨するためのものです。今後のリリースではさらに多くのテンプレートが計画されています。
作成する
画面上のボタンを押したことがある皆さん、おめでとうございます。おすすめの作成を開始するトレーニングが完了しています。[ビルド] をクリックします。これで完成です。
おすすめの作成にはデータ量に応じて 30 分~数時間かかります。データが多い場合には、夜間に作成を開始することをお勧めします。または、ストリーミングサービスにおすすめされた番組をまとめて見ている間でもいいですね。
おすすめの評価
Einstein レコメンデーションビルダーの利点の 1 つは透明性が高いということです。おすすめの準備ができると、品質を示すいくつかの総計値が含まれたスコアカードが表示され、おすすめがどのように作成されたかを把握できます。表示される数値には、おすすめ品質や予測リフト (単に最も人気のある項目をユーザーに推奨するのに比べて Einstein レコメンデーションビルダーのおすすめがどれだけ優れているかの指標) などがあります。
また、[スコアカード] タブの予測を確認することで、モデルの各予測因子の影響を調べることができます。
予測の品質に満足できない場合は、戻ってセグメントやその他の設定を操作して作成をもう一度実行するということを何度でも繰り返すことができます。
リリース
ここまで、お客様のための満足できるおすすめが完成しました。 次は Einstein Next Best Action を使用してリリースしましょう。
Einstein Next Best Action についての情報のリンクは「リソース」セクションにありますが、概要を簡単に説明します。
[スコアカード] ページで、[戦略に追加] をクリックします。
[Einstein 読み込み] ノードを使用しておすすめを意思決定フレームワークに接続します。
使用するおすすめ ([Bank Product Recommendation (銀行商品のおすすめ)])、Lightning フロー (実行するアクション。[New Account Application (新しい口座の申込)] など)、その他の必要なパラメーターを指定します。
戦略にその他のルールやロジックを追加できます。たとえば、目的の商品が使用可能かどうかの確認や、お客様がその商品の対象となるかどうかの確認を追加することが考えられます。お客様の異なるセグメントに対して複数のおすすめを作成し、それを 1 つの包括的な戦略にまとめることもできます。
戦略を保存し、取引先責任者の詳細ページに Next Best Action Lightning コンポーネントを追加すると、お客様への最良のおすすめを生成できるようになります。Next Best Action API とカスタム UI コンポーネントを活用して表示をカスタマイズすることもできます。
Einstein レコメンデーションビルダーと Next Best Action を併用することで、AI のパワーとビジネスルールを組み合わせてビジネス目標を達成できます。
Einstein レコメンデーションビルダーを使用しておすすめを強化することに関心がわいてきましたか? 詳細は、Salesforce の営業担当者にお問い合わせください。