シンプルな OmniScript を設計する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- OmniScript 要素種別とその使用について説明する。
- インタラクションに必要な OmniScript 要素を決定するためのステップを要約する。
OmniScript 要素を調べる
OmniScript は、要素をキャンバスに移動し、そのプロパティを定義することで作成されます。これらの要素はワークフローの特定の順序で配置されます。要素には次を行うためのものがあります。
- ユーザーインターフェース (UI) でのユーザーインタラクション。
- バックグラウンドでのデータの取得、保存、操作。
OmniScript 要素は、実行する機能の種類に基づく種別によってグループ化されています。また、各要素には適切に構成する必要のある設定があります。
さまざまな種別の要素とその使用方法を次に示します。
要素種別 |
機能 |
---|---|
Actions |
さまざまなアクション (データの取得や保存、計算、メールの送信など) を実行する他のツールをコールする |
Display |
UI を使いやすくするために画面上にテキストや画像を表示する |
Function |
OmniScript 内での計算の実行、条件付きメッセージの表示、地理位置情報の提供を行う |
グループ |
UI 上で要素をグループ化する |
Inputs |
システムまたはユーザーによる入力や選択を行う |
OmniScripts |
再利用可能な OmniScript を挿入して使用する |
もう少し詳しく見ていきましょうか? では始めましょう!
Actions 要素
Action 要素は次の操作に使用されます。
- 1 つ以上の Salesforce レコードからデータを取得する (Omnistudio Data Mapper Extract Action)。
- 1 つ以上の Salesforce レコードのデータを更新する (Omnistudio Data Mapper Post Action)。
- 一連のアクションをコールする (Integration Procedure Action)。
- Web アプリケーションインターフェース (API) を介してデータの取得、保存、削除を行う (HTTP Action)。
- インタラクションの一環としてメールに入力し、メールを送信する (Email Action)。
- 署名のための DocuSign メールを送信する、または DocuSign メールに署名する (DocuSign Envelope Action および DocuSign Signature Action)。
- インタラクションが完了した後にユーザーを前のページに転送する (Navigate Action)。
Display 要素
Display 要素では、ワークフロー内の重要なコンテキストを提供したり、ページのレイアウトを設定したりできます。
Display 要素には次のようなものがあります。
-
Line Breaks 要素: 改行を作成して、ページ上の間隔を制御できます。
-
Text Block 要素: 説明、画像、ハイパーリンクを追加できます。
Functions 要素
Functions 要素は次の操作によく使用されます。
- 平均/合計の計算を実行する (Aggregate)。
- 数式関数や台数計算を実行する (Formula)。
- 条件に基づいてユーザーに警告、エラー、その他のフィードバックを表示する (Messaging)。
Groups 要素
この要素を使用すると、ステップやページ表示などの項目をグループ化できます。たとえば、Step 要素はインタラクション項目を 1 つのビューまたはページに要素グループ化します。これは、フロー内の 1 つのステップの UI キャンバスです。
Groups 要素の別の種別である、Type Ahead Block には、オートコンプリートと検索を組み合わせた機能が用意されています。次に例を示します。
- ユーザーが情報の入力を開始します。
- システムによって一致するものが検索され、一致項目のリストが表示されます。
- ユーザーはそこから適切な項目を選択します。
他にもよく使用される Groups 要素があります。
-
Block: ページ/ビュー内の要素をグループ化します。
-
Edit Block: リアルタイムでレコードを追加、編集、削除します。
-
Radio Group: アンケートでユーザーに共通の選択肢がある場合など、ラジオボタンをグループ化します。
Inputs 要素
Inputs 要素を使用するとユーザーが入力できます。この要素種別を使用して、ユーザーは次の操作を行います。
- 支払方法 (1)、支払日 (2)、支払金額 (3) などの情報を入力する。
- 1 つ以上のオプション (4) を選択する。
- チェックボックスを選択する。
- テキスト、電話番号、メールアドレス、Web サイトを入力または表示します。
この例は、支払方法ボタン (1) としての Radio 要素と金額 (3) や最終支払日 (2) などの事前入力データに使用される項目を示しています。
OmniScripts 要素 (子 OmniScript) は、OmniScript をコールして別の OmniScript 内で再利用します。これにより、特定の取引先責任者や取引先の項目を表示するなどの一般的な機能を持つ小さな「子」 OmniScript を作成することができます。
この例には、再利用可能な OmniScript が示されており、必要に応じて作成中の任意の OmniScript の一部として含めることができます。
ご覧のように、OmniScript を設計する際に自由に使用できるツールが多数あります。ただし、どれを使用するかをどのように判断すればよいのでしょうか? 次の例は、顧客の要件を使用することで、どのようにプロジェクトに集中できるか、またどのように必要な OmniScript 要素を決定するのに役立つかを示しています。
インタラクション用の要素を選択する
以下は、顧客の名前、電話番号、Web サイトが表示され、Edit Account アクションが用意されている Account FlexCard です。
このアクションをクリックしてもすぐには何も実行されませんが、しばらくするとガイド付きインタラクションが起動し、ここでカスタマーサービスエージェントは取引先の詳細を変更できます。ただし、まず、このインタラクションを設計する必要があります。
このインタラクションの初期要件を確認していきましょう。
「カスタマーサービスエージェントとして、電話番号や Web サイトといったカスタマー取引先の詳細をコンソールから確認したり変更したりできるガイド付きインタラクションが欲しいです。」
サービスエージェントには、このインタラクションが次のように表示されます。
OmniScript には、エージェントに表示される次の機能が必要であるとします。
- インタラクション用のページ
- 取引先名を表示し、取引先の電話番号と Web サイトを編集する手段
- ページ上のこれらの項目の間隔を制御する手段
これらの要件を満たすには、どの OmniScript 要素を選択すればよいでしょうか? 必要なものは次のとおりです。
- 最初に、インタラクション用のページを作成する必要があります。Edit Account インタラクション用のページを作成するには、Step 要素 (Groups 種別) が必要です。ステップは含める必要がある Inputs 要素のキャンバスになります。
- 次に、取引先名を表示し、取引先の電話番号と Web サイトを編集する手段が必要です。
Inputs 要素がいくつか必要なようです。
取引先名は 1 行のテキストであるため、Text 要素が最も適しているように思われます。ただし、OmniScript ユーザーに取引先名を変更されては困るので、要素プロパティを調整して、この項目を読み取り専用にします。
電話番号と Web サイトは、ユーザーが編集できるようにする必要があります。
- 電話番号には Telephone 要素を使用しましょう。電話番号の形式が自動的に設定されるため、エージェントが一貫性のない形式に煩わされることはありません。
- Website には、http:// または https:// が必要なため URL 要素を使用しましょう。これにより、データ入力の一貫性も確保できます。
最後に、ページ上のこれらの項目の間隔を制御する手段が必要です。これは表示要件のようなので、Display 要素オプションを検討する必要があります。
項目 (入力) は UI 内の別々の行に配置する必要があります。そのためには、2 つの Line Break 要素を設計に追加します。1 つは取引先名項目と電話番号項目の間、もう 1 つは電話番号項目と Web サイト項目の間に追加します。
次は、バックエンドで必要な機能を中心に見ていきましょう。
- Salesforce から取引先レコードデータを取得する手段
- Salesforce にデータの更新を保存する手段
- インタラクションを完了して、インタラクションを起動したカードにエージェントが戻れるようにする手段。
そろそろ、Actions 要素を確認したほうがよさそうですね。取引先データを取得して保存するには、Integration Procedure が最適だと聞いたことがあると思います。そこで、2 つの Integration Procedure Action 要素を設計に追加します。1 つ目のアクションはデータを取得する Integration Procedure をコールし、もう 1 つはデータを保存する Integration Procedure をコールします。
OmniScript では、これらのアクションの位置が重要です。
- データはエージェントが編集する前に取得する必要があるため、1 つ目のアクションは Step 要素の前に配置します (要素内ではありません)。
- 2 つ目は Step 要素の後ろに配置します (ここでも、要素内ではありません)。変更されたデータは、エージェントが変更した後にのみ Salesforce に保存されるからです。
もう一息です。あとは、エージェントがインタラクションを完了して、インタラクションを起動した FlexCard に戻れるようにする Actions 要素だけが必要です。ここでは、ユーザーがインタラクションの最後に [Next (次へ)] をクリックしたときに、Account カードにリダイレクトするように設定できる Navigate Action を選択します。
お疲れさまでした。Edit Account OmniScript の設計が完了しました。OmniScript Designer で作成した場合は、次のようになります。
まさに適切に設定された OmniScript ですね。次の単元では、OmniScript を作成してみましょう。