Data Mapper の種類を知る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 管理パッケージ用 Omnistudio の Omnistudio Data Mapper の機能を説明する。
- Omnistudio Data Mapper の 4 つの種類を挙げる。
- 各種の Omnistudio Data Mapper の機能を説明する。
Omnistudio Data Mapper について
顧客とのあらゆるデジタルインタラクションやビジネスプロセスでは、システムはデータを抽出して表示する必要があります。そして、ユーザーがそのデータを変更したり新しいデータを入力したりした場合には、そのデータを保存しなければなりません。
そこで登場するのが Omnistudio Data Mapper です。
Omnistudio Data Mapper は、Salesforce のデータを読み取り、変換し、書き込むのに役立つマッピングツールです。このモジュールでは、管理パッケージ用 Omnistudio のサービス管理レイヤーの主要なコンポーネントの 1 つである Omnistudio Data Mapper の基本を学びます。
Omnistudio Data Mapper には 4 つの種類がありますが、一般的には Salesforce から Omniscript や Flexcard にデータを供給します。また、Omnistudio Data Mapper は、Omniscript や Flexcard からのデータ更新を Salesforce に書き戻します。通常はこの処理を Omnistudio Integration Procedure 経由で行います。
次に、データフローの例を示します。
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データを取得する: Omniscript が (Integration Procedure 経由で) Omnistudio Data Mapper Extract をコールして Salesforce からデータを読み取ります。たとえば、Edit Account Omniscript に、取引先名、電話番号、Web サイトなどのデータを表示します。
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データを操作する Omniscript が、ユーザー入力に基づいて変更されたデータや新しいデータを取得します。たとえばサービス担当者が取引先の電話番号を変更します。
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データを保存する: Omniscript が (Integration Procedure 経由で) Omnistudio Data Mapper Load をコールしてデータを元の Salesforce に書き込みます。たとえば、更新された取引先の電話番号を取引先レコードに保存します。
データの読み取り、書き込み、変換は Apex クラスでも実行できますが、Omnistudio Data Mapper にはさらなるメリットがあります。Omnistudio Data Mapper は、作成にかかる時間が短く、管理も容易です。そのため、ベストプラクティスとして Omnistudio Data Mapper の使用を推奨しています。
それでは、4 種類の Omnistudio Data Mapper がそれぞれどのような役割を果たすかを見ていきましょう。
ブロックの名前
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実行する内容
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Omnistudio Data Mapper Turbo Extract |
1 つの Salesforce オブジェクトからデータを取得する |
Omnistudio Data Mapper Extract |
1 つ以上の Salesforce オブジェクトからデータを取得する |
Omnistudio Data Mapper Load |
1 つ以上の Salesforce オブジェクトに次の方法でデータを保存する
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Omnistudio Data Mapper Transform |
Salesforce の内部または外部から取得したデータを操作する |
Omnistudio Data Mapper Extract、Omnistudio Data Mapper Load、Omnistudio Data Mapper Transform は以下も行います。
- JSON、XML、カスタムスキーマのデータをトリミング、対応付け、再構築、変換する。
- 数式や関数を使用してデータを変換する。
もっと知りたいと思いませんか? 次は、各種の Omnistudio Data Mapper の機能について説明します。
Omnistudio Data Mapper Turbo Extract
Omnistudio Data Mapper Turbo Extract は、関連オブジェクトの項目をサポートする 1 つの Salesforce オブジェクト種別からデータを取得して絞り込みます。データを絞り込んで、返す項目を選択できます。次に説明する標準の Omnistudio Data Mapper Extract とは異なり、Omnistudio Data Mapper Turbo Extract では数式や複雑な出力の対応付けがサポートされていません。
ただし、Omnistudio Data Mapper Extract と比較して、簡単に設定できて実行時のパフォーマンスが優れているという 2 つのメリットがあります。
Omnistudio Data Mapper Turbo Extract の使用例として、ID がわかっている取引先に関連付けられた取引先責任者を取得する場合が挙げられます。
Omnistudio Data Mapper Extract
Salesforce からデータを取り込む Omnistudio Data Mapper Extract は、Salesforce データを読み取り、複雑な項目の対応付けを使用して JSON、XML、カスタム形式のいずれかで結果を返します。Omnistudio Data Mapper Extract の通常の用途は、Salesforce の内部データを Omniscript や Flexcard に抽出することで、数式や複雑な出力対応付けをサポートします。
次に該当する場合は Omnistudio Data Mapper Extract を使用します。
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1 つのオブジェクトからデータを取得する。たとえば、Salesforce の取引先オブジェクトから取引先データ (取引先名などの詳細) を取得します。
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関連オブジェクトからデータを抽出する。たとえば、ケースを処理する Omniscript で使用する Omnistudio Data Mapper Extract を作成します。ケースを処理するサービス担当者は、ケース番号を使用してケースを検索する必要があり、また、取引先の名前、ケースの説明、取引先の取引先責任者全員を表示できるようにする必要があります。
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データ値またはオフセット値を使用して並び替えられたデータをページングする。Omnistudio Data Mapper Extract で大量のレコードが取得されると予想される場合は、ページングを使用して、項目値またはオフセット値を基に一度に数件のレコードを取得します。たとえば、取引先の長いリストを取引先 ID でページングしたり、取引先責任者のリストを姓でページングしたりします。
Omnistudio Data Mapper Load
Omnistudio Data Mapper Load は、JSON または XML 入力から Salesforce オブジェクトにデータを書き込みます。つまり、変更されたデータでレコードを更新すると同時に新規レコードを作成します。
- 入力データを変更する場合は、数式の定義、値の変換、出力データ型の変更を行います。
- 変更されたデータを Salesforce オブジェクトに書き込む方法を指定するには、出力 JSON の項目を Salesforce オブジェクトの項目に対応付けます。
Omnistudio Data Mapper Load は、入力データに対応付けや数式を適用して出力データを作成し、その出力データを対応付けに従って Salesforce オブジェクトに読み込みます。
次のような場合に Omnistudio Data Mapper Load を使用します。
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レコードを作成して数式を使用する。Omnistudio Data Mapper Load が新しい取引先責任者を作成します。取引先責任者が 19 歳以上かどうかを数式でチェックします。19 歳以上の場合は、[Authorized (承認済み)] カスタム項目が true に設定されます。
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レコードと既存レコードへのリンクを作成する。Omnistudio Data Mapper Load が新しい取引先責任者を作成します。作成された取引先責任者は、特定の ID を持つ既存の取引先に関連付けられます。
Omnistudio Data Mapper は、外部オブジェクトやカスタムメタデータのほか、Salesforce オブジェクトにもアクセスできます。このために、特別な構文や追加設定は必要ありません。
Omnistudio Data Mapper Transform
Omnistudio Data Mapper Transforms は以下を行うことができます。
- JSON 入力を XML 出力に (またはその逆に) 変換する。
- 入力データを再構築して項目名を変更する。
- 項目の値を代入する (どの Omnistudio Data Mapper も値を代入できます)。
次の場合は、Omnistudio Data Mapper Transforms を使用してください。
- Omniscript で DocuSign テンプレートに入力する必要がある。
- Omniscript で PDF ドキュメントの項目に記入する必要がある。
たとえば、保険会社が表示ラベルをユーザーにわかりやすいものにするために、Omnistudio Data Mapper Transform を実装したとします。
Policy (保険契約) 情報が Salesforce の納入商品オブジェクトに保存されていますが、ユーザーに表示されるラベルを Omnistudio Data Mapper Transform で「Asset (納入商品)」から「Policy (保険契約)」に変更します。また、「vlocity_ins__AnnualPremium__c」も「Annual Premium」に変更します。さらに、取引先責任者の表示ラベルを「Contact (取引先責任者)」から「Policy Holder (保険契約者)」と「Policy Beneficiary (保険契約受取人)」の 2 種類に変更します。
これで Omnistudio Data Mapper の基本を押さえることができました!
次の単元では、管理パッケージ用 Omnistudio の Omnistudio Data Mapper Designer を使用して Omnistudio Data Mapper を実行する方法と、その機能、数式、関数について説明します。
リソース
- Salesforce ヘルプ: Omnistudio Data Mapper (管理パッケージ用 Omnistudio)
- Trailhead: Omniscript
- Trailhead: Omnistudio Flexcard