Net Zero Cloud で排出量を追跡する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Net Zero Cloud の主要な差別化要因を説明する。
- スコープで分類されたさまざまな温室効果ガス排出源の概要を説明する。
- Net Zero Cloud の高次のカーボンアカウンティングステップを挙げる。
- 廃棄物ベースの排出量追跡に Net Zero Cloud がどう役立つかを説明する。
Net Zero Cloud について知る
Northern Trail Outfitters (NTO) は CRM ソリューションとして複数の Salesforce 製品を使用してきました。Sam Rajan と NTO の他の役員は、Net Zero Cloud のリリースを優先することで、サステナビリティの目標を実現できると確信しています。Net Zero Cloud を使用すると、NTO は信頼性の高い投資家レベルのデータで環境フットプリントを効果的かつ迅速に追跡、分析、報告できます。このデータは、第三者監査、財務報告、企業の評判、すべてのステークホルダーとの信頼関係の構築に不可欠です。
Net Zero Cloud には次の主要な差別化要因があります。
- Salesforce プラットフォームによって一元化された情報源が提供されるため、データサイロが解消され、企業は監査可能な信頼できるデータを利用できます。
- 出張、電気、第三者貨物輸送、直接的な燃料使用などさまざまなソースからユーザーがデータを記録できます。そのデータでエネルギー消費量を追跡し、関連する排出係数を使用してソースごとに排出量を計算できます。
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すぐに使用できる付属の排出係数データセットがあります。たとえば、米国環境保護庁 (EPA)、英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省 (BEIS)、気候変動に関する政府間パネル (IPCC) からのデータセットなどが提供されます。
- バリューチェーンの排出量を見積もるために企業は調達データを取り込み、支出データを排出量見積に変換できます。
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企業は気候変動アクションへのコミットメントを作成し、サステナビリティの目標に沿って科学的根拠に基づく目標を設定できます。
- 企業は活動種別ごとに次期の排出量を予測でき、ユーザーが予測データと対照して目標を追跡できます。
- スコアカードを使用してサプライヤーのサステナビリティへのコミットメントと排出量を追跡し、サプライチェーンの排出量を削減します。
- データの多彩な視覚化と事前作成済み CRM Analytics ダッシュボードで企業が環境に与える影響を評価できます。
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企業は廃棄物管理データを取り込み、事業や商品の廃棄処理によって生じる廃棄物からの排出量を見積もることができます。
- プロジェクトでも実際のクレジットでも、すべてのカーボンクレジット情報を企業が簡単に管理できるワンストップソリューションとして機能します。
明確なネットゼロ戦略にはまず、信頼できて一貫性のあるデータ追跡が必要です。これにより、明確で大胆な目標を設定し、長期にわたって進行状況を追跡し、進行状況を報告することができます。
Sam は NTO のサステナビリティジャーニーを加速するために適したツールが Net Zero Cloud で見つかったので満足しています。NTO のスコープ 1、スコープ 2、スコープ 3 データの年間排出インベントリの表示がはるかに簡単になりました。複数のスプレッドシートからデータを取り込むやり方は、NTO では誰も使わない方法になりつつあります。
年間排出インベントリは、スコープ 1、スコープ 2、スコープ 3 の排出量を分類し、合計したものです。Sam は、チームが各排出レベルを理解できるように図を作成します。
スコープ 1、2、3 排出量を区別する
温室効果ガスプロトコルでは、直接的排出源と間接的排出源の概要を説明するために、温室効果ガス (GHG) の排出を分類する排出インベントリが設定されています。カーボンフットプリントを計算すると、NTO は排出源に関する貴重な情報を取得し、最大の削減機会を特定できます。
そのために、NTO はバリューチェーン全体からの排出量の計算を含む、確実なカーボンフットプリント分析を実行する必要があります。正確な排出インベントリによって、効果的な気候目標、短期的な削減戦略、適切な数のカーボンクレジットを購入してネットゼロを達成するための長期的な計画の下準備ができます。
カーボンアカウンティングで排出量を数値化する
財務的な健全性を確保するために会計士が管理する重要なタスクと同様に、Sam は NTO がネットゼロジャーニーに沿って排出量を定量化できるようにカーボンアカウンティングのタスクを監督します。
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資産と排出源を特定する。たとえば、建物、倉庫、社有車、プライベートジェット機、データセンター、さまざまなスコープ 3 活動を確認します。
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活動およびエネルギー消費データを記録する。たとえば、公共料金の請求書、給油の領収書、出張記録、サプライヤーからのデータなどを入力します。その他の重要な詳細 (再生可能エネルギー割り当て率、一時的な冷媒排出量など) も指定または計算します。幸い、Net Zero Cloud には組み込み計算があるため、Sam は手動で計算を実行する必要はありません。
- 米国や英国の環境局やその他の標準的な環境団体からのデータセットを読み込み、エネルギーデータを報告可能な炭素量に変換する。Net Zero Cloud には標準的な官民の情報源から提供された参照データセットとして、いくつかの排出係数が事前設定されています。データは公益事業のサプライヤーや地域に固有のものであるため、Sam には NTO 独自の参照データを読み込むというオプションもあります。
- 排出源ごとに適切なスコープに分類された計算済み GHG 排出量をレビューする。
- 排出源種別ごとのカーボンフットプリントレコードを作成して、特定年の排出量データを資産別に積み上げ集計する。
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年間排出インベントリを作成して 1 年間のすべての排出源からの排出量を合計する。Net Zero Cloud では、会社の資産と調達活動からの排出量を集計します。
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カーボンフットプリントデータをシームレスに監査して自動計算された排出量を検証する。Sam は外部の監査人に Net Zero Cloud へのアクセス権を付与して、NTO のすべての排出量データが存在する情報源で保証作業を実行できるように計画します。
これは「一度だけで終わる」シナリオではなく、通常、毎年繰り返されるプロセスです。Sam は図の最後のステップを最初のステップにつなげます。
調達ハブでスコープ 3 排出量を追跡する
CDP Global Supply Chain Report 2020 (CDP グローバルサプライチェーンレポート 2020) によると、サプライチェーン排出量は平均で事業排出量の 11.4 倍であり、企業の合計 GHG 排出量の約 92% を占めます。Sam はこのことを認識していて、Net Zero Cloud はサプライヤーデータを整理してバリューチェーン活動からの排出量を数値化するのに役立つと考えています。
Sam は Net Zero Cloud のスコープ 3 調達ハブを使用して、調達関連のスコープ 3 排出量を分類し、把握できます。幸い、スコープ 3 ハブには、スコープ 3 の設定に役立つ設定アシスタントが含まれています。
会社のカテゴリ別支出金額が含まれる調達データはサプライヤーまたは金融システムから取得されます。Sam は、スコープ 3 排出量を把握する調達カーボンフットプリントを作成します。次に、調達データセットを使用して、支出を定量化、分類し、カーボンフットプリントレコードに関連付けます。このすべてのデータを使用して、Sam は調達関連のすべての排出量を簡単に計算できます。サプライヤーに関するデータを追加すると、Net Zero Cloud でサプライヤーの排出量データも集計できます。
廃棄物の追跡について
エネルギー使用および活動データとは別に、Sam は Net Zero Cloud を使用して NTO のスコープ 1 とスコープ 2 の活動から生じる廃棄物を把握することもできます。ただし、これで終わりではありません。廃棄物固有の測定排出係数がこの発生廃棄物値に適用されて、スコープ 3 アップストリーム排出量とスコープ 3 ダウンストリーム排出量が二酸化炭素換算メートルトン (tCO₂e) 単位で計算されます。
Net Zero Cloud を使用して Sam は、事業や販売した商品の廃棄処理によって生じる廃棄物を追跡できます。廃棄物計算に使用される主なデータは、廃棄物種別、処理場種別、廃棄物処理量、廃棄物処理排出係数です。
カーボンフットプリントレコードと同様に、Sam は廃棄物フットプリントレコードを作成して、特定の年やその他の報告期間について廃棄物の量を集計できます。
ブラウザーでブックマークしておくほどではないかもしれませんが、スコープ 1、スコープ 2、スコープ 3 のカーボンフットプリントや、Sam が頻繁に表示するその他の廃棄物フットプリントの関連ビューや詳細ビューが数多くあります。たとえば、Sam は NTO のオフィスビルの詳細ビューを開き、関連ビューに切り替えて、電子機器、紙、缶などの廃棄物の種類に関するより具体的なデータを参照します。
次の単元に進み、Net Zero Cloud が炭素排出量の予測、排出量削減目標の設定などにどう役立つかを学習しましょう。
リソース
- Salesforce ヘルプ: 温室効果ガスの排出
- Salesforce ヘルプ: 消費量レコードの作成
- Salesforce ヘルプ: 計算に影響する排出係数
- Trailhead: 固定資産の排出量を追跡する
- Greenhouse Gas Protocol (温室効果ガスプロトコル): GHG Org Scope 3 Calculation Guidance (GHG 組織のスコープ 3 計算指針)