参照データセットのインポート
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Net Zero Cloud で参照データがどのように使用されるかを説明する。
- Net Zero Cloud で提供されている 3 種類の参照データを挙げる。
- 参照データセットを読み込む。
- 組織の参照データセットを見つける。
参照データとは何か?
Net Zero Cloud では、政府や他の機関 (気候変動に関する政府間パネル (IPCC) など) が提供する参照データセットを使用し、標準の地球規模での排出係数に基づいて、企業のエネルギー消費量と活動のデータを温室効果ガス排出量として計算します。Net Zero Cloud ではこの目的のために、3 つの参照データセットコレクションが提供されています。
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商業ビルエネルギー消費量調査 (CBECS)
米国エネルギー情報局によるエネルギー原単位の調査データと建物エネルギー原単位値が含まれます。米国の建物のエネルギー消費量と効率の地域別統計を示します。
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電力、その他の排出係数、およびスコープ 3 出張排出係数
電力排出係数セット、その他の排出係数セット項目、貨物運搬排出係数、冷媒排出係数、インフレ率、廃棄物処理排出係数セット、廃棄物処理排出係数セット項目が含まれます。出張排出係数には、空路移動排出係数、陸路移動排出係数、ホテル宿泊排出係数、レンタカー排出係数が含まれます。
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US Environmentally-Extended Input-Output (USEEIO)
調達排出係数セットと調達排出係数セット項目データが含まれます。
参照データの詳細とその重要性については、Net Zero Cloud のドキュメントを参照してください。「リソース」セクションにリンクが記載されています。
米国外の建物については、Association of Issuing Bodies や世界銀行などの組織から他のデータセットをダウンロードまたは購入できます。詳細は、「リソース」セクションに記載されているリンク先を参照してください。データ保有者によるライセンスの制約があるため、すべての使用可能なデータセットを Salesforce が Net Zero Cloud にネイティブに含めることはできませんが、ユーザーはデータセットをダウンロードして組織にインポートできます。
では、Safiya が参照データを読み込む手順を見ていきましょう。
CBECS データセットを読み込む
- [設定] から、[クイック検索] ボックスで [参照データの読み込み] を検索して選択します。
- [CBECS データセットを読み込む] をクリックします。
- [データセットを対応付ける] ダイアログで、建物エネルギー原単位レコードタイプを選択し、[読み込み] をクリックします。
Net Zero Cloud に米国エネルギー情報局 2012 年調査データがインポートされます。このデータには、米国の商業ビルのエネルギーに関連する建築物特性とエネルギー使用量データ (消費量と支出) が含まれています。
電力、その他の排出係数、およびスコープ 3 出張排出係数データセットを読み込む
- [設定] から、[クイック検索] ボックスで [参照データの読み込み] を検索して選択します。
- [他のデータセットを読み込む] をクリックします。
次のデータセットがインポートされます。
electricityMap | 電力消費量を炭素排出量に変換する計算 (現在は 66 か国の 192 の電力供給区域が対象)。このデータは米国の eGRID データと同じ形式です。Net Zero Cloud では電力排出係数に electricityMap の 2019 年と 2020 年のデータを使用します。 |
環境保護庁 (EPA) 電気データ (eGRID) | 米国の電力供給網での電力排出係数とグリッドミックスが含まれています。このデータにより、エネルギー消費量から炭素排出量への変換を計算できます。Net Zero Cloud では電力排出係数に eGrid の 2018 年、2019 年、2020 年のデータを使用します。 |
EPA の温室効果ガスインベントリ排出係数 | 「Emission Factors for Greenhouse Gas Inventories (温室効果ガスインベントリの排出係数)」テーブルに定められている燃料 (モバイル燃料タイプを含む) の燃焼による排出係数。Net Zero Cloud ではモバイル燃料換算係数に EPA の 2021 年のデータを使用します。空路と陸路の移動排出係数には EPA の 2018 年と 2021 年のデータを使用します。レンタカー排出係数と貨物運搬排出係数には EPA の 2020 年と 2021 年のデータを使用します。また、廃棄物処理排出係数には EPA の 2020 年のデータを使用します。 |
温室効果ガス (GHG) プロトコル | 温室効果ガスプロトコルの「地球温暖化係数値」の表にある、温室効果ガスの地球温暖化係数値とその他の必要な変換係数に関する情報。通常は IPCC データに基づきます。Net Zero Cloud では冷媒排出係数に IPCC の第 4 次評価報告書 (2007 年) と第 5 次評価報告者 (2014 年) の地球温暖化係数値を使用します。 |
国際エネルギー機関 (IEA) データ | 電力消費量を炭素排出量に変換するために使用できる、130 か国以上の最新の電力供給網排出係数。このデータは米国の eGRID データと同じ形式です。Net Zero Cloud では電力排出係数に IEA の 2016 年、2017 年、2018 年、2019 年のデータを使用します。 |
環境・食糧・農村地域省 (DEFRA) | Net Zero Cloud では固定燃料とモバイル燃料の換算係数に DEFRA の 2018 年と 2021 年のデータを使用します。ホテル宿泊係数には DEFRA の 2019 年と 2021 年のデータを使用します。空路移動排出係数には DEFRA の 2021 年のデータを使用します。また、陸路移動排出係数には DEFRA の 2018 年と 2021 年のデータを使用します。 |
米国労働統計局 (BLS) | Net Zero Cloud ではインフレ率に BLS データを使用します。 |
米国環境保護庁 (EPA) | Net Zero Cloud では EPA のデータを使用して、エネルギー消費量データを報告可能な炭素量の数値に変換します。 |
USEEIO データセットを読み込む
- [設定] から、[クイック検索] ボックスで [参照データの読み込み] を検索して選択します。
- [USEEIO データセットを読み込む] をクリックします。
調達と支出関連の排出係数に使用される US Environmentally-Extended Input-Output (USEEIO) (2013) データセットがインポートされます。
参照データを表示する
排出係数のすべての参照データをインポートしたら、そのデータを Net Zero アプリケーションで見ることができます。手順は次のとおりです。
Net Zero アプリケーションでナビゲーションメニューをクリックし、次のタブから選択します。
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空路移動排出係数
スコープ 3 の民間航空機での移動の排出係数が保存されます。
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電力排出係数セット
電力使用量を CO₂e、CO₂、CH₄、N₂O の値に変換するために使用される要素が保存されます。このレコードには、燃料種別ごとの電力源 (グリッドミックス) の内訳のデータが保持されます。
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貨物運搬排出係数
スコープ 3 の貨物運搬の排出係数が保存されます。
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陸路移動排出係数
スコープ 3 の陸路移動の排出係数が保存されます。
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ホテル宿泊排出係数
スコープ 3 のホテル宿泊の排出係数が保存されます。
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インフレ率
通貨価値の換算に使用される年間インフレ率が保存されます。
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その他の排出係数セット
電力供給網でもスコープ 3 データでもない、さまざまなデータ種別やデータソースの排出係数と換算係数が保存されます。
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調達排出係数セット
このオブジェクトには、調達データの支出金額を二酸化炭素換算トン (tCO₂e) の炭素排出量に換算するために使用される排出係数のコレクションが保持されます。
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冷媒排出係数
冷媒による地球温暖化係数が保存されます。
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レンタカー排出係数
スコープ 3 のレンタカー使用の排出係数が保存されます。
Safiya はワクワクしています。Net Zero Cloud 組織の基本的な設定を完了し、次のタスクに進む準備ができました。次は、組織のエネルギー使用量と炭素排出量に関する重要業績評価指標のインサイトを得るために Net Zero Analytics を設定します。引き続き Safiya の作業を一緒に見ていく場合は、最後のテストを受けてこのバッジを獲得してから、「Net Zero Cloud Analytics の設定」モジュールに進んでください。