RPA プロセスの実行可能時間をスケジュールする
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- RPA プロセススケジュールを作成する。
- 業務時間中の RPA プロセスの動作について説明する。
RPA プロセススケジュールを使用する
スケジュールを作成する前に、スケジュールでの RPA プロセスの動作を理解して置くことが重要です。カスタマーサービスボットの 1 日を示す次の例を見てみましょう。
少しの間、自分が ACME のカスタマーサービスボットだと想像してみてください。使っている電話には顧客の保留機能がありません。電話をかけてきた顧客はつながるか、かけ直すことになります。さらに、スケジュールの実行時間は午前 9 時から午後 5 時までです。ただし、ACME のポリシーでは、顧客の問題が解決するまで対応を続けなければいけないと規定されています。また、シフト終了時まで電話に応じる必要があります。午後 4 時 55 分に電話を受け、顧客の問題を解決するのに 35 分かかったら、終わるのは午後 5 時 30 分です。ボットとしての生活は楽だという人は誰もいないでしょう。
まとめると、ACME でのボットの 1 日は次のようになります。
- 午前 9 時に業務を開始する。
- かかってくる電話を能動的に監視する。
- 電話がかかってきたら応じて、問題が解決するまで顧客をサポートする。
- 問題が解決した後、時刻が午前 9 時~午後 5 時の間なら、電話の監視に戻る。
- 業務時間外で、対応中の電話がなければ、業務を終了する。
すべての MuleSoft RPA Bot は上記のシナリオで説明したカスタマーサービスボットのように稼働します。RPA Bot は対応可能であれば、RPA プロセスのトリガーをリスンします。トリガー条件に合致したら、RPA Bot は RPA プロセスを実行します。また、開始した RPA プロセスの実行を終了する必要があります。
プロセスを終了したら、直ちに RPA プロセスのトリガー条件のリスンを再開します。RPA プロセススケジュールの時間外であることを検出した場合、プロセスが実行中でなければ、そのプロセスをサスペンドします。プロセスは次のスケジュール済み実行期間になるまでサスペンド状態になります。
RPA プロセススケジュールを作成する
単元 2 で説明したように、RPA プロセススケジュールは実行設定の作成時にスケジュールアシスタントダイアログボックスを使用して設定します。スケジュールの作成は、2 つの主要なステップ (初期実行パターンの設定とパターン反復の条件と方法の指定) で構成されます。
初期パターンを設定する
初期パターンでは、RPA プロセス実行時の実行スケジュールの期間と最初のインスタンスを指定します。スケジュールアシスタントダイアログボックスで、次のいずれかの方法でパターンを設定します。
初期実行期間 |
説明 |
例 |
---|---|---|
特定の期間 |
RPA プロセスの開始日時と終了日時を具体的に指定できます。時刻は 24 時制 60 分形式でリストされます。 |
2022 年 3 月 15 日 11:00 から 2022 年 3 月 18 日 11:00 まで |
All day (全日) |
RPA プロセスは初日の深夜 0 時に開始し、最終日の 24 時まで実行されます。 |
2022 年 3 月 15 日から 2022 年 3 月 18 日まで |
ベストプラクティスとして、2 分以上のスケジュールを設定します。そうしないと、RPA プロセスがトリガーされないというリスクがあります。RPA Bot は毎分 1 回のみ、RPA プロセススケジュールが開始したかどうかチェックします。
初期パターンを反復する
スケジュールアシスタントダイアログボックスで、Bot が初期パターンを反復するようにスケジュールできます。パターンの反復頻度と次の反復開始までの時間を指定します。終了時刻も指定できます。
例を見てみましょう。初期パターンは「2022 年 3 月 10 日 10:00 ~ 2022 年 3 月 10 日 10:02」で、5 分おきに反復するように設定します。RPA Bot はプロセスを 2 分間実行し、5 分おきに反復します。この 5 分は、最初にスケジュールされたインスタンスを開始してから、次にスケジュールされたインスタンスを開始するまでの時間です。結果として、RPA プロセスは 2 分間実行された後、3 分間待機してから反復されます。
ただし、初期パターンが反復間隔よりも長いと、インスタンスが重複します。たとえば、初期パターンが「2022 年 3 月 10 日 10:00 ~ 2022 年 3 月 10 日 10:06」で 5 分おきに反復するように設定した場合、RPA プロセスは 24 時間無休で実行されます。
サービス時間の影響を理解する
単元 2 では RPA Bot を設定するときに、実行を許可する時間を指定しました。このサービス時間はプロセススケジュールよりも優先されます。プロセスを毎日午前 10:00 ~午前 11:00 に実行されるようにスケジュールし、RPA Bot のサービス時間は毎日午前 10:15 ~午前 10:45 だった場合、そのプロセスの有効な実行スケジュールは毎日午前 10:15 ~午前 10:45 になります。
この単元では、RPA プロセススケジュールを作成して設定する方法を学習しました。次の単元では、RPA Bot セッションの概要と本番設定での使用方法について学習します。