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MuleSoft RPA プロジェクトのライフサイクルを知る

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • MuleSoft RPA プロジェクトライフサイクルのフェーズを特定する。
  • RPA プロジェクトライフサイクルの各フェーズをどの MuleSoft RPA コンポーネントで処理できるかを説明する。

RPA ライフサイクルを知る

すべての MuleSoft RPA プロセスは、フェーズと呼ばれる一連の主要な開発ステップを実行して、会社にとって価値があり、デプロイ後にうまく機能することを確認します。これらのフェーズを RPA ライフサイクルと呼びます。MuleSoft RPA プロセスのライフサイクルについて学ぶにあたって、ライフサイクルフェーズについてと、各ライフサイクルフェーズを実行するためにコンポーネントと機能がどのように連携するかを理解しておく役立ちます。

時系列に並べると、フェーズには評価、設計、ビルド、テスト、本番があります。RPA Manager には、RPA プロセスがどのフェーズにあるかを確認できるダイアグラムがあります。 

ライフサイクルフェーズを示す MuleSoft RPA Manager のダイアグラム。

各ライフサイクルフェーズは多くの場合、さまざまな職務 (ペルソナとも呼ばれる) によって実行されます。MuleSoft RPA では、特定の職務は特定のフェーズに関連付けられます。たとえば、RPA プロセスが設計フェーズにある場合、RPA Builder で実装できないように RPA 開発者をブロックします。RPA プロセスがテスト、デプロイ、または本番フェーズにある場合、RPA 設計者と RPA 開発者は RPA プロセスを編集できないようにブロックされます。

次のデモ動画で、主要な RPA ライフサイクルフェーズを確認してください。では、RPA ライフサイクルフェーズと状況を詳しく見ていきましょう。

評価フェーズ

RPA は、従業員の効率を高め、会社のコスト削減に役立つ可能性がありますが、すべての作業が RPA に適しているわけではありません。プロセスが複雑で可変性がある場合、または実行頻度が低く、短時間で完了する場合は、RPA ボットで自動化しても費用効果が得られない可能性があります。RPA ライフサイクルの評価フェーズでは、プロセスが RPA ボットによる処理に適しているかどうかを判断します。

MuleSoft RPA Manager には、RPA プロセスの可能性を迅速に評価できる評価ツールが組み込まれています。このツールは、ビジネスアナリストロールやプロジェクトの財務的な責任を持つその他のロールを持つユーザーが使用できます。このツールで、作業を手動で実行するための現時点での組織への影響とコスト、RPA プロセスの自動化に移行するメリットを評価します。次に、このデータを使用してシンプルな費用対効果分析を実行し、RPA ボットをデプロイすることによって得られる (または失われる) 潜在的価値を判断します。

意思決定者は、評価フェーズの結果を使用して、提案された MuleSoft RPA プロセスを承認または却下できます。RPA プロセスが承認されると、MuleSoft RPA Manager で RPA プロセスは自動的に設計フェーズに移行されます。

評価フェーズでは、RPA プロセスの状況は [Created (作成済み)]、[Approved (承認済み)]、[Rejected (却下済み)] の間を推移します。プロセス評価は、状況が [Created (作成済み)] と [Rejected (却下)] であれば変更することができます。RPA プロセスが [Approved (承認済み)] 状況になると、RPA プロセスを [Rejected (却下)] 状況に戻さない限り、プロセス評価は編集できません。すべての RPA プロセスはプロセスマトリックスに表示され、比較することができます。後続のライフサイクルフェーズに進んだ後でも、RPA プロセスはプロセスマトリックスに表示されます。

RPA プロセスが表示されている [Process Evaluation (プロセス評価)] ビューのプロセスリストと、[Process Matrix (プロセスマトリックス)] に表示された相対位置。

状況が [Approved (承認済み)] であれば、RPA プロセスはプロジェクトマネージャーに割り当てられるか、プロジェクトマネージャーによって要求されます。プロジェクトマネージャーは、RPA プロセスが設計フェーズに移行する前に、RPA プロセスライフサイクルチームを編成します。また、RPA プロセスを却下するオプションもあります。この場合、RPA プロセスの評価条件とドキュメントを変更したり、RPA プロセスを削除したりできます。

メモ

後続のライフサイクルフェーズでも評価情報は表示されますが、RPA プロセスを評価フェーズの [Rejected (却下)] 状況に戻さない限り編集はできません。

設計フェーズ

特定の作業の RPA プロセスを作成する価値があると判断したら、次に行うことは何でしょうか? 他のプロジェクトと同じように計画を立てる必要があります。設計フェーズは、評価済みのプロセスを、実行されるアクションに対応するフローチャートに分解することと考えてください。

このフローチャートは、Business Process Model and Notation (BPMN) ダイアグラムと呼ばれます。このフローチャートを MuleSoft RPA Manager の RPA BPMN エディターで作成します。BPMN は、シンプルなドラッグアンドドロップ方式のインターフェースを使用して手動で生成するか、MuleSoft RPA Recorder と呼ばれるツールを使用して自動的に生成されます。

作成する BPMN フローチャートでは、次のフロー要素が接続されます。

  • Start Event (開始イベント) は、常に BPMN ダイアグラムフローの最初の要素です。
  • 一連の自動化されたアクティビティを自動的に実行する Bot Task (ボットタスク)。
  • RPA プロセスの実行を続行するためにユーザーが手動で介入するまで RPA プロセスを停止する手動の User Task (ユーザータスク)
  • フローを他のフロー要素に条件付きでルーティングする Gateway (ゲートウェイ)
メモ

BPMN ダイアグラムファイルには、フロー要素間でデータを共有するために、実際の実装で変数として機能するアクティビティパラメーターが含まれています。

BPMN ダイアグラムにアノテーションを付けて、RPA 開発者に指示を与えることができます。MuleSoft RPA Recorder を使用している場合は、自動的に BPMN ダイアグラムにアノテーションが付けられます。MuleSoft RPA Recorder のアノテーションは高度に構造化されており、アノテーションを詳細なコードブロックに変換するために MuleSoft RPA Builder によって使用されます。このコードブロックは、記録されたユーザーアクションの再生を実行するために使用されます。

RPA プロセスの BPMN 設計が完了すると、適切な権限を持つユーザーが RPA プロセスをビルドフェーズに移行します。BPMN ダイアグラムは編集ができないようにブロックされます。

ビルドフェーズ

プロセスが完全にマッピングされたら、ビルドする準備が整います。オンラインでの作業から MuleSoft RPA Builder でのローカル作業に移行する必要があります。設計プロセスを簡略化するために、MuleSoft RPA Manager リポジトリ内を参照して、BPMN を MuleSoft RPA Manager から MuleSoft RPA Builder にダウンロードします。

RPA BPMN ファイルが MuleSoft RPA Builder に読み込まれると、MuleSoft RPA Recorder によってキャプチャされた詳細なドキュメントが実行可能なコードブロックに変換されます。大まかに言えば、各 BPMN シンボルが接続されているフロー要素に変換されます。これらのフロー要素では、RPA フロー全体でデータを共有するために、アクティビティパラメーターと呼ばれる変数が使用されます。

自動生成されたコードの中では、ボットタスクが最も複雑です。各要素には、ワークフローと呼ばれる詳細なコードブロックに変換された BPMN ドキュメントがあります。ワークフローでは、Toolbox ライブラリからコードブロックを組み合わせて、すべてのステップが再生されます。開発者は自動生成されたワークフローのステップを後で変更して、コードをより堅牢にしたり、機能を追加したりします。

MuleSoft RPA Recorder では、絶対座標を使用してマウスとキーボードの操作がキャプチャされます。これは値とクリックパスをキャプチャするのに良い方法ですが、このような文字どおりの記録はユーザーアクションの最も安定した (堅牢な) または柔軟な表現とは言えません。そのため、RPA 開発者は通常、ビルドフェーズ中に各 RPA プロセス要素の自動生成された実装のほとんどを Toolbox から他のオプションに置き換えます。

MuleSoft RPA Builder 内では、ドラッグアンドドロップ方式のインターフェースとキーボード入力の記録を併せて使用して、BPMN の各ステップをビルドします。自動化が想定どおりに機能することを確認するために、個々の RPA プロセスフロー要素または完全な RPA プロセスをさらにテストできます。

MuleSoft RPA Builder には RPA BPMN エディターもあり、BPMN ダイアグラムを変更することができます。たとえば、フロー要素を編集したり、完全に置き換えたりできます。他のボットタスク要素のワークフロー間でコンポーネントをコピーして貼り付けることもできます。

ボットタスク間でワークフローをエクスポートしてインポートするには、アクティビティライブラリを使用します。RPA プロセスの実装全体を CRPA ファイルとしてエクスポートしてインポートできます。また、ワークフロー内の特定のステップを .tptx サフィックスを使用してテンプレートファイルとして保存し、テンプレートを Toolbox に表示される新しい要素として使用することもできます。

テストフェーズ

RPA プロセスのビルドが完了したら、MuleSoft RPA Manager にアップロードします。重要なのは、さらにテストをせずにプロセスをすぐに本番の RPA ボットにパブリッシュしないことです。RPA ボットによって実行されるタスクには複雑な性質があるため、プロセスを徹底的にテストして想定どおりに動作することを確認することが極めて重要です。

MuleSoft RPA Manager を使用すると、一連のテストプラン設定をすばやく作成できます。各テストプランでは、異なる条件でプロセスをテストする必要があります。RPA ボットが各テストプランに合格すれば、デプロイの準備ができていると確信できます。合格しない場合は、プロセスロジックまたは BPMN 自体を変更しなければならない可能性があります。

各テストプラン設定で、アクティビティパラメーターの初期値を設定し、RPA プロセスを実行するために使用できる 1 つ以上の RPA ボットを指定し、テストの実行に使用するユーザーまたは Windows セッションの種別を指定します。これが必要な理由は、RPA ボットは RPA プロセスのすべてのアクションステップを実行するのに Windows システムのキーボードとマウスを使用しているからです。

RPA プロセスの実行が Windows システム上の他のユーザーと競合しないように、RPA プロセスを実行する専用のセッションが必要です。たとえば、可能性のある競合として、開いているウィンドウを閉じたり、正しい画面解像度を再現したり、他の Windows 構成設定を再現したりする機能があります。

テストプランは、MuleSoft RPA Manager でテストを実行するときに手動でトリガーされます。MuleSoft RPA Manager には、実行中の RPA プロセスをほぼリアルタイムで監視するのに役立つ他のツールがあります。これには、実行されている各フロー要素とアクションステップのテーブルが表示されます。また、BPMN ダイアグラムにほぼリアルタイムのスクリーンショットとアニメーション形式で進行状況インジケーターを表示するビジュアルビューアーも表示されます。

テスト中に RPA プロセスを実行している RPA ボットによってエラーが報告された場合、MuleSoft RPA Manager では分析パッケージと呼ばれるダウンロード可能な詳細な診断レポートが提供されます分析パッケージは MuleSoft RPA Builder にインポートされ、エラーが発生した場所を正確に示します。これにより、開発者は根本原因のトラブルシューティングを開始し、解決に取り組むことができます。

テストが完了すると、RPA プロセスは次のフェーズにパブリッシュされます。このフェーズでは、本番環境で RPA プロセスをトリガーするタイミングと頻度をスケジュールします。

本番フェーズ (デプロイ、管理、監視)

待ちに待った瞬間がやってきました。プロセスがすべてのテストに合格し、本番で使用する準備が整ったら、1 つ以上の RPA ボットにデプロイできます。テストフェーズと同様に、デプロイメントは MuleSoft RPA Manager で直接実行されます。RPA プロセスをデプロイするには、すべての必須設定を実行プランと呼ばれるデプロイメント設定に整理します。 

実行プランを設定する手順はテストプランの作成とほぼ同じですが、1 つだけ違う点があります。実行プランには、RPA プロセスをトリガーするタイミングと頻度を決定するスケジューラーが含まれている場合があります。スケジューラーは、多くの場合、RPA プロセスがアクセスする外部システムの可用性、または RPA プロセスでユーザータスクをタイムリーに実行するユーザーの対応可能状況と一致するように設定されます。たとえば、月曜日から金曜日の午前 8 時から午後 5 時のように設定します。 

RPA プロセスがボットにデプロイされるとすぐに、数え切れないほどの勤務時間の節約が始まります。ただし、どのようなコードにも言えることですが、RPA プロセスを監視し、問題が発生したら対処することが重要です。ほとんどのクラウドホスト型コントロールプレーンと同様に、MuleSoft RPA Manager には監視機能が組み込まれています。この機能により、デプロイされた RPA プロセスとデプロイ先のボットのパフォーマンスをすばやく評価できます。これには、RPA プロセスを実行している Windows セッションのほぼリアルタイムのスナップショット、設定可能なダッシュボード、エラー発生時の自動アラートが含まれます。

ここでは、MuleSoft RPA ライフサイクルと各フェーズを完了するために使用されるコンポーネントの概要について学習しました。次の単元では各コンポーネントについて詳しく説明します。

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