Spring '25 で認定 MuleSoft Platform アーキテクト資格を更新する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- MuleSoft AI Chain プロジェクトについて説明する。
- MuleSoft AI Chain Connector の機能を説明する。
- Anypoint Platform で使用量ベースの価格設定を分析する。
- Anypoint 使用状況レポートを確認する。
- Runtime Fabric の新しい使用状況ダッシュボードについて説明する。
- Hyperforce 上の MuleSoft アーキテクチャについて説明する。
- Anypoint Studio で Hyperforce を設定する。
- Anypoint Code Builder で Hyperforce を設定する。
認定資格を更新する
MuleSoft プラットフォームインテグレーションアーキテクト資格を保有している場合、その認定資格を更新するためには期日までにこのモジュールを修了する必要があります。
この資格の取得を検討している方は、MuleSoft Platform インテグレーションアーキテクト資格を参照してください。
認定資格の機密を守る
Salesforce は、質の高い認定試験と価値ある資格を提供することを最優先事項としています。試験のセキュリティと機密の保護は、業界をリードする評価の高い認定資格をお客様に提供するために不可欠です。
Salesforce 認定資格プログラムに参加する場合は、「Salesforce 認定資格プログラム同意書」に同意いただく必要があります。詳細は、Trailhead ヘルプ記事「Salesforce 認定資格プログラム同意書および行動規範」に記載の Salesforce 認定資格試験の受験ポリシーを確認してください。
MuleSoft プラットフォームインテグレーションアーキテクトは、Anypoint Platform の実装をリードし、ソリューションの品質と運用性を確保します。技術分野と非技術分野のステークホルダーと連携して機能要件と非機能要件をインテグレーションインターフェースと実装に変換するために必要な知識とスキルを有しています。
MuleSoft では、この 1 年間に多くの機能が強化されています。ここでは、MuleSoft プラットフォームインテグレーションアーキテクトの有資格者にとって特に重要なものについて説明します。
Anypoint Platform で AI エージェントを設計、構築、管理する
MuleSoft AI Chain プロジェクトについて
MuleSoft 開発者とアーキテクトは、AI を使用してイノベーションを行うときに MuleSoft を離れる必要はありません。MuleSoft AI Chain プロジェクトは、MuleSoft 開発者とアーキテクトが Anypoint Platform で既存のスキルを適用し、Anypoint Platform とシームレスに連携する簡素化されたアプローチで AI インテグレーションを構築するのをサポートします。MuleSoft AI Chain は、オープンソースの LangChain4j フレームワークに基づいています。LangChain4j は革新的な AI アプリケーションアーキテクチャの作成に役立ちますが、開発アプローチでは大量のコードを書く必要があります。MuleSoft 内で直接構築することにより、開発者は MuleSoft AI Chain を使用して作成されたエージェントや Copilot に既存の MuleSoft API を利用することができます。
MuleSoft AI Chain によって、複数の AI ツールやサービスを連携する環境が統合され、大規模言語モデル (LLM)、API、エージェントのオーケストレーションが簡素化します。MuleSoft ユーザーが特定の AI プラットフォームやサービスとのインテグレーションを作成できる一連のコネクタが用意されています。コネクタでサポートされる業務は、エージェント、エンベディング、画像生成、RAG、センチメント、ツールのカテゴリに分類されています。このそれぞれの内容を理解しておくと、MuleSoft プラットフォームインテグレーションアーキテクトはソリューションで最も効果的にコネクタを使用する方法を決定しやすくなります。
MuleSoft AI Chain Connector の機能
MuleSoft AI Chain Connector を使用すると、次のことが可能になります。
- 自然言語処理、テキスト生成、テキスト分類などのタスクに LLM を統合して活用する。
- テキスト類似性、ドキュメント検索、クラスター化のようなタスクを処理するためのエンベディングを生成する。
- ファイルベースのシンプルなベクトルストアをコネクタ内から直接作成する (ローカル使用や概念実証 (POC) 設計に最適です)。
- 検索拡張生成 (RAG)、動的なツール統合 (Function Calling)、画像モデルのサポートなど、認識、処理のようなタスクを実行するための多様な AI 駆動の機能にアクセスする。
コネクタは、AI 運用を最適化できるように、エンタープライズグレードの MuleSoft アプリケーションの高効率性と高性能を念頭に設計されています。Anypoint Platform エコシステムと緊密に連携することで、より多くの機能を使用できるようになります。たとえば、次のような機能が提供されます。
- Anypoint Platform を使用して、設計からデプロイメントまで、AI エージェントのライフサイクル全体を管理する。
- 設定ファイルを使用して、基礎となるコードを変更することなく、設定とパラメーターをカスタマイズ、調整する。
- 大規模なシステム内で特定のタスクや機能を実行するワークフローインテグレーション用のエージェントを設計する。
- Anypoint Studio と Anypoint Code Builder を使用して、最小限のコードで AI アプリケーションを作成する。
- Anypoint Studio で MUnit (Mule のネイティブなテストフレームワーク) を使用する単体テストによって信頼性を確保する。
- Anypoint Monitoring と可視化ツールを使用して、AI エージェントを追跡、監視する。
- 多くの AI ツールを Anypoint Exchange から直接利用、管理する。
Anypoint Platform で使用量ベースの価格設定を分析する
MuleSoft ユーザーは、Anypoint Platform に使用量ベースの価格設定モデルを選択できるようになりました (2024 年に導入)。新しい価格設定モデルは統合ニーズに合わせてスケールできるように設計されており、その価格は MuleSoft 製品のデプロイに基づいて算出されます。インフラストラクチャに結び付けられ、ピーク時の使用量に基づいてリソースが事前に割り当てられるサブスクリプションベースの価格設定モデルとは対照的です。
使用量ベースの価格設定: コアとの比較
既存のお客様の場合、MuleSoft コア/vCore ライセンスに変更はありません。また、Runtime Farbic ユーザーは引き続き、毎月の契約ガバナンスに CPU 制限メトリクスまたはノード容量メトリクスを使用することができます。2 つのメトリクス (CPU 制限とノード容量) は、Anypoint Platform 上の既存の使用状況ダッシュボードで入手できます。このダッシュボードの機能強化により、まだコアベースのモデルを使用しているお客様が使用状況レポートを取得して契約ガバナンスを実施できるようになるだけでなく、使用量ベースの価格設定モデルに移行しやすくなります。
使用量ベースの価格設定では、イベントソースによってトリガーされたインテグレーションフローの数か、このフロー全体のメッセージの数のいずれかに基づいて計算されます。このアプローチを使用すると、MuleSoft ユーザーは投資を最適化し、IT 組織全体への影響を評価できるようになります。適切に分析するために、使用状況データは Anypoint Platform 内ですぐに取得できる必要があることから、日次または月次使用状況レポートで確認することができます。
Anypoint 使用状況レポート
使用状況レポートでは、すべての Anypoint Platform 製品のリソース使用に関するインサイトを取得できる包括的な日次概要と月次概要が生成されます。使用量と請求サイクルを関連付けると、コストに影響を与えている要因を分析し、先を見越した予算管理を行い、リソースの割り当てを最適化することが可能になります。従量性の Anypoint Platform 製品を使用している場合は、MuleSoft によって使用量が測定され、日次と月次でレコードが集計されます。
Runtime Fabric (RTF) でのハイブリッドデプロイメントオプション使用者など、コアベースの価格設定を使用している MuleSoft ユーザーは、引き続き使用状況レポートと契約ガバナンスのさまざまなシナリオを監視する必要があると思います。MuleSoft によって、Runtime Fabric 製品向けの新しい使用状況ダッシュボードが導入されています。
新しい Runtime Fabric 使用状況ダッシュボード
Runtime Fabric 向けの Anypoint 使用状況ダッシュボードを使用すると、ユーザーはハイブリッド環境にあるコアの使用を追跡、監視、管理できます。このダッシュボードの機能強化により、コアベースのモデルを使用しているお客様が使用状況レポートを取得して契約ガバナンスを実施できるようになるだけでなく、使用量ベースの価格設定に移行しやすくなります。
Runtime Fabric 使用状況ダッシュボードによって、ユーザーは詳細な分析とインサイトを取得できます。
- Runtime Fabric のインスタンスとアプリケーションデプロイメントに関するメトリクスを使用して、コアベースの追跡を行えます。
- 日時、ビジネスユニット、環境など、さまざまなディメンションに及ぶドリルダウン機能が含まれています。これにより、正確な容量計画、ライセンスコンプライアンスの測定、チャージバックに関するオーバーヘッドの削減が可能になります。
- 使用状況メトリクスは、さらに詳細な分析 (AI を活用した予測分析など) を行うためにエクスポートできます。使用状況パターンを理解して予測することで、企業は業務の最適化、リソースの割り当て、作業負荷の季節変動への準備を行うことができます。
新しい使用量ベースの価格設定モデルは、RTF の機能やそのデプロイ方法には影響しません。ユーザーは引き続き、自分が選んだ RTF 対応クラウドプロバイダーを使用してインフラストラクチャコストを管理します。
ユーザーが使用量ベースの価格設定に移行する場合、新しいダッシュボードを使用して横並びで比較を行えます。環境 ID とビジネスユニットごとにドリルダウンして、各アプリケーションによるコアとフローの消費量を視覚化できます。これにより、アプリケーションに効率的に変更を加えることができるようになるほか、使用量ベースの価格設定に移行しようと思ったときに反復的に移行することも可能になります。
Hyperforce 上の MuleSoft
MuleSoft が Hyperforce 上で利用できるようになりました。ユーザーは、2 つの新しい Hyperforce リージョン (カナダと日本) にデプロイできます。Hyperforce はパブリッククラウド用に構築された次世代の Salesforce インフラストラクチャアーキテクチャです。Hyperforce のインフラストラクチャはハードウェアではなくコードで構成されているため、Salesforce のプラットフォームとアプリケーションをすばやく確実に世界各地に提供できます。
Hyperforce の利点
MuleSoft ユーザーは、Amazon Web Services (AWS) などのパブリッククラウドインフラストラクチャの利点を享受しながら、Hyperforce のセキュリティ機能と制御に依拠することもできます。Hyperforce のインフラストラクチャアーキテクチャの設計にはコンプライアンス、セキュリティ、俊敏性、拡張性のための強化された標準が組み込まれ、プライバシーへのサポートも確保されています。
Hyperforce ではパブリッククラウドインフラストラクチャを世界中に展開できるため、Salesforce アプリケーションを実行するグローバル地域を選択することが可能です。さまざまな場所の規制基準に沿ったグローバルコンプライアンスを促進することもできます。
Hyperforce 上の MuleSoft アーキテクチャ
Hyperforce 上に MuleSoft をデプロイすると、インテグレーションプロセスを管理するコントロールプレーンと実際のインテグレーションプロセスが実行するランタイムプレーンが同じリージョン内に配置されます。こうしたアーキテクチャによってデータレジデンシー要件を確実に満たすことができるほか、パフォーマンスの向上と遅延の低減が実現します。
Hyperforce によって、MuleSoft ユーザーは次のような強化されたセキュリティ機能と制御を備えることができます。
- 強化された画像署名検証
- より広範囲に及ぶ複雑な暗号化メカニズム
- 秘密、暗号化鍵、証明書をセキュアに管理するためのハードウェアセキュリティモジュール (HSM) 保管庫
Hyperforce は最小権限制御とゼロトラストの原則に従っており、保存されているデータと転送中のデータの両方が暗号化されます。Mule アプリケーションを Hyperforce にデプロイする前に、MuleSoft アカウントに Hyperforce インスタンスへのアクセス権が付与されている必要があります。MuleSoft ライセンスを Hyperforce インスタンスにプロビジョニングする場合は、MuleSoft 営業担当者にお問い合わせください。
Anypoint Studio での Hyperforce 設定
データレジデンシーの選択肢が増え、よりきめ細やかに制御しながら、Mule アプリケーションを迅速かつ確実に世界各地に提供することができます。
次の Hyperforce サポート対象地域にデプロイできます。
場所 |
コントロールプレーン |
Anypoint Platform URL |
---|---|---|
北米 |
Canada クラウド |
ca1.platform.mulesoft.com |
APAC |
Japan クラウド |
jp1.platform.mulesoft.com |
Anypoint Studio から上記のリージョンに Mule アプリケーションをデプロイするには、Anypoint Studio UI で Anypoint Platform コントロールプレーン URL を設定する必要があります。
Anypoint Studio で Hyperforce コントロールプレーンを設定するには、次の手順を実行します。
-
[Anypoint Studio] | [Settings (設定)] | [Anypoint Studio] | [Anypoint Platform] に移動します。
- [Control Plane Settings (コントロールプレーン設定)] で、[Use this control plane (このコントロールプレーンを使用)] を選択します。
- [Control Plane URL (コントロールプレーン URL)] に Anypoint Platform URL を入力します。
-
[Apply and Close (適用して閉じる)] をクリックします。
Anypoint Code Builder で Hyperforce を設定する
デスクトップ IDE では、Anypoint Platform コントロールプレーンを次のクラウドのいずれかに変更できます。
- US クラウド (デフォルト)
- EU クラウド
- Canada クラウド
- Japan クラウド
Anypoint Platform インスタンス間で、ユーザーアカウント、プロジェクト、その他のデータは共有されません。詳細は、「Anypoint Code Builder Cloud Hosts (Anypoint Code Builder のクラウドホスト)」を参照してください。
コントロールプレーンを変更するには、次の手順を実行します。
- IDE の [Explorer] パネルで API 仕様が開いている場合、クラウドを切り替えたときに同期エラーが発生するのを防ぐために、プロジェクトを閉じます。デスクトップ IDE で、[File (ファイル)] | [Close Folder (フォルダーを閉じる)] を選択します。
- デスクトップ IDE で、[Settings (設定)] タブを開きます。
- [Anypoint Code Builder] パネルから
をクリックします。
- アクティビティバーから
をクリックし、[Settings (設定)] を選択して、[Settings (設定)] タブで
mule
を検索します。
- [Command Palette (コマンドパレット)] で、コマンド
MuleSoft: Open ACB Settings
を入力します。
- [Anypoint Code Builder] パネルから
- [Mule: Control Plane (Mule: コントロールプレーン)] までスクロールします。
- 目的のクラウドを選択します。
- IDE を再起動してすべての変更を読み込みます。
- IDE から Anypoint Platform にサインインする手順を実行します。
まとめ
この 1 年間に、Anypoint Platform で AI エージェントを設計、構築、管理できるさまざまな MuleSoft 機能がリリースされましたが、この単元ではその中の特に重要なもの (MMuleSoft AI Chain など) について学びました。また、Hyperforce 上での Anypoint Platform と MuleSoft のデプロイメントに関する使用量ベースの価格設定について確認しました。ここで、上記のトピックの理解度を確認し、MuleSoft プラットフォームインテグレーションアーキテクト資格を更新するためにテストを受けていただきます。
リソース
- MuleSoft Anypoint Exchange: MuleSoft AI Chain Connector - Mule 4 (MuleSoft AI Chain Connector - Mule 4)
- MuleSoft ブログ: Introducing the MuleSoft AI Chain Project: Simplify Orchestration of LLMs, APIs, and Agents (MuleSoft AI Chain プロジェクトの紹介: LLM、API、エージェントのオーケストレーションを簡素化する)
- MuleSoft ドキュメント: Anypoint Platform 価格設定
- MuleSoft ドキュメント: 使用状況レポート
- MuleSoft ドキュメント: Usage Reports Release Notes (使用状況レポートに関するリリースノート)
- Salesforce ヘルプ: Runtime Fabric Usage Dashboard FAQ (Runtime Fabric 使用状況ダッシュボード FAQ)
- MuleSoft ブログ: Announcing the Anypoint Usage Dashboard for Runtime Fabric (Runtime Fabric 向け Anypoint 使用状況ダッシュボードを発表)
- MuleSoft ブログ: MuleSoft Announces Hyperforce Launch in Japan and Canada (MuleSoft、日本とカナダで Hyperforce 上での稼働を開始)
- MuleSoft ドキュメント: Salesforce Hyperforce
- Salesforce ヘルプ: Hyperforce について - 一般情報と FAQ
- MuleSoft ドキュメント: Configure Hyperforce in Anypoint Studio (Anypoint Studio での Hyperforce の設定)
- MuleSoft ドキュメント: Set the Desktop IDE to a Different Control Plane (デスクトップ IDE を異なるコントロールプレーンに設定する)