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Marketing Cloud Engagement 製品の連携方法

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • Marketing Cloud Engagement 製品を使用して大規模な 1 対 1 の顧客エンゲージメントを可能にする方法を説明する。
  • Marketing Cloud Engagement が Salesforce Platform の他の部分とどのように連携するかの一例を挙げる。

はじめに

これまでの 3 つの単元では、Marketing Cloud Engagement の各製品を個別のソリューションとして説明してきましたが、Marketing Cloud Engagement が真の威力を発揮するのはこのような製品を他の Salesforce クラウド (Sales や Service など) につなげて連携させたときです。 

ここでは、ある金融サービスブランドが Salesforce をどのように使用して、その顧客に対する理解を深め、AI を駆使してエクスペリエンスをパーソナライズし、顧客のライフサイクルの各インタラクションでエンゲージしているかを説明します。

このシナリオでは、世界各地に数百万人の顧客を擁する、Cumulus Bank という架空の金融サービスブランドを使用します。この銀行は Marketing Cloud Engagement を使用して、新たな見込み客を惹きつけ、各人に応じた商品やサービスを紹介してライフサイクルを進行させています。新規の見込み客である Sandra がロンドンでの新たな住居の購入を考えて調べ始めたときに、この銀行がどのようにエンゲージしたのか見てみましょう。

新規顧客を惹きつける

ロンドンで数か月を過ごした Sandra とその配偶者は、家族で移住することに決めました。Sandra がロンドンの住宅ローンのオプションについてオンライン調査を行ったところ、Cumulus Bank が浮上しました。検索結果をクリックして、Web サイトに目を通します。するとすぐにロンドンの住宅購入希望者を対象とするモバイルアプリケーションの広告に気が付きました。このモバイルアプリケーションに興味をそそられてダウンロードします。

携帯電話に表示された Cumulus の Web サイト

Sandra はアプリケーション内で自身のメールを登録します。アプリケーションを見ながら、気に入った住宅の価格を簡単に確認できることに感心します。そして、今後お気に入りの地域まで散歩するときに、気に入った家を見てみることにします。

数日後、Sandra はこのアプリケーションから家探しを続けるよう促すプッシュ通知を受け取ります。

その日の夕方、お気に入りの地域を散歩がてら、アプリケーションを試してみることにします。Sandora はアプリケーションを使いながら、自分の希望に添った家々を紹介するスマートな機能に感動します。

こうしたレコメンデーションの中から 1 軒の素晴らしい家を見つけました。その住宅は予算内で、所在地も申し分なく、家族にぴったりの大きさです。クリックして住宅ローンの手続きを開始します。けれども、やや先走りすぎ、資金を調達する前に配偶者に相談すべきと思いとどまります。そこでアプリケーションを閉じます。

マーケターの課題

ご覧のとおり、顧客はマーケターが描いたとおりにジャーニーを進んでくれません。購入ジャーニーの途中で止まってしまうこともあります。このシナリオでは、Sandra が資金を調達する前にアプリケーションを閉じてしまったことがわかっていますが、Cumulus のマーケターが Sandra のように中断してしまった顧客を見つけて、再エンゲージするにはどうすればよいでしょうか? まず、未知の行動 (Web サイト上の Sandra など) を既知の行動 (Sandra がアプリケーションに入力した個人情報) に結び付ける必要があります。

こうした結び付けを行うために、Cumulus のマーケターは Data Cloud for Marketing を使用してさまざまな顧客データソースのすべてを 1 か所で表示して管理できます。対象とすべき次善のオーディエンスは誰かを判断しやすくなります。Data Cloud for Marketing によって Cumulus データ属性が取り込まれ、その形式が標準化されるため、マーケターはわかりやすいペルソナを識別して表示し、わずか数クリックの操作でセグメント化できます。

Salesforce CDP セグメンテーションツールのスクリーンショット

Cumulus のマーケターは「Working Moms, Mortgage Seekers」(住宅ローンを求めるワーキングマザー) という新しいセグメントを作成します。このセグメントが Cumulus から Marketing Cloud Engagement に送信され、そのさまざまな機能を使用して、顧客エクスペリエンスがさらにパーソナライズされます。たとえば、サイトコンテンツのカスタマイズ、Google アナリティクス 360、マルチチャネルジャーニー、実行すべき次善アクションの提案などの機能を使用できます。

Journey Builder のフロー

Cumulus のマーケターは Journey Builder を使用して、「Mortgage Re-engagement Journey (住宅ローンの再エンゲージジャーニー)」を作成し、オーディエンスを選択できます。この場合のオーディエンスセグメントは、先ほど Data Cloud for Marketing を使用して作成した「Working Moms, Mortgage Seekers (住宅ローンを求めるワーキングマザー)」です。

つまり、このペルソナ (住宅ローンを求めるワーキングマザー) の属性に該当する Sandra のような顧客の全員にこのジャーニーが適用されます。またこのジャーニーでは、Cumulus のマーケターが Journey Builder の豊富な機能 (Einstein 分割、動的コンテンツ、送信時間最適化) を利用できます。そのため、マーケターは顧客がエンゲージする可能性が最も高いタイミングとチャネル (メール、モバイル、検索、あるいはオープン Web など) を見極めてメッセージを送ることができます。Sandra の場合はどのように行われるのか見てみましょう。

コンバージョンの増大

ある日 Sandra が携帯を見ていると、Cumulus から住宅ローンの金利に関するオファーのメールが届きました。あの住宅について配偶者と話し合った後であったため、絶好のタイミングです。このメールは Sandra 向けにパーソナライズされていました。つまり、マーケターが Journey Builder と AI を駆使して、Sandra の希望に関するデータを収集し、Sandra が求めるローンの金利をオファーするメールを作成していました。また、このメールはインタラクティブ型で、メールから直接ローンのオプションを調べることができます。誰かに電話したり問い合わせたりすることなく住宅ローンを申し込めることは、ワーキングマザーである Sandra にとってメリットです。

遂に Sandra が [Finish your application (申し込みを完了する)] を選択します。この操作によって申し込みフォームに自身の情報が入力されるため、他の 2 ~ 3 の質問に答えればフォームを送信できます。

これだけです。わずか数回のクリックでローンの申し込みフォームを送信しました。

数時間後 Cumulus から、申請が承認されたことと、入金ボーナスが付与される投資口座の特別オファーを記した SMS 通知を受け取りました。 

これまで見てきた Sandra と Cumulus のインタラクションの経緯をまとめると、Sandra は次のことを行っています。

  • Web サイト上
  • 広告を見る。
  • アプリケーションをダウンロードする。
  • 家探しを続けるよう促すプッシュ通知を受け取る。
  • アプリケーションを試す。
  • メールにエンゲージする。
  • ローンの申し込みフォームを送信する。
  • 承認時に SMS 経由で通知を受け取る。
  • 特別オファーを受ける。
  • Twitter に投稿する。

さらなる関係の構築

Sandra の Cumulus とのエクスペリエンスはこれでお終いではありません。同行はさらなるオファーを提供して関係を育成し続けました。Sandra が Cumulus Bank の前を通りかかったときに、投資口座に関するオファーを受け取っていたことを思い出して、立ち寄ることにします。

Sandra に対応した投資営業担当は、Sandra の当初の Web サイトの検索から住宅のレコメンデーション、ローンのオファーまで、Cumulus とのエクスペリエンスの全容を把握していました。担当者はこうした知識をすべて Salesforce から収集していたため、Sandora の現況を踏まえて話を進めることができました。担当者は投資口座を開設し、その入金ボーナスを設定します。

Sandra と Cumulus Bank の銀行員

Sandra は外に出て地域のマーケットに向かう前に ATM で現金を引き出すことにします。ここで次善オファーを受け取ります。Cumulus は、新しい家を購入した Sandora がリフォームローンに関心があるかもしれないことを認識していたため、ここでリフォームローンのオプションを提示します。Sandora はこのオプションを気に入り、(現金を引き出すとともに) オファーを受け入れます。 

ATM

1 週間後 Sandra のところに Cumulus のカスタマーサービスエージェントからフォローアップの電話がかかってきます。ATM のオファーを受けて以降何の行動も起こしていなかったため、何ら問題がないか確認するものでした。

カスタマーサービスエージェント

Salesforce では Sandra の統合顧客プロファイルが、Marketing Cloud Engagement と Financial Service Cloud のデータとともに表示されるお陰で、エージェントは相手の状況を踏まえて会話を進め、役に立つ具体的な情報を伝えることができます。

これが Salesforce の 1 対 1 の顧客エンゲージメントの流儀です。

影響の分析

ちょっと待ってください。Sandra のカスタマージャーニーによるビジネスへの全般的な影響を、Cumulus のマーケターはどのように測定するのでしょうか? Marketing Cloud Intelligence を使用します。

Marketing Cloud Intelligence ダッシュボード

Marketing Cloud Intelligence があれば、マーケターがマーケティングのすべてのデータソースをつなげて統合し、AI を駆使したインサイトを視覚化してパフォーマンスをリアルタイムで最適化し、アクション可能なレポートを作成して ROI を向上させることができます。Cumulus のマーケターは、ワンクリックダッシュボードを使用して、Sandra のライフサイクルを通してさまざまなチャネルやキャンペーンがどのように機能しているかを的確に示すレポートを作成できます。

まとめると、Sandra のジャーニーで利用された Marketing Cloud Engagement ソリューションは次のようになります。

  • Advertising Studio: ファーストパーティの CRM データを使用して、Google 検索マーケティングを最適化する。
  • Data Cloud for Marketing: ペルソナを見つけて、対象となるオーディエンスに変換する。
  • Google アナリティクス 360 インテグレーション: Marketing Cloud Engagement データを使用して、Web サイトを最適化し、クロスチャネルインサイトを取得する。
  • Journey Builder: セグメントをアクティブ化したうえで、Email Studio、Mobile Studio、Marketing Cloud Personalization を使用して、インテリジェントでパーソナライズされた動的ジャーニーを促進する。
  • Marketing Cloud Intelligence: マーケティング全般の ROI をリアルタイムに測定して分析する。

まとめ

Marketing Cloud Engagement は、顧客について把握し、インテリジェンスを使用してパーソナライズし、ジャーニーにわたってエンゲージできるようにする数種類の製品で構成されています。これで、こうした製品がどのように組み合わされ、Sales や Service など Salesforce Platform の他の部分とどのように連携するのかがわかりました。さっそく会社で Marketing Cloud Engagement を使用して、1 対 1 の顧客エンゲージメントを創り出してみてください。

リソース

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