効果的なマーケティングメールの作成
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 効果的な件名行を作成する。
- 効果的なプリヘッダーを作成する。
- パーソナライズされた動的コンテンツを使用して関連性の高いメールにする。
- 効果的な行動喚起を考案する。
相手を惹きつけるメールの作成
素晴らしいメールを書きたいと思っていますか? それは人々に無視されることなく、行動を起こさせるメールです。それなら、これはあなたにぴったりのモジュールです。効果的な件名行を作成し、メールを関連性の高いものにして、受信者に行動を起こさせる、とっておきの情報をお伝えします。
では、確実に受信者の注意を引き付けるメールの書き方から説明していきましょう。
件名行のベストプラクティス
購読者が最初に目にするものは何でしょうか? 件名行です。件名行で注意を引くことができなければ、メールに注ぎ込んだ努力が無駄になります。どうすれば件名行が効果的になるのでしょうか?
簡潔で要領を得たものにします。件名行が短めから中程度のメールは長めのメールよりも開封率が高く、ひいてはコンバージョン率 (メールをきっかけに行動を起こす人々の割合) にも影響します。さらに、メールサービスプロバイダーによっては、件名行が切り捨てられることもあります。そのため、50 文字以内に収めるようにします。
ブランド設定を活用します。件名行の文字数が制限されることはあっても、スタイルを妥協する必要はありません。メッセージにブランドを盛り込み、ブランドロイヤルティを活用します。シンボルやしゃれた表現、好奇心をそそる手法を用いて受信者の目を引きます。
とにかくテストを繰り返します。どの件名行が最も効果的かを判断するには、テストを重ねるしかありません。ただ実際のところ、Salesforce Marketing Cloud Engagement のような優れたメールマーケティングサービスがあれば、その判断は簡単な A/B テストに帰結します。
A/B テストの詳細
A/B テストとは基本的に、メールの 2 通りのバージョンを作成し、どちらが効果的なのかをテストするものです。たとえば、どちらの件名行が効果的なのかをテストしたい場合、件名行が異なる 2 通りのバージョンを一部の購読者に送信します (これが「A/B」の部分です)。A/B テストの結果から勝者を判断し、勝った方のバージョンを残りの購読者に送信します。
メールのプリヘッダー、本文、特定のコンテンツブロックのテスト、送信日時のテスト、(そしてもちろん) 件名行のテストなどと、テストが数種類に及ぶこともあります! A/B テストでは、件名行の文字長、スタイル、パーソナライズなどの変化に対する購読者の反応が示されます。また、開封、クリック、コンバージョンなどの各種メトリクスに基づき、どのバージョンが最も効果的なのかも示されます。これらのメトリクスから、どのような点によって購読者の行動が促されるのかを理解できます。
A/B テストの検証例 |
例 |
---|---|
ブランド名の先行表示 |
会社名: 件名行の残りの部分 |
キーワードの先行表示 |
キーワード: 件名行の残りの部分 |
文字数 |
短い件名行と、だらだらと続く件名行 (受信者が見向きもしないようなもの)。 |
スタイル |
こんにちは! スタイルを打ち出す。記号 ($&@) や絵文字を使って受信者の注意を引く。 |
パーソナライズ |
%%First Name%% 様への 20% オフクーポン |
行動喚起 |
今すぐ注文すれば 20% オフ |
以下に、件名行の良い例と良くない例を示します。
関心を引く例
件名行 |
関心を引く理由 |
---|---|
息を止めたままご覧ください |
消臭スプレー商品の件名行で、関心を引き、販売する商品に関連しています。 |
お父さん: このメールはあなた宛ではありません。ご家族に転送してください。 |
そう言われると、読んでみたくなるものです。あなた宛ではありませんと言われた場合も同じですね。 |
特急配送: 乗り遅れた方のためにトナカイを特別にご用意 |
特定の人を対象にすることで、受信者は自分のことをわかってくれている、個人的に語りかけてもらっていると感じます。この例では、クリスマスショッピングに乗り遅れてしまった人に呼びかけています。 |
退屈で無視される例
件名行 |
失敗する理由 |
---|---|
%%Day of Week%% のニュースレター |
曜日以外何も伝えていません。 |
RE: 前回のメール |
誤解を招きます。件名行を「RE: メッセージ」にすると、購読者がいら立ち、購読を取り消すことや、スパムとして報告することがあります。 |
[空白]: この機会をお見逃しなく。 |
件名行に空白が生じないように、[名] の位置に「大切なお客様」といったデフォルト値を必ず設定します。 |
パンチの効いたプリヘッダー
素晴らしい件名行が出来上がったら、次は完璧なプリヘッダーが必要です。
これはメールのプレビューで件名行に続いて表示されるテキストであるため、省略しないでください! プリヘッダーも件名と同じくらい重要です。プリヘッダーは行動喚起を担うこともあれば、メールコンテンツの要約になることもあります。いずれの場合も件名行をサポートする形になります。
プリヘッダーは 100 文字程度に収めて、相手の心を捉えるものにします。Marketing Cloud Engagement Email Studio では、文字数の異なるプリヘッダーや、デバイスごとの表示方法をテストできます。当然ながら、モバイルデバイスに表示されるプリヘッダーの文字数は、ラップトップよりも少なくなります。
パーソナライズの効果
いよいよ、メールの本文とそれを受信者に関連付ける方法について見ていきます。関連性を高める優れた方法の 1 つがパーソナライズすることです。メールの件名行も本文もパーソナライズが可能です。「購読者各位」や「大切なお客様」ではなく「Katie 様」で始まるメールを送信できます。ご覧ください! 個人的なメッセージになりましたね。
メールに受信者の名前が記載されていれば、自分個人に届けられたように感じる可能性が高くなります。そうすれば、メールを開いて読み、行動を起こす可能性も高まります。
顧客に関しては、名前、所在地、性別、関心事など、さまざまな情報を追跡しています。メールマーケティングシステムでは、こうした情報を、顧客向けにパーソナライズした極めて効果的なメールに変換できます。プレースホルダーまたはパーソナライズ文字列を使用すれば、購読者の名前、関心事、所在地などの値が自動的に挿入されます。
これはデータを効果的に活用する方法ですが、注意が必要です。挿入した項目プレースホルダーに特定の購読者の情報が入力されなければ、まずいことになるからです。「[空白] 様」に宛てたメールで好印象を与えることができるでしょうか。おそらく無理でしょう。こうした過ちを防ぐために、[名] に対しては「大切なお客様」といったように、パーソナライズする情報には漏れなくデフォルト値を定義します。
例をいくつかご紹介しましょう。
パーソナライズ文字列 (バックグラウンド) |
変換後 (顧客に表示) |
---|---|
%%First Name%% 様 |
Katie 様 |
%%Interest%% への関心が高いと伺っております。 |
ランニングへの関心が高いと伺っております。 |
そこで %%City%% で近日開催される楽しみなイベントをご案内します。 |
そこでシンシナティで近日開催される楽しみなイベントをご案内します。 |
個人に語りかける動的コンテンツ
前述のとおり、顧客に関するさまざまな情報を収集しています。たとえば、ゴルフやハイキング、ランニングなど、各顧客の関心事に関する情報を保存していることがあります。こうした情報を動的コンテンツに活用します。動的コンテンツとは、購読者のレコードの値に基づいて定義したルールに従い、表示されるコンテンツです。動的コンテンツを使用すれば、購読者は各自の関心事に応じたメッセージを受信できます。
Katie Smith は熱心なランナーです。動的コンテンツを利用すれば、Katie の関心事に直結するメールを送信できます。男性用ハイキングブーツのセールに関するメールを Katie に送りたくはありません。Katie が自身に関連しているメールのみを受信すれば、メールを読む可能性がはるかに高まります。
行動喚起
パーソナライズも関連性も素晴らしい戦略です。ただ、あくまでマーケティングの目的は、購読者に何らかの行動を起こさせることです。ここで必要となるのが適切な行動喚起 (CTA) です。たとえば、期間限定セールやコンテストへの参加、Web サイトへのアクセス、イベントへの登録などが挙げられます。顧客に、メールを開かずにはいられない、そして一度開いたら行動を起こさずにはいられない理由を与えます。
どんな CTA でも良いというわけではありません。優れた CTA は次の特長を備えています。
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緊急: すぐさま行動を起こさせる CTA を使用します。
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簡潔: CTA は 5 語以下で簡潔に述べます。
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行動指向: CTA には動詞を含めます (ダウンロード、登録、購入、保存)。
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明快で予測可能: 明快で、購読者を困惑させない場所にリンクします。
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限定的かつ目立たせる: 1 ~ 2 つの顕著な CTA に購読者の注意を引き付けます。
完璧なメールが仕上がり、これで大丈夫だと思うかもしれませんが、まだまだです。大いなる力には、大いなる責任が伴うのです。次の単元で、メールの力をうまく使いこなせるようにします。
リソース
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Salesforce: メールマーケティングのベストプラクティス
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Salesforce ヘルプ: A/B テスト
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Salesforce ヘルプ: パーソナライズ文字列
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Salesforce ヘルプ: 動的コンテンツ
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Salesforce ヘルプ: 動的な件名行とプリヘッダーの作成
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外部サイト: メール件名行ベスト 100
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Trailhead: マーケティングコンテンツの作成
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Trailhead: マーケターのための AMPscript
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動画: Salesforce で動的メールを使用して実際的なパイプラインを促進する方法