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戦略の実行と改善

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。
  • モバイルアプリケーションのユーザーライフサイクルについて説明する。
  • モバイルイニシアチブの成功を測定する。
  • フィードバックを収集して改善に使用する。
  • 組織のモバイル戦略を進化させる。

コースを調整する

いよいよラストスパートです。適切な旅の仲間とチームを組み、目的地につながる効率のよいルートを計画しました。ただし、まだ安心するには早すぎます。冒険が終わるまでにはそれなりの危険、驚き、回り道があります。

モバイル戦略を作成して実行したら、次は最適化します。モバイルジャーニーの最終フェーズでは、コースを調整してよくある落とし穴を避けます。

情報を広める

ステアリンググループは組織のモバイルビジョンを策定し、作成するモバイルソリューションを決定しました。プロジェクトチームはそれを提供しました。次はどうしますか?

作成するソリューションが顧客向けか従業員向けかに関係なく、その情報を広めることが必要です。ユーザーがアプリケーションを見つける方法は? ユーザーにアプリケーションを試すように説得する方法は? そこで、モバイル戦略の次の構成要素である「マーケティングとコミュニケーション」を確認しましょう。

マーケティングとコミュニケーションの図

多くの企業では、モバイルアプリケーションの稼働を開始するときのマーケティングおよびコミュニケーション活動について十分な検討と取り組みができていません。当然、社内アプリケーションを従業員にマーケティングするための戦略は、顧客へのマーケティングとは異なります。モバイルの稼働開始を計画するときには、次の点を考慮します。

顧客アプリケーションのマーケティング

マーケティングマネージャーまたはチームがアプリケーションの稼働開始のためのマーケティング計画を作成します。この計画には、リリース前、リリース中、リリース後に実行する活動すべての概要を含めます。そしてアプリケーションがリリースされたら、マーケティングチームは将来のキャンペーンも管理します。

組織にモバイルアプリケーションのマーケティングに関する経験が不足している場合は、TUNE Marketing の eBook『The Complete Guide to Enterprise App Marketing (エンタープライズアプリケーションマーケティング完全ガイド)』を読むことをお勧めします。「リソース」セクションのリンクを参照してください。

従業員アプリケーションのマーケティング

もちろん、社内アプリケーションの稼働開始にもマーケティングが必要です。一般的に、社内の稼働開始は、組織の変更管理担当と同じユーザーまたはチームが対処します。組織のコミュニケーション計画とトレーニング計画には、アプリケーションの発表、評判の流布、ユーザーの研修、ユーザーのエンゲージメント維持のための戦略を詳しく記述します。

モバイルの稼働開始のための効果的なコミュニケーション計画およびトレーニング計画の作成方法についての詳細は、「Salesforce モバイルアプリケーションロールアウト」モジュールを参照してください。

ジャーニーはマーケティングで終わりではない

マーケティング計画とコミュニケーション計画はいつでも実施できる状態で、まもなくユーザーが反応し始めるでしょう。ただし、まだ難しい作業があります。アプリケーションをダウンロードしてインストールするようにユーザーを説得したら終わりではありません。もう 1 つの大きな課題が生じます。ユーザーがアプリケーションの使用を止めないようにするにはどうすればよいでしょうか?

3 日後にはユーザーの 77%、3 か月後には 95% がドロップオフすることを示す円グラフ

アナリストの Andrew Chen 氏によれば、平均的なアプリケーションの場合、インストールして 3 日以内にユーザーの 77% を失い、1 か月後には 90% のユーザーが使わなくなくなり、90 日後まで使い続けているユーザーはわずか 5% です。

おやおや。3 か月で 95% のユーザーがいなくなるのですか? ユーザーをその気にさせるのは難しいですね。作成するアプリケーションの対象ユーザーが顧客、パートナー、従業員のいずれでも、非常にわずかな 2 つのもの、つまりモバイルユーザーの時間と関心を獲得しようと競争していることを認識します。

では、大がかりなモバイルプロジェクトをアプリケーションの墓場行きにさせないためにはどうすればよいでしょうか?

採用とエンゲージメントを促進する

モバイル利用者の関心と注意を継続的に捉えるには、ユーザーエンゲージメントおよび採用促進の計画を立てる必要があります。そこで、モバイル戦略の最後の構成要素である「採用とエンゲージメント」を確認しましょう。

エンゲージメントに関連するアイコンに囲まれたスマートフォン

アプリケーションに関しては、古いことわざ「よい第一印象を与えるチャンスはただ一度」に従います。ユーザーがモバイルアプリケーションを起動した瞬間から、ユーザーとの関係の構築と育成を始める必要があります。アプリケーションの価値を示し、ユーザーが戻ってくるように促せれば、ユーザーの関心と、願わくはその心を獲得できる可能性があります。

もちろん、ユーザーがライフサイクルのどのフェーズにいるかに応じて、エンゲージメント戦略は異なります。典型的なアプリケーションライフサイクルには次の 4 つのフェーズがあります。

フェーズ 対処すべき質問
獲得 ユーザーがアプリケーションを見つける方法は? ユーザーにアプリケーションを試すように説得する方法は?
オンボーディング ユーザーによるアプリケーションの登録と有効化を容易にする方法は? 新しいユーザーに人気のある機能を体験させる方法は? ユーザーをアプリケーションに戻って来させるフォローアップアクションを促すことができるか?
伸び率 アプリケーションの評価とレビューを良くする方法は? ユーザーに紹介させることができるか? 収益を生むアプリケーションの場合、コンバージョンを促進する方法は?
リテンション ドロップオフのリスクがあるユーザーを識別する方法は? それらのユーザーを再エンゲージする方法は? ユーザーを引き付けるように (うっとおしがられずに) 再エンゲージメントプロンプトをパーソナライズできるか? ロイヤルティを築く方法は? 苦情とフィードバックに対処する方法は?

アプリケーションはそれぞれ異なるため、ここでは採用とエンゲージメントを促進する方法の具体的な詳細を説明することはできません。創造力を発揮できるアイデアを求めている場合は、Localytics のガイド『App User Lifecycle: The Four Stages of Ensuring Happy Users (アプリケーションユーザーライフサイクル: ユーザーを満足させるための 4 つのフェーズ)』を参照してください。「リソース」セクションにリンクがあります。

成功の測定

「旅こそが目的地である」という言葉を聞いたことがありますか? 感覚的ですが真実なのでしょう。ただし、組織はもう少し具体的なものを求めているはずです。つまり...結果です。

分析を使用してモバイルイニシアチブの効果を監視することは非常に重要です。データがもたらすインサイトで次のことが可能です。
  • モバイルの ROI を証明し、将来のモバイルプロジェクトへのサポートを確立しやすくする。
  • ステアリンググループが全体的なモバイル戦略を進化させる。
  • 開発チームとマーケティングチームに情報を伝え、その作業をガイドする。
分析と成功に関連する要素を示すグラフィック

組織が成功を測定するのに役立つ 2 種類の分析を確認しましょう。

ビジネス指標

モバイル戦略のビジネス目標を定義するとき、ステアリングコミッティはモバイルイニシアチブの結果を測定しやすいように KPI と指標を設定しました。会社がモバイルアプリケーションの稼働を開始したので、データを評価して結果をレビューできるようになりました。
  • 開始前のベースライン測定は?
  • 対象指標の結果は?
  • 目標との比較は?
  • 目標値に到達しなかった場合、結果を改善する方法はあるか? (たとえば、採用を増やすために必要な機能がアプリケーションに欠けている場合や、マーケティングチームが日常的な使用を促進するための研修キャンペーンを開始する必要がある場合など)。
  • データのレビュー後、全体的なモバイル戦略を調整する必要があるか?

エンゲージメント指標

KPI とビジネス目標の分析に加え、組織はユーザーエンゲージメントも監視する必要があります。組織は次のようなユーザーデータを追跡する必要があります。
  • DAU (Daily Active Users) 数
  • MAU (Monthly Active Users) 数
  • 維持率 (日時、週次、月次、四半期次)
  • 最も人気のある機能、最も人気のない機能
  • ライフサイクル内でユーザーがドロップオフしてアプリケーションの使用を停止しがちな場所

フィードバックを収集する

指標は有益ですが、他にもアプリケーションのパフォーマンスを評価する重要な方法があります。顧客 (場合によっては従業員) に直接聞き取りを行うことです。必ずユーザーに接触して気に入ったもの、気に入らなかったもの、苦労したこと、うまくいったことについて詳細を調べます。分析を測定しただけでは表面化しなかった細かいことがわかります。

ユーザーフィードバックメカニズムの図

ユーザーフィードバックの収集方法は沢山ありますが、次の方法が最も一般的です。

  • アンケート、投票、およびフォーカスグループ
  • インタビューと操作性テスト
  • オンラインユーザーフォーラムおよびコミュニティ
  • ソーシャルメディア (社内アプリケーションの場合はエンタープライズコラボレーションツール)
  • アプリケーション内フィードバックフォーム
  • App Store および Google Play のユーザー評価およびコメント

何度も反復する

このモジュールでは、モバイルイニシアチブを「プロジェクト」と呼んできましたが、はっきりさせましょう。アプリケーションはプロジェクトではなく成果物です。

成果物はユーザーのニーズを満たすために変更する必要があります。モバイルアプリケーションをリリースしてそれで終わりだと思っていると、いずれアプリケーションに障害が発生したとき、夜中にたたき起こされることになるでしょう。これが、モバイルアプリケーションの開発にアジャイルアプローチを採用した方がよい理由です。

成果物管理プロセスを示す矢印図

アジャイル開発では、組織は継続的に分析とユーザーフィードバックを評価し、それらのインサイトを使用してアプリケーションを今後どうするかを管理します。どの機能を追加すべきか? どの機能をどのように改善すべきか?

また、アジャイルでは短い開発サイクルで頻繁にリリースすることを重視しているため、うまくいったこと、いかなかったことについてすぐにフィードバックを得ることができます。そのため、組織はユーザーの気に入る成果物を作っていると自信を持てるのです。

モバイル戦略を進化させる

すばらしい冒険でした。モバイルジャーニーを始めたとき、組織のモバイルアプリケーションポートフォリオはまだ夢にすぎませんでしたが、今ではそれを実現するために必要な知識とツールを手に入れました。包括的なモバイル戦略は組織のモバイル変革へのカギです。

ただし、モバイルジャーニーにはおかしな点があります... 実際には決して終わることがないのです。真の成功と言えるモバイル戦略は、進化し成長します。

会社が最初のモバイルアプリケーションの稼働を開始したら、じっくりと評価してコースの修正を行います。学んだ教訓は何か? 次回はやり方を変えるものは何か? 次回といえば、候補となるアプリケーションのアイデアのリストを再確認して、次に取り組むものを決定します。ただし、ユーザーのニーズと組織の目標は絶えず変化していることに留意します。全体的なモバイル戦略を 6 ~ 12 か月ごとに見直し、調整することをお勧めします。

ではまとめましょう。戦略を作成し、実行し、最適化します。そして、それを繰り返します。これをモビリティの好循環と呼びましょう。モバイルジャーニーでは、イベントのサイクルを反復します。そして各サイクルの結果から次回の結果をよりよいものにします。組織はモバイル変革への道を進み始めたので、可能性は無限大です。

モバイル化の枠を超えて進化できるかもしれません。

宇宙に飛び立つロケット船
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