プロジェクトのフェーズと収益源について
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Marketing Cloud Engagement プロジェクトのフェーズについて説明する。
- サービス製品を Marketing Cloud Engagement プロジェクトのフェーズに対応付ける。
- サービス製品がお客様のニーズにどのように合致するかを示す。
プロジェクトのフェーズと収益源
Salesforce パートナーであるあなたのところにやってくるお客様の要望はさまざまです。こうした要望をひとまとめにすることもできるかもしれませんが、世界最大の巻き糸よりも大きなかたまりになることでしょう。ですから、もう少しすっきりしたアプローチで、お客様の要望をプロジェクトのキャプチャ (獲得)、デリバリー (遂行)、メンテナンス (保守) という 3 つのフェーズに分類してみましょう。これらのフェーズは、アドバイス、デリバリー、サポートという収益源に対応します。
分類のフレームワークがあれば、各フェーズで提供するサービスを理解したうえで、対象とするフェーズを選択できます。
プロジェクトのフェーズ: キャプチャ
キャプチャフェーズには、ある種の感動の瞬間があります。野心的なアイデアが生み出されるのがこの時点です。このフェーズではチームが調査してブレインストーミングを行い、戦略を立てます。ここでは、コーヒーとホワイトボードのマーカーの匂いが漂っていることでしょう。この取り組みから、お客様を魅了する革新的なアイデアが生み出されます。お客様が期待するのは、こうした先進的な考え方です。
キャプチャフェーズで手腕を発揮するのは、アドバイスサービスチームのメンバーです。従来このフェーズでは次のような活動が行われます。
- 事前販売
- 営業
このフェーズの作業成果物には次のものが挙げられますが、この限りではありません。
- デジタル戦略のロードマップ
- データのディスカバリーと分析
- 既存のソリューションの評価
- カスタマージャーニーマップ
これらの作業成果物をリストアップしただけでは、よくわからないでしょう。あらゆるアドバイスサービスに共通するテーマ、つまり、成長を促進する新しいアイデアを生み出す例を見てみましょう。
Northern Trail Outfitters (NTO) は、顧客の報奨プログラムを見直したいと思っていました。同社では、個々の顧客にパーソナライズされた画期的なエクスペリエンスを創出するという、先見的な目標を掲げています。そこで、変革ロードマップを作成し、関係者の支持を集める目的でアドバイスサービスチームを雇いました。
あなたのチームに、アドバイスサービスというものが適しているのかと疑問に思うかもしれません。クリケットやテニスのようなスポーツを考えてみましょう。ボールを打つときにバットの芯をとらえれば、わずかな力で大きな成果が得られます。まずビジネスコンサルタントやマーケティングコンサルタントからなるチームを編成する場合、このチームの芯となるのがアドバイスサービスです。アドバイスサービスに専念するか、それを出発点に他のフェーズに展開するかを選択します。
プロジェクトのフェーズ: デリバリー
デリバリーチームは、蜂の巣の蜜蜂のごとく成果を生み出します。このチームはスプリントやスクラムをあれこれ使って、お客様の技術的なソリューションを作り出します。こうしたソリューションは、お客様にとって蜂蜜と同じくらい嬉しいものです。
チームで次のことを行えるようにして、デリバリーの収益源を増やします。
- アップセルとクロスセル
- 新規やアドオンのソリューションの設計と実装
- クロスチャネルキャンペーンの管理とリリース
もう一度 NTO を見てみましょう。同社の新しい報奨プログラムは Salesforce Platform と Marketing Cloud Engagement 上に構築されています。NTO はこのソリューションを使用して、効率的でパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを創出できます。同社の顧客は各人向けに調整されたコンテンツやオファーを受け取ります。そして、顧客が NTO とやり取りする方法 (対面、アプリケーション経由、デジタルアシスタントを使用) に関係なく、各自のエクスペリエンスは一貫したものになります。
デリバリーサービスチームは、テクニカルエキスパート、アーキテクト、開発者、展開スペシャリストなどで構成されます。また、顧客に助言し、NTO のもののようなプロジェクトを管理するビジネスコンサルタントがいるのも特徴です。Salesforce 自体が急速な成長を続ける中、ソリューションデリバリーサービスに対する顧客の需要も同じペースで高まっています。
プロジェクトのフェーズ: メンテナンス
Salesforce の既存の顧客もサポートを必要としています。こうした顧客をサポートすることは、新しい顧客を獲得して製品を提供するのと同じくらい大切です。プロジェクトのメンテナンスの本質は、「存続期間にわたって」満ち足りたお客様を育てていくことです。
デリバリーフェーズの最後がどのようなものか考えてみてください。お客様が目指すのは、複雑なソリューションを完全に掌握することです。そのため、この過渡期が厄介なものになることがあります。お客様のすべてが最初からソリューションのメンテナンスを担う準備ができているわけではありません。中には、Salesforce パートナーに日々の業務を継続的に手伝ってもらいたいというところもあります。このようなお客様には、ソリューションの採用の促進と顧客の長期的な成功の実現を目的に、Salesforce プラットフォームと独自のソリューションのトレーニングを実施することが考えられます。
また、優先的なテクニカルサポートを提供するのもよいでしょう。一般的なテクニカルサポートではなく、直接あなたに連絡できるためお客様も喜びます。お客様と Salesforce テクニカルサポートの橋渡し役になり、問題の本質を見極めやすくすることも考えられます。パートナーはお客様と緊密な関係を構築しているため、その技術的あるいは非技術的な問題に対して高度にパーソナライズされたやり方で解決にあたることができます。
ソリューションを円滑に稼働させ続けるサービスを提供すれば、サポートの収益源が増大します。
- トレーニング
- サポートと監視 (早期警告システム)
- 調査、イノベーション、ソリューションの最適化、リーダーシップ
もう一度 NTO の場合を考えてみましょう。報奨プログラムの内部では専有アルゴリズムが、顧客が購入したものだけでなく、購入方法 (対面、オンライン、ソーシャルメディア経由) も考慮して個々の顧客に報奨を提供します。NTO が技術革新を続けるのであれば、そのソリューションも同じペースで進化させる必要があります。同社はこうした進化に対応するために、あなたのチームのようなサポートチームとの提携を望んでいます。
顧客の成功にとってサポートはアドバイスやデリバリーと同じくらい重要ですが、必ずしも魅力的な業務ではありません。Rube Goldberg という漫画家が描く、からくり満載の機械のようなソリューションの解読に苦労した経験があれば、その理由はおわかりでしょう。こうした難点から、プロジェクトでメンテナンスが放置されたフェーズになっていることがあります。ただし、Salesforce の実装をこなす優秀な人物であるあなたは、メンテナンスが嫌がるほどのものではないことを知っています。
そのため、サポートフェーズの門戸を開放すれば、あなたのチームがこの分野に進出し、垣根の反対側で手ぐすね引いて待っているお客様を喜ばせることができます。開発者、トレーニング担当者、プロジェクトマネージャーといったテクニカルエキスパートを確保しておきます。適切なサポートがあれば、お客様に不可能なことはありません。
対象とするフェーズの選択
では、サービス製品と収益源について学んだことを参考に、いよいよあなたが対象とするサービスを選択します。Marketing Cloud Engagement 業務のリーダーであるあなたの役目は、対象を 1 つにするか、2 つにするか、それとも 3 つすべてにするかを決めることです。
お客様は、そのビジネス上の問題を特定してソリューションを提案し、そのソリューションを提供して、トレーニングや継続的なサポートを実施できるチームを有するパートナーと提携したいと考えています。3 つのフェーズをすべて対象とする場合には、お客様が望むエンドツーエンドの包括的な対応が可能になります。
複数のフェーズでお客様にエンゲージすれば、収益が高まるものと思われます。素晴らしいと思いませんか? ただし、きちんと遂行できるよう準備を整える必要があります。あなたのチームが適切なスキルセットを備えていれば、簡単に遂行できます。他方、ビジネス戦略担当者からなるチームにデリバリーサービスを行うよう指示することは、彫刻家に髪を切って欲しいと頼むようなものです。そんなことはしたくないですようね? そのとおりです。では、どのように判断するのでしょうか?
この点について今初めて考え、早急に手はずを整えたいと思っている場合、その出発点を選ぶことは思っているほど難しくありません。次の単元でさらに詳しく説明しますが、大まかに言うと次のとおり簡単なことです。
- 現時点におけるチームの秀でたスキルをリストアップする。
- チームが提供したいサービス製品を決定する。
- 既存のスキルと、選択したサービスに必要なスキルのギャップを特定する。
- ギャップを解消するために、チームメンバーの追加、他社との提携、チームへのトレーニングの実施などを行う。
そして、あなたは Salesforce Ohana の一員であり、簡単なクリック操作で Salesforce パートナーコミュニティのトレーニングやサポートを利用できることを忘れないでください。チームの編成や拡張を行う際には、こうしたリソースが役立ちます。
リソース
- Salesforce: Salesforce パートナーコミュニティ (ログインが必要)